WsdHarumaki 2023/05/05 20:11

白の洞窟:白の洞窟【魔女のミナリア、洞窟へ行く】(40/50)

第八章 白の洞窟
第五話 白の洞窟

あらすじ
 魔女のミナリアは洞窟に住む黒髪の少女レオノーアに出会う、呪いのために閉じ込められているレオノーアは、洞窟の封印の解除をミナリアに頼む、赤と青と黒の洞窟は解除に成功した。最後の洞窟はミナリアの父親の屋敷内に存在していた。

「一緒に行きましょう」
 私は弟の手を握る。暖かい手を引きながら、弟とは触れあうことが少ない事に気がつく。成長してからは手を握る事も無かった。何か幸せな感情が広がる。私がニコニコと笑っていると弟も笑っている。私はこれからの攻略に少しも不安が無い。

「この下よ」
 私以外は見えていないレオノーアが階下を指さす、地下に降りる階段の扉は閉められていた。シーフのラミラが解錠する。地下一階に降りると真っ暗だ、私は光の魔法を使い、ガラス玉に光を入れて廊下に置いていく。

「これが入り口? 」
 頑丈そうな鉄板で補強された木製の扉がある。ラミラがまた解錠して扉を開けた、瞬間だった、白いまぶしい光が廊下を照らした。

「ここが白の洞窟なの? 」
 全員がまぶしそうに腕で光を防ぐ、それはやや広い倉庫に見えるが全てが白い壁だ。異質な部屋の中央にはベッドがあり、人が上半身を起こしている。彼女は、まるで何かを考え込んでいるかのように眉間にしわを寄せていた。私達は彼女の近くまで歩いて行く。彼女は私を見るとつぶやく、か細い声は人とあまり話をしていないと感じた。

「――ミナリア? 」
「彼女は黒の魔女よ! 」
 レオノーアが叫ぶ。怒りの目で金髪の女性を見ている、長く美しい髪の若い彼女は私と同じくらいにしか見えない。

「私はセレーナ、ミナリア、あなたは騙されて封印を解いているのね?」
 私はもう混乱していた、金髪の彼女はとても美しくやさしく見える。私の名前を知っている理由も判らない。封印が人だったのは初めてで、どうすればいいの? と周囲を見回す。銃使いのオスカーが金髪のセレーナに質問する。

「封印は何のためにあるんだ? 」
「――私は、封印のダイヤを守りたい、封印の解除は危険なの……」

 封印を解除した時の影響を考えていなかった、私はレオノーアに言われるままに解除を続けた……。その時、私の腕が自然に持ち上がる、指輪をはめた左腕がセレーナに向けられた、彼女に胸元に強い魔法が放たれる。まぶしい光と共に、彼女の胸元の宝石が砕け散る。彼女が倒れると白い部屋は、普通のレンガ作りの倉庫に変わっていた。

「ミナリア、ありがとう」
 レオノーアは、嬉しそうに笑っている。その表情から暗い影を感じた。私は騙されていたの? 黒い髪のレオノーアはゆっくりと姿が薄れていく。そして私の指輪の宝石が砕け散る。私はベッドの上に居る女性を呆然と眺めていた。

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