女性主人公ゲームにおける、ヒーロー性/ヒロイン性のバランス
要するに
「Hを見るには負けている必要がある」(ヒロイン観)
と
「主人公として勝って次に進む必要がある」(ヒーロー観)
が互いに衝突する話。
前者はエロリョナ目的で楽しみたい気分に必要で、
後者はゲームとしてやり込みたい/楽しみたい/先を見たい気分のとき必要
今まで衝突する話は何度もされてるので、ここでは
「役割論で見たエロリョナゲーム」と
「配分を変えるとどういった作品になるか」を整理してみたい。
最後に、「合体型を丁度良くするためのアイデア群」を少し書く。
エロリョナゲームを役割論で見る
役割論からエロリョナに関連ありそうな部分を引っ張ってみる。
(役割論上のヒーロー/ヒロインにおいて、性別は固定されない)
ヒロイン:
・守られる対象である(守れたかは別
・ヒーローの助けをする存在である(ヒーロー=ヒロインの場合は自助)
・時々危機に陥る存在である
・ヒーローの行動する理由の一つになりうる
要するにHな目、あるいはリョナられる被害者としての側面になる。
ヒーロー:
・敵を討ち果たす存在である
厳密には"ゴールに向かって正しい判断をして欠けた部分を取り戻すなどの目標を達成する"存在
・ヒロインを守る、助ける存在である
・強いヒーローは逆境を克服する。あるいは"成長して克服できるようになる"
通常ヒーロー≒主人公だが、
→ヒーローが二人居る
→女性がヒーロー
→ヒーローとヒロインが互いにとってのヒーロー、あるいはヒロイン
という構成のストーリーもある。
敵:
本来"障害"など別の言葉が正しいが、統一するため"敵"と呼ぶ。
敵を操作するゲーム(ヒロインを陵○するゲームなど)はゲーム性とエロリョナの方向性が完全に一致するので問題は出ないのだが、好みの問題としては完全に別の話となる。
よって、今回は敵としての立場の話題は対象外とする。
あくまで「主人公を操作しつつ、主人公や付属としてのヒロインがエロリョナされるゲーム」に限定する。
(その方向で極論を言えばエロリョナの極地は抜きツールだし、逆はお色気要素のある一般ゲームになってしまうので、良いバランスを探るのが本目的になる)
配分によるジャンルの変化
完全ヒーロー型1
主人公は完全に「強いヒーロー」であり、逆境としてはメインプロットレベルのものだけ。他は死亡時。
例:
・女性主人公でも、途中の拘束や陵○はあっさり目で、倒れた時や死亡時の話がメイン
傾向:
◎プレイヤーはゲーム性に集中出来る
△ゲーム性が高い故にストイックさが要求され、「エロリョナを見るためには難しいゲームをクリアする必要がある」という側面がある
→クリアできないと先のエロリョナを見られない
△レベル制の場合負けるのが大変な事になる場合もある
ストイックゲーマーによるストイックなエロリョナゲ。
我々ヌルゲーマーは対象のイベントやモンスターを見るために、頑張って攻略する必要がある。
(CGルーム方式は臨場感という意味で物足りない)
完全ヒーロー型2
男主人公となり、ヒロインを守るタイプ。
敵対、あるいはサブヒロイン等の女性も対象とする
例:
・ラ○スや商業エロゲなど
傾向:
◎ゲーム性とエロリョナが一致しやすい
△ヒロインや攻略対象が多くなり、差別化やボリューム作成が超大変。
シナリオやフラグ関係も複雑化する
△男主人公のことが気に入らないと感情移入しづらい(※1)
※1の要素がデカすぎて、良いとも悪いとも言いづらい
ヒーロー/ヒロイン合体型
主人公はヒーローであり、かつヒロイン(被虐対象)である。
ヒーローとして物語を攻略する傍ら、意図的、あるいは無意識的、あるいは外的要因によりヒロインとしてエロリョナの被害を被る。
例:
・街イベやエロイベのあるHRPG
・拘束/本番ありのH-ACT
・戦闘Hもの
傾向:
?ストイックさが重要ではなく、攻略自体は無理のない場合が多々ある
?エロイベ蒐集要素としての側面がある
△エロリョナ要素が攻略の邪魔になるときがある
△攻略要素がエロリョナを見たい時の邪魔になることがある(弱い敵に負けない
現状の多くの同人ゲームで見られる形式。
"?"で示した傾向は利点にも欠点にも見える。
ヒーロー成分を多くすれば、やり込みがいのあるゲームとなりやすく、"強い女性主人公"というイメージを保ったままエロリョナも映える。
ヒロイン成分が多い場合、エロイベの蒐集要素や、堕ちていく/堕とされる段階そのものを楽しむことができる。
"徐々に追い詰められる主人公"といった過程や結末を楽しめる。
一方で、
・先が見たいのに攻略がしんどくて見られない(ヒーロー成分が重要すぎる)
・わざと負けないと見られない(ヒーローとしての側面が強すぎる)
・堕ちすぎて正攻法が通じなくなる(ヒロイン成分が重すぎる)
といった問題が出るのもこのゾーン。
自分が"今"ヒーローを見たいのか、ヒロインを見たいのか?をバランス良く取れるというのは重要な要素に思える。
ヒロイン性偏重型
主人公のヒロイン性が重視される作品。
プロットによるイベントや、突発的イベント、繰り返しイベント等によりドンドン堕とされるタイプ
傾向:
◎ヒロインが堕ちていくのを堪能するのがメイン
?一応ゴールがある
△ステータス変動で攻略が難しくなり、詰む可能性がある
△攻略したいときに拘束や陵○が邪魔になることがある(ACTなど)
ゴールするのに色々な方法はあるが、正攻法ではクリア出来なくなる場合もある。
拘束も何度も連続するとレバガチャが大変だし、接触即本番も趣が損なわれる。
ただ、ヒロイン性重視なため、ゲーム性やゴールの仕方を見直せば問題なくエンディングを迎えさせることも可能なのと、最初からそのルートを用意している場合が多い
(完全に堕ちるのをゲームオーバーではなく一つの攻略ルートとしている、など)
ビッチ型
主人公はヒロインであるが、積極的にエロを採取するタイプ
傾向:
◎ゲームの方向性とエロの相性が良い。
△"最初から"性に積極的な主人公を好まない場合に合わない
これはこれでジャンルとして確立しており、好みの問題となる。
主人公はヒロインとしてエロを受け入れるが、ほとんどを糧としているので、基本はヒーロー的な行動に徹している。
合体型に対する解決案
上で述べた"ヒーロー/ヒロイン合体型"において、ヒーローとしての成長する側面とヒロインとして主人公に向けられる加虐は反発するが、解決出来ていないわけではない。
その例を挙げつつ、良さそうなモノを模索していきたい。
パラメータバランスゲーム化
・エロリョナな目に遭うと戦闘パラメータが成長する
・エロリョナな目に遭うと魂が穢れる
つまり、エロリョナな目には結構遭いやすく、発動した方が楽に攻略できる。
しかし、調子に乗って穢れるのを防がねばならず、「成長のためにエロリョナしなければならない」のような義務感を防いでいる。
これは同時に穢れ0/穢れギリギリのやり込みをも可能としている。
ゲーム性の綿密なバランス取りも重要なため簡単ではないが、エロリョナ前提のバランスと、その義務化防止として有効な手と思われる。
QTE化
道中の諸々を廃し、戦闘エロリョナ特化という点と合わせてこそでもある。
ある程度以上の難易度のQTEはストイックな話になってくるが、そこは成長要素やデッキビルドで補っている。
FPSやアクションゲーム中のQTEは賛否両論有るが、リズム天国は素晴らしいゲーム、みたいなもの。
ミニゲームを攻略に必須とするのは難しい、と言う話でもあり、なら独立させた方が良いネ、と言う話にもなる。
ADV化
いっそADVやロマサガのようにしてもいい。
例えばプリンセスサクリファイス。
濃密なシナリオが必要となるが、戦闘は限定されたモノとなり、お話の一部として楽しめる。
完全ねじれ依存
"ねじれ"とは、「プレイヤーが制御出来ないことによって、状況が変化する要素」であり、遊びの面白さの一つ。
ここでは"外的要因により強いプレイヤーもエロイベを受けることがある"という話に使用する。
移動中、戦闘中、行動中に罠やいたずらが発動し、状況が悪くなる。
どれだけ強くても意外な伏兵にやられるという楽しみがある。
それがいやなプレイヤーは装備や設定でONOFFしてもいい
序盤のエリアなど、「主人公が油断している」ことを表すのも良さそうだ。
ただ、大局(マクロ≒攻略の正否)を決めるほどのランダムはイライラになりやすい。
一定以上の油断行動をしたときなど、ミクロなランダムに特化するのが吉かも知れない。
あるいは、重要な行動をきちんと見抜いて止められれば余裕だが、それを見過ごすと普通にやられる、とかもアリ。
代償
過程で代償を拒絶してピーキーなバランスにするか、代償(穢れ)を受け入れてエロリョナされやすい身体(状況)になっていくかを選べるのも良い。
(代償を拒否して)ピーキーなバランス→やり込みとして楽しめる
(基礎戦闘力を保持して)安定したバランス→弱い相手にもエロリョナされやすくなる
ピーキー"の"バランスを考えるのが結構大変に思える。
(アクションならダメージも攻撃力も高くなる、RPGならクリティカル時のダメージがお互い上がる、など)
呪い/制約
呪いや制約によって、ターン数が限られている、あるいはスーパー能力はNターン、あるいはNフレームしか維持できない、みたいな仕組み。
油断や隙をあらわしていると言える。
問題は敵ごとにターン設定が必要なので、通常のRPGでやろうとすると大変と言ったところか
ポ○モンで言うとダイマックスみたいなものか?
ゲームオーバー前提バランス
脱出ゲームやローグライクなど、「失敗することが前提」のゲーム
倒されるのが当たり前でアリ、手順を知り運を味方に付けることで初めてクリアデキルし、それでOKという強みがある。
問題点は単純に作るのが大変というところか。
脱出ゲーム→ボリュームとの闘い
ローグライク→作成が簡単ではない
マインドレス方式
最後になんでもありの方法を。
理由付けは別として、何回でも特定のイベントを発動出来るようにする。
寝れば襲われるベッドに何回も寝るプレイも乙なモノ。
デメリットのある装備で負けやすくなるようにする、穴に自分で落ちる…などの動作を「前提にした」仕組み。
Skyrim+SexLabのような環境とでも言おうか。
手前味噌だがうちのミナーヴァとかがそんな感じ。
「興味はあるが正気を保っている」といったところだろうか。
整合性や主人公の人となりに影響するので、キャラクター性をある程度融通効くようにする(あまり喋らせない)など、違和感を無くすのが重要となりそう。
RPG=ロールプレイングだから、本来的には正しいのだが。
まとめ
主人公はヒーローとして成長し強くなり、攻略しやり込む要素を持ち、ヒロインとして押し留められ、陵○され、ステータスを穢される要素も持ち、お互いに反発している。
その中間をバランス良く持つのがエロリョナゲームの醍醐味と言える。
衝突問題を解決する方法は既に幾つかあるが、いずれもバランス取りやボリュームの増やし方、整合性、単純に作成難度などで課題が残っている状態ではある。
今後より良い仕組みが出るかも知れないし、この難しい課題に挑むこと自体が楽しいとも言えるかも知れない。