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染みパンの記事 (9)

おかず味噌 2020/04/14 02:41

ちょっとイケないこと… 第九話「秘密と洗濯」

(第八話はこちらから↓)
https://ci-en.dlsite.com/creator/5196/article/241040


――国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。

 昔、お姉ちゃんの部屋の本棚にあった小説の書き出しに、そんな一文があった。

 僕はお姉ちゃんの部屋で、お姉ちゃんが帰ってくるのを待っていた。小学生の頃、僕はよくお姉ちゃんの部屋に勝手に入っていたが、怒られたり文句を言われることは一度もなかった。もしかしたら今でもそうなのかもしれないけれど。いつからか僕はお姉ちゃんの部屋に行くのをやめた。それは、自分の部屋に無断で入られたくないと僕が思うようになったのと同じ頃からだった。

 お姉ちゃんの本棚には、難しそうな本ばかりがずらりと並んでいた。漫画しかない僕の本棚とは大違いだ。いつもは特に興味なんてなかったのだけれど。その時の僕はあまりにも暇を持て余していて、一冊を抜き出して、それを読んでみることにした。小学生にありがちな大人の真似事だった。お姉ちゃんが普段そうしているみたいに、自分もその真似をすることで大人の気分を味わってみたかった。

 なぜ、その本を選んだのかは覚えていない。ただ何となく背表紙のタイトルを見て漢字だったことと、小学生の僕でもその漢字が読めたという理由からだったと思う。

 イスに座って本を開くと、そこには聞き馴じみのない単語がいくつも並んでいた。もちろん、漫画みたいに絵は付いていない。それでも僕はすっかりその気になって、書かれた文章を読んでみることにした。その冒頭がその一文だった。


――こっきょうのながい…。

 漢字が読めたことで僕は増々得意になる。今にして思えば、それは「くにざかい」と読むのが正しいのかもしれないけれど、どちらが正解なのかは未だにわからない。そして当時の僕は「国境」という言葉の意味を、国と国の境目だと理解したものの。おそらくそれは郷と郷、「県境」や「市境」を指したものなのだろう。

 そんな間違いや勘違いはさておき。小学生の僕でも書かれた一文のおよその意味は理解できたし、「長いトンネル」を抜けた先の異国の情景を思い描くことができた。

 だけど結局、僕がその続きを読むことはなかった。本を読み始めてからすぐ後に、お姉ちゃんは帰ってきた。僕が読書に飽きるのとお姉ちゃんが帰ってくるのと、そのどちらが早かったのかは覚えていない。


 暗い廊下の奥に光が見える。それはまるでトンネルのように。果たして、その先に何が待ち受けているのか。僕は興味を抱きつつ、同時に底知れぬ恐怖を感じていた。

 静寂の中、水の音が響いている。僕はまた少し進む。「だるまさんがころんだ」をしているみたいだ。緊張が僕の脚を強ばらせる。それでも一歩ずつ、明かりの方へと近づいてゆく。

 洗面所の入口まで来た。この先にお姉ちゃんがいる。僕の優しいお姉ちゃん、が。仮にバレたところで何も言われないだろう。「まだ起きてたの?早く寝ないと!」と自分のことを棚に上げて、せいぜい小言を言われるくらいのものだ。

 またしても水流が止んだ。キュッと蛇口を止める音が聞こえた。僕も息を止めた。お姉ちゃんはすぐ目の前にいる。だけどその姿は見えない。

――はぁ~。

 それはお姉ちゃんの溜息だった。がっかりしたような、後悔しているような吐息に僕は心配になる。大好きなお姉ちゃんが何か心配事を抱えているんじゃないか、と。それを覗き見し、盗み見ようとする自分に罪悪感を覚えた。

 僕はお姉ちゃんの姿を見ることなく、そのまま自分の部屋に引き返そうと思った。だけど罪悪感より好奇心がわずかに勝った。再び水が流れ始める。その音に紛れて、僕は洗面所の中を覗き込んだ。


 お姉ちゃんは、手を洗っていた。

 僕の位置からだとお姉ちゃんの背中しか見えない。それでも洗面台の前に屈んで、ジャブジャブと音を立てている様子はおそらくそうだろうと思った。それにしても、ずいぶんと熱心に手を洗っているみたいだった。

 そんなに手が汚れてしまったのだろうか。小学生の頃の僕じゃあるまいし、まさか大学生のお姉ちゃんが泥遊びをしたとは考えられなかった。

――ジャブジャブ…(?)

 その音に微かな違和感を覚えた。また水が止まる。お姉ちゃんが上半身を起こす。僕は見つからないように壁で体を隠しながら、お姉ちゃんの手元を鏡越しに見た。

 そこでお姉ちゃんは、一枚の布を広げた。

 僕は最初それをハンカチだと思った。綺麗好きなお姉ちゃんはちゃんとハンカチを持ち歩いていて、帰ってきて自分でそれを洗っているのだろう、と。だけどその形はどう見てもハンカチではなかった。三角形の小さな布に、僕は見覚えがあった。


 それは、水着だった。

 いや、水着であるはずがない。海水浴やプールの季節には早すぎる。それでも僕がとっさにそう思ったのは、テレビの中で最近それを見たからだ。

 それは、パンツだった。

 とはいえ、僕が穿いているものとはだいぶ形が違う。それは女子用の下着だった。

 僕はお姉ちゃんのパンツを見てしまったことに動揺した。だがもちろん家族だし、一緒に暮らしているのだから、何度かお姉ちゃんの下着を見てしまったことはある。その時は何も思わなかったし、後ろめたさを感じることもなかった。だけど今は…。

 僕は、困惑していた。混乱していた、と言ってもいいだろう。どうしてお姉ちゃんがこんな夜中に自分のパンツを洗っているのだろう、と。

 明日穿く下着がもう無いのだろうか。服や靴下を脱ぎっぱなしにする僕とは違い、お姉ちゃんは脱いだ服をきちんと洗濯に出している。ママは毎日洗濯をしているし、まさかお姉ちゃんに限って下着が足りなくなるなんてことはないだろう。


 さらにお姉ちゃんは謎の行動に出た。なんと、洗った下着を嗅ぎ始めたのだ。布にそっと鼻を近づけ、確かめるみたいにクンクンと匂いを嗅いだ。そして、小さな声で「よし…!」と言った。

 そんなお姉ちゃんの不審な行動を眺めている内に、頭の中である想像が浮かんだ。それは、ついさっき観たテレビ番組から得たばかりの知識だった。

――お姉ちゃん、もしかして。
――『おもらし』しちゃったのかも…。

 画面の中の女子大生とお姉ちゃんが重なる。「性の悩み」を暴露していた彼女が、まるでお姉ちゃんであるかのように。

 その一致には無理がある。身内だから贔屓目もあるだろうが、あの女子大生よりもお姉ちゃんの方が美人だ。それに、お姉ちゃんは黒髪だ。あるいは「もんめ」の方が近いかもしれない。だけど漫画のヒロインが相手だと、さすがにお姉ちゃんといえど分が悪かった。

 それに。まさか、お姉ちゃんが『おもらし』するだなんて。真面目でしっかり者のお姉ちゃんがそんな失敗をするだなんて、とても考えられなかった。


 だったらなぜ、お姉ちゃんは下着を洗っているのだろう。洗っているということは汚れたということだ。そりゃ服や下着は着たり穿いたりすれば多少は汚れるものだ。でも、それなら洗濯に出せばいい。今の時代、洗濯機という便利な機械があるのだ。わざわざ手洗いする必要なんてない。それなのに…。

 お姉ちゃんは自分で自分のパンツを洗っている。それはつまり、そのまま洗濯機に入れられない理由があるのだ。たとえば下着がいつも以上に汚れてしまった、とか。あるいは『おもらし』をしてしまった、など。

 そんなはずがないことは分かっている。だけど、全ての証拠がお姉ちゃんの犯罪を裏付けているみたいだった。イケないと分かっていても脳は勝手に想像してしまう。お姉ちゃんが『おもらし』する姿を…。

 スカートの内側から『おしっこ』が溢れ出し、足元の地面に『水溜まり』を作る。まるで漫画の一コマのようなワンシーン。


 いや違う。それは「もんめ」だ。またしても「もんめ」とお姉ちゃんの姿が被る。脳裏に焼き付いたそのシーンに、空想上のお姉ちゃんが上書きされる。それはとても素敵な想像だった。だけど今は、そんな妄想に浸っている場合ではなかった。

 ふと、僕は我に返る。改めて、自分の置かれている現在の状況を整理する。ずっとこうしているわけにはいかない。お姉ちゃんはパンツを洗い終えたらしい。もうすぐ洗面所の電気を消して、僕の方へと向かってくる。その前に部屋に戻らなければ…。

 だが僕の心配をよそにお姉ちゃんはその場を動かなかった。僕に見られているとも知らずに自分の下着を広げて、それをまじまじと観察していた。再び鼻を近づけて、クンクンと嗅いだ。何度も何度も、洗い立てのパンツの匂いを確かめていた。

 早く逃げなければ、と思いながらも僕もその場から動けなかった。僕はいつまでもお姉ちゃんの秘密を覗き続けていた。

 何度目かにお姉ちゃんが下着から顔を離したとき、僕は急に呪縛から解放された。そして、自分の今取るべき行動を思い出した。名残惜しさを抱きつつも、僕は廊下(トンネル)を引き返すことにした。

 来たとき以上に音を立てないように注意して、すぐ後ろにお姉ちゃんが迫ってきているような気配を感じながらも、なんとか自分の部屋に無事帰還することができた。


 真っ暗な部屋にまだ視界が慣れていなくて、洗面所の明かりが眼球に残っていた。それと共に網膜に焼きついた光景を思い出す。

――あれは、何だったんだろう…?

 もしかすると、夢だったんじゃないかと思う。僕はいつの間にか寝落ちしていて、束の間に見た夢だったのではないかと。だが夢にしてはあまりに記憶は鮮明だった。

 廊下を歩く足音が聞こえた。お姉ちゃん、だ。お姉ちゃんが下着の観察を終えて、自分の部屋に帰っていく足音だ。それは僕がさっき見た光景が決して夢ではないと、紛れもない現実だと報せてくれているみたいだった。

 家族は全員、寝静まっていると思っているのだろう。お姉ちゃんはなるべく足音を立てないように気をつけながらも、完全にその音を消し去ろうとまではしていない。まさか洗面所での姿を弟の僕に見られていたなんて、夢にも思っていないのだろう。やがて、お姉ちゃんがドアを閉める音が聞こえた。


 その夜、僕は上手く寝付けなかった。僕の鼓動は早いままだった。目を閉じると、あの光景が浮かんできた。それと共に「見てもいない」情景も現れてきた。

――『おもらし』するお姉ちゃん。

 考えちゃいけない、想像しちゃいけないのだと分かっていても。それは次々と違うシチュエーションで何度も繰り返された。僕はアソコに血液が集まるのを感じた。

――お姉ちゃんはもう寝たのかな…?

 こんなにも僕を眠れなくしておきながら、自分はぐっすり眠っているのだろうか。僕はこっそりとドアを開けて、真っ暗な廊下のその先を見た。お姉ちゃんの部屋にはまだ明かりがついていた。


――続く――

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おかず味噌 2020/02/25 00:12

ちょっとイケないこと… 第四話「前戯と共感」

(第三話はこちらから)
https://ci-en.dlsite.com/creator/5196/article/214847


 足元の水溜まりを踏まないように気を付けつつ、下半身を不格好に固定したまま、彼に導かれるがままに部屋へと戻り、そのままベッドに押し倒される。

 ありがちな展開(なのかは分からないけれど、映画やドラマなんかではそう)だ。幾度となく想像し、妄想してきた想定の行程。

 ただ予定と少しだけ違うのは、私の手を引く彼の力が終始遠慮がちであったこと。勢いに身を任せることで、むしろ私自らの意思で仰向けになったこと。そして何より私の体が『おしっこまみれ』であることだった。

「ベッド、汚れちゃう…」

 申し訳なさから私は呟く。

「洗えば、大丈夫だよ」

 心配ない、と彼は言う。そんな未来の問題より、あくまで現在に期待するように。

 彼は服の上から私の体をまさぐり、それから強引に唇を重ねる。私は目を閉じて、彼のキスを受け入れる。

 呼吸を止めて一秒、ならぬ三秒間。(体感としてはもっと)彼はそっと唇を離す。こうして私の「ファーストキス」はあっさりと奪われたのだった。


 済んでしまえば実にあっけないものだった。どうして頑なに守り続けてきたのか、なぜ私にそうした機会が訪れなかったのか、不思議なくらいに…。

 キス自体は不快なものではなく、かといって快楽を感じられるものでもなかった。それでも頭の奥が痺れるような気がした。日常と地続きの非日常の扉を開くような、そんな気分だった。

「初めて」の余韻に浸っている中、彼は再び私の唇を奪ってくる。二度目の口づけ。(「セカンドキス」なんて言葉はあるのだろうか?)私はまたもそれを受け入れる。やや余裕が生まれたためか、今度は少しばかりの快感を得ることができた。

 さらに。唇を重ねたまま、彼はわずかに上体を浮かせて私の胸に触れる。
「おっぱい」と呼ぶには控えめな、それでも腰との対比でそれなりに大きく見える、私の自慢の部位の一つ。だけど、そこに秘められた事情があることを彼は知らない。

 このまま服を脱がされずにいたならば、あるいは明かされずに済むかもしれない。だがもはやそんな段階ではない。私は今夜また一つ、彼に秘密を晒してしまう。

 紛れもない私のコンプレックスの一つ。私を初体験から遠ざけていた一因。
 日常生活ではさほど気にならないその特徴も、いざ男女が裸を見せ合う場となれば異端として。行為の発端を妨げる要因になり得るのだった。

 彼はそんな私の先端を見て、何を思うのだろう。まさか笑ったりしないだろうが、内心でどう思われるかまでは分からない。私はそれが怖かった。


 続いて彼はベッドと体との隙間に手を差し込み、私のお尻に触れてくる。そちらに秘めたる事情こそないものの、今だけは少々状況が異なる。

 私は、ついさっき『おもらし』をしたばかりなのだ。ほんの数分前のことなのに、それは遥か昔の出来事のようにさえ思える。だけど粗相の証拠は確実に残っていて、股間から広がる染みはショーパンの後方まで浸食しているのだった。

 濡れた着衣の上から、お尻を揉まれる。彼は私の失態をどう思っているのだろう。大学生にもなって二度も『失禁』した私に対して、果たして何を思うのだろう。

 彼が私をベッドに誘ったということは、少なくとも嫌悪を抱いてはいないらしい。それもそのはずで、私が自らの体を穢すことになった原因はそもそも彼にあるのだ。
 彼がトイレに行くのを阻止しなければ。私は悲惨な目に遭うことも、陰惨な性癖に目覚めてしまうこともなかったのである。

 だがそれにしても。なぜ彼は二度も(二度目については私にも大いに責任がある)私の生理的欲求を邪魔しようと試みたのだろう。 
 その悪戯自体に何の意味もなく、彼の悪名を高めるものでもないのにも関わらず。ただ私を醜悪に貶め、ともすれば心に傷を負わせかねない悪行を働いたのだろう。

 鼓膜を揺らす残響に耳を傾ける。決壊の間際、彼は私の耳元で呟いた。
「いいよ」と。三文字のその承認は私がトイレに行くことを許可するものではなく、あくまで『穿いたまま』出すことを彼は了承したのだ。

 そこでふと、ある違和感に思い当たる。

――もしかして、○○さんも…?

 静観しつつも、共感の予感を抱くのだった。


 一頻り尻を揉みしだいた後、彼はついに私の服を脱がせにかかる。と見せかけて、着衣状態のまま私の膝を掴んで開脚させる。

――このまま、挿入するつもりなの…?

 疑問というか、怪訝が一瞬脳裏を掠めたものの。まさかそんなはずはないだろう。
 私が穿いているのはデニム生地のショーパンだったし、その下にはショーツだって身に着けている。下着は手で破れるだろうが、さすがに服まで破くのは不可能だ。

 脚を開かせたまま、彼は私の股間を注視する。私は身動ぎし、微かな抵抗を示す。

 正直言ってやめてほしい。そこは盛大に濡れて、色が濃く変わってしまっている。それに臭いだってするだろう。私の最も恥辱に塗れた部分。であるにも関わらず…。

 彼は私の局部に顔面を埋めてきた。ついさっき『おもらし』したばかりの恥部に、今や本能の溢れる陰部に、理性を司る頭部を押し付けてきたのだった。

「やめて、ください!!」

 はっきりと私は拒絶する。彼の行為に対してというよりも、主に私自身の問題からそれを拒もうとする。けれど…。

 今さら脚を閉じようしたところで、もう遅い。すでに彼の頭は私の股の間にあり、両脚で挟み込むことで、よりガッチリと固定する格好となる。

 まさに恰好の餌食ともいうべき、ショーツでいうところのクロッチに当たる部分を生贄の如く彼の眼前に捧げ、忸怩たる汚染を食餌のように彼のお膳に捧げることで。私は、彼に『おしっこの匂い』を直接嗅がれてしまう。

――フンス…。スンスン。

 彼が鼻を鳴らし呼吸するのが、息の音と温度で伝わってくる。

「結衣のココ、おしっこクサいね!」

 おどけた口調で彼は言う。

――やめて、言わないで…。

 既知の事実を改めて口に出されることで。顔から火が出そうな羞恥を覚えつつも、これまでとは比にならない情痴に私は身を焦がすのだった。


 そこからさらに、彼はとんでもない行動に出た。

 ただ嗅ぐだけでは飽き足らず。そこに溢れるものを知った上で、それを物ともせず。彼はショーパンに舌を這わせ、私の『おしっこ』を舐め取ったのだ。

「やっぱり苦いね」

 彼は苦笑する。その反応によって、ようやく私自身の疑心に確信を得る。

――やっぱり、○○さんも『おもらし』が好きなんだ。

 あくまで自分がするのではなく、「女の子が漏らす」という行為に興奮する性質を彼は持ち合わせているのだ。

「もしかして、○○さん『も』おもらしが好きなんですか?」

 勇気を出して彼に訊ねてみる。直後、後悔に襲われる。同調を表わすその助詞は、女子としてあるまじき私の所思を強調してしまったのにも等しかった。

「えっ?結衣も好きなの?」

 案の定、彼に指摘される。私的な性癖について、正直に告白するしかなかった。

「はい、まあ…。この前、○○さんの家でしちゃってから」

 消え入りそうな声で私は呟く。かつての自分に別れを告げ、追悼を捧げるように。

 それまでの私は正常だったのだ。孵化を待つ雛の如く未体験に浮かされながらも、決して異常な性癖など持ち合わせてはいなかったのだ。
 だが今となっては。奇禍に感化されることで、思わぬ変化が私に付加されていた。

「実は俺、あの時めちゃくちゃ興奮したんだ」

 彼もまた自白する。私から訊いてもいないのに勝手に自爆する。

「そうなんですね。でも、ヒドイですよ~」

 あくまで自分のことは棚に上げつつ、私は彼に抗議する。

「ごめんね。まさか本当に、おもらし『してくれる』なんて思わなかったからさ」

 徐々に彼の本音も漏れ始める。互いに少しずつ打ち解けるように…。

「あの後、大変だったんですよ?」

 家(ウチ)に帰ってからのことについて、彼に打ち明ける。

 いい歳して夜中に一人汚れた下着を洗うというその惨めさが彼に分かるだろうか。
 あるいはそれさえも、彼にとっては興奮の材料なのかもしれない。

「本当ごめんね。俺、結衣が帰ったあと我慢できなくて…」

 彼もまた、事後のことについて自供する。

「つい、一人でしちゃったもん!」

 秘めたるべき行為を「イケないこと」を包み隠さず供述する。

――私と同じだ!

 口にこそ出さないものの、私は内心で共鳴する。
 私も下着の事故処理を終えた後、部屋に戻ってから自己処理に耽ったのだった。

「変態ですね」

 私は彼を断罪する。だがその断定は自刃の如く、自身にも向けられた弾丸だった。


 彼はいよいよ、ショーパンに手を掛ける。ホックを外し、ファスナーを下ろして、私の下半身からズボンを抜き取る。私は腰を浮かして、それを手助けする。

 黒タイツに透けたショーツが露わとなる。『おしっこ』にまみれた、濡れた下着。彼はそれさえも、私の一部として愛してくれるのだろうか。

 残念ながら今日の私の下着は彼の興奮を大いに高めるものではないかもしれない。普段通りの、飾り気のない、ごく普通のショーツ。「もしかしたら」と思ったけれど、下着にまで拘る気にはなれなかった。(そもそも私は勝負下着なんて持っていない)

 私が穿いていたのは、奇しくもあの日と同じ、黒のショーツだった。濡れたことで若干色が濃くなっているものの、染みはそれほど目立たない。それを不幸中の幸いと捉えるべきか、あるいは「残念でした」と斜に構えるべきだろうか。

 彼はそこでさらに私の予想の斜め上をいく行動に出た。ショーツには目もくれず、私の脚を舐め始めたのだ。

 黒タイツ越しの太腿から膝にかけて舌を這わせ、それはやがて足首にまで達する。続いて彼は私の足を手に取り、足の甲から指、指の股、足の裏さえも舐めに掛かる。

 まるで別の生き物であるかのように徘徊する彼の舌にくすぐったさを感じながら、妙な征服感を満たされつつも。またしても未知なる羞恥を私は覚えるのだった。


 まだシャワーも浴びていないし。『おしっこ』の汚れについては言うまでもなく、ごく当然に汗だってかいている。新陳代謝による今日一日分の穢れ。その味と匂いを彼に覚えられてしまう。

 再び股間が湿る感覚を自覚する。そこはもはや彼を受け入れるための領域であり、彼のモノを迎え入れるための聖域なのだった。

「もう、入れて欲しいかもです…」

 私は懇願する。本来ならば女性側から口にするべき台詞ではないのかもしれない。それでも確かな勝算と、僅かな打算を込めて私は言う。
 男性にとってはその言葉こそが前戯の完了を告げる合図なのだと、準備万端だと、その相互確認に他ならないと分かっていたからだ。

「結衣、四つん這いになって」

 彼にそう指示される。その方が脱がしやすいから、と彼は言う。仰向けの体勢から私は一旦起き上がり、ベッドに膝をついて彼に言われた通りの姿勢を取る。

 高く突き上げられ、突き出さされた、黒タイツ越しのお尻。
 彼の手が私の腰に掛かる。そのままショーツ諸共脱がされるのであったが…。

 この期に及んで、私は怪訝と懸念を感じるのだった。


『ウンスジ』

 それは不慮の事故によるものではなく、完全なる自己責任により描かれたものだ。

『大』をした後ちゃんと拭いているにも関わらず、なぜかショーツを汚してしまう。あるいは力を入れた際に、思いがけず括約筋が緩んでしまったのかもしれない。
 拭きの甘さか、お尻の緩さか。どちらの理由にせよ、肛門付近の許されざる痕跡を余すところなく知り得てしまったのだった。

 ふいに私は思い返す。本日の「排泄状況」を…。

 今朝はトイレに行った。さすがデートの最中、事前に催した尿意を抱えておくには無理があったからだ。その後『おもらし』へと至るまで『おしっこ』はしていない。
 そして。『うんち』については今日はしていない。便意を感じなかったからだし、私のそれは不定期に訪れる。

 私は一安心する。少なくとも彼に『ウンスジショーツ』を晒す心配はない、と。
 そんな風に、私の気が緩みかけたところで…。

――バチン!!

 突如、お尻に衝撃が走る。不意打ちに私は「あんっ!」と声を上げてしまう。
 直後、彼が私のお尻の頬を平手打ちしたと知るのだった。

「何するんですか!?」

 私は抗議する。それに対して、

「『おもらし』したお仕置きだよ」

 彼は加虐的な笑みで答え、そこからさらに私のお尻を二、三度叩く。その度に私は「やんっ!」とか「ふんっ!」とか、いやらしい声を漏らしてしまう。

 ようやく「お仕置き」を終えた彼は、私の股間ではなくお尻に顔を埋める。
 まだまだ続けられる彼の「前戯」に、別の事情から私は眉をひそめる。

――もし何かのきっかけで、お尻を汚していたらどうしよう…。

 さすがの彼も『おしっこ』に関しては寛容であり許容範囲内なのかもしれないが、それが『うんち』となれば話は別である。
 彼の興味を萎えさせ、あるいは行為を中断させてしまうかもしれない。

――大丈夫、今日はまだ『大きい方』をしていない。

 それでも。あの日の不始末と同じように、不信は完全には拭い去れなかった。


 そんな私の不安をよそに彼は肛門を舐めにかかる。俗にいう「クンニ」とは違う、お尻の穴を舐められるという行為。その不快さと不可解さに胸騒ぎを覚えながらも、私はただ彼に身を委ねるしかなかった。

 彼のお尻舐めは予想以上に長く続いた。穴の周囲を丹念に舐め回したかと思うと、両手で割れ目を押し広げて、やがて彼の舌は穴の中へと差し向けられる。

 私は何度目かの抵抗をした。だけど私に出来るのはお尻を左右に揺することのみ。彼はそんな抵抗など意にも介さず、私の肛門の味を堪能する。

 長時間そうされていたことで、やがて私の中にある変化が訪れる。
 それはお腹の奥底から来る焦燥であり、乙女として催してはならない衝動だった。

――どうしよう。『おなら』出ちゃいそう…。

 あるいはその失態も『おもらし』のそれと比べればずっとマシなのかもしれない。だが私の粗相を受け入れてくれた彼の前では『放屁』の方が羞恥に他ならなかった。

 今や敏感になりつつあるアナルを刺激されながら、私は欲求を必死で堪えていた。


――続く――

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おかず味噌 2020/02/20 01:11

ちょっとイケないこと… 第三話「尿意と再現」

(第二話はこちらから)
https://ci-en.dlsite.com/creator/5196/article/209572


 忘れもしない、あの日から一ヵ月。○○さんと街に出掛ける約束をした。俗にいうデートというやつだ。

「やっぱり、松永さんの黒タイツ姿は良いね!」

 会ってすぐ私の服装を見るなり彼はそう言った。彼は黒タイツの脚が好きらしい。だからこそ、私は今日それを履いてきたのだ。(寒いから、というのもあるけれど)そしてどうやら喜んでもらえたらしい。彼はさりげなく、私の太腿をそっと撫でた。

 まず本屋に行き、それからカフェで遅めの昼食を取った。私は水やコーヒーなど、飲み物を五杯ほど飲んだ。過剰摂取した水分が膀胱に蓄積されていくのが分かったが一度もトイレには行かなかった。単に行きたくならなかったというのもあるけれど、心の奥底で何かを期待する気持ちが微かにあった。


 あの日以来、私はごく頻繁に『おしっこ』を我慢するようになった。

 今の内に済ませておくべきという時でさえあえてトイレには行かず、ギリギリまで尿意を堪えるようになった。幸い、あの時みたく失敗することこそなかったものの、危なかったことなら二、三回ほどあった。それでも私はその癖を止められなかった。

――もし、漏らしてしまったら…。

 それを思うだけで。背徳感にも似た気持ちと綱渡りのようなスリルとが相まって、何ともいえない高揚を私は覚えるのだった。

――これじゃ、まるで変態みたいだ!

『おしっこ』を我慢することで興奮するなんて…。こんなの絶対、人には言えない。どうやらあの日の失態がきっかけとなり、私の中で何かが変わってしまったらしい。それもこれも全部、彼のせいだ。


 繁華街からバスで地元に帰ってきて、その後当たり前のように彼の家に誘われる。

「え~、どうしようかな~?」と私は断る素振りを窺わせつつも、内心ではとっくにそのつもりだった。あの日は思わぬハプニングがあったが、あるいは今日こそは。
 それを想像するだけで、私はまたしてもショーツ内を『おしっこ』とは違う液体で濡らすのだった。

 彼の家に着く頃には、尿意はいよいよ顕著になっていた。まだ限界というほどではないにせよ、このままだとひょっとすればひょっとするかもしれない。

――今『おしっこ』したら、どれだけ気持ちいいだろう?

 脱いだ靴を揃えながら、私はそんなことを考える。理性も尊厳もかなぐり捨てて、今すぐ尿意を解放することができたら。彼の前で『おもらし』することができたら。

 彼は私を蔑んだ目で見るだろう。一度ならず二度も年頃の女子が『失禁』だなんてそんなの絶対ダメだ。でも、だからこそやってみたい。そんなイケない衝動を理性で必死に抑え込む。

――ちょっとだけなら…。

 バレない程度にほんの少しだけ。私は微妙な力加減で括約筋に反対の力を込める。あくまで出過ぎてしまわないように気をつけながら。

――ジョロ…。

「くっ!」と慌てて押し留める。危ないところだった。あと少しで膀胱は自制を失いその全てが解放されてしまうところだった。

 ショーツの中がじんわりと温かく湿る。愛液と『おしっこ』が絶妙に混ざり合い、私の股間を優しく愛撫する。

――気持ちいい…。

 快感に身を委ねたのも束の間、慌てて足元を確認する。

 どうやら『おしっこ』は溢れていないらしい。『おもらし』がバレていないことに私は安堵する。けれど…。

――私、また『おもらし』しちゃったんだ。

 ショーツ内の柔らかなその感触が、自分のしてしまったことを自覚させる。そして次の瞬間、あの日のあの感覚が蘇ってくる。


 どうしようもなく恥ずかしくて情けなくて、切ないような甘く痺れるような感傷。決して人には見せられない姿。だがそれを見られてしまうことで私の全てを知られ、受け入れてもらえるみたいな、そんな感情。

 それは、男性に裸を見られる感慨にも似たものなのだろうか?

 いやそんなはずはない。男性に裸もしくは秘部を晒した経験は同年代の女子ならば誰もがあるだろうが。秘めたるべく、そこから溢れる羞恥の液体を見られた経験などほとんどの者にあるはずがない。

 そして、この後の展開をふいに想像してしまったことで。私は自分のした綱渡りのその代償についてようやく思い当たる。

――どうしよう。もし今、下着を脱がされたら…。

 私が『おしっこ』を漏らしたことがバレてしまう。ショーツの湿り具合はもはや、発情によるそれとして言い訳ができないくらい広範囲に及んでいる。とはいえそれはまだ『おもらし』というほどの被害ではなく、せいぜい『おちびり』程度のものだ。あくまで匂いにさえ気付かれなければ何とかなるかもしれない。

「結衣、どうしたの?」

 彼に呼ばれたことで、ふと我に返る。彼が私のことを下の名前で呼んでいるのは、今日のデートにおける数少ない成果の一つといえるかもしれない。

「体調悪いの?」

 彼は心配そうに訊ねてくる。本当に心配してくれているのかもしれない。あるいは私が生理中であることを彼は心配しているのかもしれない。せっかくお膳立てをしていよいよという時に、上げ膳を喰らうことを怪訝に思っているのかもしれない。

「いえ、大丈夫です!」

 私は精一杯に微笑んで見せる。元々体調が優れないわけではないのでそれはさほど難しいことではなかった。

「それなら良かった」

 彼はようやく安堵したらしく、中断していた話を再開する。思えば、私は彼の話を上の空でしか聞いていなかった。彼の家に上がって以来、いやそのずっと以前から、私の頭は違うことで一杯だった。


『おもらし』

 私の脳内は、今やそんな『四文字』の誘惑に支配されかけていた。
 カフェで飲み物を必要以上に飲んだのも、トイレに行かずバスに乗ったのも全てはその前準備だった。そして彼の家に来たことも一方では「初めて」を予感しつつも(そちらの方がまだ正常だろう)、どこかで「二度目」を期待したが故だった。

 ついに膀胱が悲鳴を上げ始める。体をちょっと動かすだけで、その声ははっきりと聞こえてくる。早く言わないと、「トイレに行きたいです」そう申し出るべきだと、かろうじて本能に抗う私の理性が告げている。

 彼はまたそれを拒むだろうか?拒否されたら困るという感情と、拒否されることで私の願望が叶うという劣情が葛藤する。

 いよいよ尿意は耐え難いところまできており。私は忙しなく両脚を組み替えたり、さりげなく股間に手をやったりして何とかそれを堪えるのだった。

 手を触れたことでそこが微かな火照りを覚える。同時にアソコに潤いを感じるも、それが果たして何の液体によるものなのかは判別できなかった。私は意を決しつつ、積み上げてきた我慢が無に帰してしまうことを恐れながらも彼に向けて言う。

「トイレ借りてもいいですか?」

 本来ならさりげなく、自然を装った流れの中で訊ねるべきことである。だけど私は彼との会話を分断して、突如その問いを発したのだった。

――さて、○○さんはどんな反応をするだろう?

 彼は面食らったような顔を見せつつも、そこでようやく私の様子が変だった理由に思い当たったみたいだった。

「え~、また~?」

 再度の申告に苦笑し、やや呆れながらも。

「いいよ」

 さも当然の如く彼は答えた。いや、無論それが当たり前なのだ。拒否される理由はどこにもない。それこそトイレが使えない(水が流れない)などが無ければ、即座に認められて然るべきである。(ちなみに、あの日拒否された理由はやはり嘘だった)

「じゃあ…」

 彼に告げて、私は立ち上がる。申請し、承認されたのだ。形式的な手続きであり、それはむしろ形骸化されたやり取りに過ぎない。だからこそ、私は沸き上がるような怒りを覚えるのだった。

――だったら、なぜあの時そう言ってくれなかったのか?

 あの日、私は同じく彼に願い出た。少しの気まずさと気恥ずかしさを覚えつつも、ちゃんと自分の口でそう言った。だが彼はそれを拒んだ。さらに私の移動を掌握し、あろうことか私の振動を増幅し、その結果ついに私は…。

『おもらし』をしてしまったのだ。まさかそのような予定が待ち受けているなんて、彼の家に行く前の私が想定しているはずもなかった。

 その瞬間と直後、私は激しい後悔に苛まれた。もっと早く言い出していたならば…(そもそも拒否されるなんて思わなかった)。職場を出る際に予め済ませておけば…(その時点では尿意など感じていなかった)。そんな無数の仮定と過程が私を攻め、責め立てるのだった。

 けれど洗面台で濡れたショーツを情けなく洗っている時、私は思った。

 大切な何かを失くしてしまった虚無感と、ふとした瞬間に蘇る羞恥の実感。
 家族に対して秘密を作ってしまった罪悪感と、誰かと分かち合いたい共感。
 全身を包み込むような脱力感と、もう決して過去には戻れないという予感。

 それらはきっと初体験をした(してしまった)時と同じ感情なのだろう、と。

 だからこそ私はその余韻を貪るように、部屋に戻ってから『オナニー』をした。
 アソコに絡み付く液体を彼の精液であるかのように。指を彼のペニスに見立てて、もう何度目かの一人きりの絶頂を迎えてしまったのだった。それなのに…。


 彼は、そんな私にとってのある種の性体験を無かったことにするように。あたかもそれ自体を否定するみたいに。私がトイレを使うことを許してくれた。

 私はそれが許せなかった。一回ヤったら終わり、と女を簡単に捨てる男のように。私をこんな気持ちに、こんな体にさせておいて、さも自分は何事もなかったかの如く平然と振舞っていることが。まるで自分は無関係だと平静を装っていることが。

 廊下を進みながら、私は何度この場で『おもらし』してやろうかと思った。

 だけど強○も矯正もされずに○す失敗はまさしく私の罪であり、彼の罪ではない。自ら望んで晒す失態はもはや『失禁』ですらなく、あくまでもプレイの一環として。特殊な性癖に倒錯する変態女、というレッテルが私のみに貼られてしまう。

 それはそれで何だか興奮するような気もした。だがやはりどこかで彼のせいだと、だから彼に責任を取ってもらうのだという大義名分が必要である気がした。

 私に彼氏が出来なかった原因。容姿もそこそこなのに(自分ではそう信じている)処女を守り続けてしまった理由は、そうした責任転嫁にこそあるのかもしれない。


 一歩ずつトイレに向かう。その足取りは重い。あえてそうしているわけではなく、膀胱が行動を制限しているのだ。そして今も尚、私は葛藤している。

 ここで解放してしまうべきか、きちんとあるべき場所で解消すべきか、を。

 ふいに強烈な波が押し寄せ、尿意を抑え込みつつ私は立ち止まる。
「これが最後のチャンスだよ」と彼に教えてあげたい。今もし下腹部を押されたら、きっと漏らしてしまうだろう。だけど彼は座ったまま、呑気にスマホを弄っている。私の気も知らないで。私がどんなに危機かも知らないで。

 ようやくドアの前へと辿り着く。あとはここを開けて中に入り、下着を脱ぎ去り、便座にしゃがみ込むことで。私は人としての尊厳を守り抜くことができる。
 今度こそ誰にも邪魔されることなく、今夜こそ羞恥や絶望に苛まれることもなく、無事に全てを終わらせることができる。けれど…。

 取っ手を掴みながら私は逡巡する。果たして間に合わせてしまって良いのか、と。私の中で失望と『失禁』とがせめぎ合う。そこで…。

 後方から伸びてきた無慈悲な手が、無警戒なままの私の腕を掴んだのだった。

「えっ!?」

 思い掛けぬ事態と隠し切れない期待から、つい私は叫声(嬌声)を発してしまう。遅滞なく振り返ると、そこには彼がいた。

「やっぱり、トイレには行かせられない」

 彼はきっぱりとそう言い切った。その目にはバイト中には見たこともないような、真摯さと真剣さが宿っていた。

「何でですか?」

 私はかろうじて欲情を堪えつつ日常の言葉で訊き返す。戸惑う演技は歓喜により、上手くいかなかったかもしれない。

「どうしても」

 彼は断言した。

「でも…。このままだと私、漏らしちゃいますよ?」

 恥ずかしげもなく、私は公言する。もう限界なのだと、そう宣言する。

「いいよ」

 同音異義の了承を彼は示した。優しげな口調はまるで私の失敗を肯定するように。あたかも私自身の結末を決定づけるように。

「本当に、もう無理なんです…!!」

 それでも私は自らの体裁を保つためだけに言う。あくまでも責任を自分ではなく、彼に押し付けるように。

「結衣の『おもらし』が見たいんだ」

 彼は告白した。紛れもなく己の口ではっきりと。私の情けない姿が見たいのだと。全ての責任は自分にあるのだと。だから私は安心して身を委ねればいいのだと。

――じゅわ…。

 反射的に私の括約筋は緩んでしまう。それによって不本意な小流が漏れてしまう。だけどまだ本流ではない。私は決意する。最終確認として彼に同意を求める。

「本当に良いんですか?」

 その問い自体が私の願望を吐露したようなものだ。彼は頷いた。そして…。

「結衣の『おもらし』見てください!!」

 私は尿道に力を込める。までもなく、ほんの少し力を緩めただけ。

――ジョボロロ~!!!

 下着の中がみるみる内に温かくなる感触。あの日と同じ感覚だ。けれど今日の私はショーパンと黒タイツを穿いている。

 まずショーツ内に水流が生み出される。激流を薄い衣料が貯留できるはずもなく、溢れ出す奔流は両脚を覆う黒タイツに模様を描く。尚且つ吸収しきれなかった急流がデニム生地のショートパンツを貫通して、下方のフローリングへと直流を結ぶ。

『放尿』しつつ私は放心していた。アソコが痙攣しているのが分かる。それによって『おしっこ』が断続的に幾つかのリズムに分けられる。

――ピチャ、ピチャ!!ピシャ~!!!

 跳ね返る液体は足元を濡らしている。のみならず下着も黒タイツもショーパンも。密着していたことで彼の着衣さえも。それら全てを染め上げ私は『失禁』を終える。

 すっかり『おしっこまみれ』となった体で。後悔と未来の課題に苛まれながらも、私の脳はもはや考えることを放棄していた。


「結衣、すごく可愛いよ」

 それでも彼は私の体を抱き寄せ、びしょ濡れになった下半身に手を当てる。

「汚いですよ?」

 そんな私の懸念を振り切り、彼は私の手を引き強引にベッドへと誘う。

――もしかしたら、今がその時なのかも…?

 私の不埒なそこは彼の不貞を迎え入れる準備を整えている。不浄な身と不純な心で今や不確かではない高揚を私は感じていた。


――続く――

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おかず味噌 2020/02/14 01:22

ちょっとイケないこと… 第二話「後悔と洗濯」

(第一話はこちら)
https://ci-en.dlsite.com/creator/5196/article/207275


――あの日は、最悪な日だった。

 思い出したくもない。バイト帰り、興味本位で立ち寄った彼の家。そこで私は…。
 あえて口に出すのも憚られる。私は、彼の前で『粗相』をしてしまったのだった。

 果たしていつぶりだろう?およそ記憶になんて残っていない。幼少期、私がかつて『オムツ』をしていた頃以来だ。当時のことであれば別に恥ずかしくもない。私にはまだ自我が芽生えておらず、善悪の判断も羞恥の決断も出来なかったのだから。

 だけど私は、大学生にもなって『おもらし』をしてしまった。
 羞恥の判断も出来る年頃に。善悪とかそれ以前に。

――○○さんが悪いんだ!

 彼は私がトイレに行くのを阻止した。そう、私はきちんとトイレに行き、きちんとそこでしようとしたのだ。そしてそれは本来なら間に合うはずだった。それがまさか『穿いたまま』してしまうことになるなんて…。

 あの瞬間のことは忘れようにもない。ショーツの中がじんわりと温かくなる感触。止め処ない水流が決壊と同時に溢れ出し、最初は不快でどうしようもないのだけど、ある境界を越えるとなぜか心地よく思えてくる。イケないことをしているみたいな、これまで味わったことのない感覚。それはとても不思議な体験だった。


 あの日、帰宅した私がまず最初にしたことは濡れた下着を手洗いすることだった。
『おもらしショーツ』をそのまま洗濯機に放り込むわけにもいかず、バッグに入れて持ち帰ったそれを夜中に一人、洗面台で洗った。

 彼のおかげ(?)で制服が濡れなかったのは不幸中の幸いだった。ノーパンのままズボンを穿いて、かろうじて私は自宅に辿り着いたのだった。

 音を立てずにそっと玄関のドアを開けて中に入る。家中の灯りが消えていることを確認して、忍び足で廊下を歩き、一直線に洗面所に向かう。
 家族が皆寝静まっていたのは僥倖だった。いくら身内といえど、こんな無様な姿を晒すわけにはいかない。ましてや、まだ中学生である弟に見咎められるなんて…。

「お姉ちゃん『おもらし』しちゃったの?」なんて訊かれた日には、姉としての私の威厳が崩壊してしまう。

 だけど私はそれより恥ずかしい姿を、家族でもない他人に見られてしまったのだ。
 裸を見せるよりももっと恥ずかしい行為。いや、それとは少し違う羞恥。

 数十分前の出来事を思い出すと、私はまだ『おしっこ』を出し終えていないような奇妙な感覚に襲われた。膀胱はとっくにカラであるはずなのに。全てをショーツ内と彼の家の浴室のタイルにぶちまけてきたはずなのに。まだまだ出し足りないような、もっと出したいような、すっきりしないような感覚だった。


 バッグの中からビニール袋にくるまれたショーツを取り出す。それはびしょ濡れになっている。鼻を近づけて嗅いでみると、強烈なアンモニア臭が鼻腔を刺激した。

 私は改めて、自分が『おもらし』をしたのだと知った。
 どこかでそれは夢じゃないかと、目が覚めてトイレに行けば済む話と思っていた。
 だけどそれは、紛れもない現実だった。

――明日からどんな顔して、○○さんに会えばいいんだろう?

 少し先の未来のことを考えると、気が重くなった。それはもはや絶望とさえいっていいほどに…。

 一応彼には「誰にも言わないでください」と口止めはしたし、まさか後輩の失態を言いふらすような人ではないから大丈夫だと思うが、それでも万一ってことはある。
 それに(それこそまさにあり得ないことだが)彼が『おもらし』の口止めを口実に私の体を要求してきたとしたら。どちらにせよ私は彼に弱みを握られたことになる。

 考えれば考えるほどに、想像すればするほどに、問題は幾つも山積みではあるが。まずは目の前の問題から一つずつ片づけていかなくてはならない。
 とにかく今の私にできることは、家族が目を覚まさぬ内に汚れたショーツを洗い、少しばかり部屋で干した後、何食わぬ顔でそれを洗濯機に突っ込むことだった。


 早速水を出して洗おうとしたとき、ふと思い立って私は作業を中断する。

 思えば(当たり前のことだが)こうして自分の穿いていたショーツを眺める機会はそうそうない。いつもはお風呂に入るときに爪先から脱ぎ捨てて、そのまま洗濯機に投げ込んでいる。汗をかいたときだって、生理のときだってナプキンはしているし、それほど汚れるものでもないだろうからそれで良かった。

 だけど今こうして自分の下着を。本来最も汚れる場所に触れる衣類を観察すると、実に様々な発見があった。

 黒いショーツは『おしっこ』で湿っている。だけど、その濡れ方は洗濯後のように均一ではない。ゴムの付いた上の部分はほとんど濡れておらず、一番濡れているのは当然、股に当たる部分だった。

 クロッチの部分をよく覗き込んでみる。そんな事をしている場合ではないのだが、何か抗えない強大な力にそうさせられているように、自作の『シミ』を注視する。
 ただ『おしっこ』が滲んでいるだけと思っていたそこは、微かに白く汚れていた。

「何だろう?」と思って触れてみると、ヌルヌルと粘り気のあるものが指に付いた。
 細く糸を引くその液体は、私の愛液だった。私はアソコを濡らしていたのだ。

 一体いつから、そんな状態になっていたのかは分からない。あるいは何かの反動で(いわゆる人体の神秘というやつだ)思いがけず溢れてきただけなのかもしれない。もしくは彼の家に誘われたことで、何かを期待する気持ちが私にあったのだろうか?

 そうだ!私がトイレに向かうのを邪魔する際、彼はどさくさに紛れてズボン越しに私の股間を弄ったのだ。あのせいで、あくまで生理現象により濡れてしまったのだ。だとすれば、それは私のせいではない。

 それでも。なぜ下着に愛液が付着しているのか、その理由に心当たりがあった。
 またしても私は思い出す。あの瞬間の感覚を…。


 決壊を迎える直前、限界を越える寸前、ふいに股間が湿る感触を覚えた。
 私は、ついに『チビった』のだと思った。(実際、彼にはそう思われてしまった)だけどその液体は尿とは異なり、私の陰部に温かくまとわりついたのだった。

 まさしくそれは、濡れるという感覚だった。私は『おしっこ』を我慢しながらも『おもらし』の誘惑によって、アソコを濡らしてしまったのだ。

 何ということか。あろうことか私は羞恥によりヴァギナを開かせてしまったのだ。
 それに気づくと、記憶の想起によって、再び股間が熱を帯びるのが分かった。

 私は制服に愛液が付いてしまわないように、股の部分を指でそっとつまむ。だが、時すでに遅し。ズボンを離した瞬間、冷たい感触が確かに伝わってきた。
 そして。制服ズボンを濡らすその液体は今、目の前のショーツのクロッチ部分にも白く染み込んでいるのだった。

 さらに、私の下着の汚れはそれだけに留まらなかった。

 続いてショーツの後方、お尻に触れる部分を凝視してみる。割れ目に当たる部分にカピカピになった茶色い粉のようなものが線状に付着している。そこに鼻を近づけて嗅いでみると、思わずむせてしまいそうなほど強烈な臭いがした。


 それは、紛れもない『うんちの臭い』だった。
 私は、『おしっこ』のみならず『うんち』さえもショーツに付着させていたのだ。

 おそらく、朝トイレに行って排便をした時にきちんと拭けていなかったのだろう。
 私は『大』をした後、大体二、三回は拭くようにしている。ペーパーに付いた便を確かめ「もうこれくらいでいいだろう」と水を流し、トイレを後にする。(ちなみに集合住宅である私の家に、ウォシュレットなんて気の利いたものはない)

 たまに肛門付近にショーツがひっつくような感触もあったが、汗だろうと気にしてなかった。それがまさか、こんなにも『ウンカス』をこびりつけていたなんて…。

『おもらし』の後始末をする際、彼に下着の裏地を見られなくて本当に良かった。
 パッと見ではよく分からないだろうが。凝視されれば確実に私の『ウンスジ』が、ショーツに刻み付けられた痕跡がバレてしまうところだった。

 それに。お尻を触られなくて良かった。仮に割れ目をなぞられたなら、彼の指に『うんち』を付けてしまう可能性だってあった。ましてやお尻を嗅がれでもしたら、『うんちクサさ』を彼に知られてしまう恐れだってあった。


 ふと我に返る。イケない、いつまでも悠長に観察を続けている場合ではない。
 家族は皆寝静まっているとはいえ。いつトイレのために、あるいは小腹を空かせて起きてくるか分かったものじゃない。急がなければ…。

 蛇口を開けて水を出す。ジャーと小気味の良い音。命令を与えられ、感情もなく、水を流す装置。そこに後悔や羞恥があるはずもなく、調整された勢いで溢れ出す。
 漏れ出したわけではなく、垂れ流してしまったわけでもない。私のそれとは違う。だからこそ、堂々としている。

 黒ショーツを水に浸す。やがて、きれいな水によって『おしっこ』は押し出され、押し流されてゆく。ジャブジャブと手で揉んで洗いながら、ショーツから滴る液体を眺めていると、それは何だか『おもらし』しているみたいだった。

 既視感を覚えつつ、体験を再現し客観視しているような奇妙な感覚に襲われる。
 私はこんな風に『おもらし』をしたんだ、と再びアソコがじんじんと疼いてくる。それと共に、わずかに尿意を催してきた。私は尿道に力を込めてみる。

――このまま、しちゃおうかな…。

 どうにも理性が緩みかけている。けれど片付けが余計に大変になることを考えて、私はその衝動を堪えるのだった。

――よしっ、もういいだろう。

 水を止め、ショーツを固く絞る。確認のために今一度、匂いを嗅いでみる。
『おしっこ臭』はすっかり消えていた。洗剤の香りこそしないものの、それはもはや濡れた洗濯物とほとんど変わらない。私は洗面所の明かりを消した。


 ひと仕事終えて部屋に戻る。濡れたショーツを乾かすためテーブルの上に広げる。制服を脱いでベッドに横になる。ブラは付けているが下は穿いていないため下半身は丸出しになっている。
 だがここは数少ない私のプライベート空間であり、深夜に家族が入ってくることもないだろうから構わないだろう。

 これからシャワーを浴びて寝るか、朝になってからシャワーを浴びるかを考える。
 今日は大学帰りにそのままバイトに行った。その疲れもある。それに汚れた下着を洗ったことで、まるで自分自身も清められたかのような錯覚もあった。

 手を頭の後ろに組んで脚を伸ばす。目線を下方に向けると、生え揃った自分の毛が見えた。浴室以外でこうして自分の陰毛を眺めるのは、何だかヘンな感じがした。
 シャワーを浴びているときのそれは濡れてしなしなになっているが、今のそれは(やや湿り気を帯びながらも)乾いていて、ふんわりとボリュームを保っている。

 陰毛に手を伸ばす。柔らかくも髪の毛とは少し違った感触。それを撫で付けつつ、私は夢想に耽る。

――いつか、この場所に触れてくれる男性がいるのだろうか?

 不安にも似た焦燥を抱いている。根拠不明な情報ではあるけれど、若者の初体験の年齢は年々下がってきているらしい。大学生にもなって処女、というのは恥ずかしいことなのだろうか?

「そんなことはない」と言う人だっているだろう。個人差があるものだし、焦る必要なんてない、と。だけど当事者にとってみれば、平均的という指標こそが重要なのであって、それが悪魔のように囁き、私を急かせるのだ。

「遅れている」と…。


 私の処女膜は未だきつく閉じられている。守りたくもないのに、固く守られてきたその部分が、まだ顔も知らない誰かによってこじ開けられる瞬間を想像する。

――やっぱり、痛いのかな…?

 少しだけ怖くなる。だがそれも、自分が周囲から取り残される怖さに比べれば全然平気なものに思える。

 いつの間にか私の指は陰毛を弄るのを止めて、さらにその奥にあてがわれていた。
 男性を迎え入れる場所。『おしっこ』の出る場所。その周辺をなぞってみる。

 きつく閉じられているはずのその部分は、微かな湿り気と温かみを帯びている。
 そして指の動きに合わせて、次々と液体は溢れ出してくる。

 時に乱暴に、時に優しく、アソコを自分の指で愛撫する。己の意思の赴くままに、私の指は気持ちいい場所を熟知している。

 次第に息が上がり、動悸が激しくなってくる。イケないことと思いつつも私の指はもう止まらない。
 膣内を出し入れし、クリトリスを転がす。そのスピードは徐々に速くなる。

――もう、イキそう…。

 私は両脚に力を込めて絶頂が訪れるのを待つ。やがて私の指はペニスへと変化し、その持ち主を想像する。それは自然と彼の姿になった。

「もう、イちゃいそうです…」

 小声で私は呟く。「いいよ」と優しげな彼の声がそれに応える。

――『おもらし』しちゃった結衣に、お仕置きしてください!!

 後から思い返すと、赤面してしまいそうな台詞を脳内で叫ぶ。
「俺も、もうイキそう」情けないような、彼の声が聞こえる。イク時は一緒がいい。そして…。


 ビクンと体が跳ねる。膣が収縮し、私の指(ペニス)をきつく咥え込む。そして、熱い精液が私の中に発射される。「ドピュ!ドピュ!」と。だがその感触は想像上のものでしかなかった。

 ふいに私は尿意を感じた。トイレに行くほどではないものの、そこに力を込める。

「私、また『おもらし』しちゃいそうです!」

 声を抑えつつも、けれど理性を失った私の宣言は予想以上に大きく響いた。

――ジョロ…。

 私の『放尿』は頼りない放物線を描き、そのままベッドへと染み込んでゆく。

――気持ちいい…。

『おしっこ』するのがこんなに気持ちいいだなんて、初めての感覚だった。これまでオナニーの経験は何度かあるけれど『おもらしオナニー』をしたのは初めてだった。

――こっちも、弄っちゃおうかな…。

 やや腰を浮かせて、伸ばした指はアソコを通り越し、その先のアナルに触れる。
 普段弄ることのないそちら側。そこが、そういうことをするための穴でないことは知っている。(あるいは上級者はこっちも使うらしいが…)

 紛れもない排泄専用の穴。ショーツのお尻部分に羞恥を刻み付けた、その元凶。
 ぷっくりとした出口を指で弄ぶ。本来、出す専門の方。

 あまり深く入り過ぎてしまわないよう気をつけながらも、第二関節まですっぽりと飲み込まれる。指にまとわりつくヌルッとした感触は腸液だろうか、それとも…。

――また、出ちゃいそう!!

 溢れ出す衝動を予感する。

――チョロ…。

 またしても私は『おもらし』をしてしまう。肛門を犯しつつ、別の出口から液体を迸らせてしまう。
 間違っていることなのに。イケないことなのに。それなのに『アナルオナニー』を止めることはできず、未知なる快感に私は酔いしれるのだった。

 すっかり放心した状態のまま、自ら描いた放物線の残像を脳裏に焼き付ける。
 私が『おしっこ』の染み込んだシーツの後始末に頭を悩ませたのは、それからもう少し経ってからのことだ。


――続く――

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