母さんでもいいや/9
膣内から肉棒が抜かれると、その動きにさえ感じてしまった里穂は、内心を押し隠すようにして、身を起こそうしたところで、体内からどろりと溢れ出すものがあることを感じて、
「ティッシュ、ちょうだい!」
息子に言った。
「ほいよ」
気楽な声を出す息子から、ティッシュを箱ごと受け取った里穂は、寝転がった状態で、息子の精液を拭った。拭っても拭ってもあとからあとから溢れ出してくるそれと格闘することしばし、ようやく処理が終わったあとに、里穂は、身を起こした。そうして、
「何を考えているの、あなたはっ!」
あくびなどしてリラックスしている息子に対して、雷を落とした。
「え、何って?」
「お母さんを襲うなんて、どうかしてる!」
「嫌だった?」
「い、嫌とかどうとか、そ、そういうことじゃないでしょ!」
「じゃあ、どういうことだよ?」
「だ、だから、親子でセックスするなんて、いけないことだって言っているの!」
「なんで?」
「なんでって……」
息子があまりにもあっけらかんとしているので、里穂は、どう答えればいいか、言葉に詰まってしまった。母子相姦は禁忌であることに間違いはないが、なぜ禁じられているのかと言えば、里穂にはよく分からなかった。分かるはずがない。なにせ、そもそも、母子相姦などという事態が、エッチな動画などの作り物ではなくて、現実に存在するなどということは全く信じていなかったのであり、そんなことについて考えを巡らせることなどありえない理屈だった。
「こ、子ども!」と里穂。
「ん?」
「お母さんに、子どもができたらどうするの!?」
「できるの?」
「で、できるわよ。まだ、ちゃんとあるし」
息子に向かって、何を言っているんだと思った里穂は、
「あるって、何が?」
と訊いてくる息子に対して、それを遮って、
「とにかく、そういうことだから! 二度とこんなことしないでっ!」
と厳しい声で言った。
「母さんが嫌なら、やめるよ。悪かったよ」
そう素直に言われると、里穂としては、それ以上追及のしようがない。聞きたいことはまだあったが、とりあえず、この場を離れて、まずシャワーを浴びたかった。
「拓実も、着替えて、大学に行きなさい」
「もうちょっとしたらね」
「すぐに行きなさい!」
「行ったって、もう2限には間に合わないって」
「始まりに間に合わなくても、途中からでも入れるでしょ」
「分かったよ。でも、おれもシャワー浴びたいからさ。一緒に、浴びようか、母さん?」
「すぐ出てくるから、待ってなさい!」