間違いだらけのフォーリー(Foley)事情と自分なりの解釈
こんにちは、くらびすたです。
つい先日、「フォーリーの定義ってなんなんだろう」という方に、
説明する機会がありました。
ここ数年で急に(もっぱら音声作品で)フォーリーが持て囃されるようになり、
言葉だけがひとり歩きしているものですから、
その解釈に困っていたようです。
いくつかのサークルでは説明もなされているようですが、
必ずしも正確なものではなく…
一応、僕は専門学校でフォーリーや効果音制作を修めた人なので、
そこのところは信用していただければと思います。
下記内容にはもしかすると以前の記事で書いたことを含んでいるかもしれません。
また、一部デリケートな話題に触れざるを得ないため、
後半はフォロワー限定にしています。
(別に人に聞かれて困るようなことを言っているわけではありませんが)
基本的にツイートをそのまま引用し、適当に補足説明を入れる、
といったスタイルで書き綴ってみます。
長くやや退屈な話も多いと思いますが、是非最後までご覧ください。
フォーリーとは
↑この人です。
写真引用元: Jack Foley and the Art of Sound | Irish America
Jack Donovan Foley氏
ジャック・ドノヴァン・フォーリーさんって人がやり始めた
映画の音響効果の制作方法だから、「フォーリー」と呼ぶのです
https://twitter.com/Klavistr/status/1319702727161569280
ラマーズ法のラマーズさん、フォーリーのフォーリーさん
https://twitter.com/Klavistr/status/1422895151475695617
補足
まさにツイートでも例えに出している通り、
フォーリーさんがやり始めた方法をフォーリーと呼ぶことは、
ラマーズさんが提唱したお産のときのノウハウをラマーズ法と呼ぶのに近いです。
○○法とか○○メソッドとか○○テクニックとかって名前にならなかっただけです。
したがって、フォーリーは英語だと「Foley」と先頭大文字で書きます。
一般名詞のようにfoleyと書いている人がいたらモグリかもしれません
(そんな大げさな)
100年前の技術革命
https://twitter.com/Klavistr/status/1422896976836759553
補足
こんにちでは当たり前のように使われる生音ですが、
当時は映画に音が付くこと自体まだ出始めたばかりでした。
1925年にチャップリンのサイレント(声なし)映画「黄金狂時代」がヒットし、
トーキー(talkie; 声付き)が1920年代後半からぼちぼち実用化され始める、
といった具合だったようです。
※そんなチャップリンも映画音楽には一家言あったようです。
つまり映画においては声や効果音より先に音楽が実装されていたということですね。
現代日本でいえば…宝塚歌劇団でもBGM(劇伴)やカラオケは生演奏ですね。
もっとこの辺の歴史に詳しい方がいたらコメントでご指摘ください。
「これこそがフォーリーだ!」といえるとしたら
https://twitter.com/Klavistr/status/1422898549205790721
https://twitter.com/Klavistr/status/1422899275739004935
https://twitter.com/Klavistr/status/1422900431873732624
補足
文章が途切れていますがこの後
「生演技」とか「生音製」、「効果音」と呼んだ方が紛らわしくなくて良い気がします
と続きます。
このくだりで筆者が第一に伝えたいこと:
- 【⭕】原義やその歴史に照らすと多くの音声作品の「それ」はフォーリーと呼べない
- 【❌】正統なフォーリー以外の効果音を使っている作品/サークルはクソだ、聴くな
ここ絶対に間違えないでください。
第一自分が関わった音声作品は現状ひとつも本格的なフォーリーを使っていません。
予算がないので。
「『フォーリー』と検索したら胸だらけ」
https://twitter.com/Klavistr/status/1422901379937366018
補足
実際にこんなツイートを見てしまったんですよ。
https://twitter.com/nabeon/status/1311230769721819136
https://twitter.com/nabeon/status/1312403370150256642
https://twitter.com/nabeon/status/1368374697256099841
常日頃から本職として、
一日に何時間もスタジオにこもって汗だくになって、
そうやって僕らが楽しむコンテンツの音を
作ってくれている人たち、大先輩たちが、
Twitterで検索かけた様子を嘆いているわけです。
Googleなら大丈夫じゃない?とかそういう話ではなく、
ちょっとやそっとのお気持ちの話ではなく、
「こちら側」とゆかりのないフォーリーアーティストにとっては、本気の風評被害です。
家族や子供・子供の友達からの偏見、後進の育成に関する不安…
我々は後から同じ方法を使わせてもらっておいて、これではとんだ不義理ではありませんか。
また、そうした人たちと一緒にされてしまうことは、僕としても全く不本意です。
どこぞのわけわからん三流モブサウンドデザイナー(笑)くらびすたが
競合を妨害しようと吠えているだけってわけじゃないんです。
さらに補足、の前に【この次からフォロワー限定記事です】
ここでブラウザーバックする方も多いと思うので一足先に結びの言葉を。
今回のように「○○は○○ではない」「○○が○○とされるのは看過しがたい」と
主張すると「無粋なことを言うな」「他人のやり方に口を出すな」といった意見を
いただくことがあります。
まあ実際「ああ、こういうのをお節介と呼ぶのだろう」とか、
「今の自分、自意識がデカくなっているな…」とか、
思わなくもないのですが…
ただ、言葉は移ろいゆくもの…とはいえど、「人名由来」の「業界用語」である以上、
野放しにしておくのは避けたいと思います。
結局巡り巡って不便な思いをするのは僕だったり、あなただったりするわけで、
それをきらうことも、発信することも、何ひとつおかしいとは思いません。
それに、罪を憎んで人を憎まずという言葉がありますが
――「ほら!お前は他人を自分勝手に裁いて、罪とみなしている!」なんて
言わないでくださいね――、
僕は僕が「それほんとは誤用なんだよなあ」と思う相手のほとんどに
「それほんとは誤用なんだよなあ」以上の気持ちを抱いていません。
正しい用法を知ってもらえて、改めてもらえて、
フォーリー氏の功績を少しでも理解してもらえたら、
それでいいのです。
ただその誤用を大々的に広めたり、新たな誤用を生んだりする人は、
シンプルに「迷惑だからやめてほしい」と思うわけです。
とはいえむやみに突撃したところで効き目があるかはわかりませんし…
あと当然のことですが、あちらにもファンがいるわけで。
彼らのほとんどはフォーリー云々の話とは無関係に楽しんでいるのです。
そこにいきなり全面戦争を仕掛けるのは、いよいよ無粋かつ無謀でしょう。
敢えて言いますが自分がかわいくてわざわざ怖いことしたくないってのもありますよ。
せめて、この記事にアクセスできる幸運の持ち主=あなたには真実を伝えたいのです。
そしてあなたの正しい知識が伝播し、少しずつでも潮流が変わっていけば、
僕が思う「ホンマにオモロい界隈」に近づくのです。
もう少しだけ突っ込んだことをいいますと
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