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蕎麦枕 2023/10/08 12:00

小説「呪われた女騎士団長は快楽を求める」⑦

【あらすじ】

女でありながらも国の騎士団長を務めるフィオナは、ローディル王子と恋仲の関係にあった。
しかしある日、フィオナは仲間を守るために魔物の放った呪いを代わりに受けてしまう。
その呪いは、快楽を得られないと高熱に悩まされ、最終的に死に至るというものだった。
恋人であるローディルに日々抱かれ、なんとか呪いの高熱を鎮めながら生きているフィオナだったが、団長の座を奪いたい男ゴルドにそのことを勘付かれ……。


●今回の要素
乳首責め
※今回は分割して掲載しております。


本文掲載場所

pixiv : ノクターンノベルズ


【本文】

「なっ……!?」
 なおのこと、断る。そう思えど、あまりの衝撃で声が出ない。驚愕しているフィオナを前に、ゴルドはさらに続けた。
「呪いで死ぬよりはよっぽどマシだろ?」
「お前は、何を言ってっ……ぁ、あっ……や、めっ……」
 反論を聞くより先に、ゴルドの空いている片手はフィオナの胸先を擦った。フィオナは熱のせいで簡単な作りの鎧すら着ることができず、今日はごく普通の服で訓練に参加していた。そのせいで胸先はただの布にしか覆われておらず、ゴルドの与える刺激は直接乳首へと届く。
「騎士団長でなくなれば、お前はただの平民出身で、剣が扱えるだけの女」
「ばかっ……触るっ、なっ……あっ、くっ……」
「だが王子に愛されているというのなら、正妻にはなれずとも、妾くらいにはなれるだろうよ」
「んっ、んんっ……か、かのうっ、せ、はっ……たしかっ、にっ、あるがぁっ……あっああっ、あっ!」
「だったら俺に生かされて、その対価として騎士団長の座を明け渡すくらい、いいと思わねえか?」
 敏感に快楽を拾いあげているうちに、背を丸め始めたフィオナはベンチを乗り上げ、ゴルドと向かい合う形になった。
 正面同士で向き合い、フィオナがゴルドの肩に額をつけると、比較的周りからは何をしているかは見えづらくなる。遠くから見れば、苦し気なフィオナをゴルドが支えているようにも見えるかもしれない。
 しかし正面を向いたことにより、ゴルドは両手でフィオナの胸を触り始めた。ゆっくりと揉みしだいては人差し指で乳首を引っ掻き、その先端が硬くなっていく手伝いをしている。
「んぅう……! や、やめ、やめでっ……ちくびっ、いやぁっ……!」
「はっ、これはサービスだ。俺との提案に応じれば、これ以上の快楽を与えてやってもいいんだぜ」
 ぷにぷにと指先で潰し、時折軽く引っ張り、そして摘まみ上げて捻る。そんなことを続けていると、フィオナの表情は次第に蕩け始めてきた。

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蕎麦枕 2023/10/08 00:28

小説「呪われた女騎士団長は快楽を求める」⑥

【あらすじ】

女でありながらも国の騎士団長を務めるフィオナは、ローディル王子と恋仲の関係にあった。
しかしある日、フィオナは仲間を守るために魔物の放った呪いを代わりに受けてしまう。
その呪いは、快楽を得られないと高熱に悩まされ、最終的に死に至るというものだった。
恋人であるローディルに日々抱かれ、なんとか呪いの高熱を鎮めながら生きているフィオナだったが、団長の座を奪いたい男ゴルドにそのことを勘付かれ……。


●今回の要素
フィオナとゴルドによる会話のみです。


本文掲載場所

pixiv : ノクターンノベルズ


【本文】

 ローディルが旅立って二日目。残った騎士団は変わらず訓練を続け、国境の警備をし、魔物の動向を見ている。フィオナも変わらず訓練を見ていると、その隣へゴルドがやってきた。
「よお、団長殿。いつにも増して具合が悪そうじゃねえか」
「……」
 朝方まで自慰を続けたことと熱の影響もあり、フィオナは意識が朦朧としていた。正午に解呪の儀式を受けたのだがほとんど効いていないようで、気を抜けばすぐに倒れてしまいそうなほどであった。
 それでもフィオナはゴルドを前に、気になっていたことを問う。
「なぜ、お前が……ローディル様に、ついていかなかったんだ」
 騎士団長が護衛としてついていけないのであれば、副団長であるゴルドがついていくはず。そう思っていた。しかしゴルドは、今ここにいる。
 フィオナの問いに、ゴルドは当たり前のように答えた。
「俺が王に進言したんだよ。今の団長殿はいないも同然。俺がついていっている間に何かあっては、指令系統が麻痺したまま……それは望ましくないって、熱があってもわかるだろ?」
 今日はやたらとゴルドが近い。召使の女たちが秘密事を話すかのように、身体の距離が近いのだ。フィオナは身体を支えるのに必死で、退くことができない。
「それで提案したんだ。俺は残り、代わりに第三部隊と第四部隊の二部隊を護衛につけた方がよいのでは、とな。王は納得してらしたぜ」
「……もっと、離れ、ろっ……!」
 フィオナの太ももに、ゴルドの手が触れる。大袈裟に肩を揺らしたフィオナは、慌ててゴルドの手を振り払った。
 思わず出てしまった声は存外に大きく、付近で訓練をしていた兵士が二人を見る。
「……お前らが近すぎると団長殿は言っている。その剣技訓練は適切な間合いではない、だとよ。もっと向こうの広いところでやれ」
 ゴルドがそれらしいことを言うと、訓練をしていた兵士は疑うことなく返事をし、再び訓練に戻った。
 近場に人がいないのを確認すると、フィオナはゴルドを睨みつけつつ、声を潜めて言う。
「……そんなに団長の座が欲しいか。私を、貶めてまで……」
 いつの間に王へ進言できるほどの関係性を築いていたのか。そこがゴルドの恐ろしいところであった。厳つい見た目通りの怪力男というわけではなく、策を講じてくるが故にこの男は副団長まで上り詰めたのだ。フィオナがいなければ、間違いなく騎士団長はゴルドが就いていただろう。
 ゴルドはどこか余裕のある表情で、フィオナを見つめた。
「そりゃあ欲しいぜ。俺はお前と違って名のあるスタイン家の人間だ。ただ、頑固者の呪われた女が、なかなかその席を譲ってくれなくてなあ」
 スタイン家とは、この国における武術、剣技に秀でた名家のことだ。ゴルドはスタイン家出身ということもあり、若干荒っぽいところもあれど、支持する人間はそれなりにいる。
 するりと伸びたゴルドの指先が、フィオナの顎を撫でた。フィオナは抵抗らしいこともできず、されるがままだった。
「なあ、熱が治まらなくてつれえんだろ? だって、慰めてくれる王子様がいねえもんなあ?」
「……うる、さい」
「そのままだと死んじまうんだろう? そこで俺から一つ、提案がある」
 指先に惑わされ、フィオナは顔を上げる。ゴルドは何かを見据えたように、目を細めていた。
 顎を撫でた指は首を撫で、肩を撫で、そのまま背中へ回り、ゆっくりとフィオナを抱き寄せるような動きを見せた。
「俺が王子の代わりを務めてやる。なぁに、王子の使い古しの穴を使ったりはしねえさ。触るだけで十分ならな。その代わり……」
 その言葉に、ゴルドに撫でまわされた夜を思い出す。確かに、ゴルドに触れられた夜はそのまま眠りにつけたのだ。考えるのを避けていたが、あれだけでも身体は僅かに満たされていたのだろう。
 しかし、とんでもなくふざけた提案だ。誰がそんな提案に乗るものかと断りを入れる前に、ゴルドは言葉を続けた。

「王子が帰ってきたら、騎士団長の座を俺に渡せ」


次回分はすでに執筆が終わっていますので、明日更新されます。
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蕎麦枕 2023/10/01 14:00

小説「呪われた女騎士団長は快楽を求める」⑤

【あらすじ】

女でありながらも国の騎士団長を務めるフィオナは、ローディル王子と恋仲の関係にあった。
しかしある日、フィオナは仲間を守るために魔物の放った呪いを代わりに受けてしまう。
その呪いは、快楽を得られないと高熱に悩まされ、最終的に死に至るというものだった。
恋人であるローディルに日々抱かれ、なんとか呪いの高熱を鎮めながら生きているフィオナだったが、団長の座を奪いたい男ゴルドにそのことを勘付かれ……。


●今回の要素
オナニー


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【本文】

「それじゃあ、行ってくる……僕の帰りを待っていてね」
 その日の午後、ローディルは海の国へと旅立った。やはりその手は触れられず、互いに瞳を見つめ合うのみだった。
 見送った後、フィオナはローディルが手配してくれていた解呪の儀式を受けた。ローディルが戻るまで毎日正午に受けるようにと言われたが、それだけで最低でも五日間を耐え抜くことができるのかわからなかった。儀式のおかげで一瞬熱は下がっても、すぐにまた上がってしまうのだから。

(ローディル様……早く、早く帰ってきて……!)
 夜、フィオナは自室にて自らを慰めていた。呪われた証である身体中に浮かび上がる黒い文様は、まるでフィオナの身体を縛るように伸びている。
 子宮がある下腹部の文様が日に日に濃くなってきていることは、フィオナも知っていた。だがそれを消す方法は、いまだにわかっていない。
「あっ……あっ、あ、んっ……も、っと……もっと、気持ちいいのをっ……」
 フィオナは愛液でぬるつく秘豆を必死に扱き、乳首を摘まみ上げ、精いっぱいの快楽を自ら生み出していた。しかし一番気持ちよくなりたいところは、何も刺激を得られなくて疼くだけ。
 切ない疼きを抱えながら、フィオナは稲妻の瞬きを見る感覚に陥った。
「はあっ、はあっ……イくっ、ローディル様っ、ローディルっ、さまぁあっ……!」
 愛しい人の名を呼び、自分の指をその人のモノだと思い、触れられている感覚を呼び覚ます。大股を開き、腰をカクつかせながら、もう何度目になるかわからない絶頂を迎えた。
「おっ、ぉおおおっ……ローディル様っ、イくっ、イくっ、んうぅうううっ!」
 強く乳首を引っ張り、背を仰け反らせて潮を吹く。絶頂を繰り返して敏感になった秘豆を何度も擦り、強い快楽を自分に与えても、どこか満足がいかない。これはフィオナにとって、決定的な快楽ではなかった。
 緩やかに感覚が戻ってくると、ベッドに力無く身体を落とし、フィオナはぼんやりと天井を見つめた。
「……ローディル様は……こんな触り方を……しない」
 呪いにかかってから、ローディルの愛情溢れる触れ方では物足りなくなってしまった。
 わかっている。肌を重ねるということは、快楽を貪るような野性的な行為ではなく、心を通い合わせる行為なのだ。
 しかし、フィオナは心の奥底で願っていた。もっと乱暴に、好き勝手に、遠慮せず触れてほしいと。
 だがそんなこと、ローディルに言えるわけがない。言ったとしても、ローディルはそのような無体を働く人ではないのだ。
「どうすれば……」
 愛で呪いが解けるというのなら、もうそうなっていてもおかしくない。だが現状を見るに、呪いというものは相当厄介なもののようだった。
(……身体が、落ち着かない。かえって興奮させてしまったか……)
 その証拠に何度絶頂しても満足せず、むしろ膣奥は疼いて仕方がなかった。何も隠さずに言えば、男根が欲しい。昨日、せっかくローディルと交わったのに満足のいく行為ができなかったのもあったせいか、フィオナの身体は男を求めていた。
(それか、せめて私の指より太い……)

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蕎麦枕 2023/09/24 14:03

小説「呪われた女騎士団長は快楽を求める」④

【あらすじ】

女でありながらも国の騎士団長を務めるフィオナは、ローディル王子と恋仲の関係にあった。
しかしある日、フィオナは仲間を守るために魔物の放った呪いを代わりに受けてしまう。
その呪いは、快楽を得られないと高熱に悩まされ、最終的に死に至るというものだった。
恋人であるローディルに日々抱かれ、なんとか呪いの高熱を鎮めながら生きているフィオナだったが、団長の座を奪いたい男ゴルドにそのことを勘付かれ……。


●今回の要素
今回はローディルとフィオナの会話が中心なので、特に何もありません。


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pixiv : ノクターンノベルズ


【本文】

 窓辺から差し込む光に瞼を撫でられ、フィオナは朝が来たと知った。
「……どうして」
 いつもなら、ローディルに抱かれても夜明けが来る頃に眠っていた。高熱と身体の疼きが睡眠の邪魔をするのだ。
 しかし、昨夜は違っていた。ベッドに入り、瞳を閉じると朝になっていた。熱は相変わらずあるようだが、寝付くときは落ち着いていたのだ。
 ローディルから得た精と快楽は、不十分だったように思える。いつもと違うことがあったとすれば、それは――。
「……いいや、ローディル様の愛があったからこそだ。そうに違いない」
 一瞬思い出された身体に触れる大きな手のひらは、すぐに霧散する。あの大柄な身体と、獣のような眼差しも。
 そうして再び上がり始める熱を感じつつ身支度をしていると、扉の外から伝令兵の声がした。
「フィオナ騎士団長、お目覚めですか」
「起きている。何事だ」
「申し伝えます。ローディル様より、至急私室へ来るようにとのことです。お急ぎください」
「ローディル様が……? わかった、すぐに向かう」
 鎧を身に纏い、フィオナは数刻前に歩いた道を辿る。今度は恋人としてではなく、騎士団長として。
「失礼いたします、フィオナです」
 部屋に入ると、何やら着飾られたローディルがいた。今日は式典や外交パーティの予定はないはずだ。
 周りにいた召使を退室させると、ローディルはフィオナと向かい合う。
「フィオナ……身体は大丈夫?」
「ええ、問題ございません。それより、どうされたのですか?」
 ローディルは、不安げな表情を浮かべていた。なかなか言葉を選べないのか、口を何度も開いては顔を背けている。
 結局顔を背けたまま、ローディルは言った。
「少しの間……森を超えた海の国へ行くことになった……」
「なっ……なぜ、急に!?」
 ローディルは、力無くベッドへと腰をかける。フィオナはその場に立ち尽くしたまま、ローディルの言葉を待った。
 せっかく整えた髪の毛を前髪からかき上げ、それを握りつぶしながらローディルは続ける。
「君が呪いを受けた日の討伐……あれは海の国に追いやられた魔物が、こちらの森へ迷い込んだようなんだ。君の呪いを解くためにあらゆる場所へ相談していたんだけど、その話があちらへ伝わったらしく……」
 海の国は、大森林を挟んで反対側にある国のことだ。国の半分が海上にあることから、海の国と呼ばれている。
「それで、海の国の王が言うんだ。同じことを起こさないために、会合を開いて対策を考えましょう、と。それに父が……僕に行けと……」
 海の国には、姫がいる。そしてこちらから王子を行かせるということは、ただの外交のためではないだろう。
「それは……どのくらい、かかるのですか……」
「わからない……早くて五日で帰ってこれると思う、けど……」
 今のフィオナには、五日もローディルがいないということは、ほぼ死に等しかった。しかも早くて五日だ。それ以上にローディルがいないという可能性が、フィオナを焦らせた。
「しかし、会合だけなら三日もあれば……」
「父から、姫に失礼のないようにと言われているんだ。会合が終わってすぐに帰るのは、厳しそうでね」
「……ご、護衛はどうなっていますか? 私は何も伺っておりません。これから護衛を決め……」
「もう決まっているんだ。呪いを受けた君を連れ回すわけにもいかないから、第三部隊と第四部隊を連れていくと……」
 眩暈がしてきた。ローディルがいない。ついていくこともできない。下手をすれば、婚約を結んで帰ってくるかもしれない。
 フィオナは思わずその場にへたり込んだが、支えてくれる者はいなかった。
「すまない、フィオナ……城の聖職者たちには、毎日呪いを抑える儀式をしてもらうよう、頼んである。僕だって君と離れるのはつらいんだ」
 前髪が乱れたまま、ローディルはフィオナの前に跪いた。触れればフィオナの疼きを高めてしまうため、その手は伸ばされない。
 今にも泣きだしそうなフィオナの表情を見て、ローディルは悲し気に目を伏せた。
「ほんの少しだけ……耐えてくれるかい?」
 これで嫌だと言える立場だったのなら、どんなによかったことだろう。
 フィオナは、首を垂れることしかできなかった。


次回は1~2週間目途で更新したいです。
よろしくお願いいたします。

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蕎麦枕 2023/09/17 17:00

小説「呪われた女騎士団長は快楽を求める」③

【あらすじ】

女でありながらも国の騎士団長を務めるフィオナは、ローディル王子と恋仲の関係にあった。
しかしある日、フィオナは仲間を守るために魔物の放った呪いを代わりに受けてしまう。
その呪いは、快楽を得られないと高熱に悩まされ、最終的に死に至るというものだった。
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●今回の要素
身体を撫でるシーンがある程度です。

※今回も少し長いので記事内にしまいます。


本文掲載場所

pixiv : ノクターンノベルズ


【本文】

「はあ……」
 悩める女の重たいため息が、誰もいない通路に響く。
 ここ数日はずっと頼りっきりだったのだ。明日はローディルに助けを求めることなど、できないだろう。今日の様子を見れば、それは明白だった。
 自室への帰路の中、フィオナは明日以降をどう乗り切ろうか考えていた。
 まず考えたのは、無理やりにでも自らを慰めることだ。方法の一つとしては、悪くないと思った。わずかにでも性的快楽を得られるのなら、高熱は少しだけ宥められる。しかしやはり精を注がれなければ呪い自体を治めることができないと思うと、意味はほとんどないものに思えた。
 ならば高熱に耐えつつ、地を這いながらでも生き永らえるか。それもいつまで持つかわからない。ローディルに頼らず自慰でごまかすにしても、長く我慢できないのではないかと思う。
 ではいっそのこと、呪いに殺されてしまった方が自分にも、ローディルにとってもいいことなのではないか。そんなことを何度も考えながら、歩みを進めていく。
「ローディル様と一緒になるのは、私でなくてもいいのだからな……」
 フィオナは実力でここまで登り詰めてきた身であり、元々高貴な一族からの出自というわけではなかった。それゆえ、王家は王家と、または貴族の娘と結ばれた方がよいという声が多いのだ。
 フィオナとローディルが恋仲になったのは、ローディルの剣の稽古をつけ始めてからだった。
 ローディルは一般的な男性に比べて筋肉量も少なく、背もフィオナと大して変わらない。剣を両手で持つことすら難しそうに思われていたのだが、いずれは王になるのだからとローディルは剣を持つことを諦めなかった。その姿勢を気に入ったフィオナは、自らが稽古をつけると申し出て、ローディルに剣を教えた。
 やがて互いに惹かれ合い恋仲となったわけだが、その関係を好ましいと思う者はやはり少ない。
「私は……」
 このままだと、ローディルの隣にいられない。ただでさえ呪いにかかってしまう情けない騎士団長という、不甲斐ない評価をつけられてしまったというのに。
 ローディルの恋人であるためには、騎士団長の座が必要だった。王族や貴族が良い目をしなくとも、民衆は騎士団長ならばと支持している声も多い。それも王国騎士団として魔物を退け、民を守っているフィオナの姿勢があるからだろう。
 フィオナは、通路から見える空を見上げる。雲は多いが、月や星が見えて悪い夜ではない。それは希望を失うなというお告げにも見えて、フィオナを勇気づけた。
「ひとまず、落ち着いているうちにさっさと寝よう……」
 一人で悩んでいても、解決できることではない。また時間を見計らって、ローディルに相談でもしよう。そう思い、遅くなっていた歩みをむやみに早めたところ、突然目の前に分厚い壁が現れた。
「おやぁ、団長殿ではないですか。こんな時間に、どうしたんです?」
 聞き覚えのある低い声が、頭上から降り注ぐ。そこには、副団長であるゴルドがいた。見張りの番でもなく、本来であれば休んでいるはずの時間に、いるはずもない城内に。
「……なぜおまえが、こんなところに」
「こっちが聞きてえよ。団長殿こそ、なにやってんだ? そんな身で見張りなんてできるわけねえし、ここはちょうど巡回の兵が通り過ぎていった後だし……しかもそんな風邪をひきそうな恰好でよお」
 胸元を指され、フィオナは反射的に腕で身を覆った。ゴルドは円柱に片手を置き、覗き込むようにフィオナを見下ろす。
「隠すなよ。どうせ王子様んとこにでも行ってたんだろ? その呪われた身体を慰めてもらうために」
「……だったらなんだ。お前には関係のないことだ」
「いいや、あるね。呪いを理由に訓練を見ているだけの団長殿が、実は毎晩恋人の王子様に抱かれていました~なんて、部下がついていきたいと思うか?」
 フィオナより頭一つ半ほど大きいゴルドは、ぐい、と距離を縮める。物怖じしない姿勢を見せているフォイナだったが、ローディルとは全く違う逞しい身体が近づくと、一瞬眩暈がした。
「高熱が続くということ以外、呪いの詳細は俺を含め、騎士団には知らされていない。理由はわかるぜ。あんた以外全員男だから、言えなかったんだろう」
「……っあ」
 ゴルドの指が伸び、フィオナの顎を持つ。抵抗できず、そのまま目線を合わせられたフィオナの表情は、ほんの僅かに緩んでいた。

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