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BL小説の記事 (58)

鶯命丹 2022/08/18 19:00

ひと晩泊めてと運命が戸を叩く

支援者限定公開
山奥に暮らす若いきこりのキコの元に「ひと晩泊めて」と傷だらけのガチムチおっさんが現れて……
その豊満なボディに魅了され「宿のお礼にイイコトしてあげる♡」というToLoveる展開です。
巷で噂のえっちな雌おっさん(屈強)です。


珍しくショタじゃない攻め。
年若い青年×ガチムチ雌おっさん(屈強)





 深夜には吹雪くのではないかと思えるほど、冷える雪の夜だった。
暖炉に薪を焚べて、揺れる炎を眺めていたキコはコツコツと戸を叩く音で顔を上げた。
 日もとっぷり更けている、雪の夜に誰かきたのか?
 キコは身をこわばらせてじっと物音に耳を澄ませる。
 コツコツ
 やはり!
「ひっ!」
 キコは息を飲み、咄嗟に口を覆う。
 じっとして様子を伺っているとコツコツコツと戸を叩く音と低い男の声が聞こえた。
「夜分にすまないっ! 道に迷い難儀しているっどうかひと晩ここに泊めてくれないかっ」
 強くなる風の音にかき消されないよう、張り上げた声に余裕はない。
「い、今開けます!」
 キコは慌てて玄関へと走り、戸を開けた。
 ビュービューと吹き荒ぶ雪の中、雪まみれになった大男が立っていた。
「た、大変だっ! さぁ早く中に」
 外気と共に入り込んだ男は雪どころか服のところどころに小さい氷柱さえ垂れている。
「いやぁ助かった! あともう数時間……いや数分外にいたら凍死していたな」
 男は酷い状態の割には快活な物言いをして笑っている。
「さっきも言ったが、道に迷い難儀している。どうか一晩泊めてほしい。すまねぇ」
 そう言ってキコの前に立つ男の逞しいこと。
 キコも山を生活の場にする男であるので、身体の逞しい方であるが、男はそれを上回る巨体だった。
 隆起した肩の厚みは冬用の厚着でもわかるほどに盛り上がり、前を合わせたコートの中に窮屈そうに仕舞われている胸の厚さに圧倒される。
 コートの裾を限界まで押し広げる太腿は堅強で、どんな険しい山道にも耐えられるだろうが、冬山の夜に無闇に歩くのは危険だ。
「ええ。大丈夫ですよ。うちでゆっくり休んで。とにかくまず、濡れた身体を乾かそう」
 キコは男を迎え入れると雪でぐっしょりと濡れた装備を外すのを手伝った。
 コートの中に窮屈そうに収まっていた肉体は防寒着でも守りきれなかったのかじっとりと濡れて冷え切っていた。
「そのまま冷えると良くない」
 キコは急いで乾いた布を持って男の手を引いた。暖炉の真前に椅子を置き男を座らせ濡れた身体を拭く。
 「ああ、悪い」
 防寒頭巾から現れた男は、その低い声に似合いの髭に覆われた無骨な太い顎と、高く大きな鼻、深く精悍な彫りの眼窩に、野生動物のような鋭い眼差しをもっていた。
 更にはこめかみから顎にかけて大きな切傷が付いているのが、男の顔立ちをより一層野生味のある荒々しい強面に見せている。
 傷痕の走る部分には顎髭が生えてない。それ程深い傷だったようだ。
 深い傷痕のある左目の方が引き攣れるようで、よくよく見ると左右で目の大きさが少し違った。
 癖のある髪が無造作に伸びて毛先から水を滴らせている。
 キコは男の迫力ある面持ちにぴくりと身体を強ばらせるも、がちがちと鳴る男の歯の根にハッとして手当に専念した。
「ふ、服も脱いで……火のそばで乾かすから」
「ああ、悪りぃな」
 男は着ていたものを躊躇いなく次々と脱いでいく。
 キコは男の肌を直視出来ずに脱いだ服を受け取ることに集中する。
 受け取った服は、ぐっしょりと濡れて冷たい。
 慌ててそれらを暖炉のそばに干していくキコの鼻に、服に染み込んだ男の匂いがした。
「ん"ん"っ……いま、お湯を用意するから」
 鼻腔から脳を揺さぶる男の濃い匂いを振り払うように咳払いをして、キコは暖炉の端に掛けてあった鉄瓶に手を伸ばす。
 鉄瓶の中でほこほこと湯気を立てていたお湯を木のタライに入れてやり、台所に置いてある水瓶の水を掬って足す。
 少し熱いくらいの湯を張って「ここに足を浸して。そのままだと凍傷になるかも」と男の方にタライを向けた。
「おお、ありがたい。足先がかじかんで痛かったんだ」
 男は嬉しそうに笑うと濡れたブーツを脱ぎ捨て足を湯気たつタライの中に浸す。
「あー……あったけぇ」
 濡れたブーツはぐっしょりと重く、冷え切っている。
「凄い濡れてる……これは本当に凍傷になるところだったな」
 キコはブーツを暖炉のそばに置くともう一つタライを用意する。
 沸かした湯とタオルを入れたタライを男に渡して「これで身体を拭くといい。今、代わりの服を持ってきます」
「何から何まですまんなぁ。助かる」
 男はキコからタライを受け取るとタオルを搾って顔を埋めた。
「ああ……生き返るー」
 タオルに埋もれている男の姿に笑いながら、キコは部屋の中を漁って男の巨体に見合う服がないか探す。
 しかし、キコよりも体格が良い男が着られそうな服が見当たらない。
「すまない……あなたが着られるような服が無くて。替えのベッドシーツでも無いよりマシだろうから、これを身体に巻いて……」
 シーツを持って男の方を向き直り、ついその身体を見てしまった。
 暖炉の炎に照らされて、裸になった男の身体もまた傷が多かった。
 はち切れそうな二の腕にも、ぼこぼこと大木のような腹筋に覆われた腹も、溶けた雪の雫が通るほど、深く大きく筋肉のついた太腿にも、至る所に傷がついている。
「どうした?」
 まじまじと見つめていたキコの視線に気づいた男が、不思議そうに問いかけた。
「あっいや……背中、拭こうか」
「ありがたい」
 キコが背後に回るとじっとりと汗と雪に濡れた背中が暖炉の炎に照らされて光っている。背中もやはり傷がついていた。
「凄い傷……傭兵か何かを?」
 布で拭きながら、バレないようにそっと傷を撫でる。
 気づいてないのか、大仰に笑って男は頷いた。
「あちこちで戦があれば出かけていくヤクザ者だよ」
「どうしてこんな、田舎に?」
 この周辺はのどかなもので、戦争のきな臭い騒ぎも、危険な魔物も滅多に出ない。
 キコの疑問に男は「まとまった金が入ったから田舎に引っ込むことにしたんだ」と笑う。
「この辺は治安が良いから余生を穏やかに過ごせると噂に聞いてな」
 微笑む男の、隆起した筋肉まみれの身体は雄の生気を漲らせ、若々しい。
「余生だなんて……そんな歳には見えない」
 キコがそう言うと「お前さんのような若さは無いさ」と笑った。
 いかつい見た目に反して良く笑う男だった。
 背中にしたたる雫が髪から落ちてきてるのに気づいてキコは湯で温めたタオルで、男の頭をわしわしと拭いてやった。
 「こりゃあいいな! 犬にでもなったようだ」と笑った男に「ご、ごめん! つい……」とキコが手を止めて謝る。
「いいや、続けてくれ。お前さんの手があったかくて気持ちいい」
 男はそう言って項垂れるように頭を下げて、キコの手を待っている。
「じゃあ……痛かったら言って」
 再びキコの手が動く。
「ああ〜いいな。あったけぇ」
 男はされるがままうっとりと呟いた。
 
 「大したものは無いんだけど……」
 そう言ってキコは、鍋を暖炉にかけてスープを温め、しまってあった乾いたパンを出す。
「おお! あったかい食事は久しぶりだ!」
 着替えがわりに渡したシーツにくるまった男が歓声を上げる。
 質素な食事に恥ずかしくなったが、男は嬉しそうに笑ってあっという間に平らげた。
「スープお代わりするかい?」
「いいのか! じゃあ遠慮なく」
 キコの問いに喜色満面に碗を差し出す男。
 本当に犬のように嬉しそうにする男にキコは微笑んで、スープのお代わりをよそってやった。
 
「いやぁ本当に助かった! ごちそーさん」
 男は食後に出した温めた酒を飲み干すと、盛大に頭を下げた。
「頭を上げてくれっ! 困った時はお互い様だよ」
 慌てて男の肩に手をやって頭を上げさせる。
「そうは言っても冬山じゃ、下山するのも一苦労だろ? 蓄えだって限りがあるのに……分けてもらって助かった。ありがとう」
 男はじっとキコの顔を見つめ、低く静かな声で礼を述べた。
「いいんだ、本当に」
 真摯に礼を言われ、キコは顔面が熱く火照るのを感じていた。それを誤魔化すように、早口で捲し立てる。
「は、腹に食べ物が入って、身体が温まったうちに、ベッドに行こう! あいにく、ひとつしかないから共に寝ることになるけど……」
「俺は床でも構わんが」
 男の言葉にキコは激しく首を振った。
「薪はまだあるが、こんな日はひどく冷える。床でなんて寝たら明日には冷たくなってる!」
 キコの剣幕に男は目を見開くが、すぐに頷いて「何から何まで、世話になるな」と困ったように笑った。

 暖炉のそばのベッドに二人で入り込む。
 ベッドにはたくさんの毛布やシーツが重ねられていて、二人で潜り込むとほかほかと暖かかった。
 窓の外からしんしんと雪の降る音がする。
「寒く無いか? もう少しこっちに来たらどうだ?」
 男がキコを抱き寄せる。
「あっ! いや、だ、大丈夫っ」
 男の胸に顔を埋めるような形になってキコは慌てて離れようとするが、男が太い腕で離さない。
「さっきから熱っぽい目で見やがって……」
 男が低く甘い声でキコの耳元で囁くと、ぐっと下半身を密着させた。
 存在感のある陰茎を押し付けられキコは小さく息を呑んだ。
「そんなつもりじゃ!……ごめんなさい」
 たしかに、キコは男の身体見て、密かに興奮を覚えていた。そっと盗み見ていただけのつもりだったのに、まさか気付かれていたとは……
 戸惑い、うつむくキコの顎を、男は指先で撫でて自分の方に向かせる。
 吐息がかかるほどに顔を近づけて「暖かい食事と寝床の礼をしたいと言ったらどうする?」と野性味溢れる鋭い瞳を淫靡に蕩かせて誘惑する。
「どうするって……」
 目の前に迫る男の唇に、抱きしめられる力強い腕に、ぴったりと寄り添った肉厚の身体に、辛抱出来なくなったキコは、男の背に腕を回し口付けた。
「んっ、ふっ……はっあぁ……」
 触れるだけの口付けを繰り返すキコに、男はゆるく唇を開けてキコの唇をちゅくちゅくと吸った。
「ふっんん!」
 驚き、逃げようとするキコの後頭部を大きい手で撫でると、逃がさないというように舌を侵入させる。
「ふぁっ! あっ、はぁ……ぅうっん、あぁっ」
 ぬるぬると自身の舌を肉厚の男の舌で絡め取られ、キコは甘い吐息を零す。
 興奮のまま男のくるまったシーツの隙間に手を差し入れて、その逞しい肌を撫でた。
 ふさふさと体毛の濃い部分と、なめした革のような素肌の手触りにキコは夢中で男の肌を撫で回した。
 特に傷跡がキコの気に入りになった。
 ぽこっと指先に引っかかる傷跡は撫でるとツルツルだったりぼこぼこと盛り上がっていたり、凹んでいたりして、キコの指先を楽しませた。
「ふふっはっ、くすぐってぇよ」
 合わせた唇の隙間から男の笑い声が漏れた。
「あ、ごめん……」
 男の反応に、キコが慌てて手を引く。すまなそうに視線を下げて顔を引いた。
「ああ〜いい、いい、冗談だ。気にすんなって。好きに触っていい」
 男がキコの手を取って自身の身体へ触れさせる。
「イヤじゃ、ない?」
 不安げに瞳を揺らすキコの頬にキスを落とし、男はくつくつと笑った。
「嫌じゃあねぇよ。なんも知らねぇ子どもに悪りぃこと教えてるみてぇで興奮する」
「俺は子どもじゃない。もう大人だ」
 キコは反射的に言い返したが、ムキになって言うその態度こそ、子どものようだと気づいてむっつりと口を閉じた。
「悪りぃ悪りぃ……純粋で可愛いって言ったんだ。な、もっと触ってくれよ。お前の触り方、結構好きだぜ?」
 キコのむくれた唇に、男は何度も口付けながらニヤリと笑った。
「本当?」
 キコは手を伸ばし、男のがっしりとした顎に触れる。
「ああ、焦ったくてゾクゾクする」
 キコを真似るように、男の太い指がキコの顎を撫でた。
「それは、褒めてるの、か?」
 キコが訝しむように呟くと、男はとうとう吹き出して笑った。
「やっぱり褒めてないっ子ども扱いしてる!」
 キコは顔を赤くして怒ったが、男は構わずくつくつと身体を震わせて笑いながら、太く屈強な腕を伸ばしてキコをぎゅっと抱きしめた。


続きは支援者様限定・計9300文字

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鶯命丹 2022/08/17 18:00

コミッション作品・女性向けBL二次小説(放サモ)

以前ご依頼いただきましたコミッション作品を公開いたします   注意事項  ・二次創作小説(東京放課後サモナーズ・主4×スルト)・R18・ガチムチ受け




 流者がひとり、スマホで動画を観ている。
 珍しく予定のない休日の午後、寮部屋の備え付けのベッドでゴロゴロとのんびりとした時間を過ごしてる。
 ボーっと画面をスワイプしているところに、いきなり意識が覚醒した。
「え……スルト?」
 そこには見知った顔。それどころか流者の想い人が画面に映っている。
 黒い兜に赤い炎をまとった巨人。
 巨躯をシンプルな洋服に身を包みエプロン姿の巨人が、なにやら綺麗に盛り付けられた菓子類を持って画面の中に納まっていた。
「マジでか……」
 動揺に一人で呟きながら、震える指でサムネをタップすると、聴こえてくる心地の良い重低音。
「マジでスルトだった」
 見間違いかと祈るような流者の思いと裏腹に、動画の中で楽しげに調理をする姿があった。
「しかも、生じゃん。これ」
 更に孤狼の独り言は続く。チャンネルは絶賛生配信中であった。
「結構盛況みたいだし。コメントもにぎわってる」
 概要欄を覗けば予想以上のチャンネル登録者数に、盛況に書き込まれているコメント欄。
 どうやら何度目かの生配信らしく、視聴者からの『楽しみ』だとか『待ってた』だとかの、のどかで好意的なコメントに溢れている。
「なんか、すげーな」
 感心と共に零れた呟きは、それだけでなかった。
 スルトが料理上手なことも、見かけによらずひと好きのする好漢であることも、彼の良さが認められたようで誇らしい気持ちは本心である。
 しかし、自分の想い人があまりにも他人に好かれすぎるのも、複雑な気持ちがする。
「面倒くせぇな……我ながら」
 自嘲する流者はふと、彼の家族はどう思っているか気になった。
「これ、みんな知ってんのかな……アルクに聞いてみるか」
 仲の良い家族の事だ。秘密であるとは考えずらいがしかし、ハーロットあたりが反対しなかったのだろうか?
『アルク スルトが生配信してる』
 脈絡ない短文をアプリを使ってアルクへいきなり送り付ける。
 普段ならばもう少し取り繕って久しぶり! だの、元気? だの愛想よく展開させているだろう文面も、だいぶシンプルな文言しか思いつかなかった。考えている時間すら惜しかった。
 返信は意外にもすぐに来た。
 ぽこんとかわいらしい電子音と共に届いたメッセージには『見てくれてるの? 父さん喜ぶよ』とこれまたシンプルな文章が届く。
『知らなかったからすげー驚いた!』
『最近始めたんだ。キッチンを占拠されるって母さんが怒ってた』
 アルクからの返信に、流者は苦笑した。
「やっぱ反対されてる」
 怒っているハーロットの顔が目に浮かぶようで、ひとり笑っていると、更にメッセージが届く。
『良かったら感想伝えてあげて。君の感想なら父さんすごく喜ぶはず』
 文章から、家族を思うアルクの優し気な顔が浮かび、流者もつられるように微笑んだ。
『分かった見て感想送るわ』
 返信し、動画に集中するためメッセージ画面を閉じた。
 動画の中では、キッチンの中に巨体を窮屈そうに押し込めながらも、よどみなく調理を続けているスルトの姿があった。
 粉に卵やら砂糖やらを入れて捏ねる手は大きく筋張っている。
「手、デカいな……」
 ぽつりとつぶやいた言葉は、思った以上に自分の欲望が滲んでおり、流者は誰もいないのに部屋の中をきょろきょろと見回してしまった。
「いやいや……スルトは巨人だしな。でっかいのが普通なんだよ」
 誰に聞かせるわけでもない弁明をする。
 仕方がない。
 思春期の少年が、好きな相手の体のパーツを見て、無心でいろと言うのが無理な話なんだ。俺の反応は普通、普通……
 心中で言い訳を繰り返しながら、流者は画面の中のスルトをじっと見つめ続ける。
 粗野にも見える巨体が器具を操る音は、意外にも静かに丁寧な音が続き、なんとも心地よい。
 ときおり注釈もかねて、落ち着いた声音でスルトが一言、二言、喋っている。
 むくつけき大男の第一印象とは異なる、穏やかなスルトの人柄そのままの、しっとりと落ち着いた動画の内容に流者はふうと息を吐いた。
「なんか、スルトらしいな」
 のどかな内容に毒気を抜かれて、流者が口元を緩めた瞬間に、それは起こった。
 スルトが太い指で掴んでいたボウルには、たっぷりと白い生クリームが入っていた。
 それをカチャカチャと混ぜていた時、ボウルがつるりとスルトの手から滑り落ち、作業台にごつっと音を立てて落ちた。
 衝撃で跳ね上がる生クリーム。
 幸いにもひっくり返ることはなく多少跳ねた程度だったので、大した被害もなかったのだが――カメラが、流者の目が捉えたのは、スルトの胸元に飛び跳ねた少量の生クリームだった。
「うわっ……なにこれエロじゃん」
 思わず、欲望の声が出る。口元がにたにたといやらしく歪んでしまうのを手で隠した。
『失礼。手が滑りました』
 恥ずかしげに兜の奥の目を細めて視聴者に詫びるスルトが、分厚い指先でエプロン生地をつまみあげて、布巾で跳ねたクリームを拭っている。
 少し慌てたような、とんとんと素早く動く指に可愛らしさすら滲んでおり、流者は目頭を抑えて唸った。
「くぅ……大丈夫なのかこれ、卑猥じゃないか?」
 ひとりもだえる流者は、ひと呼吸分目頭を揉むともう一度画面に目をやる。
『結構いっぱい飛びましたね。いろんなところが汚れてました』
 照れ笑いを浮かべて、エプロンだけでなく、作業台の上も布巾で拭っていくスルトを見て、流者はもう一度深く深呼吸をする。
「いやいや。いかんいかん……スルトはけっしていやらしい意味では言ってない。そんな目で見る俺が悪いんだ……」
 邪な目で見てしまう己を律し、頭を振る。
「俺が思春期なのが悪いはずだ……そうだ、あののどかなコメント欄を見よう。きっと平和なはずだ……平和でなければならない……」
 不穏な言葉と共に、流者はコメント欄を開く。
 そこにはさっきまでののどかな雰囲気から一遍、祭りのような賑わいでコメントが次々と流れていく。
「んだよっどいつもこいつも……『ありがとうございます』? 『白いのぶっかけ』?! 『俺のも拭いて』だぁ? はああ?! スルトのことをいやらしい目で見てんじゃねえよっ」
 少し前の自分の言ったことは棚に上げ、流者は苛立たし気に声を荒げた。
 しかしそんな流者の葛藤も怒りも画面の向こうにいるスルトには一切伝わらず、すでに作業へと戻っている。
「スルト、本当大丈夫なのか……俺が気にしすぎなだけ?」
 コメントを気にする暇がないのか? それとも無知なのか?
 流者はもやもやとしながら、スルトの配信を見守り続けるなか、着々と完成に近づく菓子。
「やっぱり、エロいよな……この手」
 繊細な菓子類を作り出すスルトの武骨な手を見て、流者の身体には消えない熾火のような欲情が渦巻き、横たわったまま部屋着のズボンを下ろして、既にほんのり固くなっている陰茎を握る。
「……っはぁ」
 さくさくと作業を進めるスルトの手を見つめ、この手がちんぽを扱いてくれたらと妄想に耽る。
 画面の中で無防備に映る、あの逞しい胸に自分の精液をぶっかけられたらと夢想しつつ陰茎をしごく手が早くなっていく。
「はっ……ぁ」
 勃起した陰茎から、ぞくぞくと痺れるような快感が身体を支配して、思考がぼやける。
 脳みそが快感だけを追うように指示を出す。
「あっ……ぐ、でる」
 それに素直に従って自身の肉茎を扱く手が早くなり、流者は精液を噴出した。
 絶頂の後の気だるい身体を起こして片付けをしていると、動画の中のスルトが作品の完成を告げていた。
 出来上がったまあるい菓子はころりと可愛らしい形をして、スルトの分厚い手のひらの上にいると更に小さく可憐に見えた。
「このままじゃ、良くないよな」
 このままぼんやりとみているだけでは、万が一スルトをいやらしい目で見る有象無象に彼を奪われるかもしれないと自身を奮起させて、流者はスルトのアドレスへ、メッセージを送った。


 完成版は各種支援サイトで・全文10800文字

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鶯命丹 2022/08/15 05:00

死神さんとえっちなことをする話

病弱少年の元にガチムチ死神が迎えに来てくれて
 死にたくない!!!!!!!童貞のまま死ぬなんてやだ!!!!!!!
 って言うから死神がしょうがねぇなぁって尻穴貸してくれてめっちゃげんきになる♂話
童貞に手解きしてくれるR18エロ・ショタ攻め×ガチムチ受け・ガチムチに人外描写あります。
 ショタは死にかけなので、セーフです。
 きちんと生き返ります!パピエン!
 

 少年――ソウタ
 死神――サカマキ





  「あの葉っぱが全部散る頃には、僕はもうこの世にいないかも……」
 なんて言ったって、ほんとに死ぬとは思わないじゃないかっ!
 
 ソウタは目の前に立つ、ムキムキマッチョの骸骨顔を驚愕の表情で見上げた。
 大柄で、ムキムキバキバキの裸の上半身。太い首に社員証のようなものをぶら下げている。
 ソウタはその時初めて、筋肉で盛り上がった胸筋は、社員証の紐を持ち上げることを知った。
 下半身は黒い巻きスカートなのか、腰巻なのか不明の長い布で足を隠してるけど、パンパンに発達した太ももが、布地を裂きそうなほどに張り詰めている。
 肩にかけ腕に抱えてる柄の長い鎌は、いかにも命を刈り取る形をしているが、この死神ならそんなもの無くても刈り取りそうな程に雄であり、強者の出立ちだった。
 こんなマッスルボディの癖に頭は骸骨で、フードを被っている。
「聞いてるのか?ソウタ……お前、ソウタだろ?」
 骸骨顔は、フードをゆらりと傾けて、恐ろし気な低い声でソウタに問う。
 しかし、ソウタがあんぐりと口を開け呆けているので、黒い布のポケットからスマホを取り出して親指で操作する。
「ああ、あったあった……やっぱお前ソウタで合ってるだろ? ショックなのは分かるがそろそろ逝くぞ」
「し、死神……」
 ソウタが小さな声で呟いた。
「ん? ああそうだ。俺は死神のサカマキ。お前が迷わず成仏出来るように迎えに来た」
 死神はスマホをポケットに戻すと、肩にかけていた大きなカマを持ち直した。
「ほら、鎌だってあるし、社員証だってあるぞ」
 死神はパンプアップした雄っぱいの谷間に持ち上げられている社員証を掲げて見せる。
 ふりふりと振られる社員証を見つめてから、ソウタは大声で泣き叫びながら頭を抱えて床を転げ回った。
「やだやだやだぁぁっ! 死にたくないっ! じにだぐないィィィィッ!」
「ちょっ!? 落ち着けソウタ! 気持ちは分かるが……」
 急に荒ぶり始めたソウタを宥めようと死神がしゃがむ。
 だが、今度はソウタががばりと上体を起こして死神を睨んだ。
「うおっ!」
「わかってない! 分かるわけない! そんな出会うメス皆妊娠させてそうなガチガチムキムキの雄み溢れるアンタなんかに分かるわけないっ!」
「お前、どこでそんな言葉覚えたんだ……子どもがそんな言葉使うんじゃないよ」
 死神は呆れた声でソウタを嗜めるが、ソウタは涙と鼻水を流しながら叫んでる。
「俺だってこんなこと言いたくない! けどっ! けどっ!」
 泣きすぎてしゃっくり上げているソウタの背中を撫でながら、死神はゆっくりと低い声で優しく囁いた。
「若くして死んで、心残りがあるのは分かるが、早く成仏すればすぐまた新しい転生先が見つかる」
「いやだっ! このままじゃ……こんな心残りを残したまま成仏出来ない!」
「ふう……じゃあどうすればその、心残りとやらが解消できるんだ?」
「えっ?」
「出来ることに限りはあるが、俺でできる範囲で心残りを解消出来るように手伝ってやろう」
「ほ、ほんとに?!」
「ただし、ひとつだけだ。そのひとつが終わったら成仏してもらう」
「俺、童貞捨てたいです!」
 被せ気味に心残りを宣言するソウタ。
「はぁ?」
「童貞を捨てたいです! 病気が治って、大人になったらかわいい系彼女を作って、えっちしまくるって決めてたのに! 一回もする事なく死んじゃうなんて、聞いてないです!」
「聞いてないって言われてもなぁ」
 サカマキはフード越しに頭を掻くとうーんと唸る。
「こんなところに女を用意することも出来んし……」
 腕を組み悩むサカマキをよそに、むぎゅと寄せられ盛り上がったある一点にソウタは目を奪われた。
「おっぱいでっか」
 思わず口をついて出る感想。
「はぁ?」
「ちょっとそのおっぱい触ってもいいですか? 解決策が出るまででいいんで」
 性欲でおかしくなるのは思春期の特権。
「まぁ良いけど……うおっ!」
「ありがとうございますっ!……ふぉぉ、おっぱいだぁ柔らかい……」
 ソウタはかぶせ気味にサカマキの胸筋を鷲掴みむにむにと揉みしだく。
「はぁっはぁっ雄っぱい柔らか……えろすぎ……あっやばい、ちんちん勃ってきた……」
「はぁ?!」
 サカマキが思わず視線を下にやると、確かにソウタの下半身がもっこりと盛り上がっている。
「どうしよう……サカマキさん……」
 困ったように眉を下げ、涙目でサカマキを見上げながらもソウタの手は雄っぱいを揉み続けている。
「どうしようって言われても……って、なにっ?!」
 困惑しているサカマキの身体に、辛抱たまらず抱き着くソウタは、盛り上がる胸筋に顔をうずめるとふわふわの感触を顔いっぱいに味わいながら、勃起した陰茎を押し付けてしまった。
「はぅっ」
 思わず声を上げ、腰をへこへこと擦りつけるソウタ。
「おいおいっ待て待て! こんなところで盛るな!」
「もうダメ……サカマキさん、俺サカマキさんでいいから挿れたい……良いでしょ?」
 ソウタは興奮で潤んだ目でじっとサカマキを見上げる。
 子犬のような瞳で見上げておきながら、腰は盛りのついた雄犬のごとくはしたなくへこついている。
「良くない良くないっ! できないって!」
「出来るって! クラスの女子が読んでた漫画で見たからできる!」
「なんちゅーもん読んでんだっクラスの女子!」
「俺だってもっと生きてたいのに死んじゃったんだもん……えっちくらいさせてくれても良いでしょ……」
 ぐずぐずと泣きながら言うソウタを見下ろしてうーんと唸った後、サカマキはふぅ〜……とおもいっきり息を吐き出して脱力した。
「しょうがない……ちょっと。一旦離れて」
 そう言ったサカマキに従い、ソウタは巻き付いていた腕を離す。
 するとサカマキは何もない空間に手をかざし、かき混ぜるように動かすとベッドとローションが現れた。
「こ、これって……」
 性への期待に目をギラつかせるソウタに、サカマキはふうとため息をつきながら、ベットへ横臥した。
「準備するから待ってろ」
 そう言うと下半身の腰布を捲り上げて、素肌をはだける。


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病弱少年の元にガチムチ死神が迎えに来て「童貞のまま死ぬなんてやだ!」って言うからしょうがねぇなぁって尻穴貸してくれる♂話 R18エロ・ショタ攻め×ガチムチ受け・ガチムチに人外描写あります

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