官能物語 2020/08/21 14:00

母の浮気/48

 それにしても、あんな風に、女性に声を上げさせることができたら、男冥利に尽きるだろう、と良太は、前にも考えたことがあるようなことを、改めて考えた。

「ああ、気持ちいいわ……ふふっ、久司くんは筋がいいから、これから、たくさんの女の子を泣かせるかもね。クラスでもモテるでしょ?」
「そ、そんなことないです」
「そうかな。告白されたこととかないの?」
「それは、あります」

 あるんかい! と良太は心の中で、突っ込んだ。水くさいことである。兄弟同然……とまでは行かないまでも、かなり仲がいい友人同士だというのに、告られたことを話してくれないとは。……とはいえ、もしも話されたとしても、こっちは、一度も女の子から告白されたことがない身だから何とも応えようがないけどな、と良太は自嘲気味に考えた。

「あるんだ、それで、どうしたの?」
「断りました」
「可愛い子だった?」
「はい」
「もったいないなあ」
「でも、ぼく、おばさんのことが好きだったから」
「あらぁ、ありがとう。ふふっ、でも、おばさんよりも好きな人、いるでしょ?」
「えっ、い、いません、そんな人……」
「そうかなあ」

 母は何か訳知り顔である。もしも、母の言うとおりだとすると、久司は、他に好きな女がいるにも関わらず、母に告白をして初体験を済ませたということだった。かなりぬけめない男である。良太は、純情な少年の裏側を見た思いだった。

「そろそろ、どうかな? できそう、久司くん?」
「は、はいっ、いつでも大丈夫です……というか、また出ちゃいそうです」
「もうちょっと我慢して」
「おばさんのナカ、気持ちよすぎて……」
「それはありがとうだけど、いつもそればっかり言って、出すのが早かったら、嫌われちゃうわよ……久司くんの本命の人にもね」
「そ、そんな人いませんからっ」
「ほら、腰を振ってみて」
「こうですか……ああああっ!」

 久司は腰を動かした途端に、悲鳴のような声を上げて、ぶるぶるっ、と体を震わせた。どうやら、二度目の放出を行ってしまったらしかった。少しその余韻に浸っていたあと、ハッとした顔をした久司は、

「ご、ごめんなさい、おばさん……」

 とその顔をうなだれさせた。

「いいのよ」
「……あの、早いと嫌われるんでしょうか?」
「あんまり早いとね。でも、今はしょうがないわ。だって、今日、童貞を卒業したばっかりだからね」
「…………」
「気にしない、気にしない。でも、とりあえず、久司くん、離れてもらえるかな」
「あっ、お、おばさん。もう一回シたら、ダメですか?」
「もうおしまいよ。二回もシたんだから、これ以上は久司くんの我がままだってことは分かるよね」

 母は、はっきりと言うと、久司はしゅんとしたようだった。母が正しいとは思っても、ちょっと彼のことを可哀想に思ってしまった良太は、

「さ、離れて。シャワーでも浴びましょう。一緒に浴びる?」

 母の、からかうような声が続けられるのを聞いた。

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