真琴ママ～夜泣きバブちゃん～

//HONEY-BAYシリーズ

ママの腕の中で、コロンってバブちゃんが寝返りを打つ。
太陽の光をたーくさん吸い込んだ毛布にくるまりながら、スヤスヤと寝息を立てる。
それは頑張り屋さんのバブちゃんが、一生懸命毎日を生き抜くためにしていることのように思えた。

うちのバブちゃんは限界のその上まで到達して、倒れそうになった頃に全てが崩壊する。
産声を上げる赤ちゃんとは違う、我慢して我慢してブレーキが利かなくなった頃にやっと小さな声を出す。

「よしよし、よく頑張ったね」

ぽろぽろと涙を流しながらママの胸に抱き付いて『辛い』と『苦しい』と愛しい愛しいバブちゃんが訴えてくる。
バブちゃんがヒクヒクと嗚咽を零す度に、胸が苦しくなった。

バブちゃんの心のコップからあふれ出る辛いという感情を、少しでも楽にしてあげたくて……。
ママはただひたすらベッドの上でバブちゃんをあやす。

よしよしと背中を撫でながら、バブちゃんの瞼が重くなるまで何時間でも優しく囁きかける。
丸い輪郭を描く頬を流れる透明な雫が、乾くまで……。

「バブちゃんには、ママがいるからね」

――ママはバブちゃんの味方だよ。
そんな思いを込めて、眠りに落ちたバブちゃんの額にキスを一つ落とす。
くすぐったそうに肩をすくめてむずがる君が一瞬だけ笑ったような気がして、吐息交じりに微笑み目を閉じることにした。

//END

～聖母彼氏のばぶばぶセラピー～/一条ひらめ様