母さんでもいいや/31
「本当に、すごいよ、母さんのナカ。めちゃくちゃ締め付けてくるよ」
息子が、からかうような、本気のような声を出してくる。
そんなに自分の体は息子を欲しがっているのだろうか、と里穂は考えることもできず、ただ、体中を巡る性感に喘ぎ声を上げることしかできない。そうして、いつしか、相手が血を分けた実の息子であるということを忘れて、単に自分を征服しようとするたくましいオスであるという認識を持つようになっていた。
そうなのだ。彼はオスで、そうして、自分はメスである。か弱いメスである自分は、たくましいオスである彼に支配されるしかないのだ。そんな風に思うと、里穂は息子に犯されているという現状が肯定できるような気持ちになって、ますます性感が高まるのを覚えた。
「はあ、ああ、イイッ、ああっ、すごいっ、ひああああんっ!」
泣き叫ぶような声には、甘えがあって、それは、男の征服欲に油を注ぐためのものであるということが、里穂には自分で分かっていた。
案の定、息子は、
「そんなに気持ちいいか、里穂。もっと声を聞かせろ。おらっ、おらっ!」
と名前を呼び捨てて、いっそう激しく肉棒を抜き差ししてきた。ぐちゅっ、ぐちゅっ、ぐちゅっ、といういやらしい水音が結合部から上がり、里穂の秘所から溢れ出した蜜液は、シーツを存分に濡らしていた。
里穂は、体の奥から現われては体中をしびれさせる性の電流に酔い続けた。いつまででもこうしていたかったけれど、
「ああっ、イクッ、イクッ……もうダメッ!」
近づいてきた限界を、息子に対して訴えた。すると、彼は、
「イケ、おら、イケッ!」
とさらに激しく腰を振って、ガシガシと自らの股間を、母親のそれに、まるで壊れよと言わんばかりに、何度も何度もぶつけるようにした。
里穂は、最後のとどめを刺された格好になって、目をカッと見開くと、
「イグッ、イグゥゥウウ!」
獣の吠え声を上げて、絶頂に達した。
その瞬間、どんとまるで巨大な手に背中を押されたようにして、宙に打ち上げられたような心持ちになった。
空中を漂った里穂は、至福の中にいた。今死んでも何の後悔も無いだろうと思われるよ
うな充実感の中で、里穂はしばらくの間たたずんでいた。
それから、どのくらい立ったことだろうか、うすぼんやりとした視界に、息子の顔が映る。にやりとした彼の顔を見ていると、自分の状態を省みて恥ずかしくなったけれど、その恥ずかしさを十分に感じさせる前に、息子は、再び、腰を振り始めた。