WsdHarumaki 2023/04/19 19:42

継母:不審を感じる時【魔女のミナリア、洞窟へ行く】(33/50)

第七章 継母
第三話 不審を感じる時

あらすじ
 魔女のミナリアは洞窟に住む黒髪の少女レオノーアに出会う、呪いのために閉じ込められているレオノーアは、洞窟の封印の解除をミナリアに頼む、赤と青と黒の洞窟の攻略に成功する。

「それで家を出たの? 」
 クリスタルの洞窟の中で、私は洞窟の主のレオノーアとお茶を飲む。骸骨が給仕する不思議な部屋で、ゆったりとくつろぐ。

「ひどいでしょ。お母様は本当に冷たいわ」
「そうね、母親とか最低だわ…………」
 黒髪のレオノーアは長く美しい髪を触りながら顔をしかめる。母親が嫌いらしい、私の母は継母のイネスしか記憶にない。生みの母は私が小さい頃にお墓に入っていると教えられた。私はイネスの事は嫌いではない。

「まぁ、お母様もご苦労があるのは判るわ、リュカを育てないといけないし」
「あの弟が家を継ぐのね、退屈そうね」
 なぜかレオノーアは私の家族が嫌いなようだ。私は彼女の家庭の事も知りたくなる。次の洞窟の話も聞きたい。

「ねぇ、レオノーアのお母さんはどんな人? 」
「最悪よ」
 何か聞くとまずい予感だけはする。私が話題を変える前に彼女は話を始めた。

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 100年前、私は魔法の勉強していたわ。宝石を消費して魔力を上げられる理由を知りたかった。宝石の内部で呪文が反射して強さが増している。呪文が宝石の内部で反射する事で宝石の内部の結晶を破壊していた。宝石は最後に砕け散るけど反射の効率を上げてより強くすれば少ない宝石で利用できる。

 国宝の指輪を使おうとしたが指輪から魔女が出現して、私をクリスタルに閉じ込めた、そのまま誰も私を助けに来ない。

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「助けるのが難しいとか? 」
「犠牲は自分の娘だけにしたかったのよ、黒い魔女はどこかに消えてしまった」
 レオノーアが母親を憎む気持ちは判る、肉親に捨てられるとか悲しい。継母のイネスから家を追い出されて、弟のリュカから餞別を渡すと言われた記憶が蘇る。両方の眼から大粒の涙が出てくる。切なさでスンスンと泣き出す。

「また? いい加減にして」
 レオノーラは私が泣いていると横を向いてしまう。自分でも泣き虫は困るけど嫌いな性格とは思わない。泣くとすっきりとする、嫌な事をきれいさっぱりと忘れる。

「……次は白い洞窟よ、まったく偶然よね、あなたの屋敷に封印場所があるわ」
 最初は意味がわからなかった、洞窟が実家にある? レオノーラが面白そうに私を見る。私はその偶然が偶然じゃない予感がある。

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