ダラナ 2024/06/07 20:30

BL小説「昼下がりのビーチのファイターはまた餌食になる」R18


憧れの格闘家の背中を追って、ジムに所属した大学生。ただトレーナーの双子に阻まれて、なかなか彼に近づけなかったところ、強くなるための秘訣として、あるビーチの話を聞かされて・・・。

元柔道家のガチムチ大学生が騙されて弄ばれるBL短編です。R18。





物心ついたころから柔道を習い、大学まで継続。優勝はできずとも、インターハイ出場常連とあって、そこそこ強くそこそこ有名。

「このままいけば、会社に所属できて柔道人生を歩みつづけられるかもよ」と監督に褒められたが、俺には中途半端のように思えて。「突きぬけて強いわけでも、見切りをつけられるほど弱くもないんだよな」と日々、ため息。

監督のいう未来にどこか、しっくりとせず、といって、ほかにやりたいこともなく、惰性的に鍛錬を積んでいたところ。友人に誘われてプロの格闘家の試合へ。

そこで果たした輝かしき運命の出会い。それまで格闘界にまるで興味なかったのが、その日リングで情熱的に泥臭く戦う彼に一目惚れ。

彼が勝利をおさめた試合後、長いこと余韻に浸ってから、急いでネットサーフィン。

若いころはなかなか芽がでず、そのくせ女トラブルが絶えず、変に注目されていたらしい。「外国人のような体格に恵まれているのに、もったいない」と残念がられていたのが、突然、頭角を現し、試合は連勝、多くの大会で優勝を。

ただ、下半身事情を改めることなく、相手女性の告発により大炎上し、謹慎処分がくだされるなど相かわらず。さすがに懲りたのか、以降、女との噂は一切なくなり、今も独身のまま、アラサーにして若者に負けない奮闘ぶりを見せ、高い勝率を誇っている。

というのが、彼のおおまかな経歴。いまだに過去の女トラブルのことをあげつらうアンチがいるようなものを「苦い経験をつんでこその晩生ぶり!かっこいい!」と俺は惚れ惚れ。

すっかり逆上せあがり、そのままの勢いで、彼が所属するジムの門を叩いた。なんて、彼を目当てにジムに跳びこんでくる連中は大勢。

全員を所属させるわけにはいかず、かるい能力試験を受け面接を。そこそこ名が知れた大学にいたおかげで「強豪校じゃないか!すばらしい!」とジムのオーナーのお眼鏡にかない、練習候補生に。

しばらく練習ぶりや成長ぶりを見て、本格的な指導やサポートをするか見極めるという。「彼のそばで強くなりたい!」と意気ごんだ俺は、大学を中退し、ジムに通いづめ。

忙しい彼がジムに顔を見せたなら挨拶したり話をしたかったが、いざそのときになるまで、すっかり忘れていた。彼の守護神というべき、トレーナーの双子、リクとカイがいることを。

写真や動画で、必ず彼のそばにいて、記事などでは「最高最強のパートナー」と謳われ、ファンからは「双子がいれば、ずっと現役でいられるかも」と信頼されている。アメリカに渡ってスポーツ科学を学び、帰国したなら、ほぼ365日、彼につきっきりで体と精神の調整や管理をしているとか。

だけでなく、人間関係のケアも徹底。どこだろうと、誰だろうと、彼と話したいときは双子を通さなければならず。

で、俺はというと、リクには爽やかな笑みで「今は自分の鍛錬だけに励みなさい」カイには露骨に嘲るように「練習生如き割く時間はねえ」と一蹴されてしまい。その背後で彼が申し訳なさそうな顔をしていたのが、せめてもの救い。

お偉いさんでも双子の鉄壁を崩すのは難しいらしいが、それにしても俺への当たりは人一倍きついような。練習生でも成果を上げれば、挨拶くらいさせてくれると聞いたものの、練習試合で連勝しても、おとといきやがれ状態。

隙をついて彼が一人のときにアタックしたくても、トイレまでついていく双子の守備はぬかりなし。どうしてか双子はかなりの警戒心と敵意を持っているようだから、なおのこと彼と口を利くのは至難。

「これじゃ埒が明かん」と思い、直談判することに。彼がシャワーを浴びている間「覗きは許さん」とばかり扉の前に仁王立ちする双子に「理由を教えてください!」と深々と頭をさげた。

「俺には覚えがないですが、お二人の気に障るようなことをしたでしょうか!」

廊下には俺の声が響くだけで、なかなか返事はなし。そのうち聞こえたのは「・・・あの人は、お前みたいのに弱いからな・・」とため息。

「へ?」と顔を上げると、リクがほほ笑みかけ「いいこと教えてあげよう」と俺の問いを無視しての教授を。

「ここから車でニ十分の美広ビーチに行ってみなよ」

「そんで砂浜の真ん中あたりで、自慢の筋肉を見せびらかしてしばらく立ってろ」

「そしたら、あの人みたいに強くなれるよ」と結ばれても、なんのことやら。質問しようとしたが、シャワーからあがった彼を、俺から見えないようにガードをしながら双子は去っていったもので。

真夏のビーチに行くことで、どうして強くなるのか?てんで分からず、でも「あの人みたいに強くなれるよ?」との言葉に惑わされて美広ビーチへ。

海水浴客がごった返すなか(「自慢の筋肉を見せびらかせ」との助言どおり)面積のすくないビキニ一丁で歩いていく。歩いてきて半分、海まで半分のところで止まり、やや頬を熱くしながら、胸を張って筋肉を張りつめさせて。

あたりをちらちら窺うも変化なし。「双子にからかわれたか?」とため息を吐いて肩を落とし、とぼとぼと帰ろうとしたそのとき。

「きみ」と声をかけられ、振りむいたなら、アロハシャツに短パン、サングラスをかけた小太りの髭面親父が。

「アダルトビデオにでてみない?一万円出すから」




一万円の報酬でアダルトビデオに出演したら、彼のように強くなれる。

なんて、さすがに本気では考えなかったが、金欠だったとの興味本位で胡散くさいおっさんの誘いに乗ることに。

ビーチを後にして、つれていかれたのは廃屋のホテル。外装は古びて肝試しにもってこいなれど、使用する一室はリゾートホテルのような今風の内装。

相手役の女性の説明では「旅行にきた若いカップル。彼がベッドに座ってスマホを見てばかりいるのに、彼女が拗ねていたずらをするの」という設定らしい。

「あなたは、ぼうっとスマホをいじって、わたしが触っても、なるべく無関心なふりをして。わたしが導くから、ほとんど動かなくていいし演技もいらないわ」

「素人の盗撮をしたっていう体だし」とウィンクした彼女は若そうながら、ベテラン感がひしひし。ホラー的雰囲気が漂うホテルにきてから、あらためて迷いを覚えた俺はアイスコーヒーを差しだされほっと一息。

コーヒーの味は正直、よく分からなかったが「彼女に身を任せよう」と一気飲みして腹をくくったもので。

撮影の準備が整ったとのことで部屋へ。ふつうのホテルにはない大きな鏡があるも、マジックミラーで、それ越しにカメラで撮るという。

「そのほうが盗撮っぽいし、きみが撮影を変に意識しないでしょう」とのビーチで勧誘した髭面の説明。きな臭い商売をしている割には、愛想がよく物腰柔らかく気づかい屋。

ベッドで胡坐をかき、かすかに震える俺に「目には黒線いれるけど、心配なら目隠しする?」と声をかけてくれたし。そりゃあ、死んでも業界や彼にばれたくないから、黒い帯のようなそれを受けとる。

目隠しをすると「じゃあよろしくね」とスタッフたちが退室。はじめに説明されたとおり、スマホを持ってスワイプするふりをすれば「ねえ、聞いてるう?せっかく旅行きたのにい!」と彼女の非難がましく甘える声が。

「いつ?いつくるんだ?」と胸を高鳴らせるうちに体が熱くなり息切れも。まだ触られていないものを、ズボンの下がむくむくと膨らみ、カメラを意識すると、なおのこと居たたまれないやら恥ずかしいやら。

こうも失態を晒しては撮影中止かと思いきや、ベッドが軋んで彼女が乗っかったのだろう。呼吸を荒くしつつ、スマホをいじるふりをしつづけ、ズボンと下着をずらされても、なるべく反応しないように。

手か舌か、どちらがくるのか?果たして、どちらでもなく、冷たくぬめぬめとした柔らかいものに包まれて急激に扱かれて。

「気色わる!」とぞっとしたものを、次の瞬間、どっと快感が湧きあがり「ひい、あ、ああ、んんあああ!」と即射精。一旦、それが引きぬかれるも、また包みこまれてぶっちゅぶっちゅ!

「いたずらって、そういう意味か?」とふと考えるも、ベッドが軋んでから彼女の声が聞こえないし、手つきからして相手は女性でなさそう。とにかく止めたいところだが(おそらく大人のおもちゃ的なので)弄ばれてイきっぱなしだし、体が燃えるような高熱に悩まされて、みっともなくあんあん悶えるばかり。

もう数えきれないほど絶頂を迎え「ふおおお!」と頭が真っ白に。いっそ、そのまま意識を失くしたかったとはいえ、にわかに視界が開けて、目にはいったのは彼女でなく、見知らぬ男。

手に持ったナオホを放って、新しいのを装着。「もお、やめ・・・!」とその手首をつかもうとするも、快感に痺れてままならず、半端に股間に手を伸ばしたまま「はひいいん!もお、もおお、だめええ!」と泣き叫ぶ。

「いいねえ、いやいや泣きながら、濡れた股に手を伸ばして、もっともっとって乞うように腰を揺らして」

涙目で見やった先には、片手に目隠しを持ち、片手にカメラを持つ髭面の男。やっと騙されたことに気づき「この・・・!」と睨むも、急に胸に違和感が。

いやでも見えてしまう、両乳首に当てられる筒状の注射器のようなもの。でっぱりを引っぱると、乳首も引っぱられ、未知の快感がこみ上げて「くひいい!」と空イキ。

「ほんとうの題名は『ガチムチのかわいいきみに、あらゆる大人のおもちゃを試してあげる』だよ」

なんて告げられても、はあはあ涎を垂れ流すだけ。注射器のようなのが外されて「ううん!」と甲高く鳴くも、どうにか奥歯を噛みしめ「こ、殺して、やる・・・!」と睥睨。

「ほんと、きみら脳筋傲慢愚劣格闘家は懲りないよねー。この世には腕力で解決できないことは山ほどあるんだよー」

「大体、そんなざまで凄まれてもねえ」と鼻で笑われ、赤く腫れてぷるぷるする乳首を目にして顔を沸騰。おまけにピンクのディルドが当てられてスイッチオンされては。

「ううん、おう、おふうう!や、やめ、やめてええ!」とメスイキしっぱなしで号泣。ナオホで扱かれ、ディルドを胸に当てられて、それだけでも快楽地獄に陥るのが、見よがしに掲げた数珠を尻の奥へ。

足の間にいた男がナオホを動かしながら体をどけたので、マジックミラーに写るあられもない自分と向きあうことに。

「彼らのヘアバンドにはカメラがあるし、もちろん向こうでもばっちり撮っているよ」

「いい反応してね」と笑いかけつつ、羞恥に鞭打つような言葉を。まんまと煽られて「やあ、やだあ、やだよお!お願あ、やだってええ!」と泣きじゃくれば、そりゃあ「かわいいかわいい」と髭面は大よろこび。

「そっかそっか、じゃあもっと恥ずかしくしてあげるよ」とナオホを外して、胸からディルドを遠ざける。ほっとする間もなく、乳首が洗濯ばさみのようなのに挟まれて鈴の音「がっつり潮吹くところ見せてねえ」と髭面のふふふと、おねえのような笑い。

精液まみれの息子が立ちっぱなしで痙攣し、あんあん胸を揺らすたびにちりんちりん。滑稽なざまに、より羞恥に苛まれ、でも「はふううん!ああ、そこお、そ、しょこおお・・・!」と腰を振るのがやめられない。

股間の間近でカメラをかまえる髭面の「じゃあ、盛大にぶっかけてよ」との一言で一気に数珠が引っぱりだされて。奥まで埋まって蠢いていたのが、内部を擦るあまりの苛烈さに「く、くそお!おおおん!」と鈴を鳴らしながら、白い液体をまき散らしてしまい。

ぎりぎりで意識を保ちながら「なんか、いろいろとオワタ・・・」と絶望したものだが、鳴り響いたタイマーの電子音。「あー時間切れかあ、まだまだ試したかったのに」と紙袋いっぱいの、おぞましいそれを目にして昇天するように失神。

きっと相手は堅気の人間でないだろうと。いかがわしい動画を撮られたなら、業界にいられなくなるどころか人生終了と思ったのだが。

「いやーぼろ儲けさせてもらったよ」とご満悦そうに約束どおり一万円をくれて、脅迫したり、さらなる要求はしてこず。一万円札に疑いの目を向けていると「ほんとうはもっと稼がせたいけど」と謎の言葉を。

「先輩の顔に免じて、まあ、これからもがんばりなさいな」

釈然としなかったとはいえ、相手の気が変わらないうちに大人しく退散。なれど問題はのこっている。

「俺は髭面だけでなく、双子にも騙されたのか?」とそりゃあ、疑心が。問いつめたくはあるが「まさか、誘いに乗るなんて」としらを切られるそうだし、そもそも双子に打ち明けるわけにいかないし、俺の胸のうちにとどめるしかないよう。

悔しいような、おそろしいような、とりあえず双子には近よらず「強くなって王者になれば、あいつらも口を挟めないだろ!」と鍛錬に熱中。おかげなのか、アダルトビデオの一件があって以降、我ながら目覚ましい成長を遂げて、期間を短くしてプロデビューし、新人大会で優勝。

「俺の見こんだとおりだ!」とオーナーは鼻高々と喚いたが、ジムに所属してしばらくは無関心だったくせに。というように俺の快進撃は意外だったわけで、我ながらできすぎて不思議。

「まさか双子の助言はマジ?」「いやまさか」と肩を揺らして笑いながらも、双子にマッサージされて悩ましい声をあげる彼から目を離せなかった。




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