母の浮気/77
そのキスは、今度は、ディープなものではなくて、唇や頬を、軽くついばむだけのものだった。
「お母さんも、良太のこと、大好きよ」
そう言って、微笑む顔が、我が母ながら、本当に美しく愛らしく、良太は、是非とも、この女を自分のものにしなければいけないと思った。母親に対して、そんな気持ちを抱くのは、不思議と言えば不思議だったが、しかし、そもそも彼女とシたいと思ったのは、「自分の」母親であるのに、他の男とばかりしているのがおかしいという感覚ゆえだったので、今、自分のものにしたいと考えたことも自然なのかもしれなかった。
そういうことを、はっきりと言語化できたわけではないけれど、良太の中では、彼女を己のものにするということに関する決意があった。決意したとしても、果たして、実際にそんなことができるかどうか、それは微妙なところである。自分のものにするということは、自分「一人」のものにするということであって、すると、当然に、今後、他の男たちとの浮気をやめさせなければいけないということになる。
良太の中では、他の男たちと浮気をすることを含めての母だというところがあるので、
あるいは、それは無理な話なのかもしれなかった。仮にそれができたとしても、彼女には夫がいる。当然に、それは良太の父である。つまり、彼女を手に入れるとしたら、良太は父と争わなければいけないわけであって、これは、かなり分が悪い話ではないか。……いや、そうでもないのだろうか。母は、父がいながら他の男と関係していたわけだから、父への貞操観念は薄いと言える。なんだか、それはそれで微妙な話になるけれど、良太にとっては都合がいいことでもある。
ここで、良太には、また別の決断が迫られている。母の浮気について自分が知っていることを言うべきかどうか。言えば、今後の浮気の抑止力になるだろうが、押し入れに隠れて覗いていたという自らの秘密を話すことにもなる。そうして、これまで浮気をしていたことが息子にバレていたとしれば、さすがに母もいたたまれなくなり、母子の間が、ぎくしゃくすることになることも考えられる。
しかし、言わなければ、いくら自分のものになってもらいたいと彼女に訴えて、仮に
「いいわよ」
と言ったとして、その口で、他の男のモノを咥える可能性を色濃く残してしまうことになる。
「どうしたの、良太? もしかして、お母さんとシたこと、やっぱり、後悔しているの?」
母はそう言って、探るような目をしてきた。彼女の唇に、良太は、自分の唇を重ねて、今度は自分から舌を入れてみた。
「んんっ……」
母が、鼻声を漏らした。
良太は、先ほど、母にされたように、彼女の舌に自分のそれをからめるようにした。
上下の唇を犯していると、良太の肉棒は、さっそくに回復を果たしたようだった。