J庭54新刊サンプル
10-8開催 J.GARDEN54で発行する新刊のサンプルです。
サークル 星月夜
スペース ひ10a
年下コンビニ店員×社畜サラリーマン
R18 ♡喘ぎ A5二段組26P 300円
美形×平凡/年下攻め
22時過ぎに寄るコンビニには、いつも同じ店員がいる。
会計時に少し会話する仲になった店員は年下の専門学生だった。
毎日コンビニで弁当を買う食生活を気にかけた店員は、明日部屋に食事を作りに行くと言い――。
J庭53の無配を元に続きを書いた小説本です。
イベント後に通販・電子版配信も予定しています。
いつものコンビニ、いつもの店員
弁当ひとつ、お茶のペットボトルひとつ。レジに置かれた物を見た店員は、顔を上げた。
「またコンビニ弁当っすか? 体壊しますよー」
「店員がそれ言っちゃっていいの?」
二十二時を過ぎたコンビニは静かで、ゆるい空気が流れている。毎日のようにこのコンビニで弁当を買っているから、店員――浦河くんとは顔見知りのような間柄になっていた。
「しかもいつもこんな時間じゃないっすか。やばくないすか?」
「浦河くんもいつも夜勤じゃん」
「俺は昼間、専門行ってるんで、この時間しか入れないんすよ」
「あ、専門の学生さんなんだ」
それなら歳は俺の四、五こくらい下だろうか。いつも気怠げな雰囲気だけど、どこか若々しい感じもするから腑に落ちる。
いくつもピアスを付けていて黒髪に金のメッシュの彼に最初は怖い人なのかと思っていたが、今では俺は、仕事帰りのこのなんてことない会話を楽しみにしていた。
弁当とペットボトルをレジに通しながら、浦河くんは会話を続ける。
「ちょっとは体に良いモン食ったほうがいいすよ。おにーさんまだ若いんだし」
「浦河くんこそコンビニの弁当食ってそうだけど」
「あー、ひど。俺こうみえて料理するんすよ。それにウチ、廃棄もらえないんで」
「へー意外だなぁ」
電子マネーを選択し、スマホをかざす。軽快な音とともに決済が行われた。袋も頼んでいたから、浦河くんが入れてくれるのを待つ。
「あ、じゃあおにーさんのご飯、俺がつくりましょっか?」
「え? 浦河くんが?」
「そっす。明日は二十二時上がりなんで、その後おにーさんの部屋で夕飯つくるっすよ」
どうしてそういうことになるのかわからず俺は戸惑う。だいたい俺と浦河くんはコンビニで少し会話するくらいだし、浦河くんなんて俺の名前すら知らない。そんな相手の部屋で飯を作るなんて、俺には理解が追いつかない。
でも五つくらい歳下の子たちだったら、こういう感覚なんだろうか。
「明日もこの時間にここ寄ってください。俺、合流するんで」
「あ、あぁ、うん」
知らないヤツの部屋になんか行っちゃダメだとか、バイト後に飯作ってもらうなんて悪いよとか、色々言葉は浮かんでくる。しかし浦河くんとの関係が変わってしまうかもと思うと、俺は何も言うことはできなかった。
「今日もお疲れっす。ありがとうございましたー」
「う、うん、ありがと……浦河くんもお疲れ」
「明日、忘れちゃダメっすよー」
受け取ったビニール袋が音をたてる。笑顔で見送ってくれる浦河くんに、何故か胸のあたりがうわつく。
いつもと同じ時間、同じコンビニ、同じ店員。しかし確実に何かが変わる予感を俺に抱かせた。
柔らかいものが唇にくっつく。この感覚なんだっけと思いながらぼんやりする。視界いっぱいに映る浦河くんを見て、あぁ、キスだと気づいた。
「ん……」
ちゅっ、と音をたてるキスはどんどん深くなる。差し入れられた舌が熱くて、頭が痺れた。
「浦河くん……?」
「おにーさん、俺、コンビニで喋るだけじゃ我慢できないんす」
目をぎらぎらと光らせた浦河くんは俺の体を倒していく。アルコールでぼうっとしたまま、倒す手に従った。
視界の端に映るテーブルには、ビールの缶と浦河くんが作ってくれたチャーハンの残りが見える。
明日も食べられるように多めに作ったと言った時はいつも通りの浦河くんだったのに、何故か今は俺に跨り、俺の服を脱がしていた。
「おにーさん、名前教えてよ」
「名前? ……学」
名前って名字? 下の名前?
よくわからないうちに、俺は下の名前を口にしていた。満足そうに笑う浦河くんを見て、どうやら下の名前であっていたのだと知る。
「俺のこと好きになって、学くん」
「っ」
身を寄せてきた浦河くんは俺の耳元で声を吐く。ゾワゾワとした感覚が全身を駆け、俺は降参したかのように体から力を抜いた。
「……浦河くんは俺のこと好きなの?」
「うん、好き。好きだからこうしたい」
「っ! んっ♡」
気づけばスラックスがずらされ、紺色の下着が見えていた。その中心を突然撫でられ、短い声が漏れる。
「お、気持ちいい?」
「あっ、ん♡」
俺の反応を確かめた浦河くんは、今度は下着の中に手を入れてきた。邪魔だと言わんばかりに下着をずらし、俺の熱を扱いていく。
「んっ、あぁっ♡ 浦河くん、気持ちいいっ♡」
「やば、興奮する」
何度も何度も手で刺激され、俺は熱を昂らせていく。最近は忙しかったから、こうして気持ち良くなるのは久々だった。
だからか、すぐに限界がやってくる。
「あ、あっ、んんっ♡♡」
体が震え、頭も真っ白になる。熱を吐き出し、ハァハァと荒い息を繰り返した。
「あー、すげぇくる……」
「ん……浦河くん?」
だらりと脱力した体がうつ伏せにされる。気持ち良かったということしか考えられないでいると、尻に何か硬いものが押し付けられた。
「俺たち絶対相性いいっすよ」
「え……? っ、あぁっ♡」
ずずず、と硬く熱いものが俺の中を侵食するように入ってくる。
初めてのことで戸惑いも大きいが、そのなかに、相手が浦河くんであることに対する喜びもあった。
「ほら、すげぇ気持ち良い」
「あっあっ♡ っん♡♡」
浦河くんに流されての行為だが、中の熱は気遣うようにゆっくり進められる。根元まで収まると、ゆるい抜き差しが始まった。
「おにーさん、おにーさん……学くんっ」
「あ、あぁっ♡♡ うらかわ、くんっ♡」
中の熱が動かされる度に俺は自然と声を漏らす。ふたりとも荒い息を吐き、お互いを味わうように堪能する。
どうして俺なんだろう。もしかしたら俺以外にもこういう相手がいるのかもしれない。
そんな不安に見て見ぬふりをして、今はただ浦河くんのことを感じていた。
明るい液晶から視線を外し、手元を見る。持ち上げたコップが空になっていることに気づいた。ノートパソコンの電源を落とし立ち上がる。
持ち帰った仕事が終わり、やっと休日が訪れる。時計を見ればもう十五時だった。
「コーヒーのおかわりいる?」
「いるー」
振り返ればベッドから返事がある。俺のベッドで寛ぐ浦河くんは、自分の部屋かのように自由に漫画を読んでいた。チラッと見えたページで「あぁ、そこ面白いとこだよな」と内心呟く。
固まった体をほぐすように伸びをして、空になっているマグカップを二つ手にした。ケトルに残っていたお湯を注ぎ、インスタントコーヒーを作る。
「あ、学くん今日も泊まってっていい?」
「俺はいいけど、家族が心配しないの? 漫画貸すから持って帰れば?」
茶色い液体で満たされたコップを持ち、ベッドに近づく。ベッド脇のミニテーブルに浦河くんが使っていたコップを置いた。
芳ばしい匂いに引き寄せられ、自分のコップに口をつける。やっぱりぬるいコーヒーだった。
「んー、あとちょっとで読み終わるから……俺よく友達の家泊まるし心配しないと思う。連絡入れてるし」
「そっか……」
漫画から顔を上げずに返事をする浦河くん。本人がそう言うのならと俺は口を噤んだ。
浦河くんが初めて部屋に来た日から二週間が経っていた。あれから浦河くんは何度か部屋に夕飯を作りに来てくれて、こうしてダラダラ過ごして、泊まっていった。
家に帰りたくないのかと思ったけど、電話で連絡している時もあるし、家族を避けているというわけではないらしい。
だからこそ、どうして俺の部屋に来るのかが不思議だった。スマホは連絡アプリの通知音がしょっちゅう鳴っているし、電話もかかってくる。たくさんいる友達のところに行かず、何故か俺の部屋で料理をし、いつでも読めるような漫画を楽しんでいる。
(中略)
「あ……あのさー、学くん……ごめん」
「え、何? 何のごめん?」
バツが悪そうに謝る浦河くん。何に対しての「ごめん」なのか俺には見当もつかなかった。
「いや、さっきあいつらに話して気づいたんだけど、俺、すげぇ強引だったなって……好きになってって言いながら押し倒しちゃったしさ」
「あぁ……」
メッシュが入った髪を撫で付ける浦河くんは目を伏せる。肩を落とす姿なんて初めてだった。
「なんか、これじゃ体目的っていうか、大切にする気がないって思われても仕方ねぇのかなって……学くんには嫌われたくないのに」
「浦河くん……」
人に対して必要以上に気を遣わないというか、いつも自然体に見える浦河くんにも、嫌われたくないと思う相手がいるなんて驚きだった。しかもそれが俺だなんて。
切なげに眉根を寄せる浦河くんに、俺の胸にも痛みが走る。そんな顔をして欲しくなかった。俺は咄嗟に、浦河くんの手を掴む。
(中略)
「ん♡ きもちいい……浦河くんの手きもちいい♡」
「あー、きゅんきゅんして俺も勃っちゃうよ。いやもう勃ってるけどさ」
下着から顔を出した性器に指が絡みついてくる。浦河くんに見られ触られていると思うだけで、また硬く熱くなった。好きな人に見られるのは恥ずかしいのに喜びが勝る。
「じゃあ一緒に気持ち良くなろっか」
ずらしていただけの下着を足から抜き取り、自分も服を脱ぐ浦河くん。乱雑に服を脱ぎ捨て、下着も床に落とした。
「あー、興奮する。学くんのえっちな顔最高にクる」
「おれ、えっちな顔してんの……?」
「自分じゃわかんないか。学くんのえっちな顔も大好きだよ」
俺は今どんな顔をしているのだろう。自分ではわからない。無防備な顔を浦河くんに見られるのは恥ずかしいのに、彼と気持ち良くなっているからこそだと思うと、この時間のすべてが愛しい。
また俺に跨った浦河くんは、自分の性器と俺のを手でぴったりそわせた。お互いの勃起している性器がくっつく。
「あ♡ あぁっ♡ これ、じんじんする♡」
「はぁっ、学くん」
性器を擦り合わせるように動く浦河くん。熱く、膨張した彼のものと擦れる度に、俺の頭は甘く痺れた。
「っん♡ んん♡」
「きもちーね」
「あ、あっ♡ きもちよくて、俺……っ♡」
「あ、出そう? いつでもイッていいからね」
卑猥な動きで擦り付けられる度、俺の中には快感が積もっていく。お互いの荒い息も生々しく感じて、もう限界を迎えそうだった。
「ふっ♡ でる♡ 浦河くん、でちゃうっ♡」
「っ、あー、学くんえろいなぁ……いいよ、だして」
「あぁっ♡ んー♡ っんん♡♡」
ビクビクっと体が震える。浦河くんの甘い囁き声に促されて、俺はついに熱を吐き出した。
「はぁっ♡ はぁっ♡」
「学くんのイキ顔ほんとたまんない」
弾ける快感にぎゅうっと目を閉じて耐える。荒い息を整えながら薄く目を開けると、浦河くんは愛しそうに俺を見ていた。その甘く色っぽい目に胸が切なく軋む。
「挿れたい。挿れてもっと近くに、もっと強く学くんを感じたい」
情欲を隠さない雄の顔。浦河くんとひとつになれる。浦河くんに求められている。果てたばかりだというのに、俺もより強く浦河くんを欲する。
腰の下に枕が差し込まれたかと思うと、すぐに大きく足を開かれた。
「学くん、挿れるよ……学くん」
「欲しい、浦河くんが欲しい」
開かれた足の先に熱がぴったりくっつく。渇いた欲とお互いの愛しさに支配された俺たちは、視線を重ねる。
ごくりと喉を鳴らした俺の中へ、浦河くんが入ってきた。
「はぁっ、学くん、好き……好き」
「あぁっ、ん♡♡ 俺の中、入ってきてる♡」
「っ……ね、手つなご」
中へと侵入してくる浦河くんは、ベッドの上にあった俺の両手に自分の手を置いた。指と指が絡み合い、甘えるように握り合う。
(後略)
この記事にはコメントできません。