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2022年 12月の記事 (3)

Quietude. 2022/12/22 03:16

2022年の編集手法の総括

同じところへ行けるあちこちへの道

頻出だったとか、やってよかったこととか、思いつきでやったとこととか。
だいぶ前からやってることも結構多い。
そーゆーことを書けとか言われがちでもある。

ワールダイズ

非常に原始的だけど効果的。失敗するとS/Nの悪いよくわからんファイルに成り下がる。
早い話が録音及び編集物をスピーカーから出して再びマイクで拾う。
畳み込みとかアルゴリズミックなものを使うよりも手っ取り早いことがある。
あとあんまり知識がいらん。数式やら長々とした英文マニュアルを読まずに済む。

利点

・まあ..リアルだよね
・コードやパラメータとにらめっこせずに済む

欠点

・外界のノイズがでかい場合は使いづらい
・体動かすのがめんどくさい
・モノによっては近所迷惑

お風呂で潜水中に話しかけられるというシーン用に、モノラルでとられた素材を空間を通してバイノーラルマイクで拾うとか4階くらいから目薬を落とすような感じ

自分でDPAの6060を加工してつくった自分の耳に装着して使うタイプのバイノーラルマイクなので風呂場で潜水する。湿気を抑えるために水風呂。2月にな。
まずは耳にマイクをセットして息をゆっくり吐いて思い切り吸い込んで潜る。
小学生の頃は地球温暖化で南極の氷が全部溶けて水没したときのために息を止める練習をしていたので2分以上潜水できたが今となっては40秒程度が関の山である。
まあ中学生の頃に水泳の県大会に選抜されたこともあるから水中は得意なんだ。たぶん。

しかし当然ながら失敗のテイクが山程ある。見てくれこのクソ波形を!


15秒程度のシーンのために電撃ネットワークも真っ青のセルフSMを行った。

そしてよくできた箇所だけをツギハギしてこういう体たらく

このあとさらに補正かけたりノイズを制御したりさまざまなプロセスがある。

サウンドデザインの人はだいたい持ってるAquarian AudioのH2aなんかだとけっこう上手く行かない。思ったよりもクリアである。

たぶん、外耳道と鼓膜の間に溜まった空気の層が水圧を受けた状態の"壁"がミソなのだろう。

ところでプールで泳いだあと妙に熱い尿が出るが、このときも出た。

サイドチェインエンベロープフォロワ

2つの効果音がそれぞれタイムラインに並べられているとして、それらを合体させて使いたい。音Aが鳴ると、そのメーターの通りに音Bのフェーダが動いたら合体して聞こえるんじゃね?みたいな状況のさいに有効。

利点

・素材を再利用できる
・非常に汎用性が高い
・運動せずに済む

欠点

・だめなこともある
・サイドチェイン可能なエンベロープフォロワまたはゲインノブ付きエフェクト代がいる
・使用ソフトによっては出来ない

散らかった部屋を歩く時を作りたい。しかし部屋を散らかすのはめんどくさい。
なのでまずはゴミをもじゃくったりそのまま足音を録ったり音源を鳴らしたりする。

足音

ゴミA

ゴミB

足音が鳴るたびに2つのゴミの音が鳴るように設定する。
足音のトラックのメータとゴミのメータが同期してると考えれば良い。
ProtoolsからCubase、Auditionほか概ねのDAWで可能だがAudacityとPyramixでは出来ない。

三身合体

当然ADSRといったパラメータを設定できるプラグインが望ましく、ついこの間までUVIのShadeという動くイコライザを使っていたのだが、最近はBoom LibraryのEnrageを使っている。

この方法だとゴミ成分を増やすとか、別のゴミ成分を加えるとか、足音だけでかくするなどの編集が容易である。少なくとも散らかして一発収録するよりかは。

後者も魅力的な音がとれはするのでどっちがいいかはケースバイケース。

ちなみにペッティング中の衣擦れとかだいたいこれで入れてる。
セリフと衣擦れのメータを同期する。あれはフォーリー的手法ちゃうんや。
みんな3個くらいの音源を機械で加工してるんや。

RX Deconstruct

絵にすると霧状に分布する成分と、横線によって表される成分、波形でスパイクを描く成分をそれぞれ分離してゲインをいじる機能。
使っていると、世の中には音の原料は3種類しかないことがわかるという学習用にも素晴らしい機能。

利点

・Spectral Denoiseでは取り切れなかったノイズの処理に有効
・ノイズフロアについて選択的には機能せず、あくまで成分のみを上げ下げ

欠点

・重いんじゃボケ!
・掛け過ぎはやっぱり劣化
・ノイズフロアについて選択的には機能せず、あくまで成分のみを上げ下げ

前々から様々な用途に使っていたがRX 10で羽ツールができてからというもの、いわゆるフォトショップでいう選択範囲のぼかしが可能になったのでより使いやすくなった。

セリフに被った衣擦れや低い場所にボォォーと通る大型車両の音はもちろんのこと、巨大なスイッチ音と小さな駆動音などのアンバランスな音源に対して有効。

つまるところこういった感じで、コンプレッサー代わりにつかえなくもないという。

かかり具合はこんな感じで結構自然。まあ設定にもよるんだけどさ。


ORTF3D マイクアレイ

利点

・モノラル、ステレオ、バイノーラルからNHK22.2まで幅広く変換できる
・可塑性の高い録音方式
・環境音にとてもよい
・アレイでとらないときは単体及び複数のマイクとして使い回せる。

欠点

・マイクが8本いるので値段する
・故障リスク8倍
・そのままでは使えないので変換を挟む
・セットアップがややめんどくさい

スーパーカーディオイドを90度づつ縦型のXYにして収録。
詳しい記事はこのへんに

ぐりぐり回せる環境音。
アンビソニックスは数学的なアプローチだが、これは音響心理学的なアプローチの録音
もちろんオクタスピーカーアレイのアンビソニックス録音的な変換も可能。
セットアップがちょっとめんどいけどね。

学校の先生のシール

https://www.amazon.co.jp/gp/product/B07YJGVRS2

利点
視認性最強伝説

欠点

・濡れるとよろしくない

連絡帳でおなじみのあのシール。
チャンネル割当をわかりやすくしたり、バミリに利用したり、近所の鉄工所の工場長からもらった金髪水着カレンダーに貼ったり、額に貼って千昌夫とか言ったり、インド人のふりをしたり、上半身裸のバトル系少年漫画の主人公の乳首に貼ると目線が吸い寄せられてストーリーどころではなくなる現象の再現と色々活躍。

AES72 ブレイクアウトボックス


CAT5eのLANケーブルで4chのオーディオ信号を運ぶ。
RJ45toコンボジャックのボード。
MIDIやDMXなんかも運べるのでシンセサイザーや照明にも使える。
生まれてはじめてCADを使って制作。

利点

・ケーブルも距離を買うと高いがこれならば伸ばすたびにリーズナブル
・自分で作ったから愛着がある

欠点

・10個も注文するんやなかった...。
・あくまで動かさない配線用。ステージマイクなどには使えない。

コンボジャックにしたのでインプットアウトプット兼用。ファンタムも流せる。
1ch1mあたり24円という非常にリーズナブルな運用が可能。
ほかにもDB-25コネクタtoRJ45やRJ45toTRSフォンジャックも作ったが一番気に入ったのはコンボジャック。わたくしじゃっくでございます。

あっちからこっちへ音を運ぶ際に使用。
尚、似たような製品がサウンドハウスでオスメスで4000円程度で売られており、中々品質もよいのでLANケーブルでオーディオを運びたい人は是非。

特に有効だなあと思ったのは機材to機材のルーティング
アナログサミングなんぞの裏面のDB-25メスコネクタにRJ45toDB-25オスでつないで運用することに対して実に効果的。

インパルス信号から空洞ガラスの響きを作る

椅子から一歩も動きたくない。息をするのも面倒だ。
そのうちケンシロウが来てゲイラ様よろしく北斗神拳で殺される程度には悪人なので、今のうちに断末魔を考えておこうかと思う。い、一体何をしやがりらば! とかそういう。

利点

・一歩も動かずに作れる
・IRとして利用可能

欠点

・録音したほうがいいことも多々ある


RXのシグナルジェネレータで空白を作り、それを拡大してつまんで持ち上げてインパルス信号を作る。そしてミニマムフェーズイコライザの位相シフトを利用して尻尾を引かせる。あとはDeclickなどで最初に作ったインパルスを取っ払って、後ろの方をフェードなどで整形して完成。

さらに作られた音源をAltiverbなどの畳込みリバーブにインポートすると

使用前→使用後

こんな体たらく。

ポモドーロ・テクニック


特にリップノイズや衣擦れノイズの多いファイルの除去中、5分進むごとにべつのファイルをやる。人間の集中力は長くは続かんらしいので、15分ごとに違うことをするやつの改変。だいたいうまくいく。

利点

・割と効率的

欠点

・別にマーカー打たなくてもよかったな...

でもまあ、過集中起こすタイプの人間なのであんまり関係ないかもしれない。

非常に長くなったので気が向いたら後半も書く

好みのタイプは色黒で風呂にあんまり入らない痩せた好奇心旺盛な女の子です、でも蒼白なまでに白くて引きこもりのむっちりしたいい匂いのするお姉さんも好きですとか、書く程度には現実逃避したいほど忙しい。
忙しいときに現実逃避で作るものはだいたい良いので、同人音声やらライブステージやらYoutube番組やらソシャゲ広告の編集作業の傍ら、台本も書いている。

まあたぶん、そのうちお披露目する。
あとよう考えたら俺、不健康なキャラに萌えてるな。

おまけ

スライムを利用して放屁の音をつくっていたとき、NeumannのKU100で録音したものがこちら。ペットボトルを半分に切ってスライムを詰めて、切った方から吹く!


耳に風圧を感じる生ぬるい屁。マニアにはたまらんだろうね。
ASMRだね

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Quietude. 2022/12/19 21:55

捻魔II

年末ですね。
僕はクリスマス以外は全部ミッシリ仕事なのであんまり関係ないです。
あんまり時給に換算したくないような苦行がないだけマシではあるんですが。

デートかと思った?
残念だったな。それはすでに先日右手で済ませた。

インチキメディアアーティストである俺

次回作音声「サカナ」用の販促ビデオ用の小道具を色々こさえている。
OpenSoundControlという音楽用の通信プロトコルがあるのだけど、パラメータを整数やら浮動小数点やらブールなんぞで多目的に送受信する目当てにちょうどよく、ロボット工学とかゲームプログラミングとかで結構よく使われているもので、携帯電話を並べてサイネージにできないだろうかみたいな発想があり、とりあえずシェーダなんぞが使いたい為にちゃっちゃとUnityでこさえてみる。


まあこれ、今年の盆くらいに暇つぶしに作ったものなのでまだまだブラッシュアップが必要ではある。GPS時計にけっこうちゃんとシンクロする。
でも通信環境によっては時々UDPというものの性質上、パケットはラグったり届かなかったりとかそういうこともままあり。とくにうちなんかだと有線は10GBpsのくせにWifiはTPLinkの激安ルータに端末大量なのでやっぱりぼちぼちある。

あとこれ、水没した状態で動く防水けーたいなので多少ラフな扱いをしても大丈夫なので設置場所を色々工夫できる。

Boom Library Enrage


いらじのような名前のエフェクト
効果音制作に必要なエフェクトが大量に収録され、それぞれをチェーンしたり、周期的または何かしらに合わせたパラメータを与えることによって動かすことが出来るとかそんなやつ。ついでに基礎的なジェネレータ及びクラックル(ぷちぷち音)ジェネレータも内蔵。
音Aに合わせて音Bを鳴らしたり、周期的に変化する音色にしたりなどドラマでも音楽でも使い良い。


5月でもないのにヒバリの鳴き声がほしいとかそういう際にも便利。
これ、もっとはやく欲しかったなあ。

ナルトレキソン

低用量ナルトレキソン療法というものがあり、かなりどんな病気にも効く、 果てはコロナ後遺症にも効くという謳い文句で、インチキ代替医療かと思いきや様々なクリニックで運用されているわりとエビデンスのある療法が存在したりする。

じゃあこのナルトレキソンって薬は何用の薬かといえば依存症の治療薬で、脳内のオピオイドレセプタに予めくっついておいてオピオイド(人工物でもエンドルフィンみたいな脳内の物質でも)の作用を遮断するといった感じの働きをするわけで、酒を飲んでも気分が良くならないとか、モルヒネをキメても気分が良くならないとかそういう作用を及ぼす。

脳内の物質もブロックする…これがまた結構ミソであり、過食や窃盗、痴○、買い物なんかの各種依存症に関る快感もブロックできるのでそういう用途にも使えるんじゃないかと欧米では使われていたり、 ついでに渇望感も和らげられるので、ヘロイン中毒の治療薬であるメサドンの代替としてはだいぶ活躍している。


さて、過労は痴○とかアル中とか万引き犯と同じジャンルの依存症というりっぱな病気であるわけだが、ソレ用の薬としてナルトレキソンというものがあり、本邦では数世代後のナルメフェンのみ認可でコレは未承認なわけだが、とりあえず個人輸入で手に入る。そんな怪しいもの摂取してどっか悪くなっても知らねーから自己責任でやれよって感じのやつ。
勧めはしない。

で、朝起きてズルズルと一日中仕事をして、飯食って寝る生活からいい加減脱却したくて2週間目ほど試した結果としては、食欲と性欲と買い物欲やたばこ欲があるにはあるが…まあ今はいいや…くらいに思えるようになった。つまるところ渇望感が和らいでいるといえる。

副作用としては軽い吐き気、飲み始めに下痢、上の作用を減退とするならば食欲、性欲、意欲の減退。快感が失われるかといえば決してそんなことはなく、20年くらい遊んでるゲームを遊んでも楽しいし、映画を見りゃ面白い。
各種減った欲求を満たそうとした場合、やっぱり手淫は気持ちが良いし食事はおいしい。
それらの量が少しでも満足しやすくなった気もする。

で、各種欲求がマイルドになったけどそんなこたあどうだってよくて、ズルズルと一日中仕事をしたくないのに今まさにRXで目を皿のようにしてリップノイズ探してるのはなぜだろうみたいな話、効率化しようがスタッフ雇おうが一向に減らない勤務(なんかなあ?)時間は、単純に作業量が多いだけなんじゃねーかなーとかそんな風に悟りを得た。

なんてつまんねえ悟りなんだ!

他の様々な案件に対応したり、単純に休みたいとかそういう感じで音声案件の物量をセーブしたと思い込んだ割にはいつの間にか忙しくなっていた2022年ですが、2023年もそんな風に活動してるんじゃないかな?知らないけど。

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Quietude. 2022/12/02 08:14

ブラックフライデーセールプラグイン入荷状況

ことしはあんまり買ってない。

だってドルが140円もしたんだもん!

1. LiquidSonics Illusion


https://www.liquidsonics.com/software/illusion/

リバーブ。
ここのメーカーのCinematicRoom Proというリバーブを愛用していて、CinematicRoomはパラメータが非常に多く細かく作れる反面、手っ取り早さに欠けるのだがこれはリバーブが必要な際にとりあえず一番最初に挿す目的で持ってて良い程度に簡潔で卒なく良い音

さて、サンプルを用意しようと適当に手癖で鍵盤。
手癖そのもののしみったれたコードを弾いている。


・原音

・てきとうにかけたやつ

かなり実用的な音がする。
尚、効果音にも使えるかなあと思ったらご多分に漏れずやっぱり使える。
床下の共鳴を入れてみるなどの名目だとわりとシックリ。

2.LiquidSonics TAI CHI


https://www.liquidsonics.com/software/tai-chi/

ペナントレースやまだたいちの奇跡。
またはASRockのマザボ。

かなり面白機能が豊富。
リバーブのテールにコーラスという
Illusionにくらべてこちらはより飛び道具的で幻想的な響きをつくるのによろしいか。

・その1

・その2

飛び道具的な用法を考えていたが、実際試してみるとなつかしのLunaSea的な音色にしたり、原音のバックにシンセサイザーのような響きを作ったりとかなり実用的。
ディレイと組み合わせてイメージとしての水中・水面がゆらゆらゆれるようなアンビエンスも比較的かんたんに作れる。
これはなかなか遊びがいがありそうなので暇なときはいじってみよう。

3. Unfiltered Audio NeedlePoint


https://www.plugin-alliance.com/en/products/unfiltered_audio_needlepoint.html

レコードのシミュレータ。
当然ノイズなどの各要素をオンオフ、コンフィグ可能。
GUI上の回るレコードをスクラッチすることも可能だったり、針が飛んだとか電圧が急に下がったとかそんなシミュも可能なのでワンポイントで結構つかえる。

ワウフラッターだけONにしてあっちへフラフラこっちへフラフラゆれるようなピッチにしたりとか、かなり好きな雰囲気が演出できたり、ロボットが止まるとかそういうときに回転数がn秒掛けてゼロになるとかそういう用途にも。

オモチャとしてバリ有能。

4. LetiMix GAIN MATCH


https://letimix.com/products/gainmatch

ほかのエフェクトの使用前使用後でメーター上の音量を合わせる。
単純に音量が変わったから聞こえ方が変わったのか、またはエフェクトの作用により変わったのかという様々なエフェクトに関する問題を確認するためのプラグイン。

普段はEQuilibriumというイコライザについてるそういう機能を利用していたが、こっちのが利便性的に良い。
あとこれ、せールで買わんくて定価で買った。

総括

音の遠近法をやる…音源から離れれば音量が下がり、減衰する帯域があり、原音と反響や回折した成分が増える(ここ) という都合上、リバーブが非常に使えるので常にリバーブばっかり睨んでる。

そしてそんなことを書いて、窓の外をちらっと見ると雪が降っていた。
まだ10月20日くらいの気分でいたがもう12月かよっていうね。

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