ぶるがり屋 2024/09/22 15:29

光る君へ 29話 の感想

光る君へ 29話
「母として」の感想です。


見逃し配信 光る君へ NHKプラス

【キャスト】吉高由里子、柄本佑、黒木華、井浦新、吉田羊、ユースケ・サンタマリア、佐々木蔵之介、岸谷五朗、段田安則
【作】大石静(脚本家)
(C)NHK

光る君へ

 愛しい人よ 幸せな日々を

紫式部と清少納言

 鮮烈な輝くような華やかさが消えて。
ああ、そうか、一生かけて守ると決めた定子様はもう。
愛しい人の、きらきらと輝く日々を、枕草子に書き残すのか。

 まひろは人の影を愛し、描くけど、ききょうは━
定子の影をも美しいと感じ、愛しているでしょう。
でも、書きたくはない。
 あの美しい人を、美しい所作を、心を、描きたい。
痛みに悲しみに満ちた最期の日々で彩るなんて、出来ないのかな。

 ききょうの熱意に引くまひろ。
他人の心も、美学も大事にするのがまひろの良いところの一つだなぁ。
 私は書きたい描きたいと思う心だけが、本当の美しさを生むと思います。

 ききょうは道長を仇と憎んじゃうかー。
でも憎むなら詮子か道長になりますものね。
仕方ないか。

 中関白家を苦しめたこの政略は道長の影になるのかな。
まひろは真相を知った時、嫌うのか憎むのか、人の影として愛するのか。

無遠慮なおじさん、可愛いパパ、愛しい人よ

 藤原宣孝パパ、本当に良いパパだなー
変顔して「新しいですわね、もう一度!」は割と怖い妻だよまひろ!(笑

 なのに繰り返される、いびき、深酒、老い。
「惚れきっておる故、何処にも行かぬ。」の優しい眼差し。

 そして、
そのまま戻ってこなかった━━。
物語初頭からずっと笑わせ賑わせてくれた可笑しく胡散臭く優しい、まひろの全てを愛したおじ様。
藤原宣孝の死。

 死の詳細が告げられないのは妻が自分だけのものにしたかったのか、
それとも、ききょうのように、愛した人の美しく楽しい面だけを遺したかったのか。

 あの笑顔が失われたことだけは確かで。
まひろと賢子たちとの日々が終わったことが確かで。

男の甲斐性

 しかし相変わらず、
男という食い扶持なくすと家が困窮する描写が、きつい!生々しい!
 為時パパ!それなりに評価されてるから!
欲出して!
金稼いで!!

 まーでも賢子が道長の子とは知らないし、まひろの気持ちを優先したらこの選択にもなるか。
真面目で優し畔、政略と金感情が苦手な、為時パパらしい。

新しい日々

 今まで決められた除目がひっくり返されるばかりでしたが、ちゃんと貴族たちで査定して決めてたのですね。
少し安心しました(笑

 為時パパ、続けて任官ならず。
宋人たちとの交渉、周明たちがどうなるのかな。

 百舌彦、道長の後ろ盾ありきとはいえ、装束も言葉遣いも、本当に偉くなったなぁ。
貴族に対し上座ですよ。
でも道長の偉さは信じ切っても自分の権力とは思わず。
良い従者だ。

 まひろも貴族の妻らしい答えで、本当に、時が経ったんだなぁ。
乙丸と話せず帰る百舌彦の表情が可哀想でしたが(笑

復讐は誰のために

 伊周は何というか…… 為時パパとは全く別方向で、地味な仕事をせず評価されず、迂遠な政略だけ頑張ってるように見えます。
史実はともかく、苦労して身を切って政治を回している道長と比べると、担気たくないですよ。

 まひろと違い、当人の望まない美術を強要し。
道長と違い、呪いで敵を害そうとする。
うーん、ダメダメだー。
 隆家に「そもそも没落の原因はお前の矢だろ」は超正論ですが(笑

 と思ったらここで「枕草子」か!
ああ、ききょうは道長を敵に、枕草子を政治の武器にする道を選んでしまったのか。
「一条天皇に宮廷に、定子様を刻みつけたい」の方が強いのかもしれませんが。

教え育てる

 道長の方でも子育て・教育で大変なことに!
田鶴くんも巌くんも美しく賢く貴公子ですが、こんな幼いのに権力争いの当事者になるのは……胸が痛いですよ。

 ただこっちは、踊りは好きで楽しく演技してるように伝わってくるのですよね。
自信が溢れまくっている(笑
 母に負けず、勝気な2人なのかな。

親と子 呪いと愛と

 詮子さまと一条天皇はすれ違ったまま。
憎み、恨み、拒絶して、それでも会う時は、普通の母子なのですよね。
優しく言葉を交わし合う。

 なのに権力のつかみ合いは変わらず、孫で甥っ子を人質扱いは、やっぱり兼家パパと同じ道ですよ。
最愛の定子を失った一条天皇の心痛をも利用して、忘れ形見の敦康親王を彰子の藤壺で育てる。

 伊周の呪いなのか、詮子自身の罪の苦しみなのか、倒れる詮子。
「薬を飲まない」で遠ざけたのは、毒なのか呪いなのか救いなのか。

 死を前に、瞬時に、愛息子の愛を受け入れるよりも、天皇の病と穢れの忌避を選んだことが、あまりに詮子らしく、悲しい。
 お互いに愛し大事に想う母子なのに、すれ違ったままの、遠いままの、永遠の別れ。
藤原詮子、没。

 最後まで普通の母子になれず。
愛する定子、愛する母を立て続けに喪い、母の信念を背負わなければいけない一条天皇が悲しく。
 また最後の詮子の願いは、あるべき天皇を目指す祝福になるよりも、「こうまで人の心を抑えなければいけない」呪いになりそうな、そんな不安が大きいです。

廻り巡る

 道長は、まひろと詮子さまの前だけは素顔なんだなぁ。
だから大事な姉様の願い通り伊周の位を戻しますが、伊周にとってはまた呪われた成功体験になりそうな……

 喪われてしまった愛を描く美が、憎しみと権力争いの種として広まっていく「枕草子」。
不幸と呪いの連鎖が始まってしまったように感じます。

母の願い、子の願い

 定子と一条天皇、ききょう、
宣孝とまひろ、賢子。
詮子と一条天皇、道長。
 消えていく者と残される者の苦しみ悲しみが描かれて。

 詮子と一条天皇、
倫子と彰子、田鶴、
明子と巌君、
そしてまひろと賢子。
 多くの母の、子を想い、子の幸せを願い、そして生まれる苦しみ悲しみが描かれて。

 母の娘の当たり前が朧げなまひろと、漢文嫌いで『竹取物語』好きな賢子。
まひろの筆は、子供を幸せにするための、人の光と影を描く物語になるのか。
まひろは、どんな母娘になっていくのか。
 幸せになってくれると、いいな。

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