スコムスscomscroll 2021/06/18 22:26

気まぐれフォール・アウト4(2)

何匹かの巨大ハエに犯された後、私は気を失っていたようだ。
目を覚まして、手首につけていたピップボーイを見ると、そこまで長い時間倒れていた訳ではなかったけど…
その間が別の何かに襲われなかったのは幸運と思うべきなんだろう。

汚れた股間を洗いたかったけど、川に近づいてみるとピップボーイの放射能センサーが激しく反応する。その水に触れてはいけないということなんだろう。
洗うのは諦めて、破れたズボンの布で出来るだけ拭き取ってみた。

気分はすぐれないけど、仕方ないよね。

とりあえず、ヴォルトに入る前に住んでいた町は近いから、家に帰ってみよう。
他人に見られることもなさそうなので、タイトスーツの上着を脱いで、腰に巻く。
上半身はアンダーウェアだけになったけど、寒い季節でもないし、大丈夫。
破れた股間周りだって、誰かに見られるわけではないが、一応これで少しは気が楽になる。

サンクチュアリ・ヒルズ。
綺麗だった町は核戦争で壊れ、ボロボロな住宅街の残骸しか残ってない。
でも、我が家を含めて、何軒かの家は所々風穴が通ってはいるけど、その形態を何とか維持していた。とりあえず雨をしのげで、夜は中で過ごせそう。

「何て言うことでしょう…ご主人様じゃないですか。」

びっくりして振り向くと、そこには家政夫ロボットのコズワースが立って…いや飛んでいた。私は嬉しさ半分驚き半分で色々と話しかける。

「コズワース。まだここにいたんだね…」

彼は1日も休まず、家の掃除や整理をしてくれていたそうで…にしては周辺の家と同じくボロボロなのはあまり変わらないけど、ずっと私達を待っていたらしい。
残念ながら、帰って来られたのは私だけ...なんだけど。

彼との会話で、この町に生存者はいないこと。そして、私達がヴォルトで冷凍睡眠されてから200年も経っていることが分かった。
なんてことだ。
じゃ、ショーンは…息子は生きているんだろうか…

悩んでいると、外からガチャガチャと人気を感じる。
コズワースが慌てた声で話しかけてくる。

「ご主人様、安全な場所で身を隠してください。町を荒らすゴロツキ共でしょう。たまに現れて家を壊していくので、本当に厄介な奴らなんですよ…」

パキン!!!

何かに強く殴られたコズワースは壁まで飛ばされて、床に落ちた。
そして、一目で悪い人達とわかるような印象の男3人が、物騒な武器を持って家にはいってくる。


フォロワー以上限定無料

本文の続きと追加イラストが見られます。

無料

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

記事のタグから探す

月別アーカイブ

記事を検索