先週の へうげもの 感想 2016年 4月第3週
あらすじ
豊臣秀頼と徳川家康。
ついに両巨頭、二人ともに戦争を決意する。
その前に動く多くの武将、女官、市井の者たち。
古田織部は一人、それでも豊徳の橋渡しに動く。
へうげもの(21) (モーニング KC) コミック
山田 芳裕
講談社
2015-12-22
感想
徳川家康は大義のためと言いながら他の者の意見を聞かず。
豊臣秀頼は臣下のためにと、大義や自分の気持ちを優先せず。
大合戦の初まりとして、なんとも哀れな様ですよ。
大河ドラマ『真田丸』でも登場した大蔵の局ですが、もはや、今の徳川家康の考えどころか、気分のとりなしや時間稼ぎすら届かないでしょう。
今の徳川家康の心は、重く硬く凝り固まっているのですから。
それを分かって、強い意志を持って保身に動く織田有楽斎。
古田織部が岩佐又兵衛に説いた、荒木道糞の生き方。
ともすれば、この説得は息子織田長頼の為ではなく、お家や一族郎等のためでも、天下の為でもなく、ただ自分自身の保身の為に思えるところが、
そしてこのあまりに勝手な生き方が、醜くも美しく見えることが、この作品の妙なのだと震えます。
何ものにも染まり、染まり過ぎず、緩やかに己の数寄を貫く。
他の誰にも結局は出来なかった、織田有楽斎だけの生き様。
お見事でした。
そして主人公、古田織部。
徳川家康の心の闇を知りながらも、他の皆が諦めたこの状況でも、まだ一人和平に動く。
ひょうげの力を信じたいのか。
織田信長に憧れ、千利休に託され、豊臣秀吉を愛した織部に、人の心と数寄を閉じ込めるような家康の世を止めたいのか。
結局のところ、口では荒木道糞の行き方を標榜しながら、織部は甘く優しく、そして人が大好きなのですよね。
数寄、美学も人情も捨てきれない。
そしてもう一つの織部の弱点。
一番大事な決断時に、信頼している人の心を読み切れないところ、でしょうか(笑
息子重嗣の独断専行。
これから起こる歴史は知っていますが、織部はこれにどう応えるのかなぁ。