猫虎屋 2022/12/23 03:04

破壊の力の抑制

もう一つの飛行島メンバーから捕らえてきた三人のうち、一番協力的なのがサヤであった。
過去に二度ほど共闘した経緯もあってか、頑なに敵対的な態度を取り続ける他の二人とは明らかに違う。
尤も、それはサヤ自身の優しさと素直さがそうさせているのかもしれない。

だがサヤの中に眠る〈破壊〉の力はあまりにも強大で、他二人の比ではない。
もはや人間のレベルを凌駕し、災害と言えるクラスまで暴走したことがある。
故に、一番危険なのもまた、サヤであった。

「〈破壊〉の力を抑える、のですか?」
サヤはキャトラと赤髪に連れられて、飛行島の地下の空間に来ていた。バロンの練武場もある場所で、多少の力の暴走には耐えられる構造になっている。
「そうよ。そのためのルーンがやっと手に入ったの。協力してくれるわね?」
「はい!」
キャトラの問いかけに、サヤは素直に応えた。彼女自身、この力は持て余しており、またいつ暴走してしまうか怯えている。彼女も好き好んで破壊したいわけではない。それを抑える手段があるなら喜んで協力してくれるようだ。


「こ……これは…」
サヤの目の前にぶら下げられたのは、丸いボールが数珠つなぎに連らなったものだった。ほのかに薄く光っている。全長は40cmほどありそうだ。
「これを身体の中に埋め込むのよ。」
「埋め込む……?」
サヤの顔にはてなが浮かぶ。
「これをできるだけ身体の奥深くに埋め込まなくちゃいけないのよ。これを体内に取り込むとしたら、どうしたらいいと思うかしら?」
「食べる?…のでしょうか…」
「んー、惜しいわねぇ。口からじゃなくて、反対側の穴なのよねぇ。」
「反対側……って、まさか……!」
女の子には大きな穴が3つある。口ではないとすれば、あと二つの穴のどちらかだが、どちらにしろ恥ずかしいことには代わりがなかった。
「む、無理ですよ、こんなの……!」
「大丈夫よ。ちゃんと安全を考えて設計されてるから。でも大人用しかなかったのよね。あんたは身体が小さいから、ちょっーっと苦しいかもしれないけど、我慢しなさいよ。」

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