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純愛物の記事 (5)

うっちゅう 2022/11/15 22:47

可愛い彼氏君が、女の子と話していたので、超高身長女子が嫉妬して、体格差逆レ○プ仲直りラブラブセックス

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うっちゅう 2022/11/15 22:37

引退したムチムチ大人気アイドルが、ずっと応援してくれた幼馴染の男の子に、結婚確定わからせエッチする話

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うっちゅう 2022/11/15 22:14

高身長むちむち幼馴染が勘違い嫉妬して、デート後に、低身長男の子を強引に犯しまくる話

「君が悪いんだ。君が他の女の話ばっかりするから。私には君しかいないのに」
彼女の息は荒く、頬は紅潮していた。部屋の電気が薄暗く光っている。彼女は怯え切った僕を満足そうに見つめた。そして、味わうように僕の体に触れる。身体が熱い。どうしてこんな風になってしまったのだろう。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
時間は遡る。僕は悩んでいた。体育館の床でモップをかけながら、先輩へと目を向ける。いつも、明るく快活な雰囲気で、マネージャーながらも部を引っ張ってくれた先輩。彼女が明日、引退する。夏の大会がもう終わってしまったからだ。結局、彼女にIH出場という夢を届けることはできなかった。

「どうしたの、暗い顔して。かわいい顔が台無しだよ」

先輩はもう引退だというのに、いつもと変わらない明るく元気な声で僕に話しかける。長い髪が、夕日に照らされて、とても綺麗だった。

「その可愛いっていうのやめてください。その、まぁ、悩み事です」

まさに、彼女に関することで悩んでいるのだが、そんなことは言えない。恥ずかしいし。こんな風に先輩と話せるのも最後かと思うとなんだか寂しくなる。

「そうなんだ、まぁほどほどにしときなよ。明日からは私無しでも頑張るんだぞ」

 そういうと先輩はにこっと笑った。そして、同学年の男子の先輩に呼ばれて去っていった。おそらく、引退する者同士、積もる話があるのだろう。その日は、そのまま、彼女とはもう話さずにお開きになった。
 僕が体育館の扉を開けると、夕焼け色の空が一面を覆いつくしていた。そんな空を眺めていると、僕を呼ぶ声がした。

「ねぇ、一緒に帰ろう?」

 幼馴染の月見時雨だった。僕は、首を上に挙げて彼女の方を見る。僕と彼女の間には歴然たる身長の差があるのである。僕が身長164cmで、彼女は187cmである。男の僕の方が、はるかに小さいから、あまり彼女と並んで歩きたくはない。というか、彼女と並んで歩きたい人などいないのではないか。彼女は、まず圧倒的にスタイルがいい。脚が非常に長く、スーパーモデルのような体型をしている。顔は中性的だが整っている。適度に高い鼻はまるで、ギリシアの彫刻のようだ。その瞳は理性的で、冷たく、いくらか悪魔的にも見える光を放っている。目元にしっかりと蓄えられた睫毛は、彼女の瞳の力を何倍にも増幅させる。身体にも、十分に女性的な丸みがあって、正直男性としてそれを意識しないことは難しい。でも、幼馴染の身体で欲情するなど、最低の行為だ。そんなことは許されない。つまり、どんな美男美女であっても、彼女と並んで歩けば、まるで別の醜い種族のように見えてしまうのである。それだけ、彼女の美は洗練されているのだ。僕は、そんな彼女と毎日登下校している。

僕たちは、静かに並んで道を歩いていた。お互いに気を遣わない距離感なので無言でも気まずさはない。毎日、どちらかが、とりとめのない話題を提供するのである。

「そういえばさ、何か悩みでもある?私に相談してよ」

そうだ、彼女なら僕の悩みを解決できるかもしれない。彼女は僕よりもはるかに賢いし、なによりも、先輩と同じ女子高生だ。彼女が適任だ。

「あのね、部活を引退するマネージャーの先輩に、個人的にプレゼントがしたいんだ。女子高生ってどういうものが嬉しいの?できれば、一緒に買いに行ってくれると嬉しいんだけど……」

 彼女は、面食らったような顔をし、顔をしかめた。その意味が僕にはわからなかった。そして、にっこりと笑って言った。

「うん。いいよ。ぜひ、ご一緒させてもらうね、そうだね、今週の土曜日なんてどうかな?」

 一瞬、彼女の瞳から、冷たいものを感じた。でも、次の瞬間には、彼女は普段通りに戻っていた。だから、気のせいだと思ってこの時は気に留めることもなかった。
 
 集合場所の駅には僕の方が先についていた。夏休みだからか、人だかりが多い。目の前を、多くの人が横切っていく。夏の日差しが照り付けるように暑い。スマートフォンで時間を確認すると、集合時間よりも20分も早くついてしまっていた。何をして時間をつぶそうか考えていると、遠くの方から彼女がこちらにやってくるのがわかった。彼女は、元々身長が高いから、周りの人と比べて見つけやすいし、それ以上にオーラが違いすぎる。彼女に思わず見とれてしまった。気づいた時には、彼女は目の前にいた。

「おまたせ。待たせたかな?」

彼女が笑って言う。美人特有の素敵な笑顔だった。でも、服装がいつもと全く違った。普段、彼女は高身長を生かしたボーイッシュな服装を好んできている。それこそ、ジーンズに黒のキャップを合わせるというような、いわゆる、かっこいい服装をすることが多かった。実際、彼女の恵まれたスタイルとそのファッションは良く合致していた。男の僕でも女の子として、恋に落ちてしまいそうなくらい素敵なものなのだ。でも、今回は打って変わって、非常に女の子らしい着こなしだった。薄いベージュ色のタイトスカートに、透けたブラウス。服の上から彼女のきめ細やかな肌がほんの少しだけ透けて見える。鎖骨のあたりもがっつり出てるから、正直目のやり場に困る。とてもかわいいとは思うけど、今までの彼女にはなかったファッションだ。どうやって反応すればよいかわからない。

「その、今日の服とっても可愛いね。いつもの時雨ちゃんとは違って、それがとてもいいと思う」

 月並みな感想だった。気の利いたことの一つも言えないのかと思った。でも、そういうと、彼女は満足げに微笑した。そして、僕の腕を引っ張って、意気揚々と改札へと向かっていった。彼女の足取りはとても軽やかだった。嬉しそうな彼女を見て僕もなんだか心が温かくなった。でも、彼女が、歩く速度を僕に合わせてくれているのが男として凄く恥ずかしかった。

 電車はそれなりに混雑していた。夏休みだから仕方ないと言えば仕方ない。でも、座れないどころか、満員電車よりも多少マシな程度でしかなかった。冷房がしっかり効いているので、暑さによる不快感はさほどない。でも、すぐ近くに、人がいるのはやはり慣れなかった。でも、その車内環境以上に、目のやり場にとても困った。彼女が、扉付近に立ち、僕はそれに向かい合う形だった。こうなると、身長の関係から、彼女の胸が僕の目の前にくる。非常に困る。僕も女性の身体に対して、人並みの興味はある。しかも、彼女はとてもスタイルが良い。気になって仕方がない。幼馴染をそんな目で見るなど最低なので、なんとか目線を逸らす。扉に貼ってあるくだらない酒の広告や、近くのおじさんなんかを観察して、必死に気を紛らわす。扉に反射した自分の顔がとても険しくて、なんだか笑ってしまいそうになった。笑い事ではないが。

「ねぇ、大丈夫?さっきからしんどそうだけど」

彼女が、心配そうに声をかける。非常に申し訳ない。

「ううん、全然大丈夫だから。何ともないよ」

そういうと、彼女はそうなんだ、といってまた黙ってしまった。基本的に彼女は隠し事をされたり、頼ってもらえないことを嫌がる。勘が良い彼女のことだから、僕が何か隠していることには気づいているだろう。だからといって、本人に直接話せるわけではないのが問題である。もし話したら、一瞬で嫌われてしまうだろう。

 そうこうしているうちに、ショッピングモールがある駅までたどり着いた。人々が、流れる川のように、規則正しく電車から吐き出されていく。無数の人間が押し合いへし合いしているうちに、彼女を一瞬見失ってしまった。何とか混雑を抜けて、彼女と合流すると、彼女がこういった。

「また、はぐれたら大変だからさ、手、つなごうよ」

少し恥ずかしかったけれど、僕はそっと左手を差し出した。握った彼女の手は僕より大きかった。でも、女の子特有の柔らかさがあってそれだけで、なんだかドキドキしてしまった。

僕たちは、ショッピングモール内を並んで歩いていた。色とりどりの広告が次々と目に飛び込んでくる。購買意欲を煽るためであろう楽しげな音楽が耳に響く。それに、合わせるかのような女性の事務的なアナウンス。ショッピングモールに来た、という気持ちになる。夏休みのショッピングモールは混雑していた。家族連れや、カップルが沢山いた。僕たちは、その中を特に行く当てもなくぶらぶらしていた。

「私たち、他の人からしたら、どんな風に見えてるのかな?」

彼女が急にこんなことを言い出すから、困ってしまう。どういう意図だろう。僕と手をつないでいるのが恥ずかしいということだろうか。確かに、学校の知り合いに見られたでもしたら気まずいし、弁明が大変だ。

「手をつなぐの、嫌だった?確かに、そういう関係に見られちゃうかもしれないしね。まぁ、この身長差だから、どう見ても姉と弟に見えるだろうけど」

僕としては、割と面白い冗談を言ったつもりだったのだが、彼女は口角を一切上げなかった。それどころか、若干不機嫌そうな顔をした。手を放してこないので、そういう意図ではなかったのだろう。それが、癪に障ったのだろうか。話題を逸らそうと思い、本日の本題、先輩に渡すプレゼントの話をすることにした。

「その、女子高生って、何をもらったら嬉しいものなの?」

彼女は若干機嫌を直してくれたようだった。少し考えこんだ後、口を開いた。

「そうだね、化粧品なんかは、止めといたほうがいいかもね。肌に直接つけるものだから、相性があるしね。アクセサリーなんかは喜んでくれるかもしれないけれど、これも、好みが分かれるから、ちょっとリスキーかも。やっぱり、アロマとか、お菓子とかの、消耗品のほうがいいんんじゃない?」

なるほど、化粧品はよしたほうがいいのか。彼女は頼りになるなと思った。女性の視点から、意見をくれるから非常に参考になる。彼女を誘ってよかった。先輩は、甘いものが好きだから、ちょっと高めのお菓子なんかがいいかもしれない。僕がそんなことを考えていると、彼女が、ゆったりとした声で付け足した。それはなんだか、僕に囁きかけるみたいな話し方だった。

「でも、私は、好きな人からもらえるものなら、何でも嬉しいかな」

そう言った彼女の顔は本当に綺麗だった。

若干動揺してしまったが、行先は決まった。二階にある少しお高めのお菓子屋で、焼き菓子を買うことにした。僕たちはエスカレーターに乗って店まで向かった。不思議なことに、僕たちは一言も言葉を交わさなかった。周囲の喧騒から離れて、二人だけは静寂だった。それは、直前の彼女による発言が、二人の間に若干の緊張感をもたらしたからだった。決して居心地が良いわけでもないのだけれど、居心地が悪いわけでもない不思議な感じだった。このままではいけないと思い、なにか世間話をしようと考えた。よくよく考えれば、彼女は、先輩について何も聞いてこなかった。彼女と僕がどういう関係にあるのかなどは、一切聞いてこなかった。わざわざ、先輩へのお礼の品を選んでもらっているのに、彼女にそれを伝えないのは道理が通らない気がしたので、これを機に話すことにした。そんなことを考えていると、先に彼女が口を開いた。図らずも、僕が考えていたことと、同じ内容だった。

「そういえばさ、空とその先輩はどういう関係なの?」

なんだか、探るような聞きかただった。関心はあるのだろうが、声は全く弾んでいなかった。確かに、今まで何も伝えずにここまで来てしまったから、腹を立てるのも当然だ。僕は先輩との関係を話すことにした。

「先輩は一つ上の部活の先輩で、うちのバスケ部でマネージャーをやってた人なんだ。中学時代は自分も選手だったのだけど、足の怪我で続けられなくなって、高校からはマネージャーになったんだって。とても後輩への面倒見がよくて、僕も本当にお世話になった。放課後にシュートの練習に付き合ってもらったり、練習の後はご飯をおごってもらったり、本当に優しい、あこがれの先輩だった。あと、話がとても面白くて、合宿の時なんかは……」

僕が話を続けようとすると、彼女が唐突に会話を遮った。

「そういうことは聞いてない」

僕は彼女と何十年も一緒に生きてきたけど、こんなに苛立ちを露わにしているところを見たことがなかった。低い声からも、彼女の怒りが容易に読み取れた。彼女は、僕よりはるかに体格に恵まれているから、威圧感がすさまじかった。生物的な本能としての恐怖を感じた。

「私が、聞きたいのは、その先輩と付き合っているのか、付き合ってないのか、それだけ」

彼女は、先ほどよりも、苛立ちを抑え、でも、明らかに威圧するかのような声で僕に尋ねた。おそらく、彼女が、聞きたかったことと、僕の回答に致命的な乖離が存在していたから、彼女は激しい憤怒を覚えたのだろうか。それにしても、彼女はそこまで、短気な人間ではなかったような気がする。早く答えなければならないことは間違いなかったので、僕は急いで答えた。

「あ、えっと、全然そういう関係じゃないよ。僕から見ても尊敬できる先輩であって、それ以上でもそれ以下でもないし、先輩からしても、きっと、可愛い後輩くらいのイメージだったんじゃないかな」

僕がそう答えると、彼女は、ふーん、と言ってまたいつものような彼女に戻った。彼女に対して、先輩の話はしてはいけないようだが、そんなに先輩のことが嫌い、あるいは苦手なのであれば、どうして、買い物に付き合ってくれているのだろうか。昔は彼女のことは。どんなことでも、わかると思っていたし、実際そうだったけど、今はさっぱりわからなかった。

その後、彼女と相談しながら、お菓子屋さんでクッキーを買った。時計は16:00を指していた。昼から集合したので、概ねこんなものである。当初の目的はすでに果たした。でも、僕にはまだやらなければいけないことがあった。

「今日のお礼がしたいんだけど、何か欲しいものとかある?」

彼女は、驚きと喜びが入り混じったのような表情を浮かべた。そして、3階の化粧品売り場を指さした。

「ここがいい」
「化粧品とかって、肌によって相性あるから避けたほうがいいんじゃないの?」

僕は揶揄うように言った。

「本人がいるから、別でしょ。いいのいいの」

彼女が先導する形で、僕たちは化粧品店に向かった。僕は化粧品には全く以て疎かった。四角や丸のケースの中に、色とりどりの板?が敷き詰められていた。これを肌に塗るのだろうあ?それ以外にも、液体が入ったボトルなど、様々なものが陳列されていた。もし、僕が女の子だったら、これらすべてを把握して、使わなければいけないと思うと、ゾッとした。とても、僕にはそれはできそうになかった。僕にとっては、意味不明な空間だったけど、彼女はその中を慣れた足取りで進んだ。僕もおいていかれないように彼女に着いていった。彼女は、棚から何か手に取った。そして僕に見せた。

「これがいいな。君とおそろいがいい。二人で、同じやつ買おうよ、君の分は私が買うから」
「それだと、お礼にならないじゃん。」
「いいの、いいの。二人でリップクリームを送りあうなんてなんだか素敵でしょ」

そのあとも、二人分、僕が払うと言ったけど、彼女は聞かなかった。こういう時の彼女は非常に強情で、自分の意見を曲げない。仕方がないので、それぞれ相手にリップクリームを買って、それを送りあった。しかも、まったく同じものである。そうであれば、贈りあう必要はあったのかと思ってしまうけれど、彼女にとってはそれが一番重要だったのだろう。僕からもらったリップクリームをその大きな体で大事そうに持っていたことから、それは明らかだった。僕の予想した形のお礼ではなかったけど、彼女が喜んでくれたので、まぁ良いかと思った。


僕たちは、そのまま、電車を利用して、家まで帰った。駅からは、徒歩で移動した。あたりは、もう真っ暗になっていてすっかり夜だった。街灯の光だけが二人を照らしていた。僕たちの家は隣接しているので、それぞれの家の前で解散という手はずだった。でも、彼女が思いもよらない発言をした。

「今日さ、夕食うちで食べていかない?両親は二人で旅行に出かけてるから迷惑にはならないよ。なんなら、私も夜に一人だとちょっと寂しいんだよね。一緒にいてくれるの助かるのだけど」

僕は困った。確かに、僕たちは、子供のころはよくお互いの家で遊んだし、食事を共にすることもあった。でも、中学生になって以降は、めっきりそんなことはなくなった。いくら幼馴染で、仲の良い友人のような関係だからと言って、夜に相手の家に遊びに行くのはさすがに倫理的に許されない。それくらいは僕でもわかる。付き合ってもない男女にしては、一線を越えすぎている。僕は断ろうとしたけど、彼女はそれを察したのか、言葉を付け加えた。

「さっき、お礼にならないって言ってたよね。じゃあ、これがお礼ってことにしてくれない?」

彼女がいたずらっぽく笑って言った。こうなると僕も断り切れなかった。仕方がないので、彼女の家にお邪魔させてもらうことにした。彼女は嬉しそうに、自分の家の鍵を開けた。そして、僕を中に手招きした。

「どうぞ、入っていいよ」
「お邪魔します」

久しぶりに入った彼女の家は、僕の幼いころの記憶通り、洗練されて清潔だった。シックな家具を基調に落ち着いた雰囲気だった。木材特有のかぐわしい匂いが鼻腔を刺激する。まさに、上流階級の家、と言ったような雰囲気だった。彼女は、キッチンへと向かい、準備を始めた。

「下ごしらえは終わってるから、すぐにできるからね」

なぜ、下ごしらえがもう終わっているのだろうか。彼女は最初から、僕のことを家に招くつもりだったのだろうか。そういう疑問は、包丁とまな板の子気味良い音と、食欲を煽る香りで吹き飛んだ。昔から料理が得意だったけれど、こんなに上手だったわけではない。きっと、何度も数をこなして成長したのだろう。しばらくすると、彼女は机の上に料理を並べだした。

「はい、できたよ。おなか一杯になるまで食べてね」

家庭料理とは、思えない程のクオリティと、品数だった。色とりどりの野菜や、肉類など、僕が名前もわからないようなお洒落な料理が大量にテーブルに並んでいる。もしかして、普段からこんな品数なのだろうか。そうだとすると、恐ろしいなと思った。

「いただきます」

全て食べられそうにはなかったので、とりあえず一通り食べてみることにした。作ってもらって一口も食べないのは悪いからだ。どれも絶品だった。こんなに美味しいものは食べたことがないというくらい美味しかった。

「本当に美味しい。お店出せるんじゃない?これ」

彼女は満足げに、そして自慢げに笑った。そういう態度をとっても違和感がないくらい美味しかった。僕は多少喉が渇いたので、水をもらうことにした。

「あ、ごめん、水もらっていいかな」

そういうと、彼女は水を注いでくれた。もしかして、水さえ特殊だったりするのだろうか、そんなことを疑いながら口をつける。あ、よかった普通の水だ、そう思ったときにはもう遅かった。だんだんと、意識が遠のいていくのがわかった。つまらない授業を受けているときに、眠くなるのと同じ感覚だった。やがて、ぷっつりと意識がなくなった。

目が覚めた時、僕はベッドの上にいた。仰向けに寝かされていた。おそらく、彼女の部屋だろう。はるか昔に見た間取りと同じだ。家具の配置や種類は変わってしまっているけれど、見覚えがある。僕が起き上がろうとすると、目の前に彼女がいた。いや、目の前にいるというのは正確ではなかった。僕にまたがって座っていた。おそらく、僕が急に眠ってしまったのを、彼女が部屋まで運んで寝かせてくれたのだろう。

「あ、起きたんだ」

彼女が笑って言った。

「ごめん、急に寝ちゃったみたい。起きるからどいてくれる?」

そうは言ったけれども、目が覚めて、頭が働いてくると、そもそも、なんで彼女が僕の上にいるのだろうと不審に感じた。何かがおかしい気がする。そんな考えが頭をよぎった時にはもう遅かった。彼女の手が僕の手首を、強く押し付けた。彼女の息は荒く、頬は紅潮していた。明らかに普通でなかった。獣のような冷たく鋭い眼差しが、獲物を見つめていた。

「君が悪いんだ。私に今まであんなに思わせぶりな態度をとっておいて、勝手に他の女を好きになるなんて冗談じゃない。絶対に許さない。今ここで君を私のものにする。大丈夫、気持ちよくしてあげるから。私に全部委ねて」

彼女が意図することがこの状況からはっきり読み取れた。僕は、全力で力を込めて、彼女の拘束から逃れようとする。でも、びくともしない。彼女は平然と、何の苦労もなさそうに僕を押さえつけ続けている。

「こんなに、小さい体で私に逆らおうなんて考えちゃ駄目だよ♡わかるかな?君が私に力で勝てるわけないよね。君はこのまま私に犯されるしかないんだよ♡」

怖かった。自分よりも圧倒的に体格と力に優れる人物に襲われるという恐怖。女性がレ○プに対して感じる恐怖心が今ならわかる気がする。生物としての圧倒的な格の違いを見せつけられ、なすすべもない。彼女はどうしてしまったのだろう。彼女がおかしくなってしまったのは、僕のせいなのだ。でも理由がわからない。それが、分かれば、説得できるかもしれない。

「その、僕が何か気に障るようなことをしたなら、謝るから……。できるだけ、今後改善するから。だから、離して……」

僕がそういうと、彼女は大口を開けて笑った。壊れてしまった人形みたいな笑い方で正直不気味だった。きっと、彼女をこうしてしまった責任は僕にある。僕が彼女をこんなに悲しい人間にしてしまったんだ。

「よく言うよね。本当に。好きで好きでたまらない人と一緒に、出掛けられた。ここまではよかったさ。でもさ、それが他の女のためっていうのがありえないよね。私がどれだけ辛くて、苦しくて、憎かったか想像できる?できないだろうね。私はね、君からほかの女の話なんて一秒だって聞きたくないんだよ。さらに言えば、君の周りに他の女がいることも耐えられない。ずっと私だけを見ていてほしい。それなのにさ、君は、私の前で、その先輩がどれだけすごいか、どれだけ自分と親しかったか、私に嬉々として語ってきたよね。もう私の心はぐちゃぐちゃだよ。想像できるかい?好きな人と一緒にデートをしていると思ったら、他の女の話をされるんだよ。デートだと思ってたのは、私だけかもしれないけれどね♡でも、君がいくら鈍感であっても、嫌いになれるわけがない。だって、私が欲しい反応と言葉を絶対にくれるから。君が服をほめてくれた時は嬉しかったなぁ♡あれ、結構勇気が必要だったんだよ。君が女の子らしい女の子が好きなんだって気づいたから、ああいう服装にしたんだ。でもさ、やっぱりだめだよね。君は結局、あの先輩みたいな、小柄で可愛らしくて快活な、そういう女の子としての魅力たっぷりな人が好きなんだろう?私とは正反対だよね。胸の大きさとか、そういう性的な魅力では、負ける気がしないけれど、こんな、女の子らしくない、デカ女は嫌いでしょ♡そのくせ嫉妬深くて、束縛するし。きっと、私は君のタイプじゃないんだろうなって今日はっきりわかったんだ。だからね、たとえ私が君の好みじゃなくても関係ない。今から、君が私のことを好きになるまで、君を犯し続ける♡有無は言わせない♡私の彼氏になるって言うまで、ずっと、ずっと、君が枯れても君を犯し続ける♡」

彼女は酷く饒舌だった。時に自嘲的で、時に声を荒げて、完全に普通ではなかった。僕が責任を取らないと。

「落ち着いて。君はとても綺麗だし、女性としてもとても魅力的だよ。そんなこと言わないで」

彼女は、そっとため息をついた。そして、僕の体に覆いかぶさった。彼女の吐息が耳元でじかに聞こえる。

「ほんとにさぁ♡なんで、いつも、私がほしい言葉ばかりくれるの?そんなに私に犯されたいの♡」

 彼女はそう言って僕の首筋に噛み付いた。強く噛まれているはずなのに不思議と痛みは感じなかった。まるで、自分の所有物に印をつけるみたいだった。僕は抵抗できずに、彼女に組み伏せられている。僕の腕は、彼女の足で押さえつけられていて動かせないし、彼女の手は僕の両手を握りしめたままで動かない。僕はどうすることもできなかった。何をすればいいのかもわからなかった。彼女は、僕に顔を近づけるとキスをした。舌が口の中に入って来る。彼女は、僕の口の中で、舌を絡めた。それがたまらなく気持ちよくて、それだけで、天国に行ってしまいそうな心地がした。彼女はまるでセックスするかのようにキスをした。僕の口内を○すという強い意志を感じた。初めてのキスは甘酸っぱい味だなんて嘘だと思った。ひどく淫猥で、甘ったるい味がした。

「んっ♡あっ、……んんっ……!?ぅあ♡」

僕はただ喘ぎ続けることしかできなかった。彼女はキスをしながら、僕を押さえつける手を少し緩めた。彼女は僕に馬乗りになったまま器用に服を脱いだ。彼女の女性的で魅力的な肢体が露わになった。下着姿の彼女はとても、煽情的で、僕の男性としての欲望を掻き立てるものだった。でも、それを見てはいけない気がした。幼馴染の下着姿なんて、見てはいけない。まるで盗撮をしているかのような心地だった。

「一応、今日のために可愛い下着を選んできたつもりなんだ♡」

 フリルや繊細な装飾があしらわれた黒色の下着は確かにかわいらしいながらも、女性的な魅力が溢れていた。ほぼ脱がすための下着といった趣だった。でも、それを気恥ずかしそうに言う彼女がさらにたまらなく愛おしかった。彼女は、ブラのホックを外すとそれを脱いだ。大きな乳肉が露わになって、僕の視界に入る。彼女は、僕を見下ろしながら言った。彼女はその大きすぎる乳房に手を伸ばし、自分で揉み始める。僕に見せつけているのだ。その行為によって、柔らかな乳輪が歪み、乳頭がツンと主張するように固くなっていく。彼女のその行為は僕を魅了するのに十分すぎるほどの効果があった。しばらくすると彼女はその胸から手を離す。彼女は僕の体に跨るようにして、僕の体を固定する。それからゆっくりと僕の下半身へと顔を下げていく。そして、僕のズボンをおろし始めた。パンツ越しに勃起しているペニスが見えて、さらに大きく膨らんでいく。それを見て、彼女は嬉しそうに笑った。僕はたまらず声を上げる。

「いやっ、やめっ」
「よかった。私に興奮してくれているんだね♡とっても嬉しいな。口ではそんなこと言ってるけど、君の身体はとっくに交尾の準備を終えているみたいだね。目の前の雌とエッチしたいよ♡エッチしたいよ♡って頑張って主張してるよ♡これは、もう合意ってことでいいかな♡」

 めちゃくちゃな理論だった。でも、興奮していること自体は否定できなかった。彼女は、僕を無理やり○すのではなくて同意を求めるような言い方をした。彼女は、自分の唾液を使って、指先を湿らせると、僕のアナルに触れて、穴の周りを優しく撫でる。彼女の指先は、とても熱くて溶けてしまいそうだ。そして、少しずつ中に入ってくる。異物感が強くなっていって、肛門に力が入ってしまう。でも、彼女の指をきつく締め付けてしまうせいで、余計、意識してしまう。そのたびに、僕の体は跳ね上がる。そして、僕のペニスも激しく痙攣する。それでも、彼女は僕の中に侵入し続けた。そしてついに、指は根元まで飲み込まれてしまった。彼女はその状態で、僕の中に挿入されている指をクニクニと動かした。そして僕の反応を楽しむかのように笑う。僕の方はといえば、必死で声を抑えるだけで精一杯だった。

「……っ……う……♥」

 彼女は指を引き抜く。腸内が擦られる刺激に耐えきれずに、僕は小さく喘いでしまう。それが、恥ずかしかった。彼女はそんな僕の表情を見ながら満足そうにしている。彼女にとって、僕の痴態を見ることが何よりも重要なことらしかった。彼女はまた僕にまたがって、僕にキスをする。舌が絡まり合い、互いの唾液を交換するかのように何度も口づけを繰り返す。彼女の口内に残った血の味が、僕にとっては何より甘く感じる味になっていた。僕は彼女の背中へ手を回した。彼女の背筋がぴくりと震える。キスを続けながら、彼女の手は僕の乳首を触り始める。指先で弾いたり、つまんだりする。くすぐったさと快感の中間みたいな不思議な感覚が襲ってくる。しばらくして、彼女の手が離れたかと思うと、今度は僕の胸に舌を這わせてきた。そして、吸い付いてくる。乳首が口の中に含まれると彼女の熱い口内で、舐られ続け僕はビクビクと身体を震わせることしかできなかった。彼女が僕の胸から口を離すとそこには、唾液に塗れた二つの乳頭があって卑猥さを醸し出していた。

「っ♥ん♥うっ♥」

そして僕は彼女の秘所を下着越しに見つめる。そこが湿っていることに気がついてしまったからだ。彼女はそれを恥じらう様子もなく見せつけてくる。彼女は腰を動かした。下着には染みができていてそれが僕の視覚を○すようだった。

「私も、準備出来ちゃった♡君がほしいな♡」

 彼女はゆっくりと、僕の股間へと移動していく。僕の陰茎ははっきりとその存在感を主張していた。彼女はそこに触れないようにしながら太腿を撫で始める。焦らすみたいに僕のペニスを挑発する。僕の理性は徐々に崩れ始めていた。彼女は僕のパンツを下ろすと僕の性器を露出させた。それからすぐに、彼女は自分の下着を脱ぐ。彼女の濡れている部分と僕のペニスの先が一瞬触れる。そして、僕たちは見つめ合う。彼女の目からは情欲の色が見え隠れしていて、僕のことを逃がさないという意志を感じ取れた。そして、僕の亀頭に彼女の愛液の滴る秘部を当てつけるようにゆっくりと押し付ける。それだけで僕の頭の中が蕩けていくような感じがしておかしくなりそうだった。

 彼女はゆっくりと腰を落とす。ずぶずぶと音がしそうなくらいゆっくりとペニスを飲み込んでいくのを感じる。彼女の中は熱くて、ドロっとした蜜に満たされていた。まるで、生き物みたいに僕を刺激して射精させようとしているみたいだ。それに抗うことは、不可能だと思えた。ただ、彼女に全てを委ねること以外考えられないほど思考力は奪われてしまっていた。そして、遂にペニスが完全に彼女の膣内に収められてしまった。彼女の身体が大きく痙攣するように震えると、僕のペニスにまとわりついた肉ヒダがきつく締め付けてきた。それは、強烈な快楽で脳天を突き刺されたのかと思ったほどだった。彼女はそのまま、腰を前後に動かし始める。僕のモノを出し入れするような動きに合わせて、肉ヒダが僕の敏感な部分を擦っていく。僕のペニスは彼女の膣の中で暴れ回るかのように膨張する。そのたびに、彼女は体をびくんと跳ねさせて悦んでいる。

「やめて、時雨ちゃ…ん。友達に……ッ♥戻ろう。んっ♥まだやり直せっ…ぇ♥♥だって、こんなの……おかしいよ。付き合ってもない男女が……ッ♥こんなこと……したらッ♥ダメだよ……ッ。また……ぁっ、昔みたいな……、関係に戻ろう?」

僕の方にも余裕はなくなってきた。彼女の身体の動きも次第に激しくなってきて限界を迎える瞬間は近かった。でも、僕はまだ正気を失ってはいなかった。そして、必死で抵抗を続けた。彼女とこのまま一線を越えてしまうわけにはいかないのだ。

「だめっ、♡ひにんも、してなっ…♡しぐれちゃんっ、んんっ、にんしんっしちゃうっ、…だめッっ♡」

しかし、彼女はそんなことはお構いなしに、自分の欲望に従って、僕の言葉など耳に入れずに、自分の気持ち良さのために僕を使い始めた。彼女は僕の言葉なんて聞こうともしない。それどころか僕を犯して楽しんでいるようでもあった。彼女は絶頂に達しようとしていたようで息遣いも荒くなっていた。僕を責め立てる速度が上がり、子宮口まで押し込まれる。僕のペニスがさらに膨らむ。彼女が甘い声をあげる。その姿を見て僕は正直興奮していた。最低だと思った。その痴態を見せつけられて我慢できなくなった僕はついに彼女の中に精を吐き出してしまった。精管をせり上がってきた熱いものが一気に放出される。僕は呆然としながら、彼女を見つめていた。彼女は僕の精子を全て受け止めてしまった。僕は涙を零した。もう取り返しのつかないことになってしまったという後悔が心を蝕んでいく。どうしてこんなことになったのだろう? 彼女は僕の上に覆いかぶさるように倒れ込んだ。僕は、彼女を抱きしめたかった。それは性的な欲求ではなくて、彼女を犯してしまって責任と申し訳なさからだった。

「君が責任を感じる必要はないよ。私が勝手に始めたことだから♡」

彼女が僕の上からどいてくれなかったので何もできなかった。彼女は小さく呼吸を繰り返していた。彼女の下腹部を見ると僕の出した白い液体が垂れていた。それからしばらく経って、彼女がようやく僕の上から離れた。僕は立ち上がることもできず、彼女のなすがままにされているだけだった。僕は大切な幼馴染を傷つけてしまったという事実と、経験したこともない快楽に打ちのめされて動けなくなっていた。僕はこれからどうすればいいのか全くわからなかった。

「待って……いかないで。話したいことがある。」

僕は部屋から出ようとする彼女を止めた。彼女は若干怪訝そうな顔をしながら戻ってきた。

「あのね、さっきも言ったけど、僕は別に先輩が好きなわけじゃないよ。僕が好きな人は君だよ。君だけだよ。こんな形になし崩し的な告白になってしまってごめんね。だから、僕と付き合ってください」

彼女は嬉しそうな、でも困惑した表情を浮かべた。

「ほんとに?ほんとなの?そんな様子ほとんどなかったよね?」

念を押すように、ぬか喜びをしないようにと、彼女が念を押して確認してくる。

「本当だよ。僕はね、昔から君のことが好き。でも、正確に言うと、今日までずっと諦めてた。君はとっても素敵な女性だから、僕が君の隣に立つべきじゃないと思ってた。将来もっと君にふさわしい人が現れると思ってたんだ。きっと勇気がなかっただけなんだ。そういって自分に都合の良い言い訳をして、君から逃げていた。君が僕のことを好きになるなんてありえないと思っていた。でも、もし君が僕を好きになってくれるのだとしたら、もっとふさわしい僕になってから、お付き合いをしたいと思ってたんだ。できれば、身長も君より高くなって、君よりも力も強くなって、そういう男性になって初めて、君と交際する権利があると思ってたんだ。でも、君は、ありのままの僕を好きだと言ってくれた。だから、そんな自分を受け入れて、僕も君を好きになろうって思ったんだ」

そう言い終わる前に、彼女は僕に抱き着いてきた。お互い全裸だったけれど、不思議と性的な感情は湧いてこなかった。彼女は相当強く、僕を抱きしめてきたので、ちょっと痛かった。でも、僕のほうからも彼女を抱きしめた。そういう時間がずっと続いた。お互いの愛を確かめ合うみたいに、ずっとそうしていた。すると、彼女が耳元で囁いた。

「私、君より身長高いよ?気にしない?こんな私でも好きになってくれる?」
「気にしないよ」
「すごく嫉妬するよ。ほかの女性と話してたら我慢できないかもしれない。それでもいい?」
「いいよ」
「私、可愛くないよ。私より女の子らしくて可愛い子いっぱいいるよ?」
「君は可愛いよ」
「私重たい女だよ。結婚まで責任取ってくれる?」
「とるよ」

僕は、彼女にキスをした。彼女の唇は柔らかくて、温かかった。彼女の腕は僕の背中に回されていて、離れないようにしっかりと掴まれていた。僕は、彼女のことがとても好きで、彼女のことを世界でいちばん大切にしようと誓った。僕は、この日のことを一生忘れないだろう。僕たちは、お互いに、今までの人生で一番幸せな時間を過ごしたと思う。僕は、彼女のことが好きで、彼女と付き合えて本当に良かったと思った。彼女と恋人同士になれてよかったと思った。僕は幸せ者だと思った。僕が唇を話すと、彼女は本当にうれしそうに笑った。昔から知っている、彼女の純粋で美しい笑顔だった。でも、今まで見た彼女の中で一番きれいだった。

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うっちゅう 2022/11/15 22:12

女性として見れないと告白を拒否した高身長ハイスペックむちむち幼馴染に、女として意識するまで犯される話

 毎朝、駅を降りて、高校へと向かう道が憂鬱で仕方ない。僕はただ歩いているだけなのに、人間からの視線を強く感じる。ただ、僕を見ているわけではない。僕の隣を歩いている伊集院真白を見ているのだ。通勤中のサラリーマンも、スマートフォンを触っていた女子高生も、男子高校生も皆、彼女を見つめている。 
 
 もう、昔からずっとこうなのだ。それは、彼女が人の歓心を引く外見をしているからである。彼女は、この世のものとは思えない程美しい。豹のようにすらりとした、いわゆるモデル体型そのもの。よく蓄えられた眉毛は彼女の瞳に力を与えている。短く切った黒髪は、ボーイッシュな印象を与えるが、彼女の人間とは思えない美そのものとも思われるような顔を引き立ててる。その肉体は、男性の僕から言うと、男性の醜い欲望がにじみ出たような体型と言って差し支えない。豊満な胸部は服をはっきりと押し上げ、触れなくともその重みが伝わってくるほどである。臀部も、男性を誘うようにはち切れんばかりにむっちりとしているが、それでいてよく形を保っていて、美しいプロモーションを維持している。脚も非常に長くスーパーモデル並みのスタイルである。言ってしまえば、スーパーモデルと、グラビアアイドルが同時に一人の女性に存在しているかのような女性。

 では、なぜ僕がこのような女性と歩いているかというと、単純な話で、彼女は僕の幼馴染なのである。幼稚園からの知り合いで、小中高と同じ学校に通っている。毎朝、二人でこうして登校しているわけだが、僕としては一刻も早くこれを辞めたい。あらぬ誤解を招き双方に利益がないからだ。彼女がずっと隣にいるせいで、僕には彼女ができたことがない。いや、女顔で、身長が163cmにも満たない男を好きになる男性はそもそもいないかもしれないけれど、要因としては確実にある。伊集院さんと付き合ってるんだよね?と言われたことは星の数ほどある。正直この誤解は全く嬉しくない。僕は彼女を女性として見たことがない。確かにきれいで美しいとは思うし、そのプロモーションにドキッとすることもあるけれど、それが恋愛感情に結びつかない。恋人というよりも家族に近い。抜群のプロモーションの姉がいても、それに興奮することは普通ないだろう。それと一緒である。だから、僕としては彼女と距離を置きたい。彼女はもっと素敵な男性に出会えると思うし、絶対相手は僕じゃない。彼女は勉強もスポーツも何でもできるし、音楽にだって造詣が深い。いわゆるハイスペック女子だ。そういう人はもっとふさわしい人と恋愛するべきだと思う。

「なんだか、凄い騒がれているね。もう慣れてしまったけど」

彼女が涼しい顔でいう。その顔は幼馴染の僕にとっても破壊的に美しい。でも、もう少しこの状況を気にしてほしい。

「ねぇ、真白ちゃん。一緒に登校するの今日でやめない?なんだか変な噂もたってるし、お互いにとって良くないよ」

僕は満を持して、言った。正直、もう彼女から離れたい。悪い人ではないのだけれど、もう少し人並みの普通の高校生活を僕に送らせてほしい。

「え、何か問題あるかな。私はりっくんと登校したいもん。それに噂って何?」

彼女はあっけらかんと言い放った。彼女はこんな風に好意をストレートにぶつけてくるのだけれど、ぶつける相手を間違えている。僕じゃない。それに、噂に関しても、絶対に彼女の耳にも入っているはずだ。僕を揶揄って遊ぶためにあえて言っているのだ。僕はため息をつきながら言った。

「僕と、君が付き合っているっていう噂が立ってるでしょ。やっぱりこんな風に一緒に登校しているからだよ。真実じゃないことが広まるのは良くないよ」
「別に私はそれでも良いけれど」

 彼女はそう言ってクスリと笑った。素敵な笑顔だったけど、僕はもう限界だった。彼女はおそらく聞く耳を持たない。だから、少し心が痛むが意図的に距離をとる以外ないだろう。僕の方から、距離をとっていて、僕離れさせないといけない。もう小学校の時みたいに、男女仲良くが通用する年齢でもないのだから。高校は恋愛と色欲で成り立っている。

 彼女と意図的に距離をとるようにしてから数か月たった。何をしたかというと、先ず一緒に登下校することを辞めた。僕が辞めると言っても、彼女は一切取り合ってくれなかったので、僕が路線を変えた。最寄り駅は一緒だが、路線を変えてしまえば、遭遇する機会は格段に減る。案の定、メッセージアプリで、恐ろしい量の連絡がきたけれど、すべて未読無視している。これも、すべて彼女と僕の平穏な生活のためである。僕たちは距離を置かなければならない。今までがあまりにも近すぎた。付き合っていない男女の距離感ではない。僕には彼女と付き合う気が一切ないのでなおさらやめたほうがいいわけだ。彼女のも、自分の気持ちにこたえてくれない男ではなく、もっと自分にふさわしい男性に目を向けるべきだ。今回の件がそういう機会になればよいと思っている。別に彼女が嫌いなわけではない、今後は仲の良い友人として彼女と付き合っていきたい。
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 最近陸が私を避けるようになった。ベッドの上で、スマートフォンを操作して、彼に連絡を送ってみても、返信はなし。数週間前に送ったものもまだ、何の返事もない。もしかしたら、ブロックされているかもしれない。彼が意図的に私を避けていることは確実だろう。なぜだろう、私は天井を眺めながら考える。彼女でもないのに、べたべたしすぎた?それとも、私のことを嫌いになった?もしかして、他に好きな女ができたとか?そういうネガティブな思考が頭を駆け巡る。寂しい。彼がいない高校生活、いや、人生にはなんの意味もない。私を、いやらしい目で見てくるような男と、嫉妬と羨望が混じった目で見てくる女、そういう連中ばかりだ。そもそも、私が自分の容姿を好きになれたことだって彼のおかげなのだ。今の私はすべて彼のおかげなのだ。なのにどうして、その彼が、私を捨てるのだろうか。

 私は小学校のころ、よく虐められていた。発育がほかの女子よりも圧倒的に良かったからだ。高学年のころには170cmはあったはずだ。さらに、悪いことに、女性的な成長も人よりはるかに速かった。私の胸は、成人女性と比べても差し支えない程の大きさに成長してしまっていた。子供というものは残酷なもので、集団の中のこういう外れ値を見逃さない。私は虐めの対象になった。デカ女とか、牛女とかいろいろひどいことも言われた。そんなときに、かばってくれたのが彼だった。虐められている女子をかばうというのは、非常に難しいことである。なぜなら、茶化されて自分もいじめの対象になることが多分にあるからだ。でも、彼は一切ひるまず、毅然とした態度で、私を守ってくれた。いつも私のそばにいてくれたし、私を悪く言う人がいれば、見たこともない剣幕で反論した。普段は可愛らしいお人形のような顔をしていて、性格も温厚な彼のことだ。彼が怒り狂う姿は、なかなかにいじめっ子たちにも衝撃だった。

 そして、だんだんといじめがなくなっていた。でも、自分の身体に対するコンプレックスは変わらなかった。大人の男性から性的な視線を向けられることも増えていたのだ。成人女性並みの身長と、女性らしい体つきだったから、無理もないのかもしれない。当時の私は、こんな脂肪の塊があって何になるのだろう。背が高くて何になるのだろうと思っていた。馬鹿にされたり、性的な対象に見られるだけだったからだ。でも、彼はそんな私を肯定してくれた。

「真白ちゃんは綺麗だよ。背が高くてスタイルがよくてかっこいいし、可愛いよ。僕は身長低いから羨ましいな。いつかは抜かすからね!」

こういってくれた時の彼の恥ずかしそうな表情、今でも鮮明に思い出せる。私が今の自分を好きでいられるのは彼のこの言葉のおかげなのだ。なのに、その彼が私から距離を置く。これはどういうことだろう。彼に捨てられたら私は生きていけないのに。もう我慢ができない。明日の放課後、彼の部活が終わる時間を見計らって彼に会いに行こう。一緒に帰るついでに、彼の真意を問いただしてみよう。私はそういうことを考えながら、瞳を閉じた。

 私は落ち着きなく、本のページをめくる。紙の上の文字は意味を持たずに私の頭をする抜けていく。まずい、まったく集中できていない。久しぶりに彼と顔を合わせると思うと、気が気じゃない。六限が終わってから、部活動が終わる時間まで、こうして時間をつぶしていたわけだが、まったく集中できない。もう本を読むのは止めにしよう。そう思って本を閉じると、ちょうどその瞬間に帰宅を促す放送が流れる。部活動の終了時刻になったということだ。私は、ぎこちない足取りで、彼が活動している第一体育館へと向かう。彼はバスケットボール部なのである。身長を伸ばすために中学から初めてまったく伸びなかったという可愛らしいエピソードがあるのだが、それはまた別の話である。

 廊下を抜けて、体育館の裏口方面に出ると、優しい夕日が、体育館を照らしていた。この扉の前で今日は待とう。そして、彼にしっかりと話を聞くのだ。そう思っていると、なんと扉が開いた。私は慌てて近くの柱に隠れる。彼だった。しかし、一人ではなかった。彼ともう一人、彼よりも小柄な可愛らしい雰囲気の女の子がいた。女の子の方は、とても緊張しているようだった。まさか、と思った。でも、もう状況から考えてほとんど間違いなかった。これは、告白だ。

 私の中で何かが崩れたような感覚があった。私はその場を離れた。これ以上その場にいることができなかったからだ。結局私は逃げてしまった。臆病者なのだ。本当に情けない女だと思う。こんなことなら最初から告白すればよかったんだ。でもできなかった。怖かった。もしフラれたらどうしようとか考えてしまう自分が嫌になる。幼馴染という居心地の良い関係に甘えて必要な一歩を踏み出さなかった私が悪い。

 次の日から私は学校に行くことができなくなってしまった。自分に対する嫌悪感とか罪悪感とかいろいろな感情が入り混じってしまって、学校に行けなくなったのだ。部屋に引きこもりながら、ただひたすら自分を責め続けた。どうして自分はあんなことをしてしまったのだろう? どうしてあの時勇気が出せなかったのだろうか? 後悔しても遅いことはわかっていたけど、それでも悔やみきれない気持ちになってしまう。そして、何もかも忘れてしまおうと思って眠りについたはずなのに、夢の中に出てきたのは彼の姿であった。夢の中の彼は笑顔を浮かべていて、それが余計に辛く感じられた。

 それから一週間ほど経って、ようやく少しだけ立ち直ることができた私は、もう一度彼に会って話を聞こうと思い立った。たとえどんな結果になろうとも、きちんと自分の言葉を伝えるべきだ。私は覚悟を決めて家を出た。その日の授業が全て終わり放課後になると、私は、彼のいるクラスへと向かった。私には彼しかいない。他の誰かのものになっていいわけがない。私は決心を固めた。今すぐ彼に会いに行って告白する。 そうと決まれば行動あるのみだ。

私が、彼のクラスの教室の扉を開けた瞬間、私に視線が集まるのがわかった。私は、近くの席の人に、白瀬陸君を呼んでくれませんか?といった。その人が、白瀬くーんというと、彼は私の姿を認めた後、こちらへと向かってきた。

「どうしたの?」

彼は、優しい声で言った。久しぶりに聞く彼の声だ。なんだかすごく懐かしい。でも、感慨に浸っている暇はない。私たちは、人影の少ない、場所、体育館の裏へ移動した。彼が告白されたあの場所だ。私は、意を決して言った、

「ねぇ、りっくん。どうして私を遠ざけたの。私すごく寂しかったし、悲しかった。死んじゃいそうだった」

彼は、決まりが悪そうに視線を逸らした。そして、顔を上げると、私の顔をまっすぐ見て言った。

「ごめんね。あの関係のままだとお互いのためにならないと思ったんだ。君が僕のことを好きなのはもうわかってる。あれだけ、ストレートに伝えられれば、誰だって気づくよ。でもね、僕は君の気持ちには答えられない。君を女性として見ることがどうしてもできないんだ。家族みたいな存在なんだ。だから、君と恋人になってというような日常を描けないんだ。ごめんね。こんな風に、君を好きになってくれない男よりも、もっと素敵な男性が君にはいるはずだよ。だから、僕から離れてもらうために、距離を置いたのだけれど、逆に君を傷つけてしまったね。ごめんなさい」

まさか、告白する前からフられるとは思わなかった。思いを伝えることさえかなわなかった。女性として見れない。そうか、彼の答えはこうなのだ。私は彼にとっては家族のようなものなのだ。恋人ではないのだ。でも、そうか、そんなに簡単なことなんだ。私のことを女性として認識してくれれば私にもチャンスがあるんだ。そのとき、単純明快な解決策が私の頭をよぎった。そうだ、もう彼を襲ってしまおう。それで、彼に私のことを女として意識させよう。彼ならきっと受け入れてくれるだろう。なんといっても彼は優しいから。
そう考えた私は、早速行動に移った。まず、彼に抱きついた。そして、耳元でささやいた。

――りっくんを襲うね♡私を女性として意識してくれるまで犯し続けるよ。

すると、彼は、ビクッとした様子を見せた後に、私の体を押し返してきた。しかし、すぐにそれは収まった。抵抗をやめたようだ。私は、すかさず、唇を奪った。ファーストキスだ。私は舌を絡ませ、彼の口内という口内を○す。とても幸せな時間だった。彼に胸を押し当てることも忘れない。私が離れると、彼は、ぜぇぜぇと息を吸い始めた。とても辛そうだった。でも容赦しない。私は、そのまま押し倒して馬乗りになった。私は、彼の胸を揉み始めた。彼は女の子のように可愛らしいけど、彼の胸板はやはり男性らしく硬かった。でも、触っていて心地よい。しばらく続けていると、彼の口から喘ぐような声が出てきた。かわいい。 私は、ズボンに手をかけた。彼が暴れ出す。私は、彼の腕を押さえつけた。そして、一気にずり下ろした。パンツも脱がせる。そこには、彼の小さな男の子のそれがあった。可愛い。私はそれを口に含んだ。彼はさらに激しく暴れ出した。私はそれに構わず舐め続けた。彼はついに果ててしまった。あっという間だった。あまりにも早い射精だった。

「あっ……っッん……♡」
「こんなに、早漏な男の子を許容できる彼女なんてほかにいるの?みんなこんな早漏は嫌だと思うよ、やっぱり私にしときなよ♡」
「そんなに声上げちゃ駄目。ほかの人に聞こえちゃうよ」

そう、ここは体育館裏の茂み。声を上げてしまえば、周りの人がすぐに気づく。いくら気持ちよくても彼が声を上げることは決して許されないのだ。私をあんなに邪険にしていた彼を支配している、こんなに気持ちの良いことはなかった。私は制服のまま、彼の肉棒を乳房に挟んだ。

「これからは、私のおっぱいで気持ちよくしてあげる♡」

そういうと、彼は期待するように腰を動かし始めた。かわいい。なんてかわいらしい反応をするんだろうか。彼が腰を振るたびに、私の乳肉が彼のペニスを刺激する。そのたびにビクンビクンと反応する。彼が、私の体に興奮していることは間違いなかった。それがとてもうれしかった。普段は、性的な視線を向けられるのは嫌だけれど、彼には性的な感情を向けられるのは逆に悦びを感じた。私は淫乱なのかもしれない。でも、仕方がない。彼に恋をしているのだから。

「あぁ、もう出ちゃいそうなんだ。我慢しなくていいよ。いっぱい出して♡」

彼の限界はすぐに訪れた。先ほどと同じように、勢い良く精液が飛び出してきた。今度は口ではなく、胸を飛び越えて顔にかかった。顔射だった。すごく熱い。彼の熱が伝わってくる。精液独特の香りがするけれど、不思議と不快ではなかった。その熱さは私の体を火照らせるには十分だった。もう、私の体は準備万端だ。早く彼と一つになりたい。私の中に入ってきてほしい。私は、自分のショーツを脱いだ。そして、スカートをたくし上げた。私の秘部はもう洪水状態になっていた。ショーツに染みができてしまっている。濡れているのが自分でもわかる。私は、彼に跨ると、ゆっくりと挿入していった。彼のものが入ってくる。彼のものを包み込んでいく。温かい。彼の体温を感じることができる。私は、彼のすべてを呑み込んだ。そして、ピストン運動を始めた。最初はゆっくりだったが、徐々に速度を上げていく。

「んっ♡気持ちいいよ、りっくんの気持ちいい♡」
彼に私の想いをぶつけるかのように激しく動く。パン、パンという音が鳴り響く。彼に私を感じて欲しい。私を女として意識して欲しい。
次第に絶頂を迎えようとしていたその時、急に視界が変わった。どうやら彼に押し倒されたようだ。彼は起き上がると、私を見つめた。彼の瞳には私が映っていた。

――やっと、私を見てくれたね♡

私はにっこりと笑うと、もう一度、彼を押し倒した。そして、私は再び動き始める。彼が、私の中にいる。そう思うだけで、幸せな気分になる。彼の顔を見る。私のことを見てくれていた。私だけを見ていた。嬉しくなって、私はキスをした。何度も、何度もキスを繰り返した。そして、また彼のものが大きくなってきた。そろそろ限界かな?私はさらにスピードを上げた。私の中で果てさせてあげたい。
やがて彼は果ててしまった。私の中に注ぎ込まれる感覚がした。私も一緒に果ててしまった。私は彼から引き抜くと、愛おしそうにお腹をさすった。まだ、ここに、私の中に、彼のものがある。そう考えるだけで幸せだった。
私は、彼に話しかけた。

――これで、りっくんは私のものだね♡

彼は何も言わなかった。というか言えなかった。彼は疲れ切って眠ってしまった。無理もない。あんなに激しく動いたのだから当然だろう。私は服を着ると、眠っている彼に服を着せお姫様抱っこをした。きっと、彼は私のものになってくれたはず。だって、あんなに幸せそうな顔をしていたから。

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うっちゅう 2022/11/15 22:02

スーパーモデルになった幼馴染イケメン高身長ハイスペック女子に、お仕置き嫉妬エッチされて、結婚する話。

 着なれない黒いスーツをまとって、姿見の前に立つ。成人式のために新調した黒いスーツは、僕には全く似合っていなかった。女顔かつ低身長だから、当たり前のことではあるのだけれど。若干ブルーな気持ちになるけれど、嬉しさと期待感が胸を駆け巡っていた。何もそれは、成人するからではない。僕の幼馴染で親友の、一条雫と再開する約束をしていたからであった。彼女はどのような女性になったのだろうか。

 これもまた履き慣れていない革靴を履き、式典の会場へと向かっていく。見慣れた街並みに、見慣れた景色。この町に生まれ、この町で育った。結局、地元の大学に進学した僕にとって、この町が世界のすべてだ。でも、彼女は違う。彼女は高校二年生のころ、芸能事務所にスカウトされて、東京に移った。寂しい気持ちもあったけれど、あまり驚きはなかった。彼女は幼いころから、あらゆる点で人とは乖離していた。ありとあらゆることを誰よりも上手にこなした。スポーツでは、経験者の男子を平気で圧倒し、勉強も学校内で余裕のトップだった。それどころか、中学の時に受けた全国模試では、ぶっちぎりの全国一位だった。それに加えて、彼女は、この世の人間とは思えないほど美しかった。天は二物も三物も四物も与えるものなのだろう。小学生のころから、大人びて、人並み外れた容姿を持ち合わせていた。ただ、これは彼女の美の片鱗に過ぎなかった。彼女は中学、高校を経て一層輝きを増した。彼女の輝きは、気づいた時には東京へと伝わっていた。こんな片田舎にもかかわらず、スカウトの目に留まり、モデルになったのである。
 
 モデルという職業は、彼女にとって天職だった。彼女は一年もしないうちに、世界で最も美しく著名なモデルになった。僕はモデルとなった彼女を、写真集で見たことがある。その美しさは他とは、一線を画すというほかなかった。彼女の顔は異様なほどに整っている。目元には、睫毛が十分に蓄えられ、卵型のぱっちりとした力のある瞳を彩っている。鼻は日本人離れして高く、彫刻のように理想的な形をしている。顔全体の印象としては、中性的で、男性性さえ感じさせる。しかし、身体は全くその反対である。背骨は理想的なS字を描き、よく引き締まった臀部へ続く。胸部は、ふっくらとした重みが見るだけで感じられるほど大きいが、それでいて、身体全体の美しさを損なうことは決してない。だからモデルとして成立するのである。これだけ見れば、男性に人気なだけの、低級なモデルに思えるかもしれないが、事実は全く異なる。彼女はスタイルが抜群に良い。まず身長が非常に高く百八十五センチほどもある。腰の位置が非常に高いことから、脚が抜群に長いことも容易にわかる。その抜群のスタイルからあらゆる服を着こなす。そのため、世の女性に対しても凄まじい影響力がある。彼女が着た服が世の中のトレンドになるほどである。どんな言葉を並べても彼女の尋常ではない美しさを描写するに十分でない。この世界にある言葉で、彼女を言い表すことなど不可能である。

 だから、僕にとって、彼女は随分遠い存在になってしまった。演劇部で、それぞれ主人公とヒロインを演じていたあの頃が懐かしい。でも、彼女のような凄まじい人間の人生に一瞬でも関われただけ僕は幸福だったのかもしれない。こんな具合に、昔のことをぼんやりと考えながら歩いていると、気づいた時には会場に着いていた。そこには異常な人だかりができていた。巨大なカメラを持った報道関係者が複数いる。中には海外メディアらしき姿もある。それに加えて、色彩鮮やかな振袖を着た女性達、黒いスーツにかっちりと身を包んだ男性たちが、一点に群がっている。通常であれば、こんな田舎の成人式に、見るべきものなどない。だから、この理由は明白だった。彼女だ。一条雫がここにいるのだ。誰もが彼女を一目見ようと集まっているのだ。それだけ彼女は人を虜にしてしまう。場の熱気が高まり、まさに暴力沙汰になりそうな瞬間だった。よく通り、美しい声がその場に鳴り響いた。場は一瞬にして静寂に包まれた。

「ごめんね。式典に間に合わなくなるから。どいてもらってもいいかな」

あまりにも素っ頓狂で、的を得ていない発言だった。でも、それで十分だった。彼女には空気を読む必要などない。発言するだけで場の空気というものを支配できるからである。彼女はそのままゆっくりと歩きだした。鮮やかな振袖を着た彼女は、もう、名状しがたい美しさだった。幼馴染の僕でさえ恋に落ちてしまいそうなくらいだった。彼女の一挙一動に、皆が目を奪われていた。美という概念を、そのまま現世に持ってきたみたいだった。突然、彼女は止まった。ゆっくりと振り返って、結んだままの唇にかすかな笑いを浮かべた。まるで桜と向日葵が同時に咲いたような、儚くも明るい笑みだった。その笑みは僕に向けられていた気がした。僕はなんだか恥ずかしくなって、顔を伏せてしまった。それを見た彼女が、困った風に笑った。

 式典は異様なものになった。通常、成人式では、旧友との再会を祝い、言葉を交わすものだ。しかしながら、今この瞬間、ほとんどすべての人が、一条雫を気にかけていた。彼女に会えるかもしれない、あわよくば会話をしてみたい。そういった期待感が、会場を支配していた。例えば、僕の向かいにいる男性は、表面上は、友との再会を喜んでいる。でも、その瞳は明らかに泳いでいた。彼女を探しているのだろう。彼女は一瞬にして人の心を奪ってしまう。ギリシャ神話に出てくる人魚のような女性である。僕がそんなことを考えていると、背後から聞きなれた、あの懐かしい声が聞こえてきた。その声が僕に向けられるのは、もう、三年ぶりだった。

「やぁ、優里、久しぶり。誰かわかるかな?」

彼女は、芸術品のように細部まで完成された指を、僕の目にかぶせた。そして僕を揶揄うように悪戯っぽく言った。僕が知っているあの時の彼女のままだった。

「雫ちゃん、だよね」
「正解。ごめんね。優里、ここは目立つから、場所を変えよう。」

 彼女はそういうと、僕の手を強い力で引っ張っていった。世間の人は、きっと彼女が一条雫だと言われても信じられないだろう。クールビューティな彼女がとるとは思えない程に強引でお転婆な行為だからである。でも、僕にとってはこれが雫ちゃんだった。ちょっと強引なところがあるけれど、持ち前の能力ですべて何とかしてしまう。悪戯っぽい普通の少女。記憶の中の彼女と全く同じだった。

 彼女に導かれるままに歩いていくと、なんてこともない、ごく平凡な車が道に留まっていた。町でもよく見かけるような、白い軽自動車だった。おそらく街中で目立たないようにするためだろう。彼女が手を挙げると、車のロックが開いた。

「乗って」

 言われるがままに、彼女の隣に座った。彼女の行動力が凄まじくて何が起きているのかわからなくなる。彼女は運転手らしき人に、目的地の住所を伝えた。それは、前もって伝えておいた僕の家の住所であった。

「ごめんね。少し強引な手段になってしまった。でも、実際の式典が始まる前に、抜けてしまった方がばれないだろう?式典に出られないのは残念だけど、もう十分雰囲気は感じられたさ。それに、私をつけているメディアなんて山ほどあったからね。それを全て撒いて、君を探すのは大変だったよ。」
「ごめん、てっきり、式典が終わってから、向かうものだと……」

 本当は、成人式が終わってから、僕の家に向かう手筈だった。でも、彼女が瞬時にプランを変えたのだろう。あまりにもメディアと野次馬が多かったから。その思い切りの良さはさすがだなと思った。僕たちは会場の喧騒から、どんどんと離れていった。月曜日の夜の街を、何の変哲もない白い車が、静かに駆け抜けていった。僕は彼女に目を奪われ続けた。彼女の美しい横顔。本当の美人は横顔で差が出るというけれど、本当にその通りだ。彼女は、まるで絵に描いたような、いや絵だとしてもありえない程美しい。何も邪な気持ちがあったわけじゃない、記憶の中の彼女よりも美しさに磨きがかかっていたからだ。

「私の顔になにかついてるかな?」

彼女は冗談めかして言った。僕の視線に気づいたようだ。さすがに凝視しすぎたみたいだ。僕は、申し訳なくなって謝った。

「いいよ。別に仕事柄人の視線には慣れてるし。それに……」
「君に見られるのは悪い気はしないね」

 彼女は昔、十秒間相手と目を合わせた後、相手に向かって微笑めば、誰でも私を好きになる、と言っていた。今その意味が分かった気がした。それほどまでに、彼女の微笑は妖艶で、無垢で、繊細な色彩を帯びたものだった。そのあと、彼女と近況報告をしあった、彼女はモデルとしても超一流だが、最近では女優業の方に力を入れているらしい。

「私は元々、演劇部だったからね。カメラで写真を撮られるよりも、何かを演じることの方が楽しいんだ。まぁどちらも完璧にこなすけどね」

これほど説得力のある言葉もなかった。おそらく彼女は何でも完璧にこなすだろう。

「ただね、演技をしていると、違和感を抱くことが多いんだ。どうして、隣にいるのが君じゃないのかな、ってね」

 僕はドキッとした。いや、彼女はそういう意味では言っていないはず。僕と彼女は、中学から高校時代、同じ演劇部で活動した。その時、中性的で抜群のスタイルを持った彼女が、王子役を演じ、小柄で女顔だった僕が姫役を演じることが非常に多かった。きっと彼女はそういうことを言っているのだ。何も他意はない。長年ともに演じていた人じゃないから違和感がある、それだけのことじゃないか。僕たちは親友なんだ。幼馴染で親友で、本当にそれだけの事。なぜ、今日の彼女は思わせぶりな発言が多いのだろう。記憶の中の彼女とは、違っていて戸惑った。僕たちの関係が変わってしまうような予感があった。僕が一抹の不安を抱いたとき、車が止まった。車窓から見える眺めは見慣れたものだった。ごく普通の安いアパートだ。

「しっかり部屋までエスコートしてね」

彼女は妖しく笑った。


「ごめん、狭いけど我慢してね」

僕はそう言って家の鍵を開けた。鍵を開けると、見慣れた自分の家が目に入ってくる。僕が住んでいるのは1K、いわゆるワンルームというやつである。ほかの住民も一人暮らしの学生が多い。そもそもそういう価格帯のアパートなのだ。キッチンとお風呂はさすがに備え付けられているけれど、あとは殺風景な部屋が一つ。部屋の中央には、ソファと、小さな机。その隣はすぐにベッドだ。大学生の一人暮らしなど大体こんなものであろう。ただ、彼女を泊まらせるにはあまりにも狭すぎる。彼女はひと月で一般人の生涯年収を稼いでいるという噂もあるくらいなので、こんな家はみずぼらしくてしょうがないだろう。

「うん。生活感があっていいね。」

彼女は端的に感想を言った。本当にそう思ってくれているかはわからないけど、ひとまず不満そうではなかったので安心した。すると彼女は思い出したかのように言った。

「着替えきていいかな?お腹のあたりにタオルを巻いてるから苦しい。着替えはあるから。お風呂のところ借りていいかな?」
「じゃあ、僕はご飯作るね。お酒は飲む?」
「優里も飲むならいただこうかな。」
「わかった」

 僕はスーツを脱いで、部屋の中央のハンガーにかけた。そしてYシャツ姿のままキッチンへと向かった。彼女もどうやら着替えているようだ。演劇部だった関係で、着替えることはよくあったので、彼女の着替えだけで興奮してしまうほど初心ではない。料理に集中する。今日は、せっかくなので、彼女の好物を作ることに決めていた。昔から、彼女に料理をふるまうことがよくあった。その時の記憶を呼び起こして、彼女が美味しいと言ってくれたものを選んだ。彼女はお金もあるし、東京にいるから美味しい物を食べる機会には事欠かないだろう。きっと、僕の想像もつかないような値段のものだって食べている。でも、この料理で、少しでもこの町のこと、僕のことを思い出してくれたら嬉しい。

 下ごしらえは事前にやっていたし、案外すぐに完成した。うん、美味しい。味付けもちょうどいい感じ。甘すぎず、しょっぱ過ぎず。彼女好みの味だ。肉じゃがと、わかめのお味噌汁、ピーマンのゴマ炒めである。どれも、庶民的と言って差し支えないし、今の彼女の口に合うかはわからない。でも、ちゃんと美味しくはできたはずだ。僕は食事を小皿に取り分けた。彼女は、まだ着替え終わってないみたいだった。やっぱり振袖は着替えるのに時間がかかるのだろう。あんまり詳しくないけれど、飾り結びなんかは凄く複雑そうだし。

「ごめん、ご飯できたけど、着替え終わった?」
「じき終わるよ。ありがとう。待たせたね」

そういうと、扉が開いた。

「どうかしたかい?そんなに目を丸くして。」

 彼女は平気な顔をしているけれど、正直目に毒だった。彼女はあまりにも無防備だった。いわゆるルームウェアだったが、彼女の豊かな胸部は、布を持ち上げ、はっきりとした重みを主張していた。振袖では、胸が大きいと着崩れてしまうので、タオルを入れて調整することがあるらしいが、それがなくなって、煽情的な体のラインが明らかになっていた。おまけに、袖がないタイプのものだったので、雪のように白く透き通った素肌が無防備にさらけ出されていた。肩もはっきりと見えて、見ちゃいけないものを見ているような気がした。鎖骨などもはっきり見えた。彼女のプライベートを不当に覗いている気がした。やったことはないけれど、盗撮の類に似たやましさだった。ズボンも非常に短かったため、細すぎず、適度に肉付きの良い彼女の脚が丸見えだった。正直どこを見ても、あまりにも性的だった。セクハラになるような気がして、彼女を見ることができなかった。幼馴染に性的な視線など向けたくなかったし、僕を信頼してくれている彼女にも申し訳なかった。僕はとっさに目をそらした。

「?どうしたの」
「ごめん、あの、もっと、なにか羽織ったら?もう冬だし、夜は冷えるよ。僕の上着があるからさ。その、使いなよ」

彼女は嗜虐的な笑みを浮かべた。明らかに捕食者が、獲物を見るときの目だった。

「じゃあ、そうしようかな」

僕はそそくさとその場を離れて、上着を取りに行った。正直、早くこの場を離れたかった。今の彼女はあまりにも魅力的で、あまりにも妖艶だった。僕は、高校時代に来ていた上着を彼女に渡した。彼女はそれを羽織ろうとして、困惑の表情を浮かべた。

「優里、サイズが合わない」

 彼女はちょっと呆れた感じで、笑って言った。よく考えなくても、サイズが合わないのは当然だった。なぜなら、彼女の身長が百八十五センチメートルもあるのに対して、僕は百六十一センチメートルしかないからである。目線でいうと、彼女の胸のあたりになる。それくらい体格に差があるのである。男性の方の僕が、彼女より二十センチ以上も小さいというのは情けない話だった。しかも、それに気づかずに、上着を持ってくる!などといった僕は滑稽で仕方なかっただろう。おそらく緊張と焦りが彼女には手に取るように分かったはずだ。おそらく彼女は途中から気づいていただろう。分かっていて止めなかったのだ。

上着はどうやっても着られなかった。もう仕方がないので、そのままの服装で食事をすることにした。目には毒だけど、慣れるしかないだろう。僕たちはテーブルへ移動した。彼女はテーブルの上にある料理を見て嬉しそうに言った。

「すべて私の好物じゃないか。雑誌でも話したことなかったよね。覚えてくれていたのかい?」
「そりゃあ、雫ちゃんが美味しいって言ってくれたものは、全部覚えてるよ。ほら食べよ。冷めちゃうから」

彼女は表情には出さなかったけど、嬉しそうな雰囲気がにじみ出ていた。料理に箸をつけての第一声が美味しいで安心した。これでまずいなどと言われていたら、ショックで立ち直れなった。

「美味しい。私の好きな味付けだ。こんなことまで覚えていてくれたなんて……君はいいお嫁さんになるよ。本当に。家にいてほしいね」

冗談なのはわかっていたけど、彼女があまりにも真剣な目でいうから、反応が遅れてしまった。

「ち、ちょっと冗談言わないでよ。僕は、お嫁さんにはならないよ。大切な人と結婚して、その人と子供のために働きたいんだ。」

これは心からの本心だった。僕の昔からの夢だった。古臭い結婚観かもしれないけど、これが僕にとっての理想の結婚だった。僕の父親がそうだったからだ。家族のために一生懸命働いて、温かい家庭を作る。これより素晴らしいことがこの世にあるだろうか。

「ふーん。そうなんだ」

彼女は意味ありげに言った。そのあとは他愛もない話が続いた。中学、高校時代の思い出を語ったり、料理の感想を言いあったりしながら、二人で笑って、二人で飲んだ。素敵な時間だった。まるで昔に戻ったみたいだった。こんな時間がずっと続けばいいのに。そう思っていた。彼女はどうだったかわからないけれど、僕の方は結構お酒が回ってきていた。あんまりお酒が強くなかったのに少し飲みすぎたかもしれない。

「雫ちゃんはお酒強いねぇ。僕は真っ赤なのに。」

僕は呂律の回らない声で言った。結構本当に酔っているかも。

「ちゃんと水飲みな。明日劇本番なんだろう。悪酔いしたら大変だ」

そうだった。明日は僕が所属している演劇サークルの公演がある。彼女はそれをお忍びで見てから東京に帰る予定なのである。

「雫ちゃん、ベッドまで運んで。眠い」
「仕方のない人だね。洗い物は私がやっておくから、もう寝な」

彼女は僕を簡単に持ち上げた。いわゆるお姫様抱っこというやつだった。彼女は細い腕からありえない出力が出る。そもそも体格差があるし、僕を持ち上げることなど、それこそ赤子の手をひねるように簡単だった。彼女はベッドまで僕を運んで、その上に僕を優しくおろした。僕ははっきりとしない意識の中でこう言った。

「ありがとう。雫ちゃん。大好き」

 僕としては軽い冗談のつもりだったし、酔っているときの発言だからそんなに深い意味はなかった。でも、この発言が彼女の決定的な何かに触れたらしい。彼女は僕の手首をつかんで、ものすごい力で僕をベッドの上に押し倒した。彼女が僕の上にちょうど覆いかぶさる形になった。その瞳には、劣情、怒り、性欲といった複雑な感情が入り乱れていた。僕はすっかり酔いから冷めた。まずいと思って腕に力を入れたけど、びくともしなかった。僕と彼女では、体格だけでなく、膂力にも差がありすぎた。

「あのさぁ♥優里♥さっきから、なんなの?誘ってるの?もう私、我慢の限界なんだけど……♥」

 僕の不用意な発言が、僕の知らない雫ちゃんを呼び覚ましてしまったのだと思った。でも、気づいた時にはもう手遅れだった。






「優里が悪いんだよ♥さっきから、私を煽るようなことばかりして。私の好みを完全に把握した食事を作ってくれたり、薄着の私から恥ずかしそうに眼をそらしたり。あげくは大好きだなんて♥そんなに、私に犯されたいの?ずっと我慢していたけど。もう限界だよ」

彼女の様子は明らかにおかしかった。僕は性的な視線を向けられた経験がほとんどない。でも、今の彼女の目線が、それだということははっきりと分かった。彼女は今にも僕に襲い掛かってきそうだった。もはや、恐怖でしかなかった。彼女のことは好ましくは思っていたけれど、こんな状況では嬉しくもなんともない。レ○プされた女性の気持ちがわかる気がする。

「ねぇ、雫ちゃん。こんなのおかしいよ。僕たち幼馴染で親友だよ。それにもっと」

言い終わる前に、彼女の柔らかい唇が、僕の口を塞いだ。そのキスは甘いやさしいものではなかった。彼女は舌を巧みに操り、僕の舌に絡めてきた。彼女の体温が僕に伝わってくる。二つの舌が絡み合うという淫猥な音だけが部屋に鳴り響いていた。もはや、キスではなかった。口全体が犯されているみたいだった。三分くらいそうした後、彼女は、やっと僕の唇から離れた。彼女の唇は色っぽく照っていた。

「あのさぁ、さっきから幼馴染とか親友とかうるさいんだよね。あまりにもうるさいから黙ってもらったけど♥私は、ずっと前から君が好きだったし、今でも気持ちは変わらない♥だから今こんなことをしてるんだよ。誰にでも、こんなことをする下品な女とは、思わないでほしいな♥私はね、基本的に君以外の男性には興味ないよ。だって、私の体や名誉、財産狙いなのが見え見えだからね。何とか私を犯してやろうとする男は、星の数ほどいたさ。でも、そういう男ってやっぱりつまらない人ばかりなんだよね。結局女を屈服させようとしか考えてないし、女なんてオナホくらいにしか思ってないのさ。きっと私は、彼らみたいな人からしたら、極上のオナホなんだろうね。こんなに、いやらしい体つきだし、名誉もお金もある。オナホ兼ATMとしては、魅力たっぷりだろうさ♥でも、君は違う。君は、私をちゃんと見てくれる。私の心配をしてくれる人、私という人間を見てくれているのは君だけなんだ♥」

彼女は頬を上気させながら言った。彼女が僕を大切に思ってくれているのは伝わってくる。でも、だからこそここで、彼女を止めないといけない。

「じゃあ、今すぐ離して。そして、こんなバカなことはやめて。僕は君が言うように、君を大切に思ってる。だから、こんな形で、君の体を傷つけたくない。」

彼女は可笑しくて仕方がないという風に笑った。そして、僕の服のボタンを、一つ一つ、手際よく外し始めた。

「あのさぁ、優里。勘違いしているかもしれないけど、”僕が彼女を傷つける”なんていうのは思い上がりだよ♥いいかい、今から、私が君をぐちゃぐちゃに犯して傷つけるんだ♥まぁ、いわゆるレ○プだね。まさか、こんな下衆な行為に自分が及ぶとは思わなかったね。そういう、性欲だけでものを考えている連中は一番嫌いだったのだけれど。大丈夫、ちゃんと責任はとるさ♥だからね、優里。君はただ、そこで喘いでくれればいいよ♥」

彼女は僕の、Yシャツを全て脱がせてしまった。白い肌が露わになった。恥ずかしいし、怖い。

「やめて……」

僕はかすれるような声を出した。

「シミ一つない綺麗な白い肌だね。女の侵入を一度も許していない綺麗な肌だ♥」

彼女は僕の、首筋からおなかのあたりを優しく撫でた。今から相手に乱暴をしようとしている人の手つきではなかった。相手を慈しみ、壊してしまわないように大切に大切に僕に触れた。

「下はどうかな」
「ひっ……やめっ……」

彼女は、僕の腰回りのベルトをするりと外し、足首までおろした。外気に触れた太ももが揺れる。僕を守るものは、下着一枚になった。羞恥と恐怖で全身が震えていた。

「綺麗な太ももだ♥女の子みたいだね。さぁ、優里の男の子の部分はどうかな♥」

彼女は嗜虐的な笑みを浮かべて、僕の下着に手をかけた。僕の男性器は露わになった。情けないことに少しだけ勃っていた。今まで誰にも見せたことがなかった恥ずかしい場所を、幼馴染にこんな形で見られて涙が出そうになった。

「優里のおちんちん、かわいいね♥口ではあんなに言っても、優里のココはやっぱり正直なんだね♥」

彼女は、爪でつんつんと、僕の男性器を弾いた。そんな軽い刺激だけでも、僕の脳には快感が走った。理性はとっくに吹き飛びそうだった。彼女はそれを見て満足げに笑った。そして、彼女は、僕を抱き上げた。彼女と比べて、あまりにも貧弱で、あまりにも軽い僕の体は簡単に持ち上げられた。そして、僕は彼女の膝の上で抱きかかえられた。彼女は、僕の耳元でこうささやいた。

「優里♥今からいっぱい犯してあげる♥」

その声は、世界一やさしい声色だった。

 あれほど、○すと言っていたのに、彼女は僕を慎重に優しく愛し始めた。彼女華奢で美しい腕が、僕の太ももや、首筋を優しく、愛でるようにじっくりと撫でていく。でもある一点には絶対に触らなかった。彼女は焦らすように、僕の体という体を優しく愛撫した。僕の鼓動と息はそれだけでどんどん激しくなっていた。彼女に全身を撫でられて、「自分はこんなに愛されている」と思う以上に、「自分はこんなに彼女を愛している」と実感した。そう思わせるほどの愛しい、切ない愛撫だった。先ほどまでの恐怖や苦痛が本当に幻のようだった。彼女はまるで恋人のように、僕を愛した。

「知ってるかい♥普通愛撫というのは、女性にするものなんだよ♥そりゃそうだよね♥女性の膣を濡らして、挿入しやすくするのが目的なんだから♥だからね。だから、本当は君が私を愛撫しなきゃいけないんだよ♥でも、君はそれを嫌がったからね♥私を拒否した仕返しさ。たっぷり愛してあげるからね♥」

 今までの愛撫は、前座だったという具合に、彼女は激しさを増した。邪魔な髪のおくれ毛を舌でどかし、僕の首筋をゆっくりと舐め始めた。舌先で静脈をたどり、鎖骨までじっくりと辿って行った。温かい液体が首筋をじっとりと這っていく。唇が、鎖骨に達したとき、鈍痛に襲われた。かまれたと気付いたのはそのあとだった。慣れない皮膚を吸われる感触に首を悶える。

「そこはっ、目立つからぁ……やめて……」
「印をつけてるんだ♥自分の物には名前を書くだろう?それと一緒さ♥」

やめて、と身をよじっても、彼女の力には到底かなわない。彼女は僕を壊してしまわないように、二つか三つ愛の印を僕の体に残した。慣れない痛みに、気を取られていると、彼女の右手が、僕の胸元に迫る。指先で突起を優しく撫で、もう片方は、滑らかな舌を這わせていた。

「……っ……う……♥」

僕はたまらず声を上げてしまう。

「女の子みたい♥かわいいなぁ♥ここが弱いのかな♥」

彼女は楽器でも奏でるかのように、楽しそうに僕の突起を転がした。その度に、いやらしい声を上げてしまう。頭が焼き切れそうだった。もう僕の性感はとんでもないほどに高められていた。目の前の女性に愛してもらうことしか頭になかった。

「君だけを裸にしておくわけにもいかないし、私も脱ぐね」

 彼女はいったん僕から手を離した。そして自分の服に手をかけ、するりするりとそれを脱いでいった。彼女は猥らになった。男性ならだれもが触れてしまいたくなる彼女の肢体が露わになった。彼女はこれでも着やせするタイプのようだった。そのふくらみはいつもよりも煽情的で大きかった。服を脱いだ彼女は、男性の欲望を全てつぎ込んだような品のない、身体をしていた。はっきりとした谷間を形作る巨大な胸の双丘、健康的に筋肉がついた腹筋に、引き締まったウエスト。シミ一つなく、適度に肉のついた太もも。鍛え上げられ、大きいながらも美しい形を保っている臀部。世界中の男性が、夢想し、求める究極的に淫猥な肉体。すぐにでもそれに触れたくなった。でも、それがかなうことはなかった。彼女は下着姿のまま、またも、僕を押し倒した。

「私が君を愛してあげる♥もう二度と他の女じゃ満足できなくしてあげる♥」

 彼女は僕を優しく押し倒した。その動作は本当に優しくて、親が子供をベッドに寝かせるみたいだった。そして、僕の腰に、尻臀をゆっくりと乗せ、心持ち、顔をうつ向かせた。僕の記憶では、彼女がこのような様子を見せたことはなかった。彼女はいつでも自信にあふれていて、どんなことでも成し遂げる雰囲気を持っていた。実際それができた。彼女はそっとため息をついて言った。

「私ね、緊張したことがなかったんだ。どんなことだって、誰よりもうまくできる自信があったし、実際、今までそうだった。例外はない。初めてモデルの仕事をしたとき、初めて映画に出演したとき、海外でランウェイを歩いた時、いついかなる時でも、完璧にこなしてきた。それなのに、今、確かに緊張しているんだ。今から、君に拒否されたらと思うと、怖くて仕方がない♥嫌われて当然のことをしているのにね♥今、君に嫌われたら、私は一生惨めに一人で暮らす気がするんだ。きっと君は、素敵なお嫁さんをもらって、素敵な家庭を築くのだろうね。君の隣に女がいるなんて考えたくもないけれど♥」

 先ほどまでの、積極的な態度が嘘のように彼女はしおらしくなった。僕からも遠慮がちに目を逸らす。僕はなんだか堪らなくなって、彼女に手を伸ばした。僕の小さな体で彼女を慰めるように、しっかりと抱きしめた。彼女の体温が直に僕へと伝わってくる。不思議とやましい気持ちは湧かなかった。小さな部屋の優しい光だけが僕たちを包んでいた。彼女は安堵と歓喜が入り混じったささやかな微笑を浮かべた。そして、彼女の柔らかい唇が僕の耳元に迫ってきた。

「優里♥いいんだね♥大好き」

彼女は突如として、サディスティックに笑った。そして、僕の腕を握って、強い力で押し倒した。生物としての格の違いを判らせるように強い力だった。

「さて、優里も許可をくれたし、存分にセックスできるね♥もう私以外の女は見えなくなるくらい犯してあげるから♥」

まるで先ほどまでの態度がまるで演技だったかのように、いや本当に演技だったのかもしれない。僕は彼女が世界的な大女優でもあることを失念していた。でも、どっちだろうとそれ自体は大した問題じゃない。

「やっぱりこんなのおかしいよ。全部忘れてまた、やり直そうよ」

僕は彼女と対話を試みたけど無駄だった。僕の声は彼女に一切聞こえていないみたいだった。彼女は、今、目の前の男性を○すことできっと頭がいっぱいになっているのだろう。考えたくはないが。

「口では、そんなことを言っているけど、優里のここはすっかりその気みたいだよ♥しっかり、私を受け入れる準備ができているじゃないか♥」

 そういって、彼女は、僕の陰茎にそっと触れた。僕はそんな微かな刺激だけでたまらなくなってしまう。情けないことに、彼女の執拗な前戯で、僕の性器はすっかり交尾をする準備を終えていた。彼女は僕のそれをまるで宝石を扱うかのように丁重に触った。彼女はにこっと笑って、僕の先端に軽くキスをした。すごく卑猥な光景だった。恋人の手にキスをするみたいな優しい口づけだった。その仕草の美しさと実態がアンバランスで、ひどく僕を刺激した。彼女はゆっくりと腰を上げた。彼女の秘部はぐっしょりと濡れていた。鼻につんと来る酸っぱくて甘い香りが部屋を満たしていた。彼女はゆっくりと僕のペニスの上で腰を下ろしていた。ぐちゅり、ぐちゅりと彼女の中に僕が入っていく。

「どう♥私の中に優里が入ってきてるよ♥嬉しいなぁ♥」

今まで生きてきた中で一番強い快楽だった。全身の細胞がスパークする。脳が焼き切れそうだった。呂律も回らない。でも、言わないといけなかった。彼女を止めないと。また、昔みたいな関係に戻らないと。僕は最後の力を振り絞って、消えかけの理性と共に言葉を紡いだ。

「やめて、雫ちゃ…ん。友達に……ッ♥戻ろう。んっ♥まだやり直せっ…ぇ♥♥だって、こんなの……おかしいよ。付き合ってもない男女が……ッ♥こんなこと……したらッ♥ダメだよ……ッ。また……ぁっ、昔みたいな……、関係に戻ろう?」

息も絶え絶えで思考もまとまらない。ベッドのシーツを強く掴んで何とか快楽にあらがう。

「あのさぁ♥優里が私の気持ちをずっと知らないふりするからこうなってるんだよ♥私はずっと君の事が好きだったのに♥なのに、友達に戻ろうって♥私は君と幸せな家庭を築く覚悟なんだけど♥そもそも、君のことが好きで好きでたまらない女の子にそんなこと言うかなぁ♥」

 まるで僕を責め立てるかのように、彼女は腰を激しく動かし始めた。そのたびに、僕はたまらなく射精欲を煽られる。私の中に射精しろと言わんばかりに、彼女の体内が僕の肉棒を責め立てる。今までのくすぐったい甘い快感を遥かに超える強烈な快感だった。こんな風に女性に犯されていて、それが大切な幼馴染で親友。だけど気持ちよくて仕方がなくて今すぐにでも射精したい。どんどんと射精間が鷹昇に連れて、僕は何も考えられなくなる。甘ったるい情けない喘ぎ声をあげることしかできない。彼女がピストン運動を強めるたびに、僕は今にも射精しそうになる。

「っ♥ん♥うっ♥」

 彼女は恍惚とした表情を浮かべていた。彼女がこんな表情を浮かべているところを見たことがなかった。僕と一緒に出演した演劇が大成功を収めた時も、東京の事務所にスカウトされたときも、こんなに満たされた表情をしたことはなかった。念願の夢がかなった達成感、ずっと好きだった男を支配する興奮、獣のような激しい性交による肉体的な快感、そういったすべてを彼女が包んでいた。

「優里♥優里♥かわいいよ。もっと情けない声で喘いで♥もっと、かわいいお顔を見せて♥」

彼女は、僕の一部を受け入れたまま、僕の顎を指先で挙げた。彼女の顔はやっぱり美しかった。こんな美人に迫られている自分は世界一幸せなんじゃないかと思ってしまうほどに。実際彼女はSNSのフォロワー2億を超えるほどの世界的な人物である。僕も彼女のことは好ましく思っている。じゃあ、断る理由なんてないんじゃないか。だんだん思考がまとまらなくなってきた。

「優里♥私が幸せにしてあげる♥絶対にお金の心配はさせない♥優里が今まで経験したこともない贅沢で豪奢な生活を提供できるよ♥君が求めるなら、今みたいに私が何回だって相手をしてあげる♥子供が欲しいんだったら何人だって産んであげる♥君と私の子供はかわいいだろうなぁ♥」

 僕の体中の血液が全身をめぐって、一点に集まる。じんわりとした耐えがたいような快感がそこに広がって、まるで体中が性器になったかのような感覚に襲われる、とにかくただ必死な快楽の感触があって、精神と体が混ざり合って一つになる。そして、僕の体から精があふれる。それは彼女の体の奥の奥へと必ず到達したはず。人生で一番気持ちよくて濃くて最悪な射精だった。罪悪感とじんわりとした快感の中で、僕の意識はだんだんと遠のいていった。



 ゆっくりと重たい瞼を上げる。窓から、明るい朝の陽ざしが差し込んでくる。隣には彼がぐっすりと眠っていた。これからが本番というときに彼は気を失ってしまった。私としては全く以て、欲求不満だったし、もっと彼と愛を育みたかった。でも、わざわざ、彼を起こしてまで、もう一回をする気にはなれなかった。性的に襲った人間が何を言っているのか、という話になってしまうけれど、彼の寝顔があまりにも綺麗だったから仕方がない。本当にかわいらしい、天使のような顔。自分は女の子みたいな顔だから全くもてないなんて言ってたけど、とんでもない。彼は小学生のころから女の子に大人気だった。それは、愛らしい容姿のせいもあるけれど、彼の内面的な魅力がその原因だった。どんな人にも分け隔てなく優しい、本当に天使みたいな男の子で、それでいてどこか抜けている。守ってあげたくなるようなところがある。母性をくすぐるといったらいいのだろうか、彼にはそういう不思議な魅力があった。

 実際、中学や高校では、彼のことを好きと公言する女は掃いて捨てるほどいた。分かりやすく人気があるわけではないが、内心では多くの女が彼のことが好きだった。でも、彼には一度だって恋人ができたことがない。私がすべて阻止していたからだ。彼に近付こうとする女は、ありとあらゆる手段を使って諦めさせた。私が彼を愛していることを匂わせれば、ほとんどの女は諦めた。私には勝ち目がないと思っているからだ。それでも、諦めない女がいれば、私のことを好きになるように強引に仕向けた。私にとっては容易いことだった。ちょっと相手を見つめてにこっと笑えば誰でも私を好きになる。それは男だろうが女だろうが、関係なかった。かくして私は人知れず彼の純潔を守り続けた。

 でも、私と彼が付き合うことも終ぞなかった。彼にとっては、私は仲の良い親友あるいは幼馴染以外の何物でもなかったのだろう。私が積極的にアプローチをしても、彼に対してはほとんど効果がなかった。そうこうしているうちに私は東京の事務所にスカウトされた。正直、彼から離れるのは苦痛だった。彼がいない生活なんて考えられない。彼だけが、私を私として見てくれる人だった。ほかの人は、美術品や神様、あるいは性欲の対象として私を見てくるのだった。彼だけが私の内面を理解してくれていた。そんな彼と離れるなんて考えたくもなかった。でも、このままだと、私は彼の幼馴染で親友、それで終わりだ。もしも、世界でも有数のスーパーモデルになれば、少しでも私のことを女性としてみてくれるかもしれない。そういう意図があって私はモデルになった。

 世界一のモデルになることは私にとって容易いことだった。普通にやっているだけで、自然と私は頂点に立っていた。名声はいくらでもある。お金も掃いて捨てるほどある。だけど、彼の気持ちだけは手に入れられなかった。彼がいない生活は味のしないガムみたいに無味乾燥とした生きがいのないものだった。ひょっとすると、彼は地元でくだらない女と付き合っているのかもしれない。そういうことを考えているうちに、私は彼に会いたいという思いだけが募っていた。だから、私は成人式のこの日、彼に会いに来た。少しは、彼も私を女性として意識してくれるかと思ったけど、彼は昔と何も変わっていなかった。本当に優しい。変わってしまった私を嫌な顔一つしないで受け入れてくれる彼を見て、私はもう堪らなくなってしまった。そして彼を襲ったのだった。

 彼は目を覚ます気配がなかった。確か今日は大学の劇の本番だから起こした方がよいのだろうか。でも、この状態で起こすのはなんだか気恥ずかしい。私は布団から身を起こした。当然全裸だったので、ベッドから降りて、着替えを探した。カバンから替えの下着と、服を一つ一つ身に着けていった。今日は彼の演劇を見に行く予定だ。だから、あまり目立たないように、大学生にありがちな服装にしてある。薄いクリーム色のトップスに、淡い色のスカート。服装だけで見れば目立つことはないだろう。私は、彼の肩をそっとたたいた。彼は小さくうめき声をあげ、寝返りを一つ打った後、目を覚ました。最初は寝ぼけていたけれど、自分が全裸であることに気づき、昨日何があったかを思い出したようだった。彼は慌てて布団をかぶった。それがなんとも初々しい動きで可愛らしかった。私は笑ってしまった。昨日は散々お互いに裸を見せ合ったのに、今更恥ずかしがることなどないと思う。彼は着替えるから、移動してほしいと言ってきた。執拗に肌を隠そうとする彼がなんだかおかしく思えたけど、私は了承した。私はお風呂のほうまで行って待つことにした。

 耳を澄ますと、布がすれる音が聞こえてくる。きっと彼が着替えているのだろう。彼の着替えはやけに長かった。おそらく、昨日私が体中にキスマークを付けたので、それがうまく隠れる服を探しているのだと思う。彼は何度も脱いだり、着たりを繰り返していた。
私を呼ぶ声が聞こえた。私がもとの部屋に戻ると、彼は畏まった顔で椅子に座っていた。彼が着席を促してきたので私もその通りにした。彼は神妙な顔でゆっくりと、申し訳なさそうに口を開いた。

「昨日はごめんなさい。雫ちゃんの体を不用意に傷つけてしまった。本当にすまないと思っている。だから、その、責任を取らせてほしい。」

彼は本当に優しい。付き合ってもいないのに、私から彼を襲い、性的に辱めた。後半はほぼ和姦だったけど、私が迫った形だったことは変わらない。彼が私を訴えても文句は言えない。それなのに、彼はそれを一切責めないどころか、私のことを心配してくれている。本当に底抜けに優しい。

「それは私の台詞さ。私が責任を取るべきなのに、君にこんなことを言わせてしまった。優里が嫌じゃなければ、私に責任を取らせてほしい。絶対に幸せにする」

彼は目を丸くしていた。おそらく、彼にとっては結婚というものは男性が責任をとるものなのだろう。だから、彼にとっては、女の私が責任を取るというのは、彼の価値観にそぐわないものなのだろう。なんだかあまりにも驚いている彼がおかしくて私は笑ってしまった。彼もそれにつられて笑った。私たちはそのまま二人で笑いあった。二十年間遠回りをしていたけれど、やっと二人の人生が重なった瞬間だった。

 彼の大学を訪れるのは初めてだった。時間でいうと六限が終わったころだろうか。想像していたよりもずっと人が多い。大学構内の道を、人がひっきりなしに移動してる。私はその中に紛れて移動する。できるだけ大学生が着るような服を着てきたけれど、やはり、目立ってしまっている。正直目立つこと自体は慣れているからどうでもいい。けれども、騒ぎになって彼が所属するサークルの演劇が上演できなくなるのは困る。極力人目のある場所を避けて移動した。目的地は大学の講堂である。この講堂で、演劇が行われる。彼曰く、オリジナルの脚本だから、飽きることはないとのことだった。彼は主演である。当然だ。彼は中高のころから花があったし、演技も上手だ。正直、私は彼を見に行くようなものなのだが、真摯に打ち込む彼に対しては真摯に向き合う必要がある。演劇自体を楽しむ気持ちを忘れないようにしたい。

 そんなことを考えていると、講堂前に到着した。もう開園時間が近づいていた。昨日の夜にあんなことをしたために、起きる時間が遅くなったのである。私はゆっくりと講堂の扉に近付く。扉の前には簡素な机が用意してあった。席には若い女性が座っていた。おそらく彼のサークルの一年生だろう。どうやら、ここでチケットを回収するらしい。彼から事前に受け取っていたので、私はそれを渡した。彼女は私に軽く会釈をして、扉を開けた。中はもう真っ暗だった。ギギと扉が開くと、一斉に視線がこちらを向いた。暗くて助かった。おそらく、ぼんやりとしか私のことが見えなかったはずだ。彼の公演直前に、騒ぎを起こしてしまうのは私の本意ではない。私はそっと息をついて、開いている席に着いた。

 私が席に着いてから数分経つと、ステージがパッと明るくなった。公園が始まった。セットから察するに舞台は中世のヨーロッパのようだった。なるほど、よくできている。紙で作った張りぼてには見えないように質感が工夫されている。そして、淡い色の、いかにも水ぼらしい服を着た少女が現れた。彼だった。彼は昔から女性の役をやることが多かった。なぜなら、彼よりも可愛らしく、愛らしい女性が存在しない場合が多いからであった。身長や体格的にも女性役をやっても問題ない。よく私が、王子役を演じて彼の相手をしたものである。彼をゆっくりと目で追っていると、舞台の上方から、いかにも気品高い、王子というような男性が現れた。おそらく演じているのは女性だろう。なるほど、この演目は身分の低い少女と、身分の高い男性との恋愛を描いたものなのだろう。王道中の王道と言えるだろう。

 劇はその後も順調に進行していった。どの役者も演技に拙さはない。みな大学生とは思えない程卓越している。美術や演出だって良く凝られている。脚本自体も、感情のコントロールをよく考えた素晴らしいものだった。でも、私はあまり楽しめなかった。なぜなら、彼がほかの女を抱きしめたり、キスをすることに我慢がならなかったからだ。もちろん、演技であることは頭ではわかっている。それでも、彼の一挙一動が私以外の女に捧げられていると思うと虫唾が走った。彼のはじけるばかりの愛らしい笑顔が、どこの馬の骨とも知らない女に向けられていることが耐えがたい。彼は演技でやっているのだろうが、女の方が演技かどうかは疑わしかった。時折、獣のような眼光を彼に向けることがあったし、明らかに彼との接触を心から喜んでいるそぶりだった。どう見てもあれは演技ではない。彼を狙っている卑しい女の眼光だった。一度そう思ってしまうと、まったく芝居を楽しめなかった。この芝居に一生懸命取り組んでいる彼に対して心から申し訳なかった。

 私が、自分への嫌悪感とほかの女への醜い怒りを感じているうちに、演目が終わると、私はすぐに席を立った。ずっと彼を見ていたのに、早く彼に会いたくて仕方がなかった。でも、私がいま彼に会いに行くと騒ぎになってしまう。会いたい気持ちを押し殺して、私は講堂を出た。大学の裏の目立たない場所で合流し、車で彼の家に戻る手はずになっていた。私は彼を待った。会いたい気持ちを紛らわせるために、SNSを無意味に眺めていた。約束の時間を過ぎても彼は来なかった。彼は時間にルーズな人ではない。しかも、、女性を待たせるなんてありえないという価値観を持っている。なにかあったのかもしれない。私は講堂まで戻ることにした。

 先ほど通った道を通って戻ると、講堂の前に人だかりがあった。みな風変わりな衣装を着ていた。おそらく彼が所属しているサークルの人々だった。なるほど、彼はこれに巻き込まれて帰るタイミングを見失ったのだろう。そう考えて、彼を探した。彼はすぐに見つかった。なぜなら、複数の卑しい女に囲まれていたからだった。彼と一緒に写真を撮ったり、そのいやらしい腐った目を彼に向けていた。私の耳に、彼女たちの下品な笑い声が響き渡る。彼は悪くない。彼は誰にでも優しいから、だれにでも好かれる。悪いのは彼を好きになったあの女どもである。もう我慢できなかった。私は変装用に着けていた、マスクと眼鏡をはずし、一段上の方へと歩いていく。周囲がどよめきに包まれる。我ながら、自分の知名度に驚いてしまう。でも、今回はそれを活用させてもらう。私は群衆の声を無視して、彼と雌豚どものところへ向かった。

「やぁ、ごめんね。彼、借りていいかな。私の彼氏なんだよね」

私はにっこりと笑いながら、それでいて威圧的な声を出す。彼の恋人はこの一条雫なのだ、という意図を込めて、言葉を発した。自分の美貌も名声もすべて使って彼から女どもを切り離す。女性たちは見るからに焦っていたし、取り乱していた。急に本物の一条雫が現れ、唐突にこちらを威圧してきたのである。怖くて当然だろう。彼女たちは少しずつ彼から離れていった。彼は若干戸惑いながらも、私の方へと近づいてくれた。

「迎えに来てくれたんだ!ありがとう」

彼は私に向かってにっこり笑った。この笑顔が先ほどまでほかの女に向けられていたと思うと吐き気がする。

「ごめんね。約束の相手が来ちゃった。また話そうね。さようなら!」

彼は重たい場を盛り上げようと明るい声を出して、己の離脱を告げた。私にとってはまた話そうという言葉が余計だった。私は今すぐにでもこの場を離れたかった。彼を連れて、速足で場を後にした。
 彼を車の助手席に乗せて、私が運転席に座った。彼は僕が運転すると言ってきかなかった。おそらく女性に運転させるなんてありえないという彼なりの考えなのだろう。ただ、外車なので、彼の身長だと運転が難しい、ブレーキに足を届かせるのも一苦労だから危険だよと説明した。私は彼に言葉をかけない。淡々と車を運転し続ける。目の前の光景がどんどんと後方へと飛んでいく。今まで物事がうまくいかないことなんてほとんどなかった。だからこそ、この感情を持て余していた。まさか、自分がこんなに嫉妬深いとは思わなかった。彼が他の女と話しているだけで、全身の細胞に嫌悪感が走り、その雌への激しい憎悪が燃え上がる。また、自分が誰の彼氏なのかを全く理解できていない彼に対しても若干の苛立ちを覚える。私は、明日には仕事で東京に帰らなければならない。今日の様子を見ていると全く安心できなかった。彼は蝶を引き寄せる花のように女どもを引き寄せる。彼の可愛らしい容姿や、優れた人格が影響しているのだろうけど、やはり許せない。全く気が気でない。やはり、彼に対して強いマーキング、自分が誰と付き合っているのかをはっきりわからせる必要がある。

 私はそんなことを考えながら車を走らせる。彼は何も言わなかった。少し気まずそうに、足を動かしている。私の方を見て、何か言おうとしたけれど、口を噤んだ。おそらく彼が言いたかったことはこうだ。「家に向かう道ではない。反対方向である。いったいどこへ向かっているのか、その通りだ。私は、彼の家には向かってはいない。そろそろ目的地が見えてくるはずだ。私は右の車窓からそれを確認して車を泊める。目の前には、ほとんど城と言っても差し支えない程の構造物、いわゆるホテルだ。ただし、最上級の。私は車の扉を開ける。私が地面に右足を下ろすと、彼が困惑の表情を浮かべている。まだ助手席にいる。降りる気がないということだろうか。それなら、それでよい。私は、もう一度車に乗った。そして、彼の胸元と膝のあたりに手をかけて、持ち上げる。いわゆる、お姫様抱っこというものだ。彼は恥ずかしそうに激しく抵抗している。やめて、恥ずかしいなどと言っている。そんなことを言われたらさらに、続けたくなる。私はそのまま車から降りる。車から降りると、多くの従業員が出迎えてくれた。まぁ、それなりの金額のホテルはとったしこれくらいは当然だろう。

「お待ちしておりました。お荷物をお持ちいたします。何かございますか」

お姫様抱っこで対応する私に対して、まったく動揺しない。やはりその道のプロはすごいなと思う。

「いや。ないね。あ、そうだ。できるだけ質の高いゴムをあるだけ用意してくれる?」

畏まりました。と言って、従業員たちは去っていた。
私はそのままゆっくりと、ホテルの入口へと向かっていく。夜の光が町全体を照らしている。門のような自動ドアをくぐると、エントランスだった。私はこのホテルのエントランスが好きだ。紅い色のカーペットやシャンデリアなど高級感のある調度が施されていながらも、嫌味じゃない。落ち着いた雰囲気がある。

「ねぇ。おろしてよ。恥ずかしいよ。」

彼が顔を真っ赤にして抗議する。本当に嫌なんだろうなと思う。彼は田舎で育った影響からか、男性が女性をエスコートするべき、という強い価値観を持っている。だから、昨日、私が彼を襲ったこと、今日私が車を運転したことなどは、きっと彼の中では屈辱として刻まれているはず。先ずは、彼のこういう価値観を徹底的にへし折る。くだらない価値観は捨ててもらって、私に思う存分甘えてもらう。

「前もこういう事してたよね。私が王子で、君が姫。珍しいことじゃない」
「あれは、お芝居の中の話じゃん。ねぇ、やめて」

彼はもう恥を通り越して、瞳には涙が浮かんでいた。少し可哀そうだけど、やっぱりここで彼の価値観を徹底的に折る必要がある。私は慣れた手つきでチェックインを済ませると、エレベーターまでエスコートした。

「ねぇ、僕も払うよ。悪いよ」
「ふぅん。払ってくれるの?本当に払える。君がこれから先何年働いても返せないと思うけど」

私はブラックカードを、わざとらしくちらつかせる。そうすると、彼は黙り込む。彼の尊厳はもうボロボロだ。今までの彼の価値観からしたら、女性に車で送迎され、ホテル代も払われ、さらにお姫様抱っこされるなんて屈辱以外のなにものでもない。


「さぁ、着いたよ」

最上階のスイートルームともなると、部屋も異様に広い。部屋の隅には、キングサイズのベッドが並んでいる。まるでおとぎ話のようなベッドだった。私は、そこに彼を静かに寝かせる。

「どうだい。綺麗だろう?」

窓からは、東京の街を一望できた。まばゆい光が点々としていた。まるで世界を自分が支配しているような錯覚に陥る。ここに泊まることができるような人は、社会的に大きく成功した人だろうから、あながち間違いないかもしれない。
彼は、窓の方を一瞥したけど、景色を楽しんでいる風には見えなかった。

「ねぇ、優里。私怒ってるんだ。なんでか分かる?」

まるでめんどくさい彼女みたいなセリフを言う。昔から言ってみたかったセリフである。まぁ、怒っているのは本当だけど。彼が怪訝な表情を浮かべる。彼は私の怒りの理由に本当に気づいてないみたいだった。彼女を待っている身でありながら、ほかの女と楽しく談笑することに何の抵抗もないのである。しかも、彼女を待たせているのに。もしここで、すぐに察して、フォローしてきても、ほかの女の影を感じて嫌な気もする。でも、彼はやはり鈍感すぎる。

「私はね、優里が私の彼氏なのにほかの女と楽しくお話しているのが許せなかったんだ。だってそうだろう?どこの馬の骨とも知れない女と話しているだけでも、はらわたが煮えくり返る思いがするのに、よりにもよって、私は君を待っていたんだよ。些か不義理が過ぎやしないかな」

私は、座っている彼を押し倒した。昨日よりももっと強い力で。彼は簡単に私に組み伏せられた。元々体格の違いがあるし、力だって私の方が、はるかに強い。男性が女性を強引に押し倒すのと同じように、私にはそれができる。

「だからね、これはお仕置きだよ♡彼女さんを放っておいて、別の雌とイチャイチャする彼氏さんへのね。自分が誰のものであるかっていうのをちゃんと理解してもらわないとね」

彼は震えていた。おそらく昨日の恐怖と、快楽、自分の軽率な行動への罪悪感、そして多少の期待感が入り混じったものだろう。彼のそういう表情は、私を強く刺激した。心から彼の彼女になれてよかったと思ったし、彼を犯したいと思った。よく、インターネットで、有象無象の男どもが私のことを唆られると言っていたけど、それがわかる気がした。私は彼の服に手を伸ばした。昨日と同様、彼は抵抗したけど、まったく大したことはない。彼の細い腕から伝わってくる力は

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その後の二人です。結婚後の娘もできた二人が純愛エッチしちゃう話だよ

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