現役Unityゲームエンジニアが「Unity税」について徹底解説!
こんばんは、 ドクトルです。
本日は今ゲーム業界を騒がせている
Unity税問題
について解説したいと思います
概要
Unity税とは9月13日に突然発表されたUnityの新しい料金プランです。
これは特定の売上・特定のインストール数に達成した場合、
1インストールあたりにつき料金をとられるというものです。
批判と対応
これを受けて多くのインディーズ制作チームが
Unityへの批判および撤回がなければUnityから撤退する旨の声明をX(旧Twitter)で発表
その事態にUnity公式Xは各Xアカウントに対して
「この条件を満たすユーザーの多くは対象外だから心配いらない」
と個別でアナウンスをしていました。
結論
2023年9月17日現在、
Unityから開発環境を撤退すべきかどうかをするための
判断材料は何一つ揃っていない状況なので
迷っているか方はもうしばらく
待った方が良いです
問題
一番の問題は
突然の変更の上で
一方的に変更をユーザーに対して押し付けた上で曖昧な説明をした
という点です。
曖昧な説明というのはインストールのカウント形式についての妥当性が何一つない上にTOS(利用規約)を突如変えたという部分もあります。
インストール数のカウントについて
現在わかっていることとして
- デモ・エディターはインストール数に含めない
- デモ版であってもゲーム体験をフルにできる場合はデモとして扱わない
- 何を持ってフルなのかは不明
- アーリーアクセス版はインストール数に含む
- 「端末毎にインストール数はカウント」、 たとえばPC・SteamDeckにいれると+2
- WebGL・ストリーミングゲームは対象外
- ストリーミングゲームはPSNowなどが該当
- DLSite・DMM・FANZA・Boothなどは不明
- Unityゲームに「インストール」の概念は存在しない
があります。
この仕組みの問題点
1販売=1インストール…ではなく
1販売=nインストール
である点です。
またユーザー視点どういう形式でカウントされるのか不明なので
数字の妥当性はUnity側がアナウンスした数値で測るしか無いです。
不正インストールは対処するとアナウンスありましたが、
複数端末でのインストールが2でカウントされるのであれば
1販売=1インストールにならないと不平等感は強いと思います。
また旧規約と同様であれば広告収入などを収益メインとしたカジュアルゲームはインストールする毎に利益0で支払いが都度発生していくことになります。
これについてUnity側は90%のユーザーは影響を受けないと説明を繰り返していますが、
安全性の説明については今のところ曖昧なままになっています。
実際どのような影響なのか
結局この変更で1販売=1インストールと考えた場合どの程度の値上げになるのかですが、
無料ライセンスであるば20万本まで無料、
20万本+過去12ヶ月売上20万米ドルの売上が発生した場合は1インストール毎に0.2ドルの単価が発生します。
1ヶ月で閾値達成後に100万本売れた場合、
その月は20万米ドルの支払い義務が発生します。
重要なのは売上は12ヶ月だがインストール数は恒久的な期間で見られるため、
条件を満たせば毎月支払いが発生することになります
これを緩和するためにはライセンスをUnityPro(年約26万円)へ切り替え、
人数分用意する必要があります。
Proである場合で同じ条件である場合は8.5万米ドルの支払いに変わる上、
1万米ドルと100万インストール数へと上限が緩和されます。
これで見ると実際に条件を満たすユーザーが少ないという説明は
なんとなく正しいだろうと受け止めること事態はできますし、
売上に対しても妥当性はなくはないのかなと思います。
つまりProライセンスユーザーである場合に限れば影響範囲は小さいです。
ゲームを広告で宣伝し流入を稼ぐゲームは結構厳しい現実が待っているのではと思います。
ところでの話
Unityの公式ページに「条件を満たす場合は見積もってくださいね」と記載があります。
https://blog.unity.com/news/plan-pricing-and-packaging-updates
インストール数の正確な条件を伝えていないのにどうやって見積もるんでしょうか?
販売数とインストール数は一致しないことをアナウンスしているのにどういうことなんでしょう。
そもそもそのなの見積もるの無理じゃない?売上予測はできても2回以上インストールする可能性のあるユーザーなんてどうやって調べるんでしょうか?
伝えたいこと
Unityのゲームエンジンとしての特性や環境は
現時点では同等のサービスは存在していません
そのため、アンリアルエンジンなどに切り替えようと考えている場合はそもそもどういうゲームが作れるのかなどしっかり市場リサーチをしたほうがよいです。
Unityと違い開発知見もそれほど多くはありません。
そういう観点からも現時点でUnityをやめるという判断は難しいと思います。
最後に
今回ゲームクリエイターから失望を受けたUnity社ですが、
さすがに何かしらの追加アナウンスはするんじゃないかなと思います。
開発環境からの撤退を選択するのは2024/1/1でも遅くはないですし、
今動いているプロジェクトをわざわざ動かす必要もないと思います。
僕自身はUnityからUEなどに移行するコストなどを考えると金額面でもUnityを選ぶ方が賢い状況だと思っているのでまだUnityとは友達でいようと思います。
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