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小説の記事 (15)

4話<挿絵付き小説>一年後、オタクのオレ♂は爆乳(ビッチ)ギャル♀になっている

♯4
―――――――――
曲輪(くるわ)タクオミ。
成績は中の下、運動も得意ではなく、容姿も普通。
大人しい性格で、目立たないタイプの生徒だ。
しかし今や、良くも悪くも校内で彼のことが話題にされない日はない。
健全で退屈な男子高校生たちにとって、目の前に降って湧いた「ネタ」を無視できるはずもなかった。
女の子になってしまう、という荒唐無稽な話を信じる信じないにかかわらず、
彼の行動や変化は逐一、話題に上り共有されることとなった。もちろん、本人に気づかれないように。
マラソンの授業中、集団の中ほどに位置するF組のふたりが、後方で走っているタクオミにちらと視線を向けた。

「なぁ、さっき着替えてる時さ、曲輪の…見た?」
「やっぱりお前も気づいたか。というかみんな気づいてたと思うけど」
「俺の見間違いじゃなかったか。膨らんでた…よな?ちょっとだけど」
「あぁ マジだったんだな、アレ。ビビったわ。」


彼の症状が説明されてからそれなりの日数が経ったが、
実際のところ、女の子になる病気なんて真面目に信じている生徒はほとんどいなかった。
単に話の「ネタ」として扱われる程度で、女子として認識されていたわけではない。だから、タクオミの身体の変化に気づいたクラスには大きな動揺がはしっていたのだ。
現にこのふたり以外のクラスメイトも、時折タクオミに視線を向け、それぞれ彼を話題にしているようだった。
当の本人は何かに気をとられているのか、その様子にまったく気づいていないが、
それでも彼らは声をひそめて話をつづけた。

「すげぇよな。アイツ、本当に女の子になるんじゃね?」
「実際に見ちまったら信じるしかねぇよなぁ」
「俺今のうちに仲良くしとこ。もしかしたらワンチャン有るかもしれないし」
「おい、お前さすがにそれは…」

そんな風によそ見をしながらべちゃくちゃと話しながら走る生徒たちを見て、
体育教師にして担任ミヤコーの怒号が飛んだ。
ふたりは慌てて口を閉じ、正面を見て走り出す。そんな時だった。
後方集団がにわかに騒がしくなったのだ。何事かと目を向けると、
件の人物、曲輪タクオミがコースを外れて歩き出しており、
そして数歩もいかない内に突然倒れた。
騒然とする中、ミヤコーがタクオミに駆け寄り、他の生徒たちもコースを外れて集まってきていた。
先ほどまで話をしていたふたりも、当然その輪に加わり、そしてミヤコーにタクオミを保健室に連れて行くように頼まれたのだった。
彼が授業中意識を失い倒れたのは、これで二度目となる。
完全に気を失ってはいるが前回と違い呼吸もしていたし、顔色も悪くない。
おそらく大事はないだろうということで、とりあえず保健室で休ませることになったのだ。
ミヤコーは両親へ連絡のため職員室に戻り、ふたりはタクオミを担いで保健室へ。
残りの生徒たちはマラソンを続けることになったが、もはや誰も真面目に走る生徒はいなかった。

「げっ、保健のセンセーいねーじゃん。いっつもいないよなあのオバちゃん」
「とりあえず、寝かすしかねーだろ。もっとちゃんと持てよ。」
「持ってるだろ」
完全に気を失った人間を運ぶのは思った以上に重労働で、マラソンの方が楽だったのではないかと思うくらいだった。
ようやく保健室のベッドにタクオミの身体を横たえると、ふたりは大きく息を吐いた。

「どーする?センセー呼びに行く?」
「そーすっか。どーせ中庭でタバコ吸ってんだろうし」
「……」
「……」
そう決定したにも関わらず、ふたりは動き出すこともなく沈黙したまま視線を落としている。
その先には静かに眠るタクオミの姿があった。ベッドの上の彼の体はわずかに汗ばみ、静かに呼吸を繰り返している。
そしてその胸部にしっかりと存在を主張する突起。そこにふたりの視線はくぎ付けになっていた。

「つかミヤコーがそのうち来るっしょ。それまで待ってようぜ」
「…そうだな」
それだけ言うと再びふたりは沈黙する。ベッドの側から動こうともせず、タクオミを見つめたまま。
ほんの一分ほどそうしていただろうか。ひとりが、声をひそめて尋ねた。

「………あのさ」
「なに」
「なんかさ……いい匂いしたよな」
「…………あぁ」

保健室特有の消毒液の匂いに混ざるのは、汗の匂いばかりではない。
男子校に似つかわしくない、女の子の匂い。
先ほどまではもっと間近で香っていた、甘い香り。

「それに、柔らかかった」
「…………あぁ」
タクオミの体は細く骨ばってはいたが、運んでいる最中ずっとふたりの肩や腕に触れていた、いや押し当てられていた突起の感触は、小さいながらも女性特有の柔らかさを有していた。
そんな体に密着してここまで運んできたのだ。健全な男子高校生であるふたりの体にも、当然の変化が起きていた。

「やべ、俺なんか勃ってきたかも」
「サイアクかよ(オレもだけど)」

冗談めかしながらも、ふたりの股間が大きく張りつめているのは明らかだった。
頭ではそれがまだ男のモノだとわかっていても、目の前に触れるおっぱいがあれば、
触ってみたくなってしまうのが男というものなのだ。まして健全な男子高校生であれば尚更である。
ふたりはゴクリとつばを飲み込むと、どちらともなくそのふくらみに手を伸ばした。
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3話<挿絵付き小説>一年後、オタクのオレ♂は爆乳(ビッチ)ギャル♀になっている

♯3 
五月も後半に差し掛かったある朝。目が覚めて、大きく伸びをしながらなんとなく発した声は、聞き覚えの無いものだった。 
「あ゛……んん゛…?」
顔をしかめながら何度か声を出してみるが、ガラガラとかすれてうまく出せない。今度は風邪か?と思ったが、
特に熱などもなく、体の調子はむしろいい。それに声はかすれているものの、喉が痛いということもない。これには、覚えがある。
…声変わりだ。
オレは首を少し上に傾け、自分の喉をさわる。
指先には喉ぼとけの形がきちんと感じられたが、これがあったのはいつからだっただろうか。
二度目の声変わり。昔の自分の声なんてもう覚えていないけど、中学の時の声に戻るのか?それとも、また違う声に変わってしまうんだろうか。

オレは洗面台で顔を洗い、鏡をのぞきこむ。
自分の顔に自信があるわけでもないので、オレはあまり鏡を見る習慣がない。
だからもしかしたら、他にも自分で気づかないうちに変化は起きているのかもしれない。
鏡に映っているのは、見慣れたさえないオタク顔だ。
運動も得意ではないため、体はやせ型。身長は中学であまり伸びなかったためクラスで前から3番目くらいかな。
高校で伸びることを期待していたんだけど…。まだ伸びる…よな?
なんとなく裾をめくって、自分の手足をマジマジと見つめた。
体毛が薄くなってる…ような気もするな。まぁ元々濃いほうではなかったし、薄くなって困るってこともないんだけど。
いかんいかん。なんか神経質になっているのかも。まだ一か月も経ってないんだ。そんなすぐに変わるわけない。
今までと何も変わっていない。変わっていないはずだ。
声のことだって、オレが勝手に声変わりだと思っただけで、本当は喉の調子が悪いだけかもしれないし。
もう一回、冷たい水で顔を洗い流し、ついでに念入りにうがいをしておく。
声の調子は戻らなかった。

6階建て賃貸マンション3階に我が家はある。間取りは2LDKで、個室はオレと弟が占有し、両親はリビングで寝ている。
昨年までは4つ下の弟と同室だったが、高校進学を機に父親が使っていた部屋を譲ってもらったのだ。
おかげで深夜アニメを気兼ねなく見れるようになったし、ヒトリアソビも捗るぜ。
…ん?そういや入院以降、一回もしてないような…?あれ?何日してないんだっけ?
一回夢精したきりで、それから………。
うん…色々あったしな。そういうこともあるだろう。今日帰ったら久しぶりにお気に入りのエロ画像(二次元)で励むとするか。
リビングに行き、声の調子の事を母親に報告し、寝ぐせ全開で起きてきた弟と一緒にニュース番組を見ながら朝食をとる。
父親は朝早く仕事に出かけるため、この時間は大抵いつもこんな感じだ。いつもと何も変わりはしない。
自室に戻り、パジャマを脱ぎすて、なるべく、自分の身体に目を向けないようにそそくさと着替えていつも通り登校した。
学校では声のことはすぐバレたが、単にかすれてるだけなので特に気にされなかった。オレは一体何を気にしていたんだろうか。
ホッとしたのもつかの間、問題はその後に起きたんだ。

(まずい、まずいぞ、これは……)
2限目、体育の授業中。マラソンとかいう苦行とは関係なく、オレの背中は冷や汗でびっしょりと濡れていただろう。
グラウンドを走っていると、胸に違和感を感じた。妙に擦れて痛いのだ。
はじめはわずかな違和感だったが、だんだんとはっきりと痛みを感じるようになり、
次第にガマンできる限界を超えつつあった。
さすがにおかしいと思い襟を引っ張って覗き込むと、Tシャツの上からでもわかるくらい、くっきりと乳首の形が浮かんでいる。
ただ寒さで乳首がたってしまうときとは違う。
上にジャージを羽織っているためそれほど目立っていないが、
山なりに服をもちあげるその形は、明らかにおっぱいの膨らみを主張していた。

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2話<挿絵付き小説>一年後、オタクのオレ♂は爆乳(ビッチ)ギャル♀になっている

♯2 
学校に行くと、思った以上に騒ぎになっていた。
オレの症状は倒れたその日には学校に通達されたらしく、人の口に戸は立てられぬということか、次の日には学校中の知るところとなる。
さらに一日経った今日、教室の外は他クラスや上級生でごった返して、騒然としていた。
誰もが件の「女の子」を一目見ようと詰め掛けていたのだ。
しかし、噂だけで誰がそうなのかは特定できていないようで、
オレが群衆をかき分けて教室に入った時も特にリアクションもなかった。見た目はなんも変わってないし当然か。
席に着くなりクラスメイトの数人から噂の広まりを聞かされたオレは、ひやりと背中を伝うものを感じた。
幸い、みんなオレが噂の人物だということは黙ってくれているらしく、
今は直接的な騒ぎにはなっていない。しかし、時間の問題だろう。オレはそれとなく周囲を見回す。
普段通りを装ってはいるが、やはり、クラスメイトの視線はオレに集まっていた。
なんとなく、中学の時ギャルグループから向けられていた視線を思い出し、肝が冷える。もし外部にバレたら、これからずっと、学園中からこの好奇の視線を向けられるのか。
予鈴が鳴り、体育会系の担任教諭ががなり立てたおかげで、とりあえず朝の騒ぎは収まった。ホームルームがはじまると、担任は言いよどみながらも、今一度クラスにオレの症状を告げた。半信半疑だった生徒もいたらしく、どよめきが起こる。
まぁ仕方ない。オレだってそうだったしな。
徐々に女の子になってしまう症状だということ、一定の時間がかかるということ。
時折気を失ってしまうことがあること、など、昨日病院で聞いたことの繰り返しだ。
何か伝えておくことはあるかと聞かれたが、そんなもんあるわけない。
が、クラスの視線が痛かったので、オレはなるべく空気が重くならないように、軽い調子で「ご迷惑かけます」と会釈し、その後通例どうりの連絡事項などが伝えられ、解散となった。
クラスメイトの大半は、相変わらずオレを遠巻きにチラチラ見ていたが、
一部は色々と気をつかってくれて、声をかけてくれた。
けれど、オレとしてはどうしたものか、苦笑いで答えるほかなかった。

授業がはじまっても、居心地の悪さは変わらなかった。
教師たちには当然オレのことは伝わっているらしく、座席表でこちらを確認しているのがわかる。
やはり、教師といえど物珍しさは捨てられないのだろう。
オレはなるべく視線を合わせないように、授業中はずっとうつむいていた。
授業の合間の休憩時間には、また人がごった返し、トイレに行くのもままならない。
中にはオレが件の「女の子」であることを指摘する声もあり、オレは机に突っ伏して
努めて聞こえないふりをした。

昼休み、ため息をつきながら教室で弁当を食べていると、担任に呼び出された。
両親もすぐに来るらしく、今後のことについて話すのだそうだ。
今後のこと、とは何か。すなわち、転校するかどうかである。
磐屋堂(いわやどう)男子高等学園は、その名の通り男子校だ。
オレは今、身体上も戸籍上も男だが、体が変化し終わったら、性別を変更することになるそうだ。改名も可能らしい。
当然、男子校に通うことはできない。そのため、共学への転校を希望するかどうか決めなくてはならなかった。
しかし漸転換型TS症はその名のとおり、少しずつ身体が変化していくというのがクセモノで、どのタイミングで女となったとするか判断が難しい。変化にかかる期間も人によりまちまちで、その間は当然男の扱いとなる。学校側もこんな事態ははじめてのことなので、転校問題をどうするか、とりあえずオレに判断がゆだねられたのだった。
ちなみに女子校に入ることはできないらしい。不公平な感じがするな。

生徒指導室は教室棟とは離れており、静かだった。話し合いは思ったより長引き、もう午後の授業がはじまっている。
自分で決めろと言われてもね。時間だけが無為に過ぎていった。
結局、一年近くの猶予があるわけで、今すぐに決めなくてもいいだろうということになった。
その日は授業を切り上げて、両親とともに帰宅。その後、検査のため病院へ行った。
道中聞いた感じ、両親は共学への入学を勧めているようだ。
制服が可愛いとかなんとか言っていたが、オレに女子の制服を着て学校通えってか?冗談じゃない。
そもそも、オレとしては転校するつもりは元からなかった。
この時点で、自分が女の子になるとかいう与太話をまったく信じていなかったし、せっかく仲良くなりつつある、気のいいクラスメイトたちと離れるのも躊躇われた。あと遠いし。
今は色々騒がれているけど、それは共学に行ったって同じことだろう。いや、余計にひどくなるかもしれないんだ。
なに、中学の三年間女子たちの視線に耐えれたんだ。なんてことはないさ。
今日も帰ってアニメを見よう。入院していた時の分を消化していないし、推しのVliverの配信だってチェックしていない。
スマホゲーのデイリーミッションもこなさないといけないし、SNSだって巡回しなきゃ。オレは忙しいんだ。転校なんて、そんなことしている暇も考えている余裕もない。

数日が経ち、学校での騒ぎは意外にも収まりを見せていた。
最初は物見遊山で冷やかしにきていた連中も、何の変化もしていないオレを見て、
すぐに飽きてしまったようだ。クラスメイトたちも、病気のことはしばらく忘れようということになった。
いいやつらだと思う。本当に女の子になったら、パンツくらい見せてやってもいいぞ。そんなことに本当になったらな、なんて冗談も言いつつ。
というわけでオレの日常は思ったよりもあっさりと戻ってきた。………表面上は。
だけどこの時すでに変化は水面下ではじまっていたのだ。


少しずつ、確実に。

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1話<挿絵付き小説>一年後、オタクのオレ♂は爆乳(ビッチ)ギャル♀になっている

♯1 
オタクに優しいギャルはいない。
中学の時、オレたちオタグループは、クラスの女子たちに白眼視されていた。
その中心となっていたのは、いわゆるギャルグループだった。
特に表立ってイジメられたりしたワケじゃないんだけど、一体何が気に入らなかったのか、事あるごとにカゲでチクチク言われたり、根も葉もない噂を流されたりしていたのだから、たまったものじゃない。
まぁオレたちは紳士だったから、やり返したりはしなかったけどな。ビビってたわけじゃないぞ。
そういった理由もあって進学先を決める際、オレは迷わず男子校を選んだ。
オタク友達の何人かが一緒だったし、ギャルもいない。
あとは家から近いから。共学の学校は二駅も離れていて、毎朝通うのはしんどそうだったし。
オタク的にはラブコメみたいな高校生活に期待をしないでもなかったが、
そんな非現実的な夢を信じられるほど、オレ『曲輪(くるわ) タクオミ』にとって中学生活はいいものではなかったんだ。

県立 磐屋堂(いわやどう)男子高等学園。
男子校であるという以外、特に取り立てて何か言うこともない、普通の学校だ。
質実剛健というありきたりな校是をもち、
グラウンドが広く、運動部に力を入れていることが自慢らしいが、文化部志望のオレには関係ないな。
一学年のクラスは6クラスで、一クラスは30名ほど。
オレは1年F組。一階校舎の端に教室があるため、若干遠いのだが、まぁそのくらいはいいだろう。
残念ながら中学のオタ友達とはクラスが離れてしまったが、
F組の雰囲気は良く、オタ話の通じるヤツも多くて、すぐに馴染むことができた。
まだそれほど親しい友人ができたってわけじゃないけど、男子校もそう悪いものじゃない。
何とかやっていけそうだと思っていた。

一か月が過ぎた。
ここ数日なんとなく、体が不調ではあった。
といっても少し熱っぽく感じるくらいで、軽い風邪かな?というぐらいの。
ゴールデンウィークが明け、休日モードが抜けきらないままだったので、
気だるい感じはそのせいだろうか。あるいは5月病とか、そんなものだろうと特に気にも留めなかった。
今日は深夜アニメは録画にして、早めに寝ようと思っていたそんな矢先、オレは突然意識を失った。後から聞いた話だけど、授業中のことだったので、ちょっとした騒ぎになったらしい。
保健室に担ぎ込まれ、保険医の判断ですぐに救急車が呼ばれた。
意識が戻らず、一時は呼吸も止まっていたそうだ。

そしてその日の夕刻過ぎ、オレは病院のベッドで目を覚ました。
倒れた原因は端的に言うとただの貧血で、命に別状はないとのことだった。
今日一日念のため入院するだけで、明日には退院できるらしい。
詳しい説明は落ち着いてからということで、医師たちと両親は病室を出ていく。
説明やら何やらはとりあえず親に話すのだろう。
オレはひとり病室のベッドでボーっとしていた。運ばれてきた食事を終え、何もやることがなくヒマなので、ゲームでもやるかとスマホをいじっていると、
中学の時の友人やアドレスを交換したばかりのクラスメイトから何件かメッセージが来ていた。
礼と、心配いらないとメッセージを返しながら、何か熱っぽい体と、ぼんやりした頭で、深夜アニメの録画予約してたっけ、なんてことを考えていた。
オレは、オレ自身に何が起きたのか、いや、起きつつあるのか、
この時はまだ何も理解してはいなかった。

【漸転換(ぜんてんかん)型TS症】。次の日告げられたのは、そんな名前の病気だった。
正式にはもっとくどくど長ったらしい名前の病名らしいのだが、要するに、
【身体が徐々に女の子になってしまう】という謎の奇病らしい。
原因不明、治療法不明のこの症状は、近年日本のみならず、世界中で増加傾向にあるとのこと。
もちろんオレは初耳だった。
さっきまでただの貧血だと思い込んでいたオレは、事態を飲み込めず、ぼんやりと他人事のように医師の説明を聞いていた。
女の子になる、というのは文字通りの意味で、徐々に肉体が男から女へと作り変えられていってしまう。
期間については数か月からおよそ一年程度で完全に女体化するのがよくあるケース。
だけど、人によるらしく5年以上かかった人もいたとか。
身体が作り変えられていく過程で、変化への防衛反応なのか、貧血のような症状で気を失ってしまうことがよくあるのだという。
今回は呼吸が止まるようなショック症状を起こしたが、これはごく初期の症状で、通常ほとんど大事になることはないらしい。
ちなみに急転換型というのもあるらしく、その場合はもっと高熱が出てつらい状態になるとのことで、その点においてはラッキーだったかもしれない。
その他色々な説明を受けたが、真剣な両親とは対照的に、オレはほとんど右から左へ聞き流してしまっていた。
だってそうだろう。今日から君は一年かけて女の子になります、とか言われても、はぁそうスか、という感想しかでてこない。
しかも今のところ体には何らの変化も見られないのだから、悪い冗談だと思うのが当然だ。トイレに行ったときに確認したが、男の証だってちゃんとついてたしな。
結局、その後退院して帰宅してからも、オレはいつも通りに過ごした。
いつも通り飯を食って、いつも通り弟と少し話をして、いつも通り風呂に入って、いつも通りアニメを見る。
明日も学校があるし、両親がリビングで何やら相談していたのも無視して、オレはベッドにもぐりこんだ。

その晩、オレは夢を見た。はっきりとは覚えていないが、
ものすごくエロい夢だったような気がする。オレと、誰か、知らない…ギャル、そう褐色のギャルがいて、それで……。
なんでそんな夢を…オレの好みは黒髪清楚系ツインテ、しかも胸は控えめな…だというのに…。
あぁなぜオレには妹がいないんだ……。
目を覚ますと、丁度深夜をまわったあたりだった。なぜか背中は寝汗でびっしょりで、体は火照っている。
「……ん!?…この感覚はまさか…」
オレは女の子になると言われてから一日と経たないうちに、男らしく夢精するハメになった。

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0話<挿絵付き小説>一年後、オタクのオレ♂は爆乳(ビッチ)ギャル♀になっている


#0 イントロダクション
あれから、一年が経った。【オレ】は自室のスタンドミラーを見ながら
パジャマを脱ぎ捨て、手早く朝の支度を済ませていく。
全裸のまま、少しだけ伸ばしたショートの髪を丁寧に整えて、エクステをつける。
ビューラーでまつげを整え、慣れない手つきで軽く化粧をしていく。
鏡に映るのは金に染めた髪と褐色に焼けた肌の、
どこからどうみても…いわゆるギャルというやつだ。しかもただのギャルではない。
爆乳だ。爆乳ギャルなのだ。不釣り合いなほど大きなふくらみは適度な柔らかさと張りを兼ね備え、少し外側に開いたピンク色の乳首がぷっくりと膨らんで、ツンと誇らしげに上を向いている。

毎日の運動のおかげか腹部は細く引き締まっているのに、腰から下はデカい、としか言いようのない形のいい尻とむっちりしたふともも。
まるでエロ漫画から出てきたような理想的なスタイルだ。

今日は黒いレースの下着を選んだ。Tバックの食い込みをイイ感じに直し、
ブラジャーに大きすぎる胸を押し込んでいく。
「ぐ…ぬ…」
(またでかくなったかな、こりゃ)
着慣れたセーラー服に袖を通し、スカートはパンツが見えそうなくらいギリギリまでまくり上げる。
一年前のオレからは想像もつかない姿だろう。いや、ギャルなんて最も苦手としていたハズだった。
それが今ではご覧の通り。
鏡の前で一回転して、オレは満足気にうなずいた。

カバンに詰め込むのは教材…ではなく、『部活』用のアレやコレ。
バイブやローター、ローションや下着の替え、各種エロコスプレ衣装。
あとは…おっと、アブナイ。そういえばコレも補充しとかないと。
オレは机の奥から新品のコンドームを箱ごと取り出すと、カバンに放り込む。
オレの方で用意しないと、アイツら平気で膣(ナカ)に出しやがるからな。
今は妊娠もしちゃうんだから、気を付けないと。

リビングで母親から弁当を受け取って家を飛び出る。
まだ朝の早い時間で、人通りは少ない。

高二の夏。オレが向かうのは通いなれた【男子校】だ。
オレは『朝練』への期待にアソコを濡らしながら、颯爽とスカートを翻した。
胸を文字通りはずませて、オレは学校へと急ぐ。
これが、今の【オレ】なんだ。
オレは変わった。そう、一年前のあの日から……。

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