雑談:抱き枕の「目」の話
最近イラストの世界では瞳の中を細かく描くのが
どんどん凄くなっています(リアルの意味ではなく)
私も抱き枕製作で瞳の反射にこだわったりして、例えば以前、瞳に男の影を描いたことがあります。
さて私が抱き枕を制作する時注意してたのは
他の絵と違い、抱き枕は文字通り抱きしめるわけですから。
目を数センチまで接近させても壊れない精密さを描くことでした。
服だったら縫製の糸や刺繍の糸。背景の畳も。
対して、キャラは細かく書きすぎると逆に想像の余地がなくなったり
リアルになりすぎて、アニメキャラのイメージからおかしくなってしまいます。
アイテムや服のリアルと緻密に。キャラは想像の余地をもたせて、そのバランスを取ることに苦心しました。
そこで瞳なのですが、瞳の反射で本当なら、部屋や明かりが映っているはずです。
しかしそれを描いてしまうと、当然ユーザーとは違う部屋の情景になって矛盾、齟齬が出てしまいます。
しかし、目の前には必ずユーザーがいて瞳を覗き込んでるはずなのです。
ですので、瞳に映るライトや部屋はぼかし、しかしそこに瞳を覗き込む人物の影を描いたというわけです。
pixivで発表し、そのことを記しました。
ところが「そこに(仮に自分でも)誰かがいると冷めてしまうからやめてほしい」いうコメントがありました。
私はハッと気が付き(なるほど魔法が解けるのか)と納得し削除しました。
というのは、描いた時は、私としては(あなたが目の前にいる)というメッセージのつもりで、感情移入できるだろうと描いたのです。
ところが、逆にユーザーは(そこに誰か)を意識すると
二次元に感情移入していたのが、現実に引き戻されるきっかけになってしまう
というわけですね。
あたかも〈鏡を見ると魔法が解ける〉寓話のように、です。
すぐに削除し、販売版か2版目で鏡を外すことができ、そのコメントには助かりましたね。
瞳には何を描くかで様々な意味をもたせることができ、逆に思ってもいない意味ができてしまうこともあり、これからも追求し続けなければならない、面白いテーマと言えましょう。