芽生え7
学校で便意に襲われる恐怖。
イリアはトイレまで辿り着くことができるのか!?
「なんでおまたのところがヌルってしてるんだろう?」
なんとか学校から帰ってきて、部屋に戻ってきたイリアはショーツを脱いで両手で広げていた。
クロッチの裏側には、小水とは違うヌルッとした粘液がこびりついている。
血でもないし、おまたの汚れでもなさそうだ。
(なによ、これ。なんか変な感じ! 明日には良くなるよね!)
イリアは目を逸らすと、ベッドの下から今朝汚してしまったショーツも取りだす。
それと一緒におもらしショーツと黒タイツもまとめて洗濯機に放り込んだ放り込む。
これで一時間後には綺麗さっぱり証拠隠滅できているはずだ。
「はぁ……なんだか疲れてきちゃった……」
外でおもらしして、なんとか帰って来れて気が抜けてしまったとでもいうのだろうか?
イリアは急に眠くなってきてしまう。
「ちょっとだけ寝よう……」
部屋に戻ると、制服から部屋着の三分丈のスパッツと洗い晒しのTシャツに着替える。
このてるてる坊主スタイルが、イリアの家でのスタイルだった。
最近肌寒いからそろそろ長袖が欲しくなってきてるけど。
「夕飯までおやすみなさい……」
イリアは天蓋付きのダブルベッドに仰向けになると、すぐに寝息を立て始める。
よほど疲れていたのだろう……。
☆
「……あ、あれ……?」
ちょっとだけ眠るつもりだったのに……。
ずいぶん寝てしまった気がする。
それなのに外は明るくて、まだ夜にはなっていなかった。
時計を見ると――、
「五時?」
アナログ時計なので、一瞬わけが分からなくなってしまう。
帰ってきたのが夕方の四時ごろだったから、一時間しか寝ていなかったのだろうか?
それにしてはたくさん寝てスッキリしてるような気がするし、外も静かだし、小鳥もチュンチュン鳴いている。
それにスッキリしたといえば、膀胱にも同じことが言えるような気が……?
そのときになって、お尻に張り付いてきているひんやりとしたショーツにイリアの意識は急速に覚醒していく。
「はっ!? この感覚は……ッ」
もしかして、この感触は……!!
慌ててお尻を撫で回してみると……、やはりだった。
スパッツに覆われたお尻は、ジットリと冷たく湿っていたのだ。 この感触は間違いない。
イリアは、おねしょをしてしまったのだ。
シーツにはイリアのお尻を中心として大きな世界地図ができあがっていて、ツーンとしたアンモニア臭を漂わせている。
「と、言うことは……。今は、朝の五時……、なの?」
小鳥だって元気に鳴いているし、それにこんなに超大作な世界地図を作り上げている。
イリアは、学校から帰ってきて、あまりの疲れにぐっすり熟睡してしまったようだ。
黄金色の太陽は、夕日ではなく朝日だったのだ。
「うう……。起こしてくれてもいいのに……」
思いながらもベッドサイドのテーブルにはサンドイッチと、メモ用紙が置いてあって、
『お嬢様、気持ちよさそうに寝ていたので起こさないでおきますね。夕飯は軽めのをご用意しておきました。
マリア』
と、書き添えられていた。
ちなみにマリアというのはメイド長さんだ。
昨日は夕飯を作りに来てくれたのに、悪いことをしてしまった。 イリアはサンドイッチを食べながら、マリアが残してくれたメモ用紙に小さく頭を下げる。
ちなみにサンドイッチは玉子サンドで、絶妙な塩加減で美味しかった。
「さて、と……。やっぱり脱がないと、ダメ……だよね……」
どんなに目を逸らそうとしても、おもらししてしまったショーツからは逃げることはできないのだ。
イリアはスパッツごとショーツを降ろしていくと、時間が経ったおしっこは、目に染みるほどにツーンとした刺激臭になっていた。
「ああ、やっぱりだ……」
濡れそぼったスパッツとショーツを脱いだイリアは、クロッチの裏側を見つめて呟いた。
そこにはヌルッとした粘液がこびりついていて、お尻の方にまで広がっていたのだ。
「なんでだろ、このお汁……。匂いも、お小水の匂いしかしないし……でも、ちょっとだけ酸っぱい……? 磯臭い……かも?」
深く考えていても仕方がないので、濡れそぼったショーツはスパッツごと丸めるとベッドの下に隠しておくことにする。
いつものように、帰ってきたら洗濯コースだ。
「はぁ……。いったい、なんなんだろう……。私、変な病気なのかなぁ……」
母に相談したほうがいいだろうか?
でも、おもらし遊びをしているとバレてしまうかもしれない。
おもらしをしたときに、ぱんつがヌルッとしているだなんて、怒られてしまいそうで、とても言えなかった。
「帰ってきたら考えよ……」
イリアは憂鬱げに呟きタンスを開けると、黄ばんだネコさんショーツがお出迎えしてくれる。
その中から一番綺麗なショーツを選ぶと、
「んっ」
おへそが隠れるほどにショーツを上げると、おまたに食い込んできてピリリッと静電気が走った。
(この変な感覚はなんなの?)
首をかしげる暇もなく、イリアは黒タイツを穿いて制服に着替えていき……、
戸惑う少女をよそに、緩やかに時が流れていく。
☆
(学校でおもらし遊びしたら、どれだけ気持ちいいんだろ……)
六時限目の授業中、イリアは窓の外の景色を眺めながら、そんなことを考えていた。
昨日は公園の公衆トイレでおもらしをしてしまったけど、家でおもらし遊びをするよりも、ずっと気持ちよかった。
それだけじゃない。
帰るときもドキドキして身体が熱くなって堪らなかった。
何人かの人とすれ違ったけど、バレているのかと思うと、気が気じゃなかった。
あの時のスリルを思いだしただけで、また身体が熱くなってきてしまう。
「あっ……」
イリアは切なげな短い声を上げてしまう。
幸いなことに、誰にも聞かれていないようだ。みんな、一生懸命にノートを取っている。
(みんな勉強してるのに……)
イリアはもじもじと黒タイツに覆われている内股を擦り合わせる。
昨日のことを思いだしただけなのに――、
なぜかおまたが熱くなって、ヌルッとした感触がクロッチに広がってきたのだ。
(だめ、垂れてきちゃう)
おまたから漏らしてしまったヌルヌルは、会陰を伝ってお尻のほうへと広がってきてしまう。
ショーツに染みていくと、なんとも言えない気持ち悪さが残った。
(このままだとお尻に染みになっちゃうのに)
イリアの『初めて』がきたときは、今みたいな授業中、座っているときだった。
お腹が痛くて我慢していると勝手に漏れ出してきて、気がつけばスカートのお尻の部分に血が広がっていたのだった。
それでもお腹が痛くないふりをしていたけど、ふと消しゴムを落としてしまった時に立ちあがり、そのときに男子に血を見つけられてしまった。
イリアにとっての初潮は、記憶から消したいほどに恥ずかしい経験だった。
(やだ……、お尻にヌルヌル、広がってきてる……)
気まずくなって身じろぎするけど、一度漏らしてしまった背徳的な感触はなくなってはくれない。
ただ、じわじわとイリアの敏感な秘筋をくすぐり、蒸らしていく。
(学校でおもらししたいなんて考えたバツなんだ……。エッチなこと考えたらおまた、熱くなってきちゃうの……?)
キュンッ、
おまたが痙攣し、ショーツの内側が蒸れ返っていく。
(学校はだめでも、公園は……いいよね)
昨日の快楽に、イリアは虜になっていた。
外でおもらしをするのが、あんなにも気持ちよかっただなんて。それにいつバレるかも知れないというスリルも堪らなかった。
だがそのことを考えていると、すぐにイリアの柔裂は熱く濡れ、得も言われぬ蒸気に燻されていく。
お尻へと、背徳的で取り返しの付かない感触が染みこんでいった。
(お勉強に集中しないと、だよね……)
イリアは自らの身体の変化から目を逸らすかのように、意識を授業へと向けていく。
女の子は、少しぐらいショーツを汚してしまっても澄ました顔をしていないといけないのだ。
……が。
ぎゅるるるるるるるる……。
(はうぅ!?)
腸が雑巾のように絞られるような痛みに、イリアは青ざめてしまった。
この痛みは間違いない。
便意だった。
(う、うそ……っ。こんなときに急にくるなんて)
最後にイリアが『出す』ことができたのは、確か十日前の夜中だった。
あの時は深夜に急にお腹が痛くなったから、トイレに行ってたくさん出すことができたのだ。
もちろん、おむつを下ろして、だ。
何度もおもらし遊びをしてきたイリアだけど、うんちまでおもらししたことは一度もない。
(うんちはだめっ。ちゃんとおトイレでしないと!)
時計を見ると、あと五分ほどで授業が終わってくれるようだ。
そうなったらすぐに帰りのショートホームルームが始まって、下校することができるはずだ。
だけど、学校でうんちをするのは、恥ずかしくて嫌だった。
(学校じゃ無理っ。せめて公園まで我慢しないと……っ)
歩いて十分。
その公園に辿り着くまでの我慢だ。
額には脂汗が浮き上がってきて、背筋にも滝のような冷や汗が落ちていき、ショーツやスカートに染みこんでいく。
(ううっ、お腹、痛い……っ。十日ぶりの痛さ……!)
いつも本ばかり読んでいるイリアは、重度の運動不足でいつも便秘気味だった。
あまり出ることもないし、出すときもお腹に力を入れないと出てきてくれないくらいだ。
それでもうんちが溜まっている感覚に馴れてしまって、普段はあまり気にしないようになっていた。
それでも十日ぶりというのは最高記録だ。
いつもだったら一週間くらいで出てきてくれるというのに。
(お腹、苦しい……っ。ううっ)
イリアのお腹には、ミッチリとうんちが詰まっている。
十日間、大腸によって水分を吸われ続けてきたうんちは、石のようにカチカチになっているに違いなかった。
(大丈夫、大丈夫……。絶対間に合うんだから……間に合ってくれるんだから……)
額に脂汗を浮かべながら、机の木目を数える。
少しでも便意のことを忘れていないと、今すぐにでもお尻から棒状のものが飛び出してきそうだった。
(我慢、我慢、公園まで我慢……っ)
その願いが通じたのか、やっとのことでチャイムが鳴ってくれる。
幸いなことに今日の最後の授業は担任だったので、すぐに帰りのショートホームルームが始まってくれた。
前からプリントが配られていき、イリアは綺麗に折りたたんでカバンに入れていく。
だけどその僅かな時間でさえも、イリアにとっては○問のような責め苦だった。
(う、うんち……っ、で、出そう……っ)
ぎゅるるるる~~。
腸が捻れそうな痛みとともに、少しずつ直腸の圧力が高まっていく。
ちょっとでもお尻の力を抜けば、カチカチの『モノ』をショーツのなかに出してしまいそうだった。
なんとかお尻に力を入れていると、やっとのことでホームルームが終わってくれる。
あとはトイレに行って楽になるだけだ。
(でも、学校のトイレは無理ィ……っ)
放課後の女子トイレは、なぜか分からないけど女子たちがよく集まっておしゃべりをしているのだ。
その横で十日間、イリアのお腹のなかで発酵されていたものを出すなんて恥ずかしすぎる。
(せめて、公園まで我慢しないとっ)
お腹が痛いことを誰にも悟られないように、イリアは席を立つとカバンを持って放課後の教室を後にする。
だけどイリアは知らない。
イリアのお尻には、大きな暗い染みが広がっていることに。
うなじからは、微かに甘い香りが漂っているということに。
思春期を迎えて大人へと性徴しているイリアの身体は、苦痛さえも快楽と認識するようになっていた。
この小説は電子書籍としてフルカラーのイラストとともに配信している作品です。
気になった人は購入してもらえると創作活動の励みになります。