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鎌倉殿の13人の記事 (48)

ぶるがり屋 2022/06/12 22:21

鎌倉殿の13人 23話 の感想

鎌倉殿の13人 23話
「狩りと獲物」の感想です。


見逃し・同時配信 - 鎌倉殿の13人 - NHK

【作】三谷幸喜
【音楽】エバン・コール
【出演】小栗旬、新垣結衣、菅田将暉、小池栄子、片岡愛之助/坂東彌十郎、宮沢りえ、大泉洋、西田敏行 ほか
(C)NHK

鎌倉殿の13人

 一つ章が進んだ、そう感じました。
生き延びる、駆け上る時代は終わり、築く、維持する時代に入ったのだと。
仁田殿が命のやり取り、実衣が権力に汚れ、もう聖域やギャグキャラ補正は無いのだと。
……キッツイなぁ!

敵討ちを装った謀反、謀反を装った敵討ち

 日本三大仇討ちの一つ、「曾我兄弟の仇討ち」を土台に繰り広げられるスペクタクル!
最初に出た感想は「今時よくこんないっぱいの猪追えるなぁ」でしたが(笑

 血と復讐の因縁、新時代創世の歪みが敵討ちと謀反という形で燃え上がり、巨大な権力を担う者たちの権力闘争に繋がるとは……

成長した万寿と金剛

 冒頭は「和田殿可愛い」「義村口と意地が悪い」といういつものネタから、成長した源頼家と北条泰時の幼さと向上心を微笑ましく思ったり。
弓が下手なのはまぁ問題ですが、負けん気も向上心も強く、諸将の助言にも若々しい誇りで嫌がる程度なのが、未来へ健全な成長が見えるぐらいですよ。
割を食った泰時が、だからこそ多くの期待を一身に背負って一人苦しむ頼家に惹かれ、支えようと微笑む姿、胸が温かくなりました。

 その後の頼朝討ち取りの報のあとも、格好良いんだよなぁこの若武者主従!
好き!辛い!

比奈の愛

 今回義時は比奈を姫として守るムーブしてるつもりなんだろうけど、勘違いさせるムーブでしかない(笑
こりゃ比奈ちゃん落ちるよ!惚れるよ!

 断られてても、一番は前の妻だと宣言されても。
「私が小四郎殿を見ていればそれで良いのです」
そうか、義時がストーカー愛を愛を否定出来る筈がないよね!(笑
その想いの意味も、強さも重さも。
受け入れられない辛さも、受け入れられた時の喜びも。
 あと汚いとか一族の為なら何でもする辺りは、比企一族にとっては魅力だと思うよ!(笑

汚れた男、北条義時

 頼朝を助け、鎌倉の権力を維持し、北条家を守る。
曽我兄弟も工藤祐経も縁ある親族ですが、上3つの為なら情が混じることは無くて。
斬首される曽我兄弟を背に立ち去る義時を目で追う北条時政の目が、切なくて寂しくて。
本当に、遠くへ来てしまったんだなぁ……。

 大事件の後で、曽我兄弟と工藤祐経を悼んだのは、誰だったのか。

 「わしの為にも、其方の為にも」
頼朝の最大限の優しさであり、また罪も責も一蓮托生の呪いでもあって。
ただ、やっぱりこの後の権力闘争を考えると、唯一の正解だったように思えて、辛い。
 頼朝が戻った時の安堵の吐息は見事でしたが、あれを頼朝が見たということも、天運なように感じます。

 闇に汚れた義時の心を安らげるのは、八重の思い出か、健やかに育つ泰時か、それとも比奈か。

頼朝の天運

 諸々問題になると分かり、何度となく諌められても、悪い女癖が命を救う!
今まで何度も繰り返されたコントのようで、人が死に、天が揺れる。
「お前とおなごを取り合うのはもうごめんじゃっ!」にも、
ボケた背景からひょっこり現れるシーンにも、待ってましたと大笑いしたのに。

 死も想いも呪いも踏みにじり、治世の為に捻じ曲げる。
でも、今までとは違う。
「わしが果たすべきことは、もうこの世に残っておるのか」
天運を知り、その終わりを知った眼差しは、胸が痛いほどに寂しくて。

 頼朝の落日。
生き延びて、弑して、滅ぼして、騙して、裏切って、果たした仇討ちと悲願。
これからはせめて個人の幸せを、と思ってしまうけど。
自分たちの罪を知っている頼朝も義時も、それを許せはしないでしょう。
 人間頼朝の無事にただ喜んだのは、政子一人なのかな。

 範頼だって喜んだ筈だと思うけど、
やっぱ比企夫婦は滅んだ方が良いんじゃないかな(笑

荒れ狂う権力闘争の章

 強大な権力が築かれた、その先は見えないまま。
次回から、おそらく血で地を洗う権力闘争が始まる予感でいっぱいです。
最初の犠牲はもう決まったようですが、
頼家&泰時主従、全成実衣夫婦、仁田殿には幸せで居て欲しい!
…けど無理なんだろうなぁ。
史実が憎い!

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ぶるがり屋 2022/06/06 00:10

鎌倉殿の13人 22話 の感想

鎌倉殿の13人 22話
「義時の生きる道」の感想です。


見逃し・同時配信 - 鎌倉殿の13人 - NHK

【作】三谷幸喜
【音楽】エバン・コール
【出演】小栗旬、新垣結衣、菅田将暉、小池栄子、片岡愛之助/坂東彌十郎、宮沢りえ、大泉洋、西田敏行 ほか
(C)NHK

鎌倉殿の13人

八重さんの居ない世界で

 八重さんの為になんでもした。
時間を作っては会いに行き、美味そうなものを見つけては土産にし、良い絆を知れば口説き文句にし、戦った、非道なこともした。

 もう、居ない。

 八重さんが遺した言葉を拾い集め、残った孤児たちを切り盛りし少しづつ片付けて、託された愛息子を正しく優しく愛して。

 孤児たちをしつける時も、金剛に教える時も、比奈さんと対する時も、相手を見ながらも、遠くに八重さんを見ていて。

 もう一人、残された金剛も本当に良い子で、涙が出そうでした。
「母のしてきたことを思い出すのだ」
「鶴丸を恨むな。恨むなら亡き母を敬え」
そして鶴丸のために侮辱を晴らし、言葉にせず、なお父の言葉の正義を知り、謝り、頭を下げ、礼を重ねる。

 八重さんから2人に遺った言葉。
幸せ、満足。
ああ、八重さんは2人を愛していたんだ、2人は八重さんを愛しているんだ。
悲しい欠落、だけど確かなものが今も在って、これからも正しく生きる理由になっているのだと、そう思えました。

 義時の教育もまた目が覚めるようで。
暴力を起こしても、理由が言えなくても、間違っているとは断じず。
間違いとその危険性を説く。
相手を信じて、本気で説く、そして本気で理解し、応える。
 ああ、八重さんの夫だ、八重さんの子だ。

 金剛と鶴丸を抱えた義時。
新しい小さな一家が微笑ましく、その未来を祈らずにはいられませんでした。

三浦義村

 八重さんを目の前で守れなかった義村。
謝らず、媚びず、ただ淡々と、八重さんと小四郎の絆を思いやり、言葉に紡ぎ、寄り添うのですね。
多分、これからもずっと。

北条一家も微笑ましく

 今回は傷心の義時に寄り添うシーンも多く、北条一家が可愛かったです。
全成実衣はお似合いのデコボコ夫婦で、時政だけならともかくりくも「仇ならよく殺せ」タイプだとは(笑
予想外だったけど分かるー!

 そして誰より、義時を見舞い、征夷大将軍を祝い、頼朝を牽制する、政子の笑顔。
どれも本気で人を惹きつける笑顔で、良かったなぁ。
好き。

夫婦一丸!

 色々な不和やらすれ違いが多い今作ですが、夫婦仲はめちゃくちゃ良いのですよね。
どの夫婦も凸凹がうまく噛み合い、お互いが一番だろうと思わされれる。
義時八重も頼朝雅子はもちろん、全成実衣りく時政も、後白河法皇丹後局、比企夫婦も(笑
ここら辺、個々に各々の損得も正義も、愛も家族も大事な人々も居ると感じられて、見ていて気持ち良いし死ぬと痛いですよ。

 ただ比企夫婦は滅んだ方が良いんじゃないかな(笑

比企の姫、比奈

 今回登場の比奈姫。
登場から笑顔の絶えない、大人で弁え切った比企一の姫、でしたが。
義時が自分を通して違う女を見てから、怒ってばかりなのですよね。
可愛い〜!

 自分の美しさ上品さになびかず、違う女を見、何それでなお、ただ一人"比奈"という自分を尊重してくれた、ただ一人の男。
これは心惹かれてしまいますよ。
これからの活躍が楽しみです。
あ、いや、この番組では楽しみで怖いです(笑

大天狗、落つ

 作中では「引っ掻き回した」と称されましたが、後白河法皇は彼なりに、武士の台頭によって凋落する朝廷の権力を守ろうとした、その結果なように思います。
まー本気で悪辣で心なかったけども!(笑

 同じ苦労をするだろう、後鳥羽天皇への遺言「守り抜かれよ」は呪いだな…
と思ったら追加で「楽しまれよ」とは(笑
 ああ、見事な、憎らしく愛らしい大往生でした。

曾我兄弟の仇討ち、そして不穏

 日本三大仇討ちの一つ、曾我兄弟の仇討ち。
ここに源頼朝、伊東家との因縁、平家打倒の大義の薄れ、安定政権となる武士軽視、安定したからこその権力争い、多くの憎しみと野望が重なって、
直近でもこれで源頼朝と北条時政が危険ですし、今回だけでも源範頼や全成実衣夫婦も不穏が…

 天罰は誰に落ちるのか。
一番大事なものを失ってなお求められる北条義時は、何を選び、何を掴むのか。
あ、工藤祐経はどーでもいーです。

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ぶるがり屋 2022/05/29 22:47

鎌倉殿の13人 21話 の感想

鎌倉殿の13人 21話
「仏の眼差し」の感想です。


見逃し・同時配信 - 鎌倉殿の13人 - NHK

【作】三谷幸喜
【音楽】エバン・コール
【出演】小栗旬、新垣結衣、菅田将暉、小池栄子、片岡愛之助/坂東彌十郎、宮沢りえ、大泉洋、西田敏行 ほか
(C)NHK

鎌倉殿の13人

 なぜ「愛しい」と思うのだろうか。
愛しさに包まれているものを、また何故「愛しい」と思うのだろうか。
愛しいものを失った時、人は、何故。

 今回は、終わってしばらく呆けたように、思いがまとまりませんでした。
ああ、私は八重さんに心底惚れてきた小四郎と、絆されて愛し抜いた八重さんが好きだったのだなぁ。
いつかこの愛が義時の呪いとなるような予感はずっとしていたけど、どんなに予想していても辛いのだと、自分を俯瞰してやっと文章を書き始められた気がします。

絶頂、綻び

 奥州を平らげ、あとは源頼朝を頂点とする忠義の治世を築くのみ。
朝廷や地方武士の心を知らぬ平家に支配されるのではなく、坂東武者ら力持ち地に生きる者たち自らの世は、兄・宗時の願った時代はもうすぐ。

 なのに源氏の兄弟は半分近く欠け、北条家にも不和・不穏がそこかしこに。
北条家の不穏の半分はりくさんのせいなのでまぁ仕方ないし明るいゴタゴタなのですが(笑、源氏不足と大姫の不調は、復讐と天下を取る為に犠牲を厭わなかったからですからね……

 それは、源頼朝と北条義時の、罪。
天罰は、千鶴丸の殺害から始まった呪いは、まだ終わっていない。

阿弥陀如来、母、八重

 初回では刺々しく気位が高く、人を傷つけるばかりだった八重さんが、千鶴丸を喪って、愛を失って、父と兄を喪って、家も土地も失って。
小四郎の怖くて煩わしい、一途で真っ正直な、願いのような愛を受け取って。
家族を家庭を作って、子を為して。
喪って傷だらけの子供らを助けたいと願って、動いて。

 皆のことを常に考え心を砕いてくれる義時と、そんな八重さんだから、多くの人が集まって、全力で助けようとした、無事であってくれと願ったのですよね。

 あれから何年も経って、苦しみも喜びもいくつもあって、一番大事なのは義時と金剛なのは間違いなくて。
それでも、八重さんは、こんなにも、こんなにも、こんなにも。
千鶴丸を助けたかったんだなぁ……

阿弥陀如来の前の義時は、まだ知らない

 義時の愛が八重さんを救ったように、傷だらけの義時にとって、八重さんがどれだけのものであったか。
八重さんは、義時にとって救いで、愛で、憧れで、帰る場所で、
おそらくは生きて、悪を行う理由でもあって。
また金剛にとって、誰より大切で大事な母であって。

 八重さんを失ったこともとても辛く悲しいけれど、次回、次回以降の2人の反応が悲しくて怖い。
考えたくもないくらい、辛いですよ。

 八重さんの居ない世界で、義時は。
この欠落は、罰となるのだろうか、呪いとなるのだろうか。

始まるのは、新時代か、生きる地獄か

 ふと思うと、今回頼朝は大事な愛する者たちに向け、明るく0距離で接してるのですよね。
もしかしたら、最愛の弟義経を喪って、同じように弟と愛する小四郎に甘えているのかもしれません。
 復讐を願って、平家を呪って、千鶴丸の死に傷ついて、多くの犠牲を背負って新しい時代を築くと決めて。

 多くの者の死と願いを背負い、頼朝と同じ道を歩んできた義時。
きっと同じように、心傷つきながら地獄を生き抜くのか。

 平家を滅ぼす、千鶴丸を殺した者に報いを、大事な人に幸せになって欲しい、兄の無念を晴らす、正しい世を作る、子らに幸せな世を遺したい。
 呪いも願いも祝福も、簡単には叶わないし、何年経っても完全に失くなりはしないのだなぁ…

 頼朝と八重と義時と、千鶴丸の死から始まった、新時代を作る物語。

幼馴染の縁

 今までも損得勘定をちょっと外しても義時びいきだった三浦義村ですが、今回でもう、義時のために命をかけるぐらいになっちゃいますね。
大好きな2人の関係ですが、痛みも混じったものとなってしまって……
いかん、これはこれで好きな絆だ(笑

 ただ、小四郎平六八重ののどかな幼馴染コントをもっと見たかったですよ。

 金剛、初、鶴丸の今後も気になります。
八重さんの犠牲が重過ぎますが、だからこそ親たちと同じように、大人になっても切っても切れない重くて強い絆で繋がっていて欲しいです。

他、ちょこちょこ。

 北条家増えた!(笑
比企家ムカつくー!(笑
緒方賢一さんのい〜い声が耳に残るなぁ。
千鶴丸から鶴丸で、『おんな城主直虎』オマージュくるとは思わないよ!

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ぶるがり屋 2022/05/22 23:51

鎌倉殿の13人 20話 の感想

鎌倉殿の13人 20話
「帰ってきた義経」の感想です。


見逃し・同時配信 - 鎌倉殿の13人 - NHK

【作】三谷幸喜
【音楽】エバン・コール
【出演】小栗旬、新垣結衣、菅田将暉、小池栄子、片岡愛之助/坂東彌十郎、宮沢りえ、大泉洋、西田敏行 ほか
(C)NHK

鎌倉殿の13人

 地獄を眺めていたつもりだった。
ああ、ここはもう地獄だった。

美しき都、奥州平泉

 藤原秀衡、御館こそが平泉と、見せつけてくれました。
渋い、重い、美しい。
 息子たちも源義経も決して無能では無いと感じましたが、頼朝と戦えるほどの一つの勢力になれるかと言うと… そんなことはないのですよね。
秀衡だけがバラバラな彼らを一つにまとめ、頼朝と戦える傑物であったと。

 月夜に義経の前に現れたのはなんだったのでしょう。
もはや死ぬ運命の義経を、天に誘ったのか。

源義経一党

 比企一族は陰険で邪魔でしたが(笑
多くの者に、何より義経に願われていたのに、何故静御前は名乗ったのか。
大姫が可哀想で、いまひとつ納得出来ませんでしたが、郷御前と対で分かったような気がします。

 奥州まで逃れ逃れて、土仕事に精を出す義経の姿は驚きでした。
でも、一緒に土にまみれて、娘と笑う郷御前の姿は間違いなく幸せそうで。
ただ、悟ったのですよね、覚悟を決めたのですよね。
静御前の顛末を聞いて、義経と自分の先を。

 郷御前は、秘していた嫉妬も罪も全部ぶちまけて、最後に一瞬、義経の心全部自分いっぱいにして、死んだ。
笑顔で死んだ。
醜くて汚くて、でもいいんだ。
義経の心を奪ったから、それでいいんだ。

多分、静御前も郷御前も、義経に殉じて死にたくて、全部ぶちまけて捧げたんだ。

 そしてまた、弁慶も、一緒に戦い切って、遊び切って、笑顔で全てを捧げて逝きました
義経と、一瞬で輝いて燃える義経と、自分は一緒だったと誇らしげに。

 そんなふうに思いました。

帰ってきた義経

 義経は、復讐に燃え、戦いを請い願い、戦って殺して勝って奪って戦い抜いて。
頼朝兄が大好きで、仲間が可愛くて、静も郷も大好きで、きっと梶原景時も小四郎も大好きで。

 秀衡の幻を見て、郷御前の覚悟を分かって、自分の運命を知って。
頼朝と義時の悪どい策を少しづつ理解しても、それでも信じる義経が、笑って死を迎える笑顔が爽やかで悪ガキで、切ない。
愛したら何もかも巻き込んで壊れて死んで行くのに、こんなに明るく暴力に満ち満ちて怖いのに、儚いなんて初めてですよ。

 源九郎義経。
真っ赤な笑顔で暴れまわる暴風雨のような、滅びそのものの箒星のような、
鮮烈に燃えて、消えた戦神の若武者。
 心は奥州の天に、首は鎌倉の愛する兄の元に、帰ったのかな。

鬼、悪魔、人間、源頼朝

 今回はずっとやってることやらせてることは悪どく非道だったのに、臆病で弱い、人間らしい頼朝でした。

 悪どさを、請うように義時と共有しても。
義経を殺した罪だけは、誰にも、政子にも見せず。
ずっと話したかった念願の勝利の数々を答えぬ首に優しく語りかけ、
すまぬと、一人で泣くのか。

 御仏に祈る理由、最初は復讐の祈願とそれまで生き残る武運だったと思います。
今は、死んでいった者たちへの鎮魂なように聞こえて。

 地獄は死後に在るのではなく。
願いと呪いを背負って進むものの前に積み重ねられ。
そして、罰されなければならぬと心の中に生まれるのだろう。
頼朝は、自ら築いた地獄の中に在り、死してなお地獄に行くのだ。

 せめて誰かに己の弱さと罪を見せて欲しいと願うけど、もう、頼朝が自分を許せないのだろうなぁ……。

地獄の使者、北条義時

 必ず義経を伴って帰ってくると願ったまでは、まだ私たちのよく知る人の良い甘たれな小四郎でした。
でももう、頼朝の悪どい策に頭を下げ、現地ではその甘たれの顔さえ使って地獄を作って行く義時は、
仲間を殺し地獄を築いて、愛する妻と子のもとに笑顔で帰る義時は。
きっと頼朝と同じ理想を見て、同じ理想と罪を背負って、地獄を征くと決めたのだ。
そう、分かってしまいました。

 頼朝の怜悧な支配、義経の戦術、宗時の野望、時政の小狡さ、広常の情熱、多くの者の願いと、もっと多くの死。
義時は、それら全部を受け継いで行くのか。

 まだ20話。
これからもっともっと……
怖い、辛い。

 夏草や 兵どもが夢の跡
鎌倉殿が夢の跡になるまで、あと何話、何年。

他、ちょこちょこ。

 大姫、綺麗になって笑えるようになって……
でも心と言う器はひとたび、ひとたびひびが入れば…
しばらく蝉の抜け殻を悲しいイメージで見てしまいそうです。

 義経最期の献策は、義時と義村、鎌倉の最後、義経と景時の信頼と、重過ぎるよ!

 畠山重忠、工藤祐経、三浦義村のコントが見られるとは(笑
もっと叱ってあげて重忠さん!
祐経はそろそろ可愛いところ見せないで!

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ぶるがり屋 2022/05/15 22:36

鎌倉殿の13人 19話 の感想

鎌倉殿の13人 19話
「果たせぬ凱旋」の感想です。


見逃し・同時配信 - 鎌倉殿の13人 - NHK

【作】三谷幸喜
【音楽】エバン・コール
【出演】小栗旬、新垣結衣、菅田将暉、小池栄子、片岡愛之助/坂東彌十郎、宮沢りえ、大泉洋、西田敏行 ほか
(C)NHK

鎌倉殿の13人

悲劇と喜劇

 今回も隔絶と滅亡につながる悲劇…
なんだけど、行家おじさんの無能疫病神プレイっぷりと、静御前郷御前の喧嘩っぷりがおかしくて(笑
そりゃ滅亡寸前の義経だって、真顔でツッコむよ!

 喜劇味が強かったからか、ナレツッコミも冴えまくりでした。
行家すぐ死ぬとか真似はしてはいけないとか。
『鎌倉殿の13人』で多くの人物の解像度が高まりましたが、中でも今までおぼろげだった文覚と行家をしっかりと覚えられました(笑

大天狗、後白河法皇

 義経と頼朝の悲劇。
その一番の元凶、後白河法皇に大きな反撃が出来たのも、湿っぽくならなかった大きい理由だと思います。

 いやー人の心がない心がない(笑
彼からすれば人生のほとんどをかけて朝廷の権力復活を目指してきて、やっと平家を滅ぼしたところでまた武家に権力を渡せる筈もない訳ですが。
 とはいえあまりにひどい手のひら返し、ほかの公家たちの引くし、かつて夢枕で恐れた源頼朝も、もはや仇と徹底的に戦うでしょう。

 あ、最後の決め手だった源行家がナレ死だったのもスカッとしましたね(笑

「源頼朝」という人

 八重を前にして、また性欲ムクムクとなるのか!?
と心配しましたら、流石にそんな事はなく。
 すでに何度かぶつかったり、個人としても権力を持ってしまった政子にも相談出来ず。
義経と同じく、人生の悲願、平家への復讐を果たしてしまった頼朝には、はたと気づき。
今まで傷つけ続けてきた人の情、家族の情をなんとか繋ぎ止めたいのだと思うのです。

 その人となりを深く理解し合いながら、今や敵意に近いほど距離ができ、男女の中に戻れない状況だからこそ、真意も話せるし怒りも受け止められる。
今回初めて、頼朝と八重は、人と人として向き合えたのかもしれないなぁ…

 ただ、すでに八重は多くを失い過ぎて。
頼朝も今や鎌倉中の子供らに恐れられ、愛娘との亀裂は避けたままなのですよね。
ああ、辛い。

鎌倉殿の人材

 北条義時→三浦義村→畠山重忠→和田義盛 のコンボが強過ぎる(笑
あんなんノラずにはいられないじゃないですかー!

 また、文官・武官は各々充実してきたものの、両方に通じる軍略・政略考えられるのはほぼ居ない、ということも示されましたね。
義経・後白河法皇に頼朝と戦えるほどの軍事的基盤が無いことまで理解出来る人材が、あの場で発言力の薄い義村以外に、果たして何人居たのか。

時政パパは降りられない

 そういう点で、北条時政が後白河法皇と渡り合う京都守護に選ばれたのは納得しかありません。
事前に策さえ授けておけば、肝要を理解して小狡く聡く、どんな苦境でも鎌倉と連絡できなくても。最低限うまくやってくれる。
京に縛られず、妻りくを通して縁深くもあり。
今の頼朝にとって、最高の人材ですよ。

 しぶとく、懐深く、優しく。
義経を利用して捨てた後白河法皇への対処はもちろん、義経との最後の邂逅も、酸いも甘いも嚙み分ける大人だからこその言葉でした。
京都回りの権力を奪うに、まだあそこで義経を捕まえない方が良いと判断し、また同時に、若き才能溢れる義経に、幸せに生きて欲しいと願ったのも本当なのだと。

 本人はとっくの昔に降りたいのでしょうけど、能力も立場も、もう許してはくれないでしょう。
降りられない理由は、家族、りく。
 時政パパ、一番「おっかねぇ」のは頼朝でも法皇でもなく、りくなんだろうなぁ(笑
りくに見捨てられるのが、一番おっかない。

皆が、義経を転げ落としていく

 ですが、義経の運命はやはり悲劇としか言えないものでした。
義時や政子はもちろん、頼朝本人も大江広元も法皇の暗躍に気づき、義経との関係修復を目指していたのですね。
それでも後白河法皇の悪意が、源行家の自愛心が、源氏に対する反意が、義経が撒いた嫉妬の炎が、悲劇へ突き落とす。

 そうか、義経は法皇も行家も郷御前も信じ過ぎたのか。
あまりの傍若無人さと鬼神の強さに吹き飛んでいましたが、その真っ直ぐすぎる純粋な心は、まさしく御曹司だったんだなぁ。
そういえば行家へのツッコミも丁寧語でした、私なら「ふざけんなこの野郎!」なのに。

 人を人とも思わず駆け回る風雲児と現れ、人の命を踏み超える苛烈な軍神として活躍し、人の心に振り回される若武者として表舞台から落ちていく、源義経。
父の死に狂い、家族の情を探し求めて、母のような膝枕を忘れられず。
ああ、ああ。
このまま先をボカして希望を残して終わって欲しい、そう願うけど。
『鎌倉殿の13人』は、そんな優しいファンタジーではないのですよね。

 あーもう来週も辛いなぁ!
見ちゃうけど!

他、ちょこちょこ。

全政くん、完全に北条家の一員扱いに(笑、基本無能扱いに(笑
全キャラの知力・統率・政治を振りたくなりました。
作中で明確に描かれてて想像しがいが有る。

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