官能物語 2020/04/23 16:00

息子の告白/7

 久美子は、まず寝室に行って、着替えを用意することにした。今身につけている下着は、着古したよれよれのものである。こんなものを、初めての少年の目の前にさらすわけにはいかない。どうも足元がふわふわとして落ち着かない。当然である。まさか、こんなことになるとは。息子に自分と血のつながりが無いことを告げたら、その当の息子とセックスすることになるなんて、想像だにしなかった。

 身につけるべき下着を選ぶと、久美子は寝室を出た。広い造りのマンションではない。寝室から出て、浴室に向かう間に、リビングを通らなければならず、久美子は、息子の視線を痛いほど感じながら、そそくさと脱衣所へと入った。

 服を脱いだ久美子は、自分の体を意識した。ボディラインは、そこまで崩れてはいないとは思うが、若い頃の張りは望むべくもない。この体を見たら、息子はする気をなくすのではないだろうか。それならそれで彼と一線を越えずに済んでよいと思う一方で、もしも、体にがっかりされたら、ショックを受けるだろうと、久美子は微妙な心持ちになった。それにそもそもからして、やはり、

――本当にできるの……?

 うまくセックスできるかどうかが心配だった。久美子は、処女ではない。しかし、経験豊富というわけでは全然無い上に、この17年間、まったく経験が無いのである。男性から言い寄られたことは、何度かあったものの、息子を育てることに専念するために、全て誘いを断ってきた。そんな状況で、息子の、童貞の少年の相手をしなければいけないというのは、いかにも荷が重い気がした。しかし、事ここに至っては、じたばたできない。
覚悟を決めるしかなかった。

 シャワーを出した久美子は、丹念に体を洗った。自分の手でなぞっている体を、もうじき息子になぞられるのかと思えば、しかし、嫌悪感は無いようだった。久美子は、小さなハサミを使って陰毛を少し整え、脇毛を剃った。こういうことは、入浴後にするのがいいらしいけれど、それを待ってはいられなかった。もともと薄い方なので、それほどみっともない状態ではなかったけれど、整えるという行為が、相手に対する礼儀であるように思われた。その相手が息子なので、微妙極まる話なのだけれど、それはもう考えても仕方が無い。

 シャワーを浴び終えた久美子は、新しい下着を身につけて服を着て、また息子の視線にさらされながら、しかし、今度は何も言わないわけにはいかず、

「……寝室で待っているから」

 とだけもう一度言って、言葉通り、寝室に入った。ベッドに腰を下ろしたあと、服は脱いでおいた方がいいのだろうかと考えた。そこで、

――本当に、あの子とするの……? できるの?

改めて考えたところで、シャワーの音が聞こえてきた。

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