【SAVE THE NEKOMIMIの法則】面白いシナリオを書くコツとは?

学んだこと

 ブレイク・スナイダー著「SAVE THE CATの法則(※以下、「本書」と表記)」を読んで学んだことをまとめていきます。全部が全部正しいものとして鵜呑みにするのではなく、中にはあえて逆らった方がいいような「変なルール」も散見されました。学ぶべきことは何だったのか、学ばず逆らうべきことは何だったのか、つまびらかに書いていきます。また、それぞれの項目について僕が正しいと思ったものには〇を、違うなと思ったものには×をつけています。

SAVE THE CAT!【〇】

 よく誤解されがちな言葉で、僕も以前まで誤解していたのですが、この言葉は「主人公には猫を助けさせよ」ということではないのだそうです。……ではいったい「SAVE THE CATの法則」とは、どういう意味なのでしょうか?

 以下、本書の172~173ページの文章の一部を引用

(前略)…じゃあ要するに、主人公に共感を持てるよう、貧しい人々にお金を恵むようなシーンが必要ってこと? いや、そうじゃない。それじゃ、この法則の本質とずれている。…(中略)…《SAVE THE CAT!》とは、〈主人公が置かれた状況に観客が最初から〈共感〉できるように気をつける〉ということだ。…(中略)…肝心なのは、観客が主人公を好きになるような配慮をするということなのだ! 危険の迫った猫を助けるミエミエなシーンとか、道路を渡る老人を助けるわざとらしいシーンなどを入れろと言っているのではない。観客が主人公やストーリーに共感できるように配慮し、仕向けることが重要なのだ。ついつい主人公を応援したくなる状況を作って、見せなければいけないということだ。(後略)

 引用終わり

 ……だそうです。危険の迫った猫を助けるシーンや、道路を渡る老人を助けるシーンを入れるという意味ではなかったのですね。初めて知りました。(入れてはいけないということではないのでしょうけれど……)

 しかし、結局のところ危険の迫った猫を助けるシーンを入れるというのが一番無難で手っ取り早い気はしますけどね。僕だったら猫を「ネコ耳美少女」にアレンジします。危険な目に遭いそうになっているネコ耳美少女を主人公が助けてあげるってシチュエーションよくないですか? SAVE THE CATの法則ならぬ「SAVE THE NEKOMIMIの法則」ですねww

プールで泳ぐローマ教皇【〇】

 簡単にひとことで言えば、登場人物が長台詞で何か設定を説明しているときは、観客(=読者)が退屈しないように、ローマ教皇が水着を着てプールで泳ぐシーンのように誰が見ても驚くようなインパクトのある絵面にしなさいということらしいです。そりゃ驚くわww

 ……理屈は分かるんですけど難しくないですか? 「プールで泳ぐローマ教皇」と同じぐらいに誰が見ても驚くようなインパクトのある絵面なんて、そう簡単に誰にでも思いつくようなものじゃない気がするんですよね。この部分に関しては技量不足過ぎて正直今の僕には真似しかねます。ただ、そう思うと同時に、これがもしできれば字書きとしてのレベルは格段に上がる気もします。というわけで、次、行ってみよう!

魔法は一回だけ【×】

 一つの作品の中で発生しても許される魔法や超常現象の回数は一度までだそうです。……え、よくわかんないです。そんなのほとんどの作品が破っているルールじゃないんですか? これはどうも真似しなくてよさそう。次、行ってみよう!

パイプの置きすぎ【〇】

 ストーリーを本格的に動き出し始める前に、世界観や設定の説明ばっかりをダラダラと長くやるのはNGということだそうです。これは分かりますし、真似することもカンタンです。

黒人の獣医【×】

 物語はなるべくシンプルで情報量が少ないのが一番、ということだそうです。うーん、これは理解しかねますね。コードギアス 反逆のルルーシュや進撃の巨人なんかはめちゃくちゃ情報量多くて濃密ですが、名作ですし、反例を挙げようとすればいくらでも挙げられる気がします。これに関しては賛否両論がありそうです。次、行ってみよう!

氷山、遠すぎ!【〇】

 主人公に迫る危機が遠くて小さいものだと、物語にスリルがなくなるという理論だそうです。これは分かりますし、真似することもカンタンです。

変化の軌道【〇】

 映画の登場人物(映画だけに限らずゲームや漫画や小説も恐らくそう)はすべてストーリーの中で変化するというルールだそうです。理屈としては理解できるのですが、「プールで泳ぐローマ教皇」と同じで完全に真似しきることは難しそうです。

マスコミは立ち入り禁止!【?】

 読んでそのままの意味です。僕の書いているシナリオはそもそもファンタジーの世界が舞台で、現代のようにテレビ局や新聞社が存在している世界ではないので、関係がなさそうなルールです。

主導権を握るのは主人公だ【〇】

 何をやりたいのか自分で決断しない、行動力の弱いキャラクターを主人公にしてしまうと、主人公がシナリオに引っ張られてしまうのでよくないらしいです。これは僕自身も含めて字書き初心者がついついやってしまいがちなミスですね……。

セリフでプロットを語っていないか?【〇】

 出ました、超上級者向けテクニック。物語のプロットの流れをキャラクターのセリフで喋らせるというのは、僕自身も含めて字書き初心者がついついやってしまいがちなミスなんですよね。これをなくすことが上級者になるために必要なステップなんですね。

悪い奴はひたすら悪く【×】

 これは絶対に違うでしょう! 正面から激しく異を唱えたい。非勧善懲悪でも名作となっている作品なんていくらでもありますよ。コードギアスも進撃の巨人もFate/stay nightもガンダムシリーズもそうじゃないですか。僕は非勧善懲悪の方が勧善懲悪より面白いと思いますね。

回転、回転、回転【?】

 これに関しては僕の読解力が足りないのか、言いたいことが漠然としていてよく理解できなかったです。

カラフルな感情のジェットコースター【〇】

 よいシナリオは、笑いや喜びや感動や恐怖やスリルなど、様々な感情が絵の具のようにカラフルに詰め込まれており、飽きない仕組みになっているという理論です。これは分かる気がします。

「やあ、元気?」「うん、元気だよ」【〇】

 これは上級者向けテクニックなので真似できないですね。キャラクターの名前と地の文を消して、セリフだけのテキストにしても誰が喋っているか区別できるようなセリフを書けるようになりなさいということらしいです。それができたら苦労しませんよお……。

一歩戻って【〇】

 ノーコメント

松葉杖と眼帯【〇】

 松葉杖と眼帯というのはもちろん物のたとえで、実際にキャラクターに必ず松葉杖を持たせて眼帯を付けさせなさいという意味ではないのですが、つまりそれくらいキャラクターに個性を持たせようという話らしいです。「『やあ、元気?』『うん、元気だよ』」と同じで「それができたら苦労しねえよ! 」案件ですね……

原始人でもわかるか?【?】

 このへんは作品側がどうこうっていうんじゃなくて読み手側の解釈次第なところな気もします。例えば、フィクションではなく歴史の話になってしまいますが、フランスの革命家・マクシミリアン・ロベスピエールの行動動機は政治的な思想ですが、その根底にあるものは「フランス国民がみな幸せに生きられる国を! 」というある種の生存欲求みたいなものと強引に解釈すれば「原始人でも理解できる原初的な欲求」と言えなくもないわけで、見たり読んだりする人の解釈次第でどうにでもなると思いますね。

出典

SAVE THE CATの法則(2010,株式会社フィルムアート社)
著 ブレイク・スナイダー
訳 菊池淳子

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