母の浮気/31
江藤さんの動きは、ごくごくゆっくりとしたものだった。ちょっと見では動いているのかどうかもよく分からないくらいである。しかし、そんな動きでさえ、
「はあああっ、すごいっ、ああっ……ひあああんっ!」
母の快感のスポットを確実に刺激しているようで、そのあご先が上がり、喘ぎ声は外にまで聞こえそうなほどだった。父との交わりのときも相当気持ちよさそうだったが、今回は、別格のようである。
「ぼくもすごく気持ちいいですよ、奥さん」
そう言う江藤さんの声は、平静そのものであって、さっきパイズリしてもらっていたときの焦りは全く無いようだった。ゆっくりと腰を動かしては、乳房を揉みしだいている。そうして、ピンと立ち上がった乳首に指をつけて、軽くつねるようにした。
「ああっ、ダメェ! そんなことしないでぇ!」
ぶるっと、豊満な体を震わせるようにして、母は懇願した。その可愛らしい声は、どんな男の中にも嗜虐心を引き起こしそうな調子であり、事実、江藤さんも、
「可愛いですよ、奥さん。もっともっと気持ちよくなってください」
そう言って、いったん乳首から指を離すと、母の足首を手に取って、母の両足を自分の両肩にそれぞれ乗せるようにした。そうして、その体勢のまま、さきほどよりも、やや強く、ピストン運動を始めた。すると、
「はあっ、ああ、あんっ、あんっ、あんっ、あんっ!」
母はさらに大きく感じ始めた。
その目はすでに焦点を得ていないようである。良太は、自分の母親がどこか遠くへ連れ去られてしまうかのような不安を覚えた。ぐちゅっ、ぐちゅっ、ぐちゅっ、という卑猥な水音が和室を満たし、母のまるで叫び声のような喘ぎ声が間断なく上がった。
「ああ、イクッ、イクッ……ああっ!」
そこで、急に江藤さんの動きが止まった。
母は、巨乳を上下させて、呼吸を整えたあとに、
「どうして、やめちゃうのぉ……」
泣きそうな声を出した。
目の焦点も元に戻っている。
江藤さんは、足を肩からおろして、体を折り曲げて、母に顔を近づけると、
「さっきのお返しですよ、奥さん」
にこやかに言った。
「なによ、お返しって」
「フェラチオです。やめてくださいって言ったのに、したじゃないですか」
「だって、すぐに立つって聞いてたから、江藤さんって絶倫なんでしょ」
「そうは言っても、その日の調子もありますし」
「分かった。謝るから。だから……」
「だから、何ですか?」
「もおっ……分かるでしょ」
「じゃあ、ちゃんと言ってくれたら、することにしますよ」
「なあに、江藤さんって、Sっ気があるの?」
「奥さんがあまりに可愛いから、いじめたくなったんですよ」
「どうすればいいのよ?」
「もう少しでイクところなんですよね、奥さん?」
「そうよ……って、そんなこと言わせないでよ」
「じゃあ、イカせてくださいって、お願いしてください」
「もおっ……イカせて。はい、これで、満足?」
母が投げやりな声を出すと、江藤さんは、腰を動かすようにした。
「はああっ!」
びくんっ、と体を震わせる母に、
「もう少し気持ちを込めて言ってください」
そう言いながら、江藤さんは、また腰を動かし始めた。