母の浮気/6
それから、しばらく、世間話が続いたあとに、
「あんまり長くお引き留めしたら、迷惑じゃありませんか?」
と母が言った。確かに、どのくらい時間が経ったのか正確には分からないながら、良太を飽きさせるには十分な時間が経っていた。これなら、本当に友だちのところに遊びに行っていた方がマシだったのではないかと思われた。
「いえ、妻は出かけていて、夜まで帰って来ないので、わたしの方は全然。でも、ご迷惑でしたら、もう、わたしは失礼しますので」
「わたしの方は全然、そんなことありませんよ。お話ししていて、本当に楽しいです」
「そんなことおっしゃってくださるのは、奥さんだけですよ。妻と来たら――」
「いけませんよ、奥様のグチなんて」
「でも、グチを言いたくもなるんです。夜の方も全然ありませんしね」
「えっ、そうなの?」
「はい、どうも、あっちにその気が無いみたいで……いや、すみません、こんなことまで」
男は、焦ったような声を出した。「奥さんが話しやすい雰囲気なので、つい……」
「ご主人から誘ってはいるんですか?」
「この前まではそうしていたんですが、今ではもう……拒絶されるのは、男も辛いものですから」
「そうですか……可哀想ですね」
「あっ、お、奥さんっ……」
「さっき言っていたこと、本当ですか?」
「え、な、何がですか?」
男の声が上ずったようになる。
「わたしのこと、襲いたい気持ちになるって」
「そ、それは……」
「それとも、ただのお世辞?」
「い、いえ、そんなことは……」
「ふふっ……それじゃあ……」
そこで、二人の声が止まって、静かになった。
これはもしかしたら、と良太は期待した。
しばらくの静寂があったのちに、
「向こうの部屋に行きましょうか」
母のしっとりとした声が聞こえた。そうして、足音が聞こえたあと、和室に二人の姿が現われるのが見えた。男の顔を見たところ、道理で聞いたことがあるような声だったのは、友だちの父親だったからだ。家に遊びに行ったときに、何度か会ったことがある。確か、単身赴任していて土曜日しか家にいないということだったが、そう言えば、友だちがが、
「今度、お父さんが帰ってくることになったんだ」
と喜んでいた。その、ようやく家に帰って来て、一緒にいられるようになった父親が、友だちの母親と不倫すると知ったら、どんな気持ちになるだろうか。それを思って、良太は少し胸を痛くしたが、それ以上に、これから始まる事への期待が大きかった。
「ふふ、じゃあ、本当に、まだまだ枯れてないのか、見せてもらおうかなあ」
母は楽しそうな声を出すと、膝をついて、この前と同じように、男のズボンのチャックを下げた。
そうして肉棒をあらわにすると、すでに半ば勃起しているそれを見て、
「あらー、立派ですね。奥さん、もったいないことをしているわね」
と言った。
母は、目を輝かせるようにすると、舌を出して、亀頭をぺろりと舐めた。
「お、奥さんっ、汚いですよ」
男は焦った声を上げた。
母は構わず、おそらくは彼の言葉通り汚い肉棒を、れろりれろりと舐め続けた。亀頭からカリ首に舌を這わせる。しばらくそれを続けたあとに、肉棒の半ばを口の中に含んだ。
「おおっ、奥さんっ」
男の感極まった様子を、母は、上目遣いで楽しげに見つめた。