猫虎屋 2023/01/06 01:05

新たな姉

茶熊学園に新たにフルーエスールと呼ばれる制度ができた。
兄弟と姉妹を意味する言葉で、下級生を上級生が正しく導くことを目的としている。
中等部の女子には高等部のお兄様が、中等部の男子には高等部のお姉様が一人つき、およそ3ヶ月の間、一対一で指導する。
相手を選ぶことはできず、学園側によって指定される。

中等部に新たに入学したジークにも、お姉さま〈スール〉としてルカがつくことになった。

学生寮のジークの部屋に、ルカが突撃してくる。
「こんにちはー!あなたがジークですね。姉としてのお役目を頂いたからには、ビシバシしごいたりますよー!」
「ああ、めんどくさいのに当たったな…」
ジークは心底ダルそうに下を向く。うるさくて過干渉な姉は、もう十分間に合っている。
ネコミミストの時に会ったエレノアのような優しくて控えめなお姉さまならいいと思ったのに、来たのは"姉"よりもさらに輪をかけてうるさそうな姉だった。
「今日から私がお姉さんですよー」
「姉なんて大嫌いだ。」
やたらと距離を詰めてくるルカを邪険に振りほどく。

ルカは部屋の中を見回した。
「おやおや、男の子の部屋なら、もっと乱雑としているかと思っていましたが、意外と綺麗にしてるんですねー!」
「ああ、だらしない姉を見ていると自然とそうなるのさ。」
「しっかりしてるんですね~。……と見せかけて……ここだーー!!」
「あ…馬鹿…っ!!」
ルカはすかさずベッドの下の空間に手を伸ばした。そこには何冊も積まれた写真集や漫画などが隠されている。ジークの必死の静止も間に合わず、秘蔵の本たちが日の下に晒されてしまった。

えっちな本や漫画がずらりと並べられて、ルカはにやにやと笑った。
「ふふふ、ですよねー!男の子といったらやっぱりこれじゃなきゃ」
「うるさい!いきなりなんなんだよ。出ていけよ!」
プライベートをズタボロに晒されて、苛立ちげに怒鳴った。だがその程度で怯むようなルカではない。

「おやおやおや~……これは…」
秘蔵のコレクションを一冊一冊見分していくと、ある特徴があるのを発見した。
「馬鹿…見るなっ!!」
「『姉と夏休み』『甘えさせてくれるお姉ちゃん』『姉の胃袋を満たすのは僕』『近親相○、一線を越える日』『姉アンソロジー』……これは全部お姉ちゃん関係ですね。」
「くっ……!」
何か言い訳をしようと必死に頭を巡らせたが、何も思いつかない。

「サテラさん、魅力的ですもんね~」
「だらしなくてうるさいだけの姉だよ。学園に来なくてせいせいしてるくらいだ。というかサテラを知ってるのか?」
「目立つ姉弟なので、時々見かけてましたし、サテラさんは応援団で一緒に戦いましたからね~」
「わかったら出ていってくれよ。」

「ふふふ、ダメですよー!私は、あなたを正しく導くために派遣されたんです。弟が実の姉をえっちな目で見るのいけないことです。知っていますね。」
「知ってるよ!というか、別にそういう目で見てないし。」
「この本に残っている残留ソウルを見ればわかります。毎日この本で…していますね。」
「なっ……!」
言葉を失った。ルカが手にしていたのは、本に挟まっていた一枚の写真。サテラの水着姿を写したピンナップ写真だった。
「なので、"姉"として責任をもって、今日から私が管理してあげます!」

【 ご支援プラン 】プラン以上限定 支援額:400円

続き+イラスト一枚

このバックナンバーを購入すると、このプランの2023/01に投稿された限定特典を閲覧できます。 バックナンバーとは?

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

最新の記事

月別アーカイブ

記事を検索