陰キャラでなにが悪い!6
もりもりと膨らむブルマ。
√4章目 ブルマで大決壊!
(ふう、昨日は散々な目に遭ったぜ……)
翌日。
千影は何事もなかったかのように登校してきた。
並みの生徒だったらこうして登校してくることなんてできないだろうけど、千影はあまりそういうことを気にしない性格だった。
それにクラスメートたちも、あまり千影のことに触れないようにしている。
だから千影はいつもクラスの隅っこの席で官能小説を読んでいるのだ。もちろん、ちゃんとカバーを掛けて。
(昨日は掃除してくれたの誰なんだろ。できればちゃんとお礼言っておきたいけど)
官能小説を読みながら、千影はそんなことを思う。
いくらクラスから浮いているとはいえ、しっかりとお礼くらいは言っておきたかった。
だけど、漏らしてしまったうんちを綺麗にしてくれた生徒を聞き出せるほどに千影はコミュニケーションが上手ではない。
むしろ、自分でもコミュ障だと思っているほどだ。
(はぁ……。こういうときにもっと自分が明るい性格だったらいいのになぁ……)
とは思うけど、こればかりは生まれついての性格なのだから仕方がないと諦めている。
だけど、せめて一言くらいお礼はいっておきたい――、
そんなことを考えているうちに、慌ただしく時は流れて昼休みになっていた。
(次の授業は体育かー。やだなー)
ただでさえ超インドアで寝不足気味。
しかも昼ご飯を食べ終わった直後に身体を動かすだなんてどうかしている。
このあと体育があると考えただけで気分が重たくなるけど、千影は買ってきた焼きそばパンを牛乳で流し込んでいく。
少しでも背を伸ばそうと、最近は牛乳をよく飲むことにしていた。
……今のところ効果は現れていないけど。
(さて、とそれじゃあブルマに着替えますかねぇ)
体育の授業は学校指定の体操服……紺色のブルマで行う。
ギャルゲーでブルマを愛でるぶんには嬉しいけど、自分で穿くのは恥ずかしいからあんまり好きではなかった。
千影は体操シャツとブルマが入った巾着袋をぶら下げて女子更衣室へと向かう。
子供っぽい体型をあんまりジロジロ見られたくなかったし、ショーツもネコさんの女児ショーツを穿いているから、できるだけ一人のときに着替えるようにしているのだ。
☆
ぎゅるるるる~~~。
「おっ、おごぉぉぉぉ!?」
爽やかな春の日差しを受けたグラウンド。
体育の授業中、今にも悶絶しそうな悲鳴を上げてしまったのは千影だった。幸いなことに周りには誰もいないから聞かれることはなかったけど。
恐らく牛乳を飲んでから走ってしまったのがマズかったのだろう。早くも千影の腹具合はクライマックスだった。
(も、漏れるぅ……!!)
しかもこういう日に限って、長距離走だったりする。
できるだけお腹に衝撃を与えないように走っているけど、それでもいつまで保つか……、それは千影にも分からなかった。
ただでさえいつもぶっちぎりで最下位なのに、今日はいつにも増してスローペースになってしまう。
(も、もうゴールしてもいいよね……?)
なんとか走りきったときには授業は終わっていて、クラスメートたちは帰りのショートホームルームを受けに教室へと引き返したあとだった。
グラウンドでは早くも野球部がキャッチボールを始めているし、校舎からは軽音部の音楽が聞こえてきている。
完全無欠な放課後である。
「はぁ、はぁ、はぁ……なんとか走りきったぜ……」
『はいはい、ご苦労さん。それじゃあ寄り道しないで帰るんだよ』
体育の教師もあとのスケジュールが押しているのか、千影がゴールした瞬間に校舎へと戻って行ってしまう。
あとに残されたのは、千影一人。
「寄り道するなって言われても……それ以前にっ!
おっ、おほぉぉぉぉぉ!?」
ぎゅるるるっ。
ごぽっ、ごぽぽ!
千影の小さなお腹から、不吉な音が鳴り響く。
昨日うんちを漏らしたばかりだというのに――、
二週間ものあいだ眠りについていた千影の大腸は活動期に入ってしまったようだ。
(牛乳か!? 牛乳がマズかったのか!?)
ゴポッ、ゴポポッ!
大腸が捻れそうな痛みに耐えながらも、ゆっくりと、少しずつ歩を重ねていく。
そんな千影が目指しているのは校舎ではなかった。
目指すは、
(旧校舎ッ! あそこなら一番近いし、それに人気もないはず!)
放課後になったばかりの女子トイレは、色々と騒がしすぎる。
そのなかで汚泥を放つのは、いくらなんでも躊躇われた。
一歩でも前へ――。
千影は、真っ白に焼けたグラウンドを、よろめきながらも進んでいく。
いや、待って欲しい。
このまま旧校舎のトイレに行ったとしても、土足ではトイレに入れないのでは!?
それなら一度昇降口まで行って、そこで上履きに穿き替えてトイレに向かわなければならない。
(あ、危ないところだったぜ……。まだだ、まだ慌てるような時間じゃない……)
慌てずに、焦らずに、まずは昇降口だ。
そこで上履きに穿き替えて、それから渡り廊下を通って旧校舎に行くだけでいい。
たったそれだけのことなのに――。
「おっ、ごぉぉぉぉぉ!?」
ぎゅるるるる!
ぐぽっ! ぐぽぽっ!
千影の小さなお腹から、不穏な不協和音が奏でられる。
直腸が下痢でパンパンに膨らんでいる感覚。
こうなっては昇降口に辿り着くことさえも難しい。
「こうなったら……っ、部活用のトイレェェェ……!」
そこなら運動部がよく使うトイレだからスニーカーでも使えるようになっていたはずだ。
あまり掃除が行き届いていないので、なるべくなら使いたくはなかったけど危機はすぐそこにまで迫ってきているのだ。甘いことは言ってられない。
校舎に向かっていた千影はグラウンドで直角に方向を変えると、グラウンドの隅っこにあるトイレ棟へと向かうことにする。
「あ、あとはぁ……、トイレまで20メートル……は、はううううう!? あ! だめ!!」
きゅるるるるっ!
ゴボボッ! ごぼっ!
ヴリリッッ!
「おっ、おごぉ!?」
お尻からはみ出してきた、灼熱の感触。
千影は反射的にへっぴり腰になってしまう。
ブルマに覆われたお尻の真ん中が、うっすらと盛り上がった。
ついに千影は漏らし始めてしまったのだ。
「だ、だめぇっ。トイレ、すぐそこなのに……っ」
ブリッ!
にゅるるるる!
10メートル、9、8、7、6……。
一歩進むたびにショーツのなかか重たくなっていき、ブルマがモリモリと盛り上がっていく。
歩きながら漏らしているのか?
漏らしながら歩いているのか?
それは千影自身にも分からないことだった。
「あ、あともうちょっとぉぉぉ!」
それでもなんとか千尋はグラウンドを歩き続け、へっぴり腰で女子トイレへと辿り着くことができた。
春の日差しが眩しいグラウンドから、明かりのないトイレへと踏み込むと、一瞬だけ視界が真っ暗になる。
だけどすぐに目が慣れて、トイレには誰もいないことが分かったが……。
しかし。
ツ~ン……、
トイレに踏み込んでお出迎えしてくれる香りは、何年もの長い歳月をかけて染みこんできた、女子たちの濃縮した香り。
にゅるるるるるる!
その匂いを嗅いだ瞬間……認めたくはないけど、気が抜けてしまったとでもいうのだろうか?
千影のお尻からほんの少しだけ力が抜け、大量のモノがショーツへと放たれてしまう。
もっさりとショーツが重たくなって、ブルマが歪に膨らんでいく。
「あっ! ひっ! ひい! お尻、あっつい、のぉ……!」
灼熱の感触に、千影は今にもしゃがみこんでしまいそうになる。
だけどまだ駄目だ。
ここでしゃがみこめば、タイル貼りの床に汚泥の山を築いてしまうことになる。
千影は、ゆっくりと足を動かし続け……、
にゅるるるるる!
「あ、あともうちょっとぉぉ!」
個室へと続くドアを開く。
そこにあるのは、水洗の和式トイレ。
ここまでくれば、もう勝利は目前だが……、
「あっ、あうう!」
ちょこんとある和式の便座を前にして、本能的にスイッチが入ってしまう。
この小説は同人誌の『大決壊! 陰キャラでなにが悪い!』に収録してある小説です。
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