ウメ畑 2022/11/01 09:53

リクエスト作品 『淫靡な洞窟のその奥で』 レティシア『夢の中で犯される女王』

「ふぅ……」

 その日、レティシアが執務中にため息を吐いた。
 それは普通の人がすればそれほど気にならない、執務への疲れによるものと考えるだろう。
 けれど相手はこの国の女王――魔導王国フォンティーユにおいて『最強』とも語られる、勇者の妻であり、大陸最強の魔導士である。
 そんな彼女が……建国以来、精力的に働き、この十年で一度も誰かの前で疲労感など滲ませなかった彼女がため息を吐いたことに、傍に控えていた桃色髪のメイドは僅かに表情を強張らせた。

「レティシア様、大丈夫ですか?」

 それから十数分後。
 自室の執務机に座って貴族や騎士たちから送られてきた書類に目を通し終えたレティシアに、メイドが声を掛けた。
 ちらりとその美貌を横目に見れば、確かに疲労の色が浮かんでいるように見えなくもない。
 今まではそれを巧みに隠していたのだろうと思うと、メイドは自分たちがどれだけこの女性に頼り切っていたのかと思い知らされる。
 ――女王、レティシア。
 異世界から現れた黒髪の勇者と共に魔王と戦い、そして討伐を果たした勇者の仲間。
 そして、勇者の妻として二人の娘を授かった、この大陸最強の魔導士でもある。
 まだ姫たちは年若く、一人ではとても城外へ出る事も難しい年頃。
 それでも元気いっぱいで、女王たちの目を盗んでは城内を好き放題に歩き回り、時には王都へ出てしまうこともあるほどのお転婆たち。
 ……勇者がこの世界を去って、もうすぐ十年。
 それからは白のメイドたちの助力があったとはいえ女手一つで二人の娘を育て、女王としての執務を行い、国と民の生活の復興まで行ってきたのだ。
 その疲労はどれほどか――そう思えば、女王の疲労は当然であり、むしろ今まで気にしなかった自分たちの方が間違っていたのだと思い知らされる。

「ええ、大丈夫よ。ため息を吐いたくらいで、そんなに心配しないで」

 レティシアはニコリと微笑み、深く心配させないように冗談を交えながらメイドへそう言った。
 まだ年若いハーフエルフの女王の微笑みは性器が感じられ、たしかに疲労感はあまりない。
 けれど、これまで見せなかった部下の前でのため息は疲労の証明でもある。
 桃色髪のメイドはその微笑みに安心して肩から力を抜きながらも、けれどゆっくりと首を横に振った。

「急ぎの仕事はこちらで振り分けておきますので、少しオヤスミンなられてはいかがでしょうか?」
「……貴女って、結構心配性なのね」
「ありがとうございます。どうやらレティシア様は、あまりご自分からはお休みになられないようですので」

 そう言われると、レティシアが苦笑した。
 女王という立場にある自分に進言できる――その気の強さから傍に置いているこのメイドの言葉は、自分では気付けないことを気付かせてくれる。
 だからレティシアは、彼女の言葉には常に耳を傾けるようにしていた。

「でも、貴女が言うならそうなのかもしれないわね」
「お聞き入れいただき、ありがとうございます」

 慇懃に礼をする桃色髪のメイドの姿にもう一度苦笑すると、レティシアは執務机の椅子に背を預けながらゆっくりと伸びをした。
 美しい銀色の髪が後ろに流れ、床に向かって落ちていく。
 ――女王レティシアを表現するなら、まず誰もが『白』という単語が頭に浮かぶのではないだろうか。
 眩しいほどに美しい銀色の髪に、日焼けのあと一つ無い白い肌。
 本来ならエルフという種族は森の民と呼ばれるだけあって、緑に関した衣服を好む傾向がある。
 けれどハーフであるレティシアはエルフという種族全体から迫害を受けていた過去もあり、そう言った『エルフ特有の衣装』という物をあまり好まない。
 それに、夫である勇者が褒めてくれた銀や白といった色を好み、女王となった今はそれ系統の色合いをしたドレスを好むように身に着けている。
 まるで結婚式の際に身に纏うような純白のドレスに身を包めば、銀髪と白い肌、白いドレスで白一色――そんな中、その瞳だけがまるで色付いたような深紅の色を浮かべている。
 その美貌は二人の娘がいるとは思えないほど美しく、年齢はまだ二十代。
 ハーフエルフは年齢による変化が人間よりも少なく、まだまだ十代でも通りそうな若々しさだ。
 幼さが残る美貌から視線を下げれば、そんな童顔からは想像できないほど豊満な胸が視界に映る。
 まるで大振りの果実を二つ、無理やりドレスに詰め込んだようなふくらみだ。
 下着に支えられてツンと上向いた乳房はレティシアの小顔と同じか、もしかしたらそれよりも少し大きいかもしれない。
 更に視線を下げれば、コルセットに締め付けられた細い腰。
 彼女が休息のために立ち上がれば、スラリとした美肢体がメイドの視線に映った。

「そうか……今日はもう、こんな時間なのね」

 レティシアは壁一面がガラス張りになっている執務机の背後に視線を向ければ、時間は夜。
 疲れが表面に出てしまうはずである。
 窓の外は一面が真っ暗闇で、今夜は月の明かりすらほとんど無い。
 その窓から見える王都の街並みは一様に隠れてしまい、彼女は少しだけガッカリしてしまった。
 仕事の後、夫である異世界の勇者の知識で発達したこの国を眺めるのが彼女の楽しみなのだ。
 新月が近い今夜はそれが不可能で、それがちょっとだけ哀しい。
 それを自覚すると、また小さくため息を吐いてしまう。

「今日はもう休むわね」
「そうなさってください。湯浴みの用意を……」
「いいわ。貴女たちも疲れているでしょう? 湯あみは明日の朝に行うから、今夜はもう休みなさい」
「分かりました。そのように伝えておきます」

 桃色髪のメイドはそう言うと、一礼してレティシアの自室を後にした。
 それを見送ってから、執務室の隣にある寝室へとレティシアも向かう。
 いつもなら娘たちの姿を一目でも見てから眠りにつくのだが、この日はとても眠かった。

(……さっきまでは何ともなかったのに)

 メイドが自分の疲労を指摘したことで、肉体の疲れの深さを自覚してしまったのだろうか?
 レティシアはそう思いながら、乱雑にドレスを脱いでいく。
 いつもはメイドに手伝わせているのだが、この日は何故かそれをしない。
 背にある金具を外してドレスの胸元を緩めれば、衣服の上からでも大きいと思っていた胸元が更に一回り膨らんだようにすら見えてしまう。
 締め付けられていた谷間が深くなり、そして柔らかく揺れたからだ。
 そのまま肩から徐々にドレスを脱いでいけば、純白のドレスに隠されていた白い肌が露になっていく。
 首元、肩、胸元……ドレスと同じ純白の下着の次は、二児の母とは思えないほど引き締まった見事な腹部。
 更にドレスが下がれば、ブラジャーと同じ意匠のガーターベルトとストッキング、そしてショーツ。
 可憐な花の意匠が施され、細かな細工が印象的な高級感のある下着だ。
 女王という立場に相応しい下着の露出に、けれどレティシアは少しも気にしない。
 いつもならメイドたちが着付けや片付けを手伝ってくれるのだが、今夜はそれが無かった。
 だから寝室の真ん中でドレスを脱げば、ただ、皺にならない事だけを考えてクローゼットの中へと収める。
 ……その際にクローゼット傍の姿見に、その全身が映った。
 お尻まで伸びた長い銀髪と、均整の取れた肢体。
 その見事な美肢体を包む純白の下着も、自分の印象だがとても似合っているように思える。
 …………ただ、レティシアは気付かない。
 その瞳以外の全部が白い姿の一点。
 腹部――臍の下に、奇妙な紋様が描かれていることを。
 魔王と戦った経験、そして魔導士としての才能があるならそこに不穏な気配を感じるべきなのに、けれどそれを認識できない。

「ふふ。まだまだ、私も綺麗なものね」

 結局、レティシアは自分の異変に気付かないまま自分なりに美貌を評価するだけだった。
 ドレスをクローゼットへ納めると、しかし寝間着は手に取らない。
 レティシアはガーターベルトを外す事すら億劫に感じて、下着姿のままベッドの上へ。
 夜とはいえ、まだまだ暖かい季節だ。
 それに疲労感も相まって僅かに身体が火照っているような気もする。

「ふう……最近は疲れが溜っているのかしら?」

 ここ数日、いつも夜はこんな感じのような気がした。
 少し記憶が朧気なのも、疲労によるものだろうと思う。
 レティシアはベッドへ横になると、そのまま目を瞑る。
 最後に指を動かして魔力を練り、何とか寝室の明かりを消すが……それが限界だった。
 すぐにその瞼は落ち、下着だけの姿のまま深い眠りの中へ……。





「…………ッ!!」

 その深夜。
 下着姿のレティシアが飛び起きると、目の前に人影があった。
 新月の明かりではその顔が認識できない。
 だが、女王の寝室に忍び込むような輩である。

「何者っ!!」

 そう声を荒げると、レティシアは瞬時に魔力を練って手の平に風の弾丸を生成。
 詠唱も無く、魔力を練ったのも一瞬だけ。
 けれどその手の平に作られた風の魔法は明るい場所なら空間を歪めてしまうほど濃密なもので、それが直撃すれば屈強な騎士でさえ打撲ないし骨折までしてしまうかもしれない。
 それほどまで強力な魔力が込められた風の魔法が――。

「は――ヒィィイッ!?」

 けれど、ベッドの上で上半身を起こしたままのレティシアが素っ頓狂な声を上げて全身を痙攣させれば、すぐに霧散してしまう。
 どれほど強力な魔法でも当てなければ無害であり、そしてレティシアは――。

「なっ、なっ!?」
(なにっ、これ!? なんでっ、なんれぇええっ!?)

 久しく感じていなかった性的な刺激――しかも魔力を練った瞬間、攻撃の意志を示した直後の警戒している中での刺激に、レティシアが混乱する。
 激しく疼いたのは二児の娘がいるとは思えない美肢体全体ではなく、ただ一点。
 臍の下……胎の奥にある子宮なのだ。
 夫しか刺激したことのない初々しい子宮が激しく震え、そう、これは……。

(イ、 イって!? 私っ、なんでイってるの!?)

 昔、夫から教えられた言葉を無意識に思い浮かべながら混乱する。
 魔法を使おうとしたら絶頂した。
 そんな経験など初めてで、驚きながらレティシアはベッドの上で自分に覆いかぶさろうとしている影を睨みつける。

「はなれっ――はひぃいい!?」

 もう一度、今度も風の魔法を発動しようとしたが、けれど魔力を練るだけで子宮が激しく蠢動してしまう。
 しかも二度目ともなれば快感が両脚にまで伝わり、勇者にしか見せた事のないピンと足の先まで伸ばした情けない絶頂する姿まで晒していた。
純白のストッキングに包まれた両足へ僅かに筋肉の筋まで浮かせ、腰が浮きあがるほどの激しさで――レティシアが絶頂する。
 何もされていないのに。
 何もしていないのに。

「ひっ、ぐぅうう!? な、にをっ!? 私に何をしたのっ!?」

 それでも我を失わない姿は、流石魔王を倒した英雄の一人と言えるだろう。
 レティシアは寝起きで状況を理解できず、しかも即座に二度も絶頂した混乱の中、しかし敵意を失わずに自分へ覆いかぶさる人影に強い視線を向けた。
 ズクン、ズクンと子宮が疼いているのが分かる。
 まるでお腹全体が痙攣しているかのようだ。
 その美貌を屈辱と羞恥、そして混乱に強張らせながらの言葉に――覆い被さっている影がクツクツと低い声で笑う。

「凄いな――もう十分だと思って起こしてみれば、まだ抵抗するか」
「何者っ!!」
「さあ? 名前は無い」

 それが男の声だと気が付くと、自分の不利を気付かせないようレティシアは更に鋭い視線で顔が見えない男を睨みつける。
 体勢の不利、体格の不利、腕力の不利。
 理由は分からないが、魔法が使えない状態でこの不利は……女として致命的だ。
 それを気付かせないようにレティシアが睨みつければ、男の手が自分の手に重ねられた。
 しかも、あろう事か指まで絡ませてくる。
 ……まるで、恋人たちがそうするように。
 ドクン、とレティシアの胸が高鳴る。
 それは、夫との情事を思い出してしまう他人の体温だったからだ。

「ゃ、やめて……」
「くく……随分と弱々しい声だな、女王レティシア。夫への愛は、手を握られただけで揺らいでしまう程度なのか?」
「――――ッ!!」

 その言葉と同時に、レティシアは反対の手を振り上げた。
 夜の寝室にパンッ!という乾いた音が響く。
 男の頬をレティシアが平手打ちしたのだ。
 その衝撃で男の顔が僅かに横へ向くが、けれど男は気にしていないのかまた低い声で笑う。
 そして。

「相変わらず乱暴な性格だ。これは、勇者も手を焼いたんだろうな」
「貴方に何が分かると――ォぉおおっ!?」

 レティシアの反論の途中で、逆の手が彼女の豊満な胸に乗せられた。
 そのまま純白の下着の上から力強く胸が揉まれてしまう。
 本来なら乱暴で、何の技巧も無く、ただただ痛いだけだろう――大振りの果実のように豊満な胸が瓢箪のように歪み、下着の裏地に肌が擦れてしまう乱暴な揉み方だ。
 だというのに、レティシアの表情が驚愕に歪み、その唇からは甲高い悲鳴が漏れてしまう。
 ジン、と痺れる刺激が胸から迸り、目の前が真っ白になる。
 胸に向いていた驚きに染まった視線が見開かれ、そのまま半眼となって女王の美貌を快楽に蕩けた女の貌へと変えてしまう。

「ひっ、ふぅう!? なっ、なんれっ!? やっ、っぁあああっ!?」

 そのまま男がグニグニと乱暴に胸を揉むと、そのたびにレティシアは自分が絶頂していると認識させられてしまう。
 あまりの気持ち良さに下半身が勝手に暴れ、両脚がシーツを乱しながらベッドを蹴る。

「ふぁあっ!? とめっ、とめなさぃ! そのてをぉおっ!?」

 レティシアが止めろと訴えるが、男はそのまま胸の形が変わってしまいそうな、下着の金具が歪んでしまいそうな力強さで胸を揉み続ける。
 シュッ、シュッと衣擦れの音が聞こえる。
 肌が硬い布地や金具と擦れて、赤くなっていく。
 痛いはずなのに――その痛みすら気持ちいい。
 二人の娘を育てた胸はまだ僅かに母乳を蓄えていたのか、ブラジャーの中央部分が灰色に変色していくほどだ。

「ひっ、くぅう!? とめっ、なっ、なんれっ!?」
(こんな……こんなっ!? 胸が熱いっ、溶けるっ、胸が溶けるっ!?)

 本気でそう感じたほど、気持ち良かった。
 ジンジンとした痺れは夫に揉まれた時よりもはるかに強い刺激であり、しかも一揉みだけで頭が真っ白になってしまう。
 絶頂していると自分でも気付いているが、認めたくなくて必死に拒絶の言葉を口にする。
 けれど男は手を止めず、まるで子供が玩具で遊ぶような気軽さで、そして相手の事など少しも気にしない乱暴さで揉んでくるのだ。

「くぅうううっ!?」

 レティシアはあっという間に次の絶頂へ追い込まれると、激しく腰を浮かせて痙攣した。
 自分に圧し掛かっている男を持ち上げるほどの力強さだ。
 そして、腰を浮かせたまま数秒、情けない痙攣を披露してしまう。

「ああっ、やだ――これはぁ……っ」

 しかもその際に指を絡ませた手に力を籠められると、まるで恋人同士の睦み事のような気持ちになってしまう。
 女王の細い指と、何者かも分からない男の指が握り逢えば、お互いの体温と気持ちが伝わってしまうようだ。

(あぁ……ごめんなさい、ごめんなさい、アナタ……)

 レティシアは心の中で夫に謝罪するが、

「くぅう!? まっ、なんでっ!?」
「何故って……俺がまだ満足していないからさ」

 男はレティシアの状態など少しも気にした様子も見せずにそう言うと、激しい絶頂を晒したレティシアの胸を更に激しく揉み、それどころか今度は下着のフロントホックを外してしまう。
 下着に押し込められていた巨乳が解放を喜ぶように震え、その全容を露にした。
 かなりの大きさだ。
 よく見れば顔が見えない男はかなり大柄だが、そんな男の手でも掴み切れないほど大きな胸。
 しかも柔らかさも相当で、掴めば指の合間から乳肉が漏れ出てしまうほど。
 仰向けになっていることで僅かに垂れているのは、二児の娘を育てたからだろう。
 乳首の先端から僅かだが母乳を滴らせる胸を前に、男は空いている手と顔を近付ける。

「ひっ!? やめっ!?」

 人妻で、性経験のあるレティシアは何をされるか理解し、悲鳴を上げる。
 夫である勇者もそうだった。
 男好きする童顔に不釣り合いとしか表現のしようがない豊満すぎる胸。
 男はその片方を手で乱暴に揉み、もう片方に顔を近付け――乳首に吸い付いた。

「ふぅううっ!?」
(やだ、いやぁ!? 気持ち悪いっ!? 気持ち悪いっ、のにぃ……ッ)

 けれど、感じるのはそれだけではない。
 もう十年近くも性行為を忘れていたからだに、突然与えられた快楽。
 見知らぬ男に与えられた嫌悪感よりも、頭の中が真っ白になってしまう快楽の方に意識が傾くと、レティシアはまた思考の中で謝罪の言葉を口にする。

(ごめんなさいっ、ごめんなさいっ、アナタっ)

 夫としか性経験がないレティシアは、この行為がとても悪い事に思え、何度も何度も謝罪する。
 紅玉を連想させる瞳からは罪悪感からの涙が溢れ、口からは強○と共に嗚咽が漏れてしまう。
 レティシアとて女王である前に、一人の女性である。
 好いた男に対する不貞の気持ちには、どうしても涙が流れてしまった。

「んー……いい母乳だ。魔力に溢れて、力が漲ってくる」
「――ッ!! やめてっ!? それはメルティアの、マリアのものなのにっ!!」
「違うさ、レティシア。これは俺のものだ。母乳も、胸も、その身体も……全部」

 男はそう言い切ると、またレティシアの胸に顔を埋める。
 そのまま音を立てて乳首を吸えば、レティシアは腰が抜けそうなほどの快感に襲われてまた腰を浮かせるほどの激しい絶頂に至ってしまう。

「ひぁああ!? やだ、止めてっ!! もうやめてっ、やめなさぃい!!」

 それでも女王としての威厳を保ったまま強い口調で言うと、空いている手を男の背中に回した。
 そのまま服を掴んで引き剥がそうとするが、けれどそれは、まるで自分から抱きしめているようにしか見えない。
 両脚は脱力と硬直を繰り返し、メイドたちが整えてくれたシーツを激しく乱してしまうだけ。
 自分に覆いかぶさっている男を蹴る事も出来ないままガーターベルトとストッキングで飾られた美脚を暴れさせれば、数十秒ごとに腰を浮かせる激しい痙攣を披露してしまう。
 恋人同士のように指を絡めたまま不貞の絶頂を何度も披露すると、ようやく男の顔が胸から離れた。
 十数分もの間、舐めしゃぶられていた乳首がようやく解放される。
 そこには男の唾液に濡れ、痛々しいほど勃起してしまった僅かに色が濃くなった人妻の乳首が露になっている。

「はひ……ひぃ……」

 そしてレティシアは、どうして自分がこんなにも感じてしまうのか分からないまま十回以上も絶頂させられ、混乱と同様、そして堪えきれない快感の余韻で半ば白目を剥いたまま荒い呼吸を繰り返している。
 ……いつの間にか、自分から男の手を握るように指へ力を籠めていたことにも気付かないまま。

「レティシア」

 男が名前を呼ぶと、顔を近付けてくる。

(ぁ、やだ……)

 銀髪の女王はそう言って拒絶したかったが、数十秒おきの絶頂によって全身が弛緩し、抵抗する気力が湧かない。
 そのまま男と唇を触れさせると……その紅玉色の瞳から新しい涙が溢れた。

(ごめんなさい……アナタ)

 勇者への罪悪感で胸がいっぱいになる。
 ほんの十数分で女王としての、妻としての矜持を粉砕された女は泣きながらその口付けを受け入れてしまう。
 最初は触れるだけだった口付けだが、男が舌で突いてくると自分から唇を開ける。
 生暖かい他人の舌が口内へ侵入し、歯茎を舐め、自分の舌に絡んでくると、ゾクリとした震えが背筋に奔る。
 その間も指は絡ませたまま、開いた手は胸を揉み続けていた。
 気持ちが繋がり、自分でも信じられないほど敏感になった胸からの快感、そして生暖かい粘膜ごしに重なった舌からの快楽で全身どころか頭まで溶けてしまいそうだ。

「ふーっ、ふーっ」
(なに、これ……なんでこの男、私の弱い所ぉ……)

 男の舌使いは巧みというだけでは説明できないほどレティシアの弱点を熟知したものだった。
 それにレティシアの方も、もう何度もこんな経験をしているかのようにあっさりと受け入れてしまっている。
男の舌が自分の舌に触れた瞬間から、今度は自分から舌を絡ませてしまうのだ。

「ふぅっ、ふぅ……ッ!」
(いや、いやぁ……こんな事、こんなことしたくないのにっ!)

 頭ではそう思っているのに、レティシアの舌は言う事を聞かずに男の舌に絡みつき、流し込まれた唾液まで飲み込んでしまう。
 そうすると口内だけでなく喉も、胃も熱くなっていくかのようだった。
 いや、実際に熱くなっているのだ。
 身体の芯から熱くなり、汗が溢れ、全身が火照ってしまう。
 下着しか身に着けていない肢体が汗で締めれば男との密着感が増し、今更ながら男が裸であることに気が付いた。

「や、めっ……はなれ、へ……」

 口付けを交わしたまま、それでも必死に否定の言葉を口にする。
 けれどレティシアはすでに自分から舌を絡ませており、絡ませた指は男の手の甲が白くなるほど力が込められていた。
 男は敢えてそれを指摘しないままレティシアの唇から離れ……舌だけを伸ばす。
 すると、レティシアは何も言われていないのに男の舌に吸い付き、唇を窄め、陰茎へ奉仕するかのように男の舌を咥えたまま枕の上で顔を前後させてしまう。

「はっ、はぅ……やら、なんれ……こんな事、止めてぇ……」

 自分から男の舌に吸い付きながら「やめて」というのも変な話である。
 男はそんなレティシアの反応を楽しそうに眺めているのに、レティシアは屈辱を感じながら奉仕を止められない。
 そのまま何度も何度も男の舌を嘗め、しゃぶり、吸い付き――そして、その背に回している手に力を籠めると、本人は意識しないまま男の身体を抱き寄せる。
 勇者と共に魔王と戦ったレティシアの腕力は魔導士とは思えないほど強く、普通の女性よりはるかに上だ。
 そんな腕力に抱き寄せられると男の身体と美肢体が密着し、より性感が増してしまう。

「ぁ……」

 レティシアが本能に従って男を求めるようになると、男はその唇を離してしまう。
 ……レティシアの口からは寂しげな声が漏れ、直後、そんな自分の反応を恥じる。

「貴方は、何者なのですか……?」

 その声は、目覚めた直後の時と比べれば、とても弱々しい声音だった。
 ようやく女王から険が取れ、非力な女らしい声が聞けたことへ満足したように、男が嗤う。

「なに。ただのインキュバスさ――ただ、ここ最近はお前から魔力を吸っているからな。かなり力が強くなった……感謝するよ、レティシア」

 男……インキュバスと名乗った魔物はそう言うと、胸を揉んでいた手を離し――その手を背に回すと純白のショーツの上から豊満な尻を鷲掴みにした。
 たったそれだけでレティシアは「きゃっ」という少女のような声を上げ、全身を強張らせる。
 胸や口だけではない。
 まだ触られていなかったお尻も……いや、肌全体が異常に敏感になっていた。
 久しぶりの性的な快感を得た影響だけでは説明が出来ない――夫との性行為でも感じる事の無かった激しすぎる快感だ。

「いっ、インキュバス……っ」

 レティシアはその名前を知っていた。
 魔物インキュバス――魔王が生み出した男性型の淫魔。
 女性を篭絡する事のみに特化しており、戦闘能力は皆無。
 だが、こうやって一度肌を合わせてしまえば……いくらレティシアのような実力のある魔導士であっても、抵抗できない。
 女にだけ強い魔物。
 しかも、戦いではなくこういったベッドの上でだけ。

「けどっ、たった一度肌を重ねただけでっ!?」
(どうしてこんな、敏感に?)

 しかし、レティシアが言うように一度肌を重ねただけなら、レティシアなら抵抗できたはずだ。
 篭絡される前に攻撃すれば、簡単に倒せる程度の実力しかないのだから。
 だというのに……。

「ひぐぅうう!?」

 インキュバスの腕の中で、レティシアの身体が激しく痙攣した。
 その名前を聞き、相手が魔物だと分かれば手加減する必要など無いのだから。
 強力な魔法で吹き飛ばしてやろうと思ったのに――魔力を練った瞬間、腹の奥、子宮が疼いて強○的に絶頂させられてしまう。

「はっ、はっ!? なっ、なんれっ!?」
「最初もそうやって絶頂しただろうに……馬鹿だな、レティシアは」
「ばっ!? ふざけなっ!? くひぃい!?」

 侮辱の言葉に怒って魔力を噴き出せば、並みの魔族ならそれだけで吹き飛ばせるはずなのに、しかし現実にはレティシアが一方的に絶頂してしまうだけ。
 そのまま男の手が尻を揉み、絡めた指に力を籠めれば、抵抗心が湧くどころか、むしろ男の体温を受け入れて自分から指を絡めてしまう始末。
 男が顔を寄せてきた。
 口付けではない。
 ハーフエルフの人間よりも長く、エルフよりも短い耳に口を寄せ。

「気持ちいいだろう?」

 インキュバスが言うと、ゾクリと背筋が震えた。
 お尻を掴んでいる手に力が込められ、絡めた指をもっと強く握られる。
 それだけでゾクゾクとした快感が背筋を奔り、魔力を編んでいないのに腹の奥が疼いてくる。

「ぁ、やだ……だめ、これだめ……だめっ」

 レティシアはインキュバスを見ず、ベッドの天蓋を見上げながらそう呟く。
 ゾクゾクとした疼きがどんどん大きくなっていく。
 それを堪えようと全身を強張らせる。

「ほら、絶頂しろ」

 ……ハーフエルフの女王の耳に、インキュバスの低い声が響く。
 もう、夫の顔も思い出せなかった。
 頭の中が桃色に染まり、腹の奥の疼きがさらに強くなり、お尻を掴んでいる男の手のぬくもりを感じ、絡めた指の硬さを実感してしまう。

「絶頂しろ、レティシア」
「ぁ……あぁ……」

 そう呟かれた。
 男の低い声が頭の中で反響すると、レティシアはたったそれだけの刺激で絶頂してしまった。
 ブルリと全身が震え、腰から力が抜け……あろう事か、インキュバスの腹の下でおしっこを漏らしてしまう。
 絶頂の脱力感と放尿の解放感に腰から下だけが痙攣し、ショーツと、お尻の下にあるシーツが濡れていく感覚がまるで現実では無いかのようだ。

「よくできました」

 インキュバスはそう言うと、レティシアの頭を撫でた。
 美しい銀色の髪を梳かすように撫で、耳にふっと息を吐く。

「な、なんでぇ……」

 たったそれだけなのに、腰が抜けるほど気持ちが良い。
 レティシアは自分の状態が理解できないまま子供のように頭を撫でられる――その快感に、酔いしれてしまう。
 重ねた手が、絡めた指が、触れあう肌が……ただそれだけで気持ちが良い。
 訳が分からない。

(こんな、こんなのはじめて……)

 どうしてこうなったのか。
 何故こうなったのか。
 何も分からない。
 理解できない。
 分からないのに、ただただ気持ちが良い――まるで身体中……いや、気持ちの中まで見透かされ、開発されてしまっているようだった。
 すでに自分の弱点の全部を丸裸にされているような心地良さに、レティシアの頭の中が真っ白になっていく。

「さて、と……相変わらず、簡単に股を開くな、レティシアは。仕事が忙しいようだし、欲求不満なんだろうな」
「ち、ちがう……」

 侮辱の言葉に反論するが、けれど蔑まれる言葉が心地好い。
 声が子宮に響くような感じがした。
 ゾクゾクと腹の奥が震え、何もされていないのに陰部からは愛液がにじみ出てしまう。
 おしっこで透けて見えるほどまで変色した純白のだったショーツの下で、頭髪と同じ銀色の陰毛に飾られた陰部がすでにうっすらと口を開いている。
 インキュバスがレティシアの美肢体から身体を離すと――レティシアは何かを予感して、その表情を強張らせた。
 口付けや胸、尻への刺激だけで与えられた連続絶頂で力が入らない身体に鞭打って、必死の形相でベッドの上を這って逃げようとする。
 ……インキュバスへ背を向けて。

「どこへ行こうとしてるんだい、レティシア?」
「ゃ、やだっ!? 誰かっ、だれかある!?」

 レティシアがなけなしの力で声を荒げたが、反応は無い。
 いつもなら資質の外に護衛の騎士が控えているはずなのに。

「言っただろう? 君の魔力のおかげで、俺の力は強くなったって。今なら、男相手でも眠らせることが出来る程度には、強くなったのさ」

 インキュバスはそう言うと、下着姿のまま背を向けて逃げようとするレティシアの頭を掴んだ。
 そのまま乱暴に引っ張ると……あろう事か、先ほど嬉しくて漏らしてしまったおしっこに濡れたシーツの上に、女王の美貌を押し付ける。
 自分のおしっこによる生暖かい濡れた感触に、レティシアが表情を歪ませた。

「いや、いやぁっ!!」
「いつもその反応だな――生娘ではないだろうに……夫へ操を立てているつもりなんだな」
「ふざけないでっ! いっ、今ならっ、今なら見逃してあげる――見逃すからっ!」
「その言葉もいつも通りだ」

 レティシアは今までの無抵抗が嘘のように身体を暴れさせた。
 当然だ。
 女として、人妻としての本能が訴えている。
 このインキュバスは自分を○すつもりなのだと。
 だというのに――自分のおしっこに濡れたシーツに顔を押し付けられ、後ろに向かってお尻を突き出すような格好なのに、レティシアはそんな屈辱に性的な快感を覚えてしまう。
 腹の奥の疼きがますます強くなり、もう一秒だって我慢できない――最強の魔導士レティシアでも認識できない、インキュバスに刻まれた刻印。
 “初めて犯された十日前、無防備に眠っている間に、一方的に刻まれてしまった”のだ。
 それにより、レティシアはもうどう足掻いてもこのインキュバスには勝てない。
 大陸最強の魔導士と十日前まではただの何処にでも居るような魔物の一匹でしかなかったインキュバス。
 その魂が繋がり、そしてレティシアはこのインキュバスが望むときに発情し、肉体に変調をきたし、逆らえない。
 今は一方的にインキュバスへ魔力を供給し、その際の魔力吸収の快楽に絶頂してしまう程度だが。
 いずれ、精神もこのインキュバスへ従うようになるだろう。
 臍の下にある子宮の形に浮かび上がった紋様が淡く輝くと、それにあわせてインキュバスは自分の魔力がまた一段、強くなったのを自覚した。

「やめてっ!! お願い、それだけはっ!!」
「そんなに嫌なのか?」
「あっ、あっ、当たり前ですっ!!」

 レティシアは自分のおしっこで顔を汚す屈辱すら忘れて、荒い言葉を向ける。
 当然だ。
 好みは勇者である夫に捧げ、そして二人の娘に恵まれる幸運を知ったのだ。
 その身体を魔物なんかに穢されるなど、耐えられない。

「おっ、おねがい……ああっ、いや、いやぁあっ!!」

 けれど、インキュバスはそんなレティシアの悲鳴に興奮し、陰茎を勃起させると硬くなったソレを下着越しにレティシアの豊満な尻に擦り付けた。
 そのおぞましい刺激に女王は悲鳴を上げ、けれど胎の奥は自分に刻まれた紋様の主の熱に興奮してしまう。
 魔物に子供を作る能力は無い。
 人と魔物では、子供を作れない。
 そうと知っていても、レティシアは怖い。

「いやあぁああ!? だれかっ、だれかっ!!」

 助けを求めるが、誰も来ない。
 この十日間でレティシアの魔力を得たインキュバスによって、王城内の全員が眠ってしまっていた。

「ははは。無駄さ。無駄、無駄――」
「くぅうううっ!!!!」

 ならばと、レティシアは最後の力を振り絞って何とか可能な限り背後を向き――。

「こっの――ぉぉおほぉおおッ!?」
(耐えるっ、耐える耐える耐える――たえるぅううぅう!!)

 渾身の力で魔力を練り、全力で全身を力ませる。
 この夜で一番濃い魔力を練ったことで下腹部の紋様が激しく反応し、その輝きは新月の輝きで青く染まった夜闇の中を照らしてしまうほど。
 それに合わせてレティシアに子宮どころか脳天まで焼き尽くしそうな快感が襲い掛かった。
 一瞬で目の前が真っ白になり、身体が勝手に絶頂し、腰の痙攣が激しくなる。
 尻肉に感じるインキュバスの陰茎に自分から腰を押し付け、まるで男の精をねだるような大胆な腰の動きを披露してしまう。
 ――それでも必死にレティシアは歯を食い縛った。
 瞳から涙を流し、涎を垂らし、汗を吹きながら。
 それでも背後に向けた手に魔力を集め、インキュバスを攻撃しようとする。

「ほぉぉおぉおお!? はぎぃぃいいいいぃいい!?」
(だめっ、がまんっ、がまんん!? がま――むりぃいいっ!?)

 ――が。
 インキュバスはその手首を掴むと、そのままベッドに押し付けた。
 魔法を放つことだけを考えていたレティシアの抵抗はほとんど無く、放たれた魔法がベッドの一部を傷付ける……事もない。
 一応、危険だからと対応したけれど、無駄だった。
 魔法を放つ瞬間にレティシアはこの夜一番の激しい絶頂に襲われ、何もしていない股間から激しく潮を噴くと全身を壊れてしまったように痙攣させてしまう。
 そのまま何度も何度も潮を噴き、勢いがなくなっても身体の痙攣はしばらく続いてしまうほど。
 激しすぎる絶頂はレティシアの意識を吹き飛ばし……金髪の女王は、気絶していた。
 自分のおしっこで濡れたシーツに顔を向けたまま、白目を剥いてしまっている。
 あまりにも強すぎる快感で、開いたままの唇からは舌が伸び、可憐な小鼻からは鼻水を垂らす無様を晒し――。

「ぁ、ぇ……」
「さて。それじゃあ、今夜も魔力を貰うよ、レティシア。その後はまた、記憶を消してあげる……そして、また明日もよろしくな」

 ――インキュバスはそう言うと、汗と愛液、そしておしっこで濡れた汚い純白だったショーツを乱暴に太ももの半ばまで下げた。
 ショーツのゴムの後が残る大きな白いお尻、銀色の陰毛に飾られた陰部、そして女として致命的に恥ずかしい肛門まで晒してしまうが、レティシアは目を覚まさない。
 そのまま乱暴に犯されるが、気を失っているレティシアは人形のように揺れながら抵抗せず……朝まで犯されるのだった。






「ん……ん~……」

 翌朝。
 いつもより早い時間に、レティシアは目を覚ました。
 ベッドから起きると、身体の調子を確かめる。

「少し、身体が重いわね……疲れが溜っているのかしら?」

 そう呟くだけで、それ以外に身体の異変は感じない。
 昨晩の記憶を失った彼女はベッドから起き上がる。
 シーツや下着が濡れていたけれど、彼女はそれすら認識しないまま着替えるためにクローゼットの前まで移動した。

「今日はどれを着ようかしら」

 ふと、クローゼットの傍にある姿見へ映った自分の肢体を見る。
 清楚な色合いながらどこか煽情的な意匠が目立つ、大人びた純白の下着に包まれた美肢体だ。
 二人の娘を産んだとはとても思えない豊満な肢体を汗や愛液、おしっこで濡らしたまま……けれどそれを認識できない。
 当然――その下腹部に刻まれた、子宮の形に浮かび上がった卑猥な紋様にも。

「……やっぱり、汗を掻いたままだと気持ち悪いわね。朝に湯浴みをすると伝えていたけれど、準備は出来ているかしら?」

 レティシアは自分の異変に気付かない。
 十日前に魔力を奪われてしまった失態も忘れ、大陸最強の魔導士はこれからも夜になればインキュバスに魔力を奪われ続けることになることに今日も気付かないまま、平穏な生活を続けていく。

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