母の浮気/32
「あんっ、あんっ、あんっ、あんっ!」
母は、心から気持ちよさそうな喘ぎ声を上げた。女にあんな風に声を上げさせられたら、男としてどんなに誇らしいことだろう、と良太は思った。その声がやんで、
「ああっ…………もう、意地悪しないでよぉ……」
母が、たよりない調子で言った。
「それなら、はっきりと言ってください。奥さん」
「もおっ……ホントに男の人って……」
「子どもですか?」
「江藤さんは大人だと思っていたわ」
「すみません」
母は少し息を吸うようにすると、
「江藤さんのたくましいおちんちんで、気持ちよくして、イカせてください!」
一息に吐き出した。
江藤さんは満足したようである。
「じゃあ、いきますよ、奥さん」
そう言うと、先ほどよりも大きく動き出した。すると、母は、
「ああっ、激しいっ、ひあああん、はああああんっ!」
声を大きくした。先ほどのまでの感じ方とは、また一段階違う強さを持った感じ方である。
「ああっ、ああっ、うううっ、ひあああああっ!」
その乱れ方は、人のそれというよりは、まるで獣のそれのようであって、良太は怖さを覚えるほどだった。母の腕は、しっかりと江藤さんの背中に回されて、その足は江藤さんの腰にからみつくようになっている。まるでそうしないとどこかに運ばれてしまいそうな様子で、母は江藤さんにしがみついていた。
「ああっ、すごいっ、あああああああっ!」
母は、それこそ獣のような吠え声を上げた。愛らしい母からそんな声が出るなんて、良太には思いもかけないことであり、そういう声を出させる江藤さんに、嫉妬を覚えた。
「気持ちいいですよ、奥さん」
「ああっ、イクッ、ダメッ、もうイクッ……あ、あ、あ、あ、あ、イクッ、イグウウウゥ!」
母は濁った声を上げて、絶頂に達したようだった。江藤さんにしがみついたまま体をビクンッ、ビクンッと痙攣させて、江藤さんによってもたらされた絶頂がいかに激しいものであるかを表現している。
その動きが止まるまで、江藤さんは腰の動きを止めて、母を抱き締めるようにしていた。母の動きが止まってもなお、抱き締め続けている。母もぎゅっとしがみついている。それを見ていると、本当に心から愛し合う者同士の抱擁のように見えて、良太の胸に痛みが走った。心は痛みを感じても、体は快感を得ているようで、ペニスはぴくん、ぴくんと脈動して、その亀頭からはだらだらと先触れの液がにじみ出している。
「ああ……すごかったぁ……」
しばらくして、母の満足そうな声が聞こえてきた。