しゅれでぃんがー 2019/08/26 10:00

『中二病でも恋がしたい』の小鳥遊六花は本当に中二病だったのか?



 京都アニメーションが送り出した超作画キャラデザアニメ、『中二病でも恋がしたい』。タイトルを見てそれはもう期待感が高まり、毎日テレビ放映の時間にテレビをつけて楽しんでいた。しかし、ある瞬間を境に私はその時点で視聴を止め、ストーリーのネタバレをネットで調べることすらせず記憶から消してしまった。今回はこの私の悲しい思い出から、何故このアニメがそんな行動を私に引き起こさせたのか考察していこう。
 調べてみると小説で原作があるようだが、申し訳ないがそちらは未読である。



・記事構成

1.『中二病でも恋がしたい』の良いところ
2.『中二病でも恋がしたい』の悪いところ
3.まとめ



1.『中二病でも恋がしたい』の良いところ

 このアニメの主人公、「富樫 勇太」(以下ゆうた)は中二病である。アニメ開幕一秒から始まるナレーションで、これでもかというくらい中二病の説明が入る。とんでもなく掴みが良いアニメだ。登場ヒロインたちも中二病だ。クラス委員の「丹生谷森夏」(以下モリサマー)は預言者になり切る黒歴史ノート持ちだし、後輩の「凸守早苗」(以下でこもり。なんとアニメ版オリジナルキャラだったらしい)はメインヒロインである「小鳥遊六花」(以下りっか)に憧れるオーソドックスな中二病である。これらが中心的なヒロインたちだが、見渡す限り中二病だ。タイトルに偽り無しである。

 物語は彼らが部活動を立ち上げ、そこでの日常がメインとなる……と、見ていた時は思っていたのだが。その予想は悪い意味で裏切られることとなる。



 このアニメは確定型ハーレムではないのかと思われるかもしれない。だが、それは少し違う。このアニメはハーレムアニメではないからだ。何故そうでないかというと、モリサマーもでこもりも別にゆうたを好きではない。イチャコラするわけでもないし、ヒロイン争いもしない。ToHeartでいうまさしポジションである。いや、このアニメにもまことっていうまさしポジのキャラがいるけど。声優さんがひぐらしのなく頃にの主人公の人で、久しぶりに聞いたなこの人の声、とか主人公じゃなくて脇役なのかー、なんて見ながら思ってたけど。

 閑話休題。

 彼女らも彼女らでキャラクターとしての背景があるので、恋愛脳みたいにキャッキャウフフしないのだ。そこが、私がこのアニメに好感を持ったポイントである。正直、ヒロインとしてはモリサマーが一番好きだった。モリサマーがメインヒロインだったら、私は最後まで……いや、モリサマーがあんな展開したらそれはそれで視聴注視するかもしれない。



2.『中二病でも恋がしたい』の悪いところ

 主人公のゆうたは高校生になってから中二病を卒業した青年で、ヒロインのりっかは現在進行形の中二病。この二人の組み合わせと登場キャラクターの傾向から、りっかがゆうたを中二病に戻すのか、それともりっかが中二病やめるのかと考えながら当時は視聴していた。いったいどんな流れにするんだろう、とワクワクしていたものだ。しかし、そのワクワクは最悪な形で砕け散ることとなる。

 それは何かというと。りっかの中二病はつらい家庭事情から目を背けるための逃避で、しなければ生きていけないような重い理由があったのだ。

 私はこの一連の流れを見た瞬間。このアニメに対する怒りのような感情が爆発した。

「『中二病でも恋がしたい』ってタイトルなのに、中二病の理由作ってもーたやん!」
「これやってもーたら中二病がどうとかいう以前にヒロイン可哀想とか家庭環境の方にシナリオの比重持ってかれてまうやろ!」
「中二病は重たい過去が無かったら恋ができへんのかいッ!!!!」

 文章化するとしたら、だいたいこんな感じである。中二病であるヒロインが中二病を続けるにしてもやめるにしても、ありのまま等身大の姿でいて欲しかった。ゆうたも、モリサマーも、でこもりも。みんなある意味「普通」の中二病である。だが、肝心かなめのメインヒロインであるりっかは、「普通でない」中二病なのだ。他がみんな中二病だったのもあいまって、りっかへの私の失望は計り知れなかった。作った京アニ自身が中二病では恋はできない……と、言ってるようにすら聞こえた。

 このアニメの一番悪いところ。それは、「中二病に理由をつけてしまったこと」である。それをしてしまったら、もう中二病がどうとか関係なく無い……? これなら中二病になっても仕方ないわ……って思われるような展開にしちゃったら、「中二病」と「恋がしたい」というタイトルの文言の整合性取れなくない? 私はそんな考えに囚われ、この週からアニメの視聴を止めた。あまりにも悲しすぎて続きが見られなかったのだ。



 私は、『涼宮ハルヒの憂鬱』のハルヒのような、性格としての中二病を期待していた。この子可哀想、なんて背景もなく、純粋な中二病ヒロインと主人公のラブコメが見たかった。もちろん、このアニメの方向性と私の感性が合わなかっただけで、気に入らないなら見るのを止めればいいだけの話である。しかし。感想でぐらいは語らせてほしい。

 このアニメのタイトルには、根本的な偽りがあった、と。



3.まとめ

 このアニメは本当によくできていた。作画もよかったし、原作をアレンジしたキャラクター達もよかった。でこもりなんてまんま原作にいても違和感なさそうだったし、モリサマーはとてもいい女だった。
 しかし、ヒロインのりっかだけが。「理由のある中二病」だった。これだけが、私の唯一にして絶対に受け入れられない要素である。

 このアニメは二期もやっていたし、映画版も上映されたのだが。雑誌で見た二期のモリサマーのデザインは最初だけ髪を黒に染めていて、「りっかとキャラ被っとるやん」と茶髪モリサマーの秀逸さを改めて実感しただけで、どちらも視聴はできなかった。



 私は上記の事情により最後まで視聴できなかったが、合う人には合うとても楽しいアニメだと思う。この記事は個人的な感想なので、別の人が見れば面白いかもしれない。

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