【新規】略奪された寝室~快楽に墜ちる妻の美肌#01
#01 背徳のキス——忘れられない法悦に、躯を痺れさせて
菜都美(なつみ)を部屋に招き入れた後も、翔一(しょういち)は無言だった。
いらっしゃい、とも、こんにちは、とも、社交辞令的な挨拶も告げず、翔一は無言で鍵をかけると、リビングへと引き上げていった。
おそらく——戸惑っているのだろう。
それは、菜都美も同じだった。
どうしてなのだろう。
口では言えないようなことを、ほぼ一日中、されてしまったというのに……。
許せない——。
翔一に対し、そう強く思うのと同時に、別の感情が芽生えつつあるのを、菜都美は意識させられてもいた。
心の底から、それを否定したとしても、肉体のほうは決して、忘れることはない。
思い出す度に、躯に震えが走り、すべてを投げ打っても構わない、と思うような強烈なあの魔淫から、菜都美は逃れられないでいるのだった。
玄関でパンプスを揃え、翔一が用意してくれたスリッパに替えると、翔一を追いかけるようにして、廊下を歩いていった。
リビングでは、Tシャツにグレーのパーカー、それにネイビーブルーのカーゴパンツというラフな恰好をした翔一がソファに座り、テレビの画面に見入っていた。
ソファの前の大理石風のセンターテーブルにはピラフとサラダ、包装紙に包まれたおにぎりと珈琲カップが置かれていたが、ひと目で冷凍食品とコンビニで購入したものとわかった。
翔一とは実家が隣同士で、いわゆる幼馴染みというやつだ。
学年こそ違うものの、中学、高校と同じ学校で共に過ごした仲で、菜都美が結婚した後も、断絶することなく、今に至るまで関係は続いていた。
そんな翔一と、菜都美が男女の関係になったことは、一度もなかった。
少なくとも、菜都美は翔一のことを弟のようなものだと、ずっと思い続けていた。
あの日、あのようなことがあるまで、は。
しばらくの間、菜都美はリビングのところで立ち尽くしていたが、その場を離れるとキッチンへと向かった。
翔一のシステムキッチンはかなり使いやすいもので、菜都美の自宅のキッチンと比べ、ついつい、毎日、ここで料理をすることができたら、などと考えてしまう。
が、翔一は自分で料理をすることがなく、妻どころか恋人も長いこと、いないようなので、宝の持ち腐れね、と菜都美はことあるごとに、告げていた。
もしかすると、こうして菜都美がこのシステムキッチンを使うことのほうが、一番多いのかもしれない。
冷蔵庫を開き、なかを覗き込んだ。
食材を眺めながら、献立を頭に思い描いていると、不意に背後に人気(ひとけ)を感じた。
振り返ろうとすると、腕を掴まれた。
冷蔵庫に、躯を押しつけられた。
腕を振りほどこうとするが、女の力では叶わなかった。
反対側の手で、叩こうとする。
が、それより早く、菜都美はキスをされていた。
あごを掴まれ、顔を上向けさせられると、唇を割って舌が入り込んできた。
——あぁ。
菜都美は愕然とした。
キスをされたとしても、相手の頬を強打し、突き飛ばせばいい。
そう思うのに、相手の舌を受け入れてしまうと、力が抜けていった。
菜都美の肉体が、あの時のキスを思い出してしまっていた。
何度——何度、菜都美はキスで、キスだけで、躯を蕩けてしまったのだろう。
キスの巧さでは、夫の敬太郎(けいたろう)と比べものにならなかった。
そもそも、敬太郎とはもう、半年以上も躯を触れられたことはおろか、キスをしたことすら、ないのだから。
「ん……んッ、んフン……」
鼻を鳴らし、菜都美は翔一とのキスに応じてしまっていた。
翔一の舌が蠢き、一方的に嬲った。舌の裏側に強引に入り込み、舌腹を擦りつけてくる。
さらに唾液が流し込まれ、首を振って逃れようとすると、髪をつかまれた。
菜都美の眦(まなじり)から涙が流れるが、翔一はそんなことで、キスを止めようとはしなかった。
——こんなの、キスなんかじゃない。
口腔をただ、犯されているだけ。
そう思うのに、菜都美の女体は敏感に反応した。
ブラジャーの下の乳首が疼き、腰を揺らした。
抵抗しようとする気が薄れ、全身から力が抜けていった。
「ん……あ……んッ、んフン」
呼吸が続かず、菜都美の視界が霞んだ。膝から力が抜ける。
と、その時を待ち構えたかのように、菜都美は躯を抱え上げられた。
冷蔵庫のすぐそばにあるテーブルに、横たえられた。
「菜都美……舌を突き出せ」
翔一に命令されて、ぞくぞくとしたものが背筋を走り抜けていった。
「あぁッ! だ、駄目……わかっているの、翔一くん。あたしは……人妻なのよ」
翔一が、菜都美のジャケットをめくりあげ、その下に着ていた黒のブラウスのボタンを片手だけで外そうとする。
「じゃあ、なぜ、わたしのマンションに来た? あんなことをしたばかりなのに、どうして?」
——どうして。
菜都美は口を開くが、その問いに答えることはできなかった。
できるはずがない。
答えはわかっている。が、恥じらうことなく、それを言葉にすることは、菜都美にはできなかった。
キッチンに立ったはいいが、翔一のために料理をすることなど、はなから頭にはなかった。
諫める言葉を述べながら、こうなることを——翔一に迫られ、躯を開かされることを、期待していたのだ。
唇を閉ざすと、翔一はブラウスのボタンを外すのを再開させてきた。
菜都美は抵抗しようとするのだが、それは振りだけだった。
ただ、翔一にされるままとなっていた。
菜都美のジャケットははだけられ、ブラウスのボタンはすべて、外されてしまった。
紫のシースルーのブラジャーが、のぞいた。下着を目にして、翔一の視線に昏さが増した。
口の端から涎が滴り落ちそうなほど、じっと見つめられ、菜都美の呼吸が乱れた。
二日前、この部屋で行われた情事のひとつひとつ——体位や喘ぎ声、濃厚な性臭と躯を灼き尽くすような悦楽を思い、菜都美は思考を停止させた。
このような展開となった以上、菜都美のたどる結末は、ひとつしかなかった。
成熟した壮年のおとこである翔一が、このまま、菜都美の女体にいっさい触れずに、帰してくれるなど、思ってはいなかった。
が——それは、菜都美も同様だろう。
菜都美は自らの罪深さに恥じ入るのと共に、これから行われるであろうことに思いを馳せ、期待に躯を震わせていた。
菜都美は無言で、唇を開いた。命令されるまま、舌を突き出した。
夫以外の男の命令に、従わされている。それを思うと、被虐心を刺激され、大きな悦楽が躯を貫いていった。
翔一が菜都美の顔を近づけ、突き出された舌の腹を、舐め上げていった。
舌先が粘膜を突き、擦りつけてくる。滴る唾液を吸われた。
くちゃくちゃとふたりの唾液が混ぜ合わせられ、それから、今度は菜都美の口へと流し込まれた。
いけないことをしている、という背徳感が、菜都美を悦楽の底へと引きずり込んでいった。
左手を掴まれると、それで恋人繋ぎをさせられた。指と指を絡め、躯を寄せられる。
——あぁ、翔一くんといやらしいキス、させられてしまっている。
ずっと、弟と思い込んできた相手と、恋人や夫婦でしかしないようなことを、しているのだ。
それを思うと、背徳感で頭の芯が痺れるかのようだった。
握られた手をぎゅっと握り、深く吐息をついてしまう。
翔一が舌を動かすと、菜都美も尖端を合わせるように、舌を動かした。
まるで、セックスをしているかのような、その科(しな)に菜都美はますます、昂っていった。
——こんなキス……夫の敬太郎ともしたことがない。
キスだけで、逝ってしまいそうだった。
唾液が流れ落ち、唇から零れ落ちていく。そのはしたなさに、菜都美は羞恥を覚えるのと同時に、被虐心を刺激されてしまうのだった。
「ここに来たのは、敬太郎の指示か」
菜都美の耳もとで、翔一がささやいてきた。
耳が性感帯の菜都美は、それだけで背筋をぞくりとさせた。
「い……いいえ。あ、あたしの意志です」
いつもなら、翔一に対して、こんなですますで話すことはない。
が、あんなことがあって以来——翔一を弟としてではなく、おとこと意識するようになってから、以前のような口が効けないようになってしまっていた。
翔一が、菜都美の耳たぶにキスをしてきた。
それから逃れようと、躯をずらそうとするが、舌が耳の孔に入り込んでくると、声が裏返った。
「あッ! ん、はぁン……く、うん」
双眸を閉ざした。
「や……やめて」
「どうして? 二日前のセックス三昧が忘れられず、ここに来たんだろう」
「…………」
否定は、できなかった。
もともと、セックスが好きだったのか。それとも、身を灼きつくすような法悦の責め苦に、熟れた女体が目覚めてしまったのか。
とにかく、もうセックスレスの日々に戻ることはできそうになかった。
「罪があるとしたら、菜都美を騙し、わたしとこういう関係になるように仕向けた敬太郎ではないか」
「敬太郎は……敬太郎のせいでは、ないです」
悪魔のささやきを翔一がしてきている、と思った。
彼のその言葉は、菜都美の心の負担を軽減するものでは決してなく、共犯者へと仕立て上げるためのそれだった。
悪いのは、あなたではない。だから、ともに色獄へ墜ちていってしまおう。
そう、誘いをかけているのだ。
翔一がじっと、菜都美の横顔に視線を向けてきた。
菜都美は視線を合わせるのが、ひたすらに恐かった。恋愛経験が少なく、若い頃を含めてセックスに溺れたことのない菜都美にとって、自分の肉体を求められていることは、素直に嬉しい。
快楽の誘惑から逃れられないことも、今日、ここに来てしまったことで、菜都美自身、思い知らされてもいた。
が、それで納得できるほど、菜都美は神経が図太くはなかった。
——罪があるとしたら、菜都美を騙し、わたしとこういう関係になるように仕向けた敬太郎ではないか。
先程、翔一が告げたその言葉を、菜都美は噛みしめていた。
『借金があるんだ』
五日前のことだ。そう告げた敬太郎の横顔を、菜都美は昨日のことのように思い浮かべることができた。
『え——借金? どういうこと』
そう聞き出すと、元クラスメイトで、今もつきあいのある翔一に、そんなに高額ではないが、小遣いで返済することのできない額の借金がある、と告げられたのだ。
理由を問いただすと、菜都美の従兄弟の竜樹に一度、金銭のやりとりをし、それ以来、何度もお金をせびられたと言う。
竜樹のギャンブル狂いは菜都美もよく知っており、やくざ紛いの裏金業者相手に借金までして、ついに三年ほど前、親からも縁を切られたのだった。
竜樹は数回、菜都美の家を訪れたことはあるのだが、いずれも借金の申し込みだった。
もともと、生活にそれほど余裕のない菜都美に、ギャンブルで空費されてしまうことがわかりながら、金銭を渡せるはずもない。
竜樹が叔父から絶縁を申し渡されてからは、菜都美も家にあげずに、門前払いにしていた。
敬太郎にも、竜樹にお金を渡してはいけない、としつこく、告げてはいた。
が、きっと、お人好しの敬太郎は竜樹に、言いくるめられてしまったのだろう。
少額ながら、金銭を渡してしまったという。
一度だけ、のつもりが額はだんだんと膨れ上がり、菜都美に禁止されていた手前、正直に明かすことができなかったという。
逆に、竜樹から菜都美に金銭を借りていたことを告げると脅されて、仕方なく翔一に借金をしてしまったらしい。
今はもう、竜樹とは金銭のやり取りはしていないと言う。
菜都美が自ら、竜樹に連絡を取り、確認はしたので、それは間違いないのだろう。
そして、今度は翔一の借金を返済しなければならない、ということになった。
が、翔一は菜都美が一ヶ月の間、彼の家に出入りをし、家事をしてくれたら、借金を免除する、と言っているという。
菜都美は、以前から翔一の家に出入りしており、何かと世話を焼いていた。
それはただ、結婚後も弟のおせっかいを焼くようなもので、特別な意味などなかった。
しかし、それに対して、敬太郎はいい顔はしていなかった。
それは、当然だろう。結婚後も、幼馴染みの独身の男の家に出入りするなど、通常ならば浮気を疑って然るべきと言えた。
その翔一の家へ、借金を返済するためとはいえ、通うことを許されたのだ。
そもそも、翔一と敬太郎は元クラスメイトとはいえ、菜都美の目にも親しいと写ってはいない。
その翔一に、敬太郎が借金をした——その事実を、菜都美は疑うべきだったのかもしれない。
が、借金のもとの理由が、菜都美の従兄弟である竜樹である、ということに負い目を感じていた菜都美は、深く考えることもなく、これまでと同様、翔一のマンションへと向かったのだ。
それが、敬太郎と翔一、ふたりが示し合わせた罠であることに、気づきもせず。
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新規小説の序章部分、書き上がりましたので、公開します。
FANBOXで記した通り、第1部分はFANBOXとpixivで無料公開します。
第2部分以降はFANBOXで限定有料公開し、終章を書き上げましたら、FANBOX内の公開部分を削除し、BOOTHにて販売する予定です。
小説の内容ですが……NTRものです。
借金の返済目的で幼馴染みのもとを訪れた妻が、夫と幼馴染みの奸計にかかり、寝盗られの罠にはまってしまう、という内容です。
今回は、夫視点をちょっと増やそうと思っております。NTRもので興奮するのってやっぱり、パートナーが悦楽にはまり、しかし、夫側がどうすることもできず、嫉妬でじりじりしてしまう描写にあると思うのですよ。
ですので、過去作の『深緋の爪紅~おねだり妻の寝室』や『淫妻』『羞恥~恥辱の視姦プレイ』はそういう視点がちょっと、少なかったかな、と反省しております。
シチュエーションとしては……
「強●された後、官能を忘れられない妻が再び幼馴染みのもとを訪れ、セッ●スを求める」
「前日のセッ●スが録画されていたことに憤りつつも、そのDVDを鑑賞しながら、緊縛プレイで逝ってしまう」
「妻が犯されているDVDを再生し、興奮してしまう夫。が、そこに録画されていたのは……」
「さんざん、焦らされた末、中出しセッ●スを求められ、調教された躯は抗することができず、従わされてしまう」
「後日、妻から妊娠していることを告げられる」
などです。
序章部分以外はまだ、未執筆ですので、細かい部分は変更になるかもしれません。
それでは、第2部分以降の公開はいつになるのか、わからないのですが、楽しんでいただけると、うれしいです。
キャプション
菜都美はどこにでもいる人妻。夫の敬太郎とそこそこ、幸せな家庭を築いていた。が、ある日、敬太郎から、菜都美の幼馴染みに借金をしていることを告げられ、その時から家庭はひずみはじめる。幼馴染みの翔一の家を訪れた菜都美は騙され、緊縛された上で様々なヘンタイセックスを強○されてしまう。が、性に貪欲な菜都美の躯は、その時の悦楽が忘れられず、再び、翔一のマンションを訪れてしまう。一方、敬太郎はもともと、寝盗られの気質があり、幼馴染みに犯させたのも、自身が興奮するためだったのだが、菜都美が翔一によって調教されていく様を目にし、後悔しはじめる。菜都美の行動を抑止しようとするのだが、既に時は遅く、菜都美は翔一以外の男とも関係を持つようになっていた。菜都美の暴走は留まるところを知らず、ついに夫以外の男の子種を注がれ……。
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