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機動戦士ガンダムSEED FREEDOM『ラクスの想い』~闇に落ちるキラ・ヤマト~

本作品は忠実な再現を避けてますが、
若干のネタパレ要素も含まれてる為ご注意ください。



前作、
機動戦士ガンダムSEED FREEDOM『ラクスの想い』 前編
機動戦士ガンダムSEED FREEDOM『ラクスの想い』 後編
機動戦士ガンダムSEED FREEDOM『ラクスの想い』~合同作戦~
も併せて読んで頂けたら幸いです。






機動戦士ガンダムSEED FREEDOM『ラクスの想い』~闇に落ちるキラ・ヤマト~



※今回は非エロです。












ラクス・クラインは、静かな緊張感が漂う廊下を歩いていた。彼女の隣にはオルフェ・ラム・タオが控えめな距離を保ちながら歩いている。その歩みは無言で、ただ互いの存在を感じ取りながら、戦略情報室へと向かっていた。ラクスの服装は、彼女の優美さを際立たせるが、その布地を握りしめる指先には、不安が滲み出ていた。


扉がゆっくりと開かれると、戦略情報室の中に集う各司令官たちの緊張感が一気にラクスを包み込んだ。彼らは厳しい表情で、モニターに映し出される地球の戦場を見つめている。作戦が進行中であることが、その空気からも伝わってきた。ラクスはその場に身を置きながらも、心ここにあらずといった様子で、戦局の行方を見守ることしかできなかった。


ミレニアム旗艦コンパスから次々と発進していく機体が画面に映し出される。その中には、キラ・ヤマトのフリーダムガンダムと、シン・アスカのジャスティスガンダムも含まれていた。地球上空に発進されていく機体が戦場へと向かう様子を、ラクスは目を離さずに見つめていた。


「キラ…」彼女は小さく呟き、心の中で祈るように手を組み合わせた。その瞬間、彼女の脳裏には出撃前に交わしたキラとの会話が鮮明に蘇ってきた。


あの時、ラクスはキラの前に立ち、彼の瞳を見上げていた。キラは彼女を優しく見つめ、まるで彼女の不安を包み込むかのように微笑んでいた。その笑顔は、彼の心の中に深く刻まれたラクスへの愛情を映し出していた。


「お戻りになったら…お話しましょう…キラ…」ラクスの声はかすかに震えていたが、その言葉には真剣な想いが込められていた。


キラはその言葉に応えるように、彼女の手を優しく握り返す。「うん…僕も…ラクスとちゃんと話がしたいから…必ず…」


彼の声は穏やかで、彼女への深い愛情が感じられた。しかし、その穏やかな表情の奥には、彼自身も気づいていない不安が隠されていた。ラクスとオルフェの親密な関係に対する疑念が、彼の心を蝕んでいた。恋人としての嫉妬心、そしてラクスに対して怒りをぶつけてしまった自分への後悔が、キラの心の奥深くで渦巻いていた。


一方でラクスもまた、心の中で葛藤していた。本来、愛すべき人はキラただ一人であることを彼女は理解していた。しかし、些細なすれ違いや、心の揺れによって、オルフェと体を重ねてしまったことへの罪悪感が、彼女の心を重く押しつぶしていた。


オルフェとの関係は、一時の逃避に過ぎなかったのかもしれない。だが、その行為がもたらした心の傷は深く、ラクスは自分自身を許すことができなかった。キラへの愛は確かに存在するのに、その愛を裏切ってしまったという事実が、彼女の心を蝕んでいた。


ラクスとキラは、お互いを一番に理解し、愛しているはずだった。しかし、彼らが近すぎるがゆえに、いつの間にか誤解が生まれ、すれ違いが生じてしまった。ラクスは、そのことに強い罪悪感を覚えながらも、どうすることもできずにいた。


ラクスは、フリーダムガンダムが地球の空へと飛び立つ様子を見つめながら、ただ祈ることしかできなかった。キラが無事に帰還すること、それだけを彼女は心から願っていた。


その時、オルフェが彼女の隣に立ち、静かに声をかけてきた。「大丈夫ですか…姫?」


彼の声は柔らかく、どこか甘い響きを帯びていた。その声がラクスの耳に届いた瞬間、彼女の心は一瞬揺れ動いた。オルフェの問いかけに、ラクスは困惑した表情で「……はい……」と返事をしたが、彼の視線を避けるように目をそらした。


オルフェはラクスの戸惑いを感じ取り、彼女の手にそっと自分の手を重ねた。


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