ばぶばぶセラピー　哺乳瓶応募特典SS

//HONEY-BAYシリーズ

お昼のお客様が引いたこの時間帯は、ひとの流れがゆっくりになる。
休憩に入ろうと裏に回ると、最近入ったばかりの年下の男の子が、俺に声をかけて来た。一緒にお昼取りましょう、なんて人懐っこい大型犬のように。

あ、年下の男の子って言っても、ちゃーんと成人してるよ？
身長なんかは、大型犬に例えた通り俺よりも一回りも二回りも大きいし……と言うか、最近のコって凄く育ちがいいよね。

俺は席についてテーブルにお弁当箱を置き、ついつい自分の胸に目をやる。
控えめな胸が少しばかりコンプレックスなのは、彼女にママと呼ばれるようになってからずっとだったり。

俺の可愛い彼女は疲れが堪ると、男性に母性を求める。
そこは普通父性では、と思うかもしれないけど彼女にとっては「絶対的な包容力」=「ママ」と言う形式になってるんだと思う。
もちろん、ありのままの自分をありのまま受け入れてくれる存在って言うのが、疲労困憊な彼女には必要なんだなって理解してるつもりだよ。

だからこそ、俺はママになって彼女……
バブちゃんを甘やかしちゃうし、甘やかしてあげたくて仕方なくなっちゃうんだけどね。
毎日毎日、バブちゃんになるまで頑張ってる君を分かってあげられるママであるために。

「真琴さん」
「なぁーに……あ、ふふふ♡」
「……」

名前を呼ばれて、ついついママで答えてしまう。だけど、やってしまったと言う感情よりも、ぽかーんっとした表情を浮かべる彼が面白くて目を細めて笑ってしまう。
うちのバブちゃんも驚くと大きく口をひらいて、同じような表情をするから。ああ、そうだ、今日のデザートは林檎を擦り下ろして作ったジュースを哺乳品に淹れて飲ませてあげようかな。
そうと決まれば、帰りにはスーパーに寄ってとびきり甘い林檎を買わなくちゃ。

//END

～聖母彼氏のばぶばぶセラピー～/一条ひらめ様