えびせんワークス 2020/05/01 19:10

エロリョナゲにおける二つの目的

というわけで持論整理の第二弾。

エロリョナゲームには
・「ヒーローとして動かし、ゲームとしてやり込むこと」≒成長させる
・「主人公をヒロインと見なしてエロリョナな目に遭わせること」≒堕落させる
という二つの目的がある。
便宜上、前者を「成長要素」、後者を「堕落要素」と呼ぶ。

そして、女性主人公ものではしばしば…というか大体においてこの目的は互いに背反になりうる。
今回はそのバランスを変えたとき、どういうゲームになるかをまとめてみる。

視点を変えているだけなので、前回の話と一部被る。

前提:目的の背反性について

難易度がなんであれ、最初は弱い、何も出来ない主人公を成長させ、ゴールへと導く。
主人公が変わらないゲームなら、プレイヤーが徐々に腕を磨き、効率的にゴールへ近づいていく。

一方で、主人公はヒロインであるなら、穴に落ちれば触手の溜まり場に落ち、捕まれば拘束され、身体を開発され酷い目に遭っていく。
(ヒーロー/ヒロインそれぞれの性別はこの際不問とする)

あくまで成長という意味では、前者が前進、後者は後退あるいは停滞と言えよう。
プレイヤーがゴールを見るまで突っ走りたいのか、留まってヒロインをいぢめていたいのか…?
その見極めや切替えに対応出来るとさらに一歩進められるかも知れない。

ちなみに、堕落モード≒姫モードと成長モード≒助けようとする女騎士モードのように分けたとしても、それぞれに成長要素堕落要素は欲しくなる。(別に要らないならこの話は終了)
よって、ヒーローとヒロインを包括する1人の主人公という前提で考える。

バランスの違いによるパターン

以下タイトルに書いた数値はパーセントとも言えるが、単純につぎ込むリソース量とも言える。
合計100を越えるタイプは作る労力が増えると同時に、互いが反発し合うデメリットもある。

成長重点(成長100)

プレイヤーや主人公の成長を重視し、ゲーム性が一切損なわれない調整。
ゲームオーバー時や特定イベントで避けられないエロがあるかも知れないが、成長阻害要素が少ないか存在しないタイプ。

○成長要素に全力で集中出来る。
△クリアしてしまった後の要素が薄い
△再び見るには最初から再走が必要

※こんなゲームに合うかも
・1周が短い短編
・リプレイ性が高い(隠された要素がある、複数回で変わる部分がある、など)

堕落もしっかり(成長80、堕落20)

堕落はアクセントとして用意しており、重いデバフが掛かったりして詰まないよう考慮されたもの。

○成長要素が損なわれず、やり込める
○ハプニングや休憩としてのエロリョナが印象に残る
△エロリョナ要素があっさりしているように感じてしまう

※こんなゲームに合うかも
・全体的に落ち着いたゲーム
・主人公のヒロイン性が低くても成り立つ、あるいはヒーロー性を高くしたいゲーム

成長堕落バランス型(成長50、堕落50)

堕落によるメリットデメリットが吟味され、成長要素を邪魔しないように設計されたゲーム。
堕落イベントで何かが穢れるが、経験値やお金が貰える。
売春要素やソナビアのシステムなどですね。

○ストレス無く堕落要素を攻略に組み込める
○「リソースのバランスを取る」という別のゲーム要素も楽しめる。
△バランスを取るのが厄介
△バランスが悪いと堕落が義務になったり、成長要素を阻害したりする。

※こんなゲームに合うかも
・呪いや評判など、堕落にメリットデメリットのあるパラメータ管理ゲーム(RPG/SLG)
・受け入れれば安定、受け入れなければピーキーな戦略を選べるゲーム
・堕落も戦略として組み込める内容


成長堕落多重型(成長80、堕落80)

成長要素堕落要素それぞれを作り込み、互いへの妨害をやりがいでカバーするタイプ。
カバー…というよりは、やりがいで無理矢理押さえ込むようなものでもある。

○徹底的に堕落も成長も極めることが可能。
○両目的ともにクオリティが高い≒やりがいが高く、名作にありがち

△難易度がかなり上がり、通常の攻略が難しい場合がある
 (ヒーローとして強い主人公を堕落させるため)

△互いの要素が邪魔をする場面がままある
 (雑魚に負けなくなる、拘束解除が面倒すぎる)

※こんなゲームに合いそう…というか理想論
・いずれも表現を徹底的に作り込まれたゲーム
・成長要素にやりがいを感じられるゲーム

※名作がやりがいのある難しいゲームになる場合はあるが、難しいゲームならなんでもやりがいがあるかというのはまた別。

成長堕落目標選択型(成長30~80、堕落30~80)

ゲームを成長要素重点としてプレイすることも、堕落要素重点としてプレイすることも出来るゲーム。
すなわち、プレイする時に応じて、別の主目標を立てることが出来るゲームである。

○最初にどういう方向性でプレイするのか、自分で選択出来る(強○されるでもなく)
○逆要素(成長重点プレイ中の堕落要素、あるいは逆)も、単なるハプニングや厄介なカベ程度として楽しめる
△各ミッションの方向性が逆になるため、話の目標設定や整合性があやふやになる


※こういうゲームに合いそう
・決められたお題をこなすミッション型
・実績が豊富に有り、方向性によってプレイスタイルを変える必要があるゲーム
・パズルや、ストーリーにゲーム性を左右されない短編など

「とある実績を取ろうと目標を立てる」ことを「ミッションを選択する」とみることも出来るので、同じモノとした。

クリア後堕落型(成長80、堕落50)

ゲームクリアまでは一気に突っ走ることも出来る。
一方で、クリア後やることがなくなった部分を補う形で、そこから更に調教要素を遊べるようにしているというもの。
要するにクリア後も遊べるSkyrimでありミナーヴァの冒険。

もちろん攻略の途中で堕落してもいいし、最初から堕落しきってからスタートしてもいい。

○成長要素と堕落要素、お互いの穴を埋められるいいとこ取り
△ともすればマインドレス(前後関係やキャラクター性を問わない)方式になるため、ヒロインの個性が無くなる。
△作るのが大変(ゲームとしてしっかり作り、堕落要素もしっかり…)

必然的堕落重点型(成長40、堕落60)

堕落するイベントや切っ掛けが多く用意され、かなり重篤なデバフが付く場合もあるタイプ。

○堕落をより多く大きく楽しめる。
△しばしばそれによって詰むレベルの難易度になることもある。

堕落要素による進行妨害を、成長要素によってある程度ごまかせるゲームもあったりする。
あるいはどれだけ堕落していても何かしら切り札があるなど、何らか打開方法は用意されている。

堕落重点型(成長20、堕落80)

デバフや後遺症を重点に見据え、開発の種類を豊富に備えたタイプ。

○内容やストーリーにも大きく堕落要素が組み込まれる
△通常の成長要素としてのゲームプレイからは離れていくこともある

必然的堕落重点型、堕落重点型はいずれもストーリーまわりが重要視されており、ADVとしての側面も強く感じる。

キッパリと成長要素を堕落要素と乖離しているゲームもあり、🦐もそういうの大好き。
(言い換えると、堕落イベントでどれだけむちゃくちゃにされても、成長要素へ重要な変更を行ってこないゲーム)

堕落型(堕落100)

完全に調教と化しているゲーム。
敵視点ゲームもとても良くマッチする。

仮に女性主人公のアクションやRPG、ADVなどであっても、調教が主目的ならそれはシミュレーションとすら言える。
クリアの目的として堕落目標も多いが、何らかの抜け道(という設定の攻略方法)がストーリー、あるいはシステム的に用意されており、有る意味成長要素として働く部分もあるでしょう。

○調教や堕落に主眼を置いたゲーム
△通常の成長要素重点なゲームではないため、普通の攻略は難しい、あるいは本来やりたかった要素をスキップしてしまうかも

※こういうゲームに合うかも
・場面が限定されており、なんとかして逆転を果たす
・堕落が全体の目的
・徹底的に堕落させられても解決の糸口が用意されているストーリー
・堕落による成長要素がある(💰や経験値が得られる、ストーリーが開放される、など)

まとめ

堕落という本来進行を止める要素を成長要素の補助として組み込んだり、あるいは堕落要素を成長要素の追加で補完したり、対応は様々に思える。

成長要素はゲーム要素として、エロはツール要素として見られがちだが、主人公≒ヒロインを開発する要素も目的にする方法はある。
これは、エロリョナゲが途中でいつでもシミュレーションの皮を被れる、と言うことかも知れない。

最初この話は「プレイヤーは北風と太陽両方になれる」という風に書こうとも思っていた。
北風は堕落させる操作、太陽は成長させる操作。

実績が一つの良い解決法に思えたのは、堕落に専念するか、成長に専念するかをプレイヤー自身が頭を切り換えてくれるのが良い点だからでしょう(成長堕落目標選択型)


ところで、数値の合計が100を越えてつぎ込まれたゲームは魅力があるように見えて、互いの要素が互いの進行を阻害したり、作るのが普通に大変で博打めいてきたりしている。

ただ、そういうのが作れることこそ同人やインディーだからこそ、と見ることも出来る。


毎年同じような話題が出てくる、と揶揄されがちですが、なんだかんだ話は前に進んで整理出来つつあるな~とは感じてます。
HowToの話は出来ませんが、自分のゲームがどういう方向性なのか、どういう方向性のゲームを作ろうとしてるのか検討出来るのは良いんじゃないかなと思います。

とりあえず今回の持論整理シリーズは本記事でおしまい。

おわり

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