官能物語 2020/08/27 14:00

母の浮気/54

「出して、ママのナカに、出してっ!」
「イクよ、ママッ!」

 久司の声は、それきり聞こえなくなった。放出したのだろう。良太は、そっとその場をあとにした。さすがにもう一回はシないだろう。あるいは、するかもしれないけれど、もう覗き見ているのが疲れてきた。良太は、ガチガチに固まった肉棒をそのままにした状態で、そっと、家を出てカギをかけた。

 外は、すがすがしい秋の空だった。家の中で、淫靡なことが繰り広げられているとは
とても思えないような雰囲気だったけれど、いつだってどこだって、人は交わりを持っているのだろうから、空の色など関係ないと言えた。いつだってどこだってと言ったけれど、その中で、良太は誰とも交わらず、こうして、肉棒を硬くした状態で、散歩をしているわけだから、世の中、不公平であるけれど、それは、行動の有無によるものだった。何にも行動せずに、ただ覗き見をしているだけの少年に相手がいなくても、それはそれでしょうがないのだと良太は、改めて考えた。そうして、喉が渇いたので、コンビニでジュースでもと思っていたところ、

「良太くん」

 弾むような声がかかって、振り向くと、そこには、今さっきまで母と交わっていた少年のその母親が立っていた。

 良太は、あまりのタイミングの良さというか悪さに、見知った顔でありながら、すぐに挨拶することができなかった。

「あの、良太くん? わたしよ。久司の母です」

 彼女は、戸惑った風で続けてきた。
 母というよりは、年の離れた姉といって通るくらいの溌剌とした容姿を、久司の母は備えていた。しなやかな細身の肢体に黒髪のショートカット、目鼻立ちは小作りに整っている。

「こ、こんにちは」
「よかった、忘れられちゃったのかと思った」

 そう言って、久司の母は笑った。笑顔が愛らしい。

「何しているの、良太くん」
「ちょっとジュースでも買おうかなと思って」
「そうなんだ。じゃあ、おばさん、おごってあげる」
「えっ、い、いいですよ、そんな」
「いいから。その代わりと言ったら何なんだけど、ちょっと時間もらえるかな。少しでいいんだけど」

 良太はうなずいた。少しどころか、1時間でも2時間でも時間はある。どうせ、家には帰れないのだ。一緒にコンビニに入った良太は、買おうと思っていたジュースを買ってもらって、久司の母と一緒にコンビニを出た。そうして、

「じゃあ、公園で飲みながらにしましょう」

 と言って、その近くにある公園に入り、二人は、ベンチに並んで腰を下ろした。

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