義弟と交わって/34
もう本当に何も考えられなくなりました。
頭の中で思うことは、イクことだけです。
――ああっ、イクッ……イクッ……。
あともうちょっとというその時に、浩二くんの腰が動きを止めました。その瞬間、快感が止まって、わたしは天国から地獄へと突き落とされた気分になります。
――どうして……?
そう思って、後ろを振り返ろうとしたわたしの耳に、
「もう少しでイキそうだっただろ、真由さん」
浩二くんの意地悪い声がかかります。
「なんとなく分かるんだよ」
分かるならどうして、そのままイカせてくれなかったのでしょうか。しかし、そのわたしの問には、
「イキたいって言わないと、イカせてあげないよ」
すぐ答えが与えられます。浩二くんは焦らしていたのです。もうすぐイケそうで、お預けを食らわされたわたしは、もう一ヶ月の間もセックスを味わっていない成熟した女でした。どうして、耐えることができたでしょうか。
「イカせて、お願い……」
わたしは浩二くんに対して哀願しました。
「ふふっ」
浩二くんは余裕の笑みを漏らすと、
「どうしようかな」
そう言って、少し腰を動かすようにしてきました。
「はあっ……ああっ、お願い……」
わたしは、自分から腰を突き出すようにしました。
欲しくて欲しくてたまりません。
それでも、浩二くんは、
「じゃあさ、おれと兄貴とどっちがいいか言いなよ」
そんなことを言ってきます。
わたしは即答しました。
「浩二くんよ」
「あっさり言うんだな」
「だって……」
あの人とは全然無いし、それに、事実浩二くんの方がいいわけですし、しかも、今のこの状況じゃ、そう言うしかないわけです。
「じゃあ、おれのことを愛してる?」
浩二くんは、わたしの耳に囁いてきます。
愛だなんて、この場にはそぐわない言葉を聞いて、わたしは、さすがに言葉に詰まりました。愛というのはもっと穏やかな感情ではないでしょうか。こんなキッチンで獣のように後ろから貫かれながら語る言葉では無いはずです。でも、わたしは、二度三度浩二くんに腰を動かされただけで、
「ああっ、愛しているわ……」
と口に出してしまいました。つまりは、それが、わたしが彼に屈服した瞬間であり、夫よりも彼の事を選んだ瞬間でした。
「おれも愛しているよ、真由さん」
浩二くんは、わたしの腰をしっかりとつかみ直すと、思い切りピストン運動を始めました。