近況10/17 僕はウナギだ

全校朝礼で――スカートたくし上げ敗北宣言

 昨日、今月の100円コース向けSSを投稿しました。
 敵の術にかかって、言われるまま生徒たちの前でスカートを自らたくし上げ、マイクに向かって敗北を宣言してしまうルナたち、というお話。
 すごい能力を持ったヒロインが、超自然的な異形の敵にヤられちゃうのも良いけど、ちゃちなアダルトグッズに屈しちゃうのも良いよね! 力が発揮できなかった無念さと無様感が高まる。

 今回登場させた敵、まだ本編未登場なんで分かりにくかったらスミマセンっていう感じなんですが。いちおう、次の次の次にやるシリーズ辺りで登場させようかなーという新しい種別の敵です。pixivやノクターンでの本編連載で正式に登場するのは……うーん、何年後になるかな……w
 まぁ、マンネリを避けつつ、長く続けようとすると、ヒロインをピンチに陥らせる手管にもいろいろと変化球を用意した方が良いよな、というのがありまして、タイプの異なる敵を構想していたりします。前々から言っているようにヒロインも徐々に増やしていきたいのでー。
 いろんなタイプのヒロインがクロスオーバー的に共闘する、みたいなところにいつか辿り着きたいんスよね。この進行スピードじゃあいつになるやら、って感じではあるんだけど。
 だってさ、いっぱいヒロインがいた方が、全滅した時の絶望感がよりたっぷり味わえるだろ!?(最悪だ

 まぁでも、大勢登場させるためには、その一人一人に特徴と強みを設定しなきゃいけないし、そのヒロインの特長が映える敵も用意しなきゃいけないのでね。思い入れのないヒロインがピンチになっても私自身がまず興奮できないので、ちょっとずつやっていくんだ。気長な話になるけど、頑張るから着いてきてほしい。

 来月の支援者さん向けSSを決めるアンケートも設置してます。


 今月後半はFGO二次創作エル・アマルナの続きを書いていきます。
 後が詰まってるんだから、こっちもさっさと進めないとね。あー忙しい(忙しくしてるのは自分なんだけど



 さて、現在は久しぶりに、方向性をあまり決めずに雑学を貯め込むフェイズに移ろうかなー、などと思っています。
 何か特定の調べ物のために、決まったジャンルを深堀りするのも大事ですが、小説書きは雑学を蓄えてナンボでございます。
 数学者になりたいなら数学のことだけ学んでいれば良いけど、数学者が登場する小説を書きたかったら数学の知識だけじゃなく大学の組織運営とか、その数学者が使ってるPCソフトを描くためにパソコンの知識も必要になるかも知れないし、その人が好きな食べ物とかを描写するために食べものの知識も必要かも知れない。
 極論すれば森羅万象あらゆる知識が「あるに越したことはない」みたいな感じになるんじゃよね……w なので、まぁ可能な限り手広く情報を拾って歩くわけです。
 というわけで今読んでいるのがこんな本。

 タイトルで気になって衝動買いした。
 あいまいな会話というの、小説のセリフにスピード感を出すのに非常に重要な要素なんですよな。前にTwitterで呟いたけれど、

   テンポの悪い会話
「なぁ、腹減らねぇ?」
「ああ、なんか腹減ったなぁ」

   テンポの良い会話
「なぁ、腹減らねぇ?」
「お、じゃあなんか食べに行きますか」

 人の発話には表面上の意味と、そこに含ませた裏の意図があって。
「なぁ、腹減らねぇ?」と口にした時、別に対話相手が空腹状態なのかどうかを確認したいわけではなく、そう言うことで「何か食べようぜ」と暗に誘ってるわけですよな。
 なので、表面上の問いに対して「ああ腹減ったなぁ」と律義に答えさせているとテンポが悪くなる。いきなり発言の真意である「何か食べようぜ」の方に応えるセリフを言わせることで、スムーズに会話文が進むわけです。
 私たちの日常会話にはこういう飛躍がいっぱいあるのだけど、小説を書くために改めて会話文を組み立てようとすると、えてして表面上の言葉だけで組み立ててしまったりするのですよな。
 特に緊迫した場面での会話は、むしろ噛み合わない応酬になってるくらいの方が緊張感出るんですよね。お互いに腹の探り合いしてると、相手の問いに素直に答えたりしないもんね。
 ……なお、これをやり過ぎると富野セリフになりますw カミーユ、お前は俺の……!

 
 リアルな会話のあいまいさって、およそ教科書通りにはなかなかいかないものなのですよな。
 高校時代の国語の先生が、『「ボクハウナギダ」の文法』という本の話をしてくれたことがあって、今でも覚えてるんですよ。
 「僕はウナギだ」って、この文章単独だと「I'm an eel」みたいな意味でおかしく見えるんだけど、会話の中でだと特に不自然でもなく登場することがある。

「お前、何注文する? 俺はカツ丼」
「じゃあ、僕はウナギだ」

 みたいなことですね。会話の流れ、文脈によって「僕(が注文するの)はウナギだ」のカッコの中が省略できるということで。
 我々が日常会話で行っているやり取りって、英語の教科書に載っているような模範的で分かりやすく、一意的に解釈できるものとは限らない。でも、通じている以上はそこに「文法」はあるんだよね。

 私はだから、「日本語の乱れ」みたいな言い方が嫌いなんですよな。今まさに話され、大多数の人たちに普通に通じる言い回しなのであればそれが現在進行形の日本語の生態なのであって、間違ってるもヘチマもないだろ、って思う。
 カモノハシに対して「哺乳類のくせに卵を産むなんておかしい、生物学的分類から逸脱している哺乳類の乱れだ、間違っている」とか言ったってしょうがないでしょ、現にカモノハシって動物はいるんだからw 同様に、それが通じているなら通じている言葉こそが「日本語」なんで、それを観察して分析する立場の学者が「間違ってる」とか言うのは越権だろ、とか思ってるわけですw

 先月何度か名前を出した京極夏彦先生が、インタビューで冗談めかしながら怒ってたことがあってね。「携帯電話をケータイと略すのはおかしい!」と。「電話」という肝心な部分を落として「携帯」の部分だけ残したら、それはもう「携える(持ち歩く)」という行為の意味しか残ってないわけで、「携電」とか略すならともかく「ケータイ」は変だ、とw
 でも、いくら意味的におかしいって言っても、抗議しても、「ケータイ」で定着してしまったものは変えられないわけです。それが言葉というものだからね。常に変化し移り変わるのが言語ってものなんで。
 ついでながら、「性癖」って言葉に「好きなエッチシチュの傾向」という意味は本当はなくて、国語辞典には「生まれつきの性質、くせ」という意味しか載ってないんですけど。それは知ってるんだけど、他に「好きなエッチシチュの傾向」という意味で便利に使える言葉はないし、確信犯的にその意味で「性癖」って言葉を使っていますねw(というこの「確信犯」の使い方も本当は誤用なのだ


 なので私は、極論すれば「間違っている言葉なんてない」みたいな現状追認過激派なんだけどw ただ小説として文を綴る時に、どうしても一意的に伝わってくれなきゃ困る場面というのはありますよね。意味深に、多義的に解釈できる方が味があるシーンもあるけど、ここは誰が読んでも一通りの意味で伝わってくれなきゃ困るってことはあるんで。
 そういう意味で、「あいまいさ」のコントロールは小説書きにとって死活問題なわけです。
 まぁ、科学エッセイみたいなものを読んで、小説執筆の実践にただちに結びつくようなものでもないんだけど。どうせ森羅万象あらゆる知見が役に立つ(こともある)わけですからな……w

 そんな感じで、まぁせっかくなので気楽な読書を楽しみたいと思います。
 ほかにも読みたい本いっぱいあるんだよなー。


    支援者さん限定小説の一覧はこちら
 

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

月別アーカイブ

記事を検索