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2020年 12月の記事 (14)

ぶるがり屋 2020/12/13 23:40

麒麟がくる 36話の感想

麒麟がくる 36話「訣別」の感想ですよー。


NHK大河ドラマ「麒麟がくる」オリジナル・サウンドトラック Vol.2
ジョン・グラム
2020/9/2

麒麟がくる

 織田信長と足利義昭=室町幕府、その訣別。
分かってはいた、おそらくはずっと前から何度も何度も告げられて、光秀自身も本当は分かっていた。
それでも、ついに、ついに来てしまったと感じます…

 優しく厳しく、自らを律し公を守り、しきたりや文化を愛する清廉な武士。
その教養高さと時には飛び越えてしまう烈しい心、そして家族を愛する一人の男。
今回は明智光秀の良い所全部描かれましたがー

 光秀の悪い所、大事な人を丸ごと信じちゃう・許しちゃう、好き嫌いが激しいのにそれを行動理由にしない、そんな良識を他人にも期待してしまう、理想を見て醜い感情を見ない、
そんな欠点が、光秀にとって一番悪い結果として叩きつけられてしまいました。

 力と理想ある武士が、将軍を戴いて天下を平らかに。
でもそれは、本質的には光秀だけの理想だったのか。
泣きじゃくって逃げ出すなんて格好悪いのに、この訣別を止める地位と立場は、明智光秀であって、明らかに光秀自身のミスなのに。
それでも、ただ逃げ出す姿が可哀想で仕方ない。
 光秀一生の理想が、一度は叶いかけたのに、壊れちゃったのだものなぁ。
光秀自身は忠義こそ一番大事にしたい筈なのに、何度主君を失うのか。

 先週から期待していた正親町天皇との非公式接触も、それ自体が素晴らしいからこそ、義昭の未熟も空回りな奮闘も変心も、何もかも色あせてしまったから…
 ただこの変化も、最後の決め手は光秀だったと思うのです。
攝津晴門を追放して将軍・幕府自体に力をつけようと、誇りを取り戻そうとした結果の、不恰好な空回り。
力ある将軍となると決心したからこその、自分の理想と誇りを汚す信長との訣別。

 皆が各々勝手に光秀に期待していると示された今回ですが、今一番、光秀に期待しているのは、義昭なのじゃないかな。
 あの鳥が、世俗に染まりきれない美しい鳥が、自分を導いて、自分を好いてくれるのではないかと。
でもその鳥は、家族が大好きで妻の柔らかい膝枕が大好きな、涙もろい一人のおっさんなのですよ。
英雄や天下人の夢や期待を背負うには、あまりに小さな人なのですよ。


 今回、織田家中との語らいが有って勝手ながらほっと安心しました。
良かった、漏らしちゃヤバい不満も、酔っての口論も見せられる信用・信頼のある間柄で。
ちょっと親目線で心配してましたよ(笑
 考えてみれば木下藤吉郎の殿が認められず怒ったのも、煙たがっても人柄は信頼しちゃいますよね。

 佐久間信盛がやっとちゃんと喋った!
多くの作品では臆病者の無能として描かれる彼が、慎重で思慮深く、従順で優しく人を信じやすい人と、逸話とも合致する形で描かれていて、あとやっぱり優柔不断っぽくて、なんとも彼を好きに、優しい気持ちになりました。

 あ、『信長の忍び』の汚名上等退却好きな佐久間信盛もあれはあれで好きですよ(笑
あの個性爆発のるつぼの中でキャラがめっちゃ立ってて。
でも私は、人の弱さが大好きなのです。優しさとか美学とかで、自分さえ傷つけてしまう弱さが。

 斎藤義龍、覚恕と推しが次々に舞台を去る中、次の推しは君だよ!
この後を知ってはいるけど!

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ぶるがり屋 2020/12/06 22:11

麒麟がくる 35話の感想

麒麟がくる 35話「義昭、まよいの中で」の感想ですよー。


NHK大河ドラマ「麒麟がくる」オリジナル・サウンドトラック Vol.2
ジョン・グラム
2020/9/2

麒麟がくる

 室町幕府、その時代の終焉。
時代の変わり目には動乱がつきもの、というかそのものが動乱ですが、大胆で激しい、目を離せないドラマですね!
簡単に人が死ぬ時期でもあるので、体現は御免被りたいものですが。
 結果として光秀は、幕府そのものの実力を削ぎ、その死を早めてしまった訳ですが…
敬愛する足利義輝の死、その時にはすでに死んでいたと、いつか知るのかな。

 摂津晴門は思ったより実力ある策謀家でしたが、やっぱり覚悟は無かったですね。
そして何より敗因は、言葉ばかりおもねってその実侮り蔑み、人を軽んじること。
光秀の情熱を愛する人の多さ、足利義昭の誇りを測らなかった。
優しい義昭の命に従ったら放免ぽかったので、抵抗してくれた時には「やった!」と声を上げてしまいました(笑

 今回の主人公は、足利義昭ですね。
信長は寺であり幕府の形を変えようとし、晴門は幕府を恣にし、それでも幕府の存続を願えば従う以外に無く。
三淵藤英も明智光秀も、本当は頼るのでは無く、彼らの立派な主君をしたいのに。
こめかみの歪な皺も元通りに、駒ちゃんに縋る姿も、光秀に答える様も、あまりに悲痛で。
 挟まれる光秀の苦労をずっと見てきて同情してきましたが、挟む以外の道を自分で選ぶことさえ出来ない義昭の苦労を、今回は痛く感じました。

 なか様喧しい(笑
でもだからこそ本当のことだと伝わってきます。
明智家は一家どころか郎等ごと真面目過ぎるので、これから彼女たちと仲良くなってくれるといいなぁ。

 教養高い公家でオタクで博士で、三條西実澄いいキャラだ。
あのまま何も答えず、そして多分光秀に嫌われず追い返し(ちゃっ)た人柄が憎めず、
彼をして分からないと言った正親町天皇、情報網とその見識の深さが怖いですよ〜。

 光秀もお駒ちゃんも、大夫も化粧と撮り方が中年らしくなってきましたね。
久々、見たかったよ伊呂波大夫!
金さえあればちゃんと動いてくれると信用されてて、お駒ちゃん分かってるなぁと(笑
光秀、天皇様Loveな大夫を連れて言って上げてー!
と思いましたが、大夫は遠くから推すタイプなのかも。

 そして、動乱と暗殺を真っ直ぐ走りきった我らが明智十兵衛光秀。
お前もういい年だろ!
今も若い頃のまま、無鉄砲で正直で頑固で、その呆れ笑ってしまうほどの真っ直ぐさで。
ああ、光秀ですよ。
そのままに、思いと願いと苦労を背負うのですね。
 ただ実澄の前での「帝は〜」の部分は「自分にとっては将軍ですが」と言わないあたり、やっぱり歳をとって"言わない"ように成長してるのですね。

 義昭が、正解でないとわかっていても、涙を流しながら初めて自分で選び取ったその道は。
傷つき苦しんでいる者を助けずにはいられないのは駒ちゃんもですが、光秀もこの義昭を、決して捨てられないだろうなぁ。


 ラスト、また変装・要人接触クエストが発生してる〜!
よもやの天皇相手とは(笑
こんなシナリオ&クエストな、光秀Ver.の太閤立志伝をやりたくなります。

 小さい頃は武将全てが天下を狙ったと思っていましたが。
天下取りを考えられる身分の少なさや、身分だけ有っても無力の痛ましさがよく分かります。
戦国時代はある意味室町幕府の内輪揉めなので、幕府取っ払いたくもなるけど、それを考えられる人間、実行できる人間は僅かなのですね。
今の時代、誰でも「自分が総理大臣になったら」と考えも目指すも出来ますからね。
いい時代だ。

 長谷川博己さんの佇まい、着こなしを見れば、色々な装束を着せたいのもよく分かります。うん、よく分かる。
あとは何でしょう、パリッしてないのも見たいですね。
当代では何に当たるのか分かりませんが、着古した作務衣姿とか見たい。
最後の頃の、茶を楽しんでるあたりで見れないものか。

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ぶるがり屋 2020/12/06 19:35

麒麟がくる 34話の感想

麒麟がくる 34話「焼討ちの代償」の感想ですよー。


NHK大河ドラマ「麒麟がくる」オリジナル・サウンドトラック Vol.2
ジョン・グラム
2020/9/2

麒麟がくる

信長こっわ!
殺すと笑顔でさも当たり前に言うし、めちゃくちゃ支配が難しい場所を領地にさせるし、これは上司に居て欲しくない!
まぁ光秀も導かれて皆殺しにしたのに見逃したり、でも正直に伝えたり。
これ信長からするとより興味深い、褒めて欲しい大事な存在になってしまった気もしますが(笑

 玉に正直に自分の罪を説く光秀の、この高潔さよ。
正直で、真っ直ぐで、自分を苦しめる事実から逃げないのですね。
久々に若い頃の不器用な、愛しい十兵衛を見た気がします。

 そんな十兵衛光秀を責めないお駒ちゃんにほっとしました。
罪を犯し、背負うばかりの光秀と、今でも志は同じと信じてくれたのですね。
それが今回の告白があったからなのか、ずっと揺るがなかったのかは分かりませんが、それでも。

 室町幕府、多くの勢力が競合しているからこその難しさと、強大な信長への恐怖。
いや私もそりゃ怖いですけど!(笑
摂津晴門は、そんな怖い信長に覚恕様が除かれて、もう戦うしかないと決めたのかな。
でもまだ自分や一族が殺される覚悟は見えないのですよね…

 今でも幕府の為に生きようと光秀は願っているのに、そんな幕府の方が許してはくれないと、幾重にも多方向から見せつけてくれるのが…
すでに辛いのに、辛い!

 明智光秀と松永久秀。
階段で時代の寵児2人が小さく縮こまって相談する姿に、可愛さと初期の楽しさ、そして痛ましい未来を見てしまって。
こんなに可愛くて、お互い大事に思って、より良い方向にと努力して、その道筋への難しさも理解する傑物たちなのに。

 青い空と緑の野をいく十兵衛光秀。
向こう見ずと冒険心ばかりの頃を思い出させてくれる展開でした。
年を経て、守るもの、捨てられないものばかりになった愛しい人物たち。
彼らの未来と、この物語の終焉に想いを馳せてしまいます。

 早くも物語から退場仕掛けてる、私の推しキャラ・覚恕様。
ここで武田信玄を天下・京に呼び込むことになるとは…
石橋凌さんの武田信玄、完璧な武田信玄で笑いながらも唸りました。
こーれは敵にしたら殺される。
 そして覚恕様の兄、正親町天皇も麗しいだけでなく。
怪物・信長さえ2度ほど会っただけで操る人心掌握術…!!
あっちもこっちも怖いなぁ(笑

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ぶるがり屋 2020/12/06 18:35

麒麟がくる 33話の感想

麒麟がくる 33話「比叡山に棲む魔物」の感想ですよー。


NHK大河ドラマ「麒麟がくる」オリジナル・サウンドトラック Vol.2
ジョン・グラム
2020/9/2

麒麟がくる

 信長包囲網、この時点では覚恕様と摂津晴門が主体なのですね。
比叡山の動く理由は、明智光秀は金が目的と断じましたが…
大きく言えば金が目的なのは間違っていませんでしたが、金こそが、そして織田信長の京都での権力そのものが信長に争う理由だとは。
その奥底に醜く昏い情念が燃えていたとは。

 今回の主人公、覚恕様。
まるで舞台のような闇の中に光を浴びる老僧。
観客は光秀ただ一人。
わたくし、自分でもどうにもならない激重感情に狂うキャラ大好きマンなのですが…
覚恕様大好きです。
美しいお兄様が大好きででもそれ以上に羨ましくて憎くて。
自分から身も心も呪いで燃やして、どんどん醜くなっていくんだ。自分を愛せないまま。

 親に愛されず、兄弟を憎み、手を汚す。
人の心に棲む魔物に冒されたのは、斎藤義龍、織田信長、そして3人目は
天皇の弟、天台座主 覚恕様
見事な怪演でした…

 覚恕につなぐよう請われて「お前がそう言う?」な義景の顔が可愛かったですけど(笑
義景や晴門はかき回し抗っていますが、もう時代という激流に流される脇役にしか見えません。
彼らは彼らで自分の生き方・野望の為に生き抜いていますが、戦国・室町の時代が積み上げた澱みに信長が立ち向かい斬り伏せる、そんな時代の激流に抗えるはずもなく。

 そしてその流れを導いた、光秀自身ももう抗えず。
大義を為すには、罪も犯さねばならない。
ああ、でも。
賢しく不遜で、ただ家族を想う少年は、死んだ。

比叡山撃滅に進む光秀の、悩み悔やみ、号令を叫びながらも定まらない剣先が、辛い。

 信長を導いてきた光秀には、堅物で甘すぎる光秀には、信長の罪は全て自分の罪なのですね。
未来では、信長ではなく、自分を許せなくなるのかなぁ。

 誰もガッ書懸命に生きぬいていても、先は見えず。
戦国の悲痛を知り、信長と足利義昭の人柄を見抜く、そんな家康だけがこの時代の流れの先に行けるのだと納得してしまいます。


 帰蝶が笑うことだけを憂いた信長がなんとも面白く切なく。
本当にこの信長は世のことを考えてではなく、大好きな人たちが褒めてくれることしか考えず、そして本当に帰蝶が大好きで大好きでたまらないのだなぁ、信長にとって"母"が一番の存在なのだなぁ、と。
 また、きっと帰蝶は笑うけど、怒らないだろう、それでも信長は心底辛いのだろうなぁ、とか色々な思いがよぎりました。
 光秀は未来、この信長を帰蝶から奪うのか… ああ。

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