息子の告白/10
唇を重ねていると、久美子は、体がとろけるような感覚に陥った。血がつながっていないとはいえ、これまで育ててきた息子とキスをすることに関して、抵抗感というものは全く無くて、ただただ気持ちがいい。こんなに心地よくていいのだろうか、と怖くなってしまうくらいである。
久美子は、そっと背中に手が回されるのを感じた。男のしっかりとした腕に抱かれるようになって、そのことにも、うっとりとしてしまう。
――リードしないと……。
と思っているうちに、その腕に力が入れられて、ベッドに押し倒される格好になった。閉じていた目を開くと、目前に、息子の爽やかな微笑みがある。唇を離した息子が、
「母さん、愛してる」
万感を込めた声で言ってきた。久美子は、まるで心臓がつかまれたような気持ちになった。愛してる、その言葉が言えず、これまでどれほど彼は苦しんできたことだろう。それが、ようやく今言えるのだ。
「わたしも愛してるわ、高典!」
久美子は、反射的に言って、また自分から唇を重ねた。足を彼の足にからめるようにすると、太ももが、息子の一物に当たる。そこはもう硬くなっていた。久美子は、胸の鼓動が速くなるのを覚えた。強ばった彼のモノを、もう少ししたら受け入れるのである。それを考えただけで、秘唇がじわっと濡れるのが分かる。
――もう、どうにでもしてっ!
と早くも、久美子がリード役を放棄してしまいそうになったときに、唇の中に、にゅるりと何かが挿入されるのが分かった。舌である。口内に侵入してきた息子の舌は、久美子の舌と言わず、歯と言わず、いたるところを舐め回すようにした。
「んっ、んふっ……!」
久美子は、自分の鼻息が荒くなるのを聞いた。体はびくっ、びくっ、と震えて、鼓動はさらに早くなる。ただキスしているだけでも気持ちよかったのに、ディープキスまでされて、どうにかなってしまいそうである。そうして、その時は、いきなりやってきて、
――い、イクッ!
びくびくっ、と体を何度か痙攣させて、久美子は、絶頂を味わった。久しぶりのオーガズムは、蜜の味である。久美子は、しばらくの間、夢中を漂っていた。
「……母さん?」
息子の声に応じて目を開くと、彼が心配そうな顔をしているのが分かった。久美子は、正直に、イッたことを伝えた。すると、高典は、嬉しそうな顔になって、
「すげえ。母さん、イッたんだ!」
と声を上げた。久美子は頬を赤らめた。童貞の少年に、簡単にイカされてしまったことが、今さら恥ずかしくなった。