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しゅれでぃんがー 2023/01/22 22:33

【ジュークボックス】外国人労働者と救急箱

 最近D社の鳴りの様子が変わった。鳴り自体は変わっていないのだが、なんというか、鳴った瞬間何でもかんでも取るドライバーが現れたっぽいのだ。俺の活動域内ではそういうやつは今までいなかったように思うのだが。年が明けてはや半月。ドライバーたちもぼちぼち活動を開始したようである。


 でも、なんかおかしいな。定年退職した老人たちの小遣い稼ぎという感じでもないし、金が欲しい若者やら食い詰めた日本人ならもっと北の方の市街地に出ていくはず。なぜ俺のが住んでいる大阪でもある意味で田舎と都市部の中間みたいな場所でこんな働き方をしているんだ……? この疑問が俺の頭から離れなかった。が、答えは意外な方向から判明した。


 俺は、D社は客としても使っていて。毎月220円割引クーポンが四枚もらえる。これはたぶん利用者全員がもらっていると思う。このクーポンで、配達料無料キャンペーンに参加してる店で注文したら単純に店へ食べに行ったり持ち帰りを買いに行くより時間的コストも金銭的コストも安い。だから、俺は月に四回だけ、D社を客として利用する。


 で、使ってみたんだけど。その時はなかなか届かなかった。というか、アプリが誤作動したのか商品届いてないのに配達完了画面になった。なんかおかしいな……と、思いながら、電話するのも怠いし数千円ぐらいのことならこのままスルーするか、となかば諦めムードだったのだが。十数分後、チャイムが鳴った。どうやら届いたらしい。その時、ドアを開けて外にいた配達員。なんと、肌が真っ黒。ブラジルだかネパールだか分からんが、とにかく外国人労働者だった。これを見た瞬間、俺の疑問は完全に氷解した。金が欲しい外国人労働者が、鳴るオファーを手当たり次第に取ってるんだ。


 こういう人々はとにかく手ごわい。距離関係なく何でもとるから、こっちはオファーを選んでるのでまず早押しで負ける。さらには、稼働時間も長い。去年までは20時過ぎたら配達員たちがやめてるらしく、俺だけが取り放題みたいな状態だったのに。今じゃ21時過ぎても一瞬でオファーが取られる。これでは勝負にならない。そもそも俺は勝負をする気が無いので、結局一日中かけて五件以下しかオファーが取れないということも増えてきた。まるでブラックバスに駆逐される在来魚のようである。


 こうなると、今までと同じ働き方では生きていけない可能性が出てきた。最近は人工稼業を再開したから副収入はあるとはいえ。現状のメインであるD社がこの状態ではこの先が不安である。年明けに稼働環境を整備したし、いよいよ遠征を視野に入れる時が来たのかもしれない。





 同居人が足の爪を半分割っていた。ダンベルが入った引き出しを誤って蹴ってしまったらしい。あまりにも痛そうだったので、見てられないからキズパワーパッドを一枚あげた。救急箱ぐらい自前で作っておけと言いながら。


 一人暮らしは怪我したら大変である。怪我というのは、滅多にしないものだがした瞬間生活の不自由が続出する。怪我をしたから絆創膏を買いに行く、というのはその時点でもう遅い。絆創膏は、怪我をした瞬間に手元に無ければ間に合わないからだ。


 俺は昔は自転車ばかり乗っていて、しかもよくこけるから生傷がたえなかった。それゆえ、絆創膏では足りずにキズパワーパッドを発見するにたどり着いた。だから、常備薬の大切さを身に染みて分かっている。だから、家に救急箱を自分で作って置いているのだ。一人で生活するなら、それぐらいはした方がいい。でないと困るじゃすまないから。


 脱脂綿と包帯、体温計……は、あったっけ。どっかで二千円で売ってたから今度買っておこう。そしてキズパワーパッド。これは一箱千円ぐらいするけど、絶対買っておいた方がいい。S、M、Lサイズ全種類。あって損は無い。あとは、整腸剤。これは前に花粉症でアレルギー科にかかった時、処方薬に含まれていたものだ。医者の言う通り飲んでたら、常時下痢みたいになって効果がたかすぎたので結局飲まなかったやつである。便秘っぽくなって腹痛から吐き気につながる場合があるので、そういう時は重宝する。飲んで十五分で便意が来るから整腸剤は本当にすごい。


 で、タダでキズパワーパッドをあげたわけだが。俺としてはもやもやする部分もある。一箱千円として、十個入としたら。一個あたり百円である。俺は百円の物をタダで他人にあげたことになる。キズパワーパッドはタダじゃないのに。そうなれば、嫌な気分になっても仕方ないだろう。だって俺はなんも得しないもの。俺は何事においても損得でしか物事を図らないので。こういう出来事があると本当にストレスがたまる。痛そうだからキズパワーパッドをあげないわけにもいかないし。あげたらあげたで損してるから嫌な気分になるし。我ながら面倒な人間である。


 だから、物を食べてる時に「一個ちょうだい」と言われること自体が俺は嫌いである。だって、物ってのはタダじゃないから。俺が買ってきたものなんだから。一個あげるだけで俺は数十円ぐらい損するわけだ。……普通に嫌だろ。でも、嫌と言って俺がケチだと思われるのも不服だし。だから他人と暮らすのはめんどくさい。

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しゅれでぃんがー 2023/01/17 21:09

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しゅれでぃんがー 2023/01/17 19:02

【文字――小噺】同居人の話 中編

 そんなこんなで我が家に住み始めた同居人。俺としては公共料金の負担が減ればいいな、ぐらいの想いではあったのだが。長い目で見るとあまり意味は無いということが分かった。何故かというと、単純な話。住む人間が増えると公共料金が増えるからである。特に、電気代が上がった。お互いにパソコンを常時つけっぱなしだったりするし、同居人は自分のエアコンを部屋に設置している。電気代が高いからエアコンを使うな、とは言えない。俺はエアコン夏以外使わないけど、向こうは冬も使うからそれでむしろマイナスかもしれない。





 それ以外にも問題は続出する。よく通販やメルカリを使うのに資源ゴミの日は覚えないから玄関に段ボールがたまりっぱなし。定期的に追い立ててやらないと捨てようとしないし、捨てる時は必然的に俺も手伝うことになる。俺は段ボールなんて月に数個しか出さないのに……。燃えるゴミの日も覚えてないから、俺が捨てようと準備していたり、玄関で靴を履いていたら「ついでに捨てといて」とか言いながらすごい勢いで部屋のドアを開けてくる。ふざけてんのか。殺すぞ。と、いつも思っている。


 お互いに順番にゴミを捨てに行くならまだいい。というか、別に普通だ。だが、ゴミの日を覚えない相手とそれを行うのは不可能である。かといって、順番交代で捨てに行こうぜ、なんて話し合いをする気も無い。何か決まりを作れば、それを守らなかったりイレギュラーが起こったりするとそのたびに話し合いが必要になる。俺としては、他人と口を利かなければいけない状況が発生する時点でルームシェアのメリットが無くなるどころかマイナスになる。家にいるけど、基本的には何も口を利かないしすれ違う時に挨拶するぐらいの関係性でなければならない。そうでなければ、ストレスに耐えれない。そもそもゴミの日にゴミを捨てるのは当たり前のことであり、自分のゴミを自分で捨てるのも当たり前のことだ。プライベートでそんな幼児に指導するようなことなんてしたくない。ルームシェアは幼児の介護じゃないのである。


 なので、ゴミの日は一切何も言わず、同居人がいない時とか寝てる時に捨てに行くことにした。確率は半々。ばれなかったときはよし、ばれてゴミ袋を押し付けられたときはアンハッピー。ゴミ捨ては、おみくじのようなイベントになった。。





 放っておいたら自炊をして生活費を浮かし始めた。それはそれでいいと思う。だが、キッチンの洗い物と掃除をしない。そのせいでキッチンが気持ち悪くて近寄れない。料理をしたり飯を食ったら洗い物をするのは当たり前のことだろう。基本的にキッチンというのは、綺麗でなければいけないのだ。そのせいで、買ってきたボウルとか鍋とかが謎に錆びたりしてきてて本当に気持ち悪い。しかも、お金出したのは俺である。俺が買ってきた調理道具を使って錆びさせているのだ。信じられん。そういうことするんだったら、調理道具は全部自分で買ってきて欲しいものである。


 リフォーム屋をやめたから俺も自炊しようと思ってたのに。同居人がいるということがこんなにもストレスを生むとは思っておらず。結局チェーン店の持ち帰りや弁当生活に逆戻りしてしまった。同居人がいなくなったら、また自炊すると思う。キッチンにある冷蔵庫も同居人のもので、俺の冷蔵庫は俺の私室に移動させちゃったから使い勝手も悪いし。これで同居人の冷蔵庫を共用で使うようにした場合、恩に着せられたらそれも不愉快である。どちらが金を出して買った物かをはっきりさせ、他人の物を使わないというのはルームシェアで大事なことである。だから、俺が買ってきた調理器具を正直使わないで欲しいとは思っている。めんどくさいから言わないけど。出ていった後に全部捨てて買いなおせばいいかな、と思っている。





 同居人は物が多い。靴なんて二十足か三十足ぐらいある。それの為だけの靴棚が玄関に置いてあるぐらいである。自転車も好きで、ロードバイクとか置いてある自転車屋に置いてあるような自転車用の棚みたいなのが二つ、玄関に置いてあり。キッチンにはばかでかい電動自転車が一台(部屋の半分を占領してる)、自転車用棚もさらに一台キッチンに転がってる。これらだけで貸してる二部屋に追加してもう一部屋分ぐらい家を占領している。俺としては、こんだけ物置くなら光熱費以上に出してもらわないと割に合わないんだけど。同居人はそんなこと欠片も気にしていないようである。同居人はかなりのやからな面があるので、基本的に話し合いはしたくない。自分の中にある結論や着地点が動かず、そこに到達するまで延々やかり続ける人間とは会話するだけ損である。時間とカロリーがもったいない。




 うちはマンションだが、管理人とも揉める。まあ、これは以前から俺が大人しいせいで管理人にやかられまくってたから助かった面もあるが。彼のおかげで俺は管理人の嫌がらせターゲットから外れたものの、事あるごとに他の住人とも揉めるので。大家である俺の立場がそのたびに悪くなるのはわりと困ることである。





 以前、彼は自転車で二回事故をした。どちらも車側の過失だったので彼からお金を払うことはなく、幸いにも怪我も無かったのだが。俺としては見過ごせない出来事である。もし、彼が事故で後遺症が残るような怪我をしたとして。光熱費すら払えないような状況になったとする。そうなると、俺は結果として彼を養わざるを得なくなる。さすがにそんな状態の人間から金を払えないから出て行けとは言えないからね。だから、もし何かあった時、彼は俺にとって俺の金と生活を脅かす可能性があるということだ。そんな危惧があるのに、ルームシェアを続けることはできない。いつかは、出て行ってもらわないとリスクが高すぎる。





 これらすべてを総合的に考えて、部屋を貸し続けるメリットよりも他人を家に済ませるデメリットの方が大きいという結論になった。だが、昔馴染みであり友だちではあるので放り出すのはさすがに可哀想である。不満はそりゃもう湧き出る湯水のごとくあるが。それでもやっぱり小学校からの知り合いで友だちなのだ。


 なんとか円満に追い出す方法は無いだろうか。そんなことをずっと考えていたら、町をジャイロ走っていた時に共産党の詰め所みたいな建物の壁に市営住宅の申請書のポスターみたいなのを見かけた。その時、天啓が降りたような気がした。調べたら、市営住宅の家賃と俺の家に住む光熱費は支出がほぼ一緒ぐらいである。じゃあ、ルームシェアしなくても市営に引っ越した方がいいよね、という方向性で話を持っていける。これはやるしかないだろう。すぐに市役所に行き、そしたら市役所の玄関に市営の申請用紙の封筒が大量に置いてあったのでそれを二部持って帰り。一部は渡して、もう一部は俺自身がその内容を読み込んであとは締切日の把握のために持っておいた。案の定同居人は締め切り前日まで書類を書かなかったので、癇癪を起されない程度にやんわりと催促した。なにからなにまで、お膳立てしないとなかなか動かないやつである。




 家に他人がいるということのメリットは確かにある。自分が外に出ているときに宅急便や消防設備点検とかが来た時に対応してもらえる。物を運んだりなにか手が必要な時に手を貸してもらえる。それは確かにメリットだろう。だが、俺は自分の部屋にいる時にキッチンから鼻歌が聞こえてきたら。その鼻歌にストレスを感じるぐらい他人が自分の生活圏に存在することが我慢できない性格である。やって見なければ分からなかったことではあるが。やはり、俺は他人と共同生活をするのに向いてない人間なのだというのを実感した。


 幸い、同居人は市営を当てることに前向きだった。市営はなかなか当たらないらしく、何年も募集に応募し続ければ当選確率が上がって行ってそのうち必ず当たるという噂はある。だから、あと五年か十年ぐらいしたら市営当てて出て行ってくれたら一番いいな、と思っている。

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しゅれでぃんがー 2023/01/15 14:07

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しゅれでぃんがー 2023/01/15 02:19

【文字――小噺】同居人の話 前編

 今日は同居人の話をしよう。今まであえてボカシながら話のタネにしてきたが、そろそろネタも溢れそうになっているし。ここらで整理がてら、俺の記事の肥やしになってもらう。










 俺の家はマンションの角部屋で、祖父母が買った物である。ゆえに、維持費が固定資産税と共益費しかない。だから普通に部屋を借りるよりも、年間の維持費用が数倍安い。もちろん、俺はそれを知っていた。だからこそ祖父の介護をした。その話についてはそのうちするかもしれないし、しないかもしれない。とにかく、その結果として手にしたのがこの家である。


 四部屋+キッチンがある部屋+洗面所と風呂+トイレ。玄関も広め。ベランダは三つで、大きさは大中小ぐらい。他人に言うと誰もが羨むし、リフォーム屋の小間使いをしていた時は元請けの年老いた営業さんと雇い主の親方が口をそろえて「家があるだけ恵まれてるよ」と言ってきた。それを聞くたびに俺は心の底から不愉快になり、ブチ殺したい衝動を抑えていた。俺が今日まで、どんな思いでどんな人生を歩んできたか知りもしないのに。知った風な口をきくなよ。殺すぞ。いや、殺さないけど死んでこいよ。と、心の中で、言われるたびに毒づいたものである。他人の人生を見ても聞いてもいないくせに、知ったような口を利くやつが俺は死ぬほど嫌いだ。





 まあ、そんなことはどうでもいいのだ。今は同居人の話である。同居人はブラックすぎるゲーム会社でかなり病んでいた。なので、俺は使ってない部屋に住まないかと持ち掛けた。同居人はその話に乗ってきた。ざっくり説明すればそんな流れである。もちろん、介護が終わった俺の家はかなり荒れていたので、人が住める状態になるまで頑張ってリフォームを自分でコツコツしたのだが。それについては、このブログにその過程を記事で書いてるので興味がある人は読んで欲しい。


 俺自身も、広すぎる家を持て余していた。生活スペース的に家の北側の二部屋には数年近く足を踏み入れていない状態だった。一人で暮らしてると、どうしても使わない部屋というのが出てくるのだ。だから、環境維持もかねて。住む人間を置いて、部屋の荒廃を防ごうと思ったのだ。ついでに光熱費も半分出してくれたら助かるし。そんな感じで、同居人は俺の家に引っ越してくることとなった。


 その時、同居人は会社をやめた。社会人として十年以上働いてたので、失業保険が申請できる権利を持ってたかららしい。辞める方法については俺が入れ知恵した。俺が高等学校教員を辞めるときに使った手である、【うつ病診断書を会社に提出する】をやらせたのだ。俺は校長先生にうつ病診断書を見せて、勤務続行不可能ということにして辞めた。うつ病診断書は現代の最強ツールである。


 うつ病の診断書ってのはわりとすぐにもらえる。心療内科があるクリニックに予約を取って、そこで会社での自分の状態やらそれによって自分の精神がずたずたになっていることを泣きながら訴えれば一瞬である。二つ返事で診断書を書いてもらえる。診察料は三千円だったか、五千円だったか……あれはまあ、診断書を書く費用というか、診断書の代金だと俺は思っている。


 医者から診断書をもらってる人間を強○的に引き止めたら法律違反である(知らんけど、たぶんそうのはず)。ゆえに、どんな会社でもこの時点で勝負あり。退職を認めなければならない。これを俺は知っていて、実践したことがあったので。俺が行ったクリニックの住所を同居人に教えて、診断書貰って会社に見せろとだけ言っておいた。そしたら関わってたプロジェクトがひと段落した段階で辞めたらしい。言ったことをちゃんと実践したようである。





 その辺からは同居人も俺の家のリフォームを手伝ったり、俺が同居人の引っ越し準備を手伝ったり。そこで同居人が勝手にリフォーム工数を増やして勝手に代金を請求してきて本当にこいつはやからだなあというのを思い知らされたりしたのだけれど。まあ、終わったことなのでそれは別にいい。とりあえず、引っ越してきた。そして、今日まで元気に家でダラダラして、精神は回復したようである。






 長くなるから、今回はこの辺にしておくか。

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