TNG 2023/11/17 23:57

キャラクターの日常06

【ある終礼後の風景】


「じゃあ、気を付けて帰れよ~」

そう言い残し、担任教師が教室を出ていく。
隣を見ると、波流香ちゃんがいそいそと
鞄に教科書を入れて帰り支度をしている。

「今日も猫探し?」
「うん!!」

私の問いかけに、手を止めずに頷く彼女。

「駄菓子屋のお婆ちゃん、すごく心配して
 いるから、早く見つけたいんだ」

全て詰め終わったらしい鞄を背負いながら、
こちらを向いて笑顔で答える。
やっぱり、波流香ちゃんは優しいなぁ。

「そうなんだ……。でも、気を付けてね?」
「え?何に?」

笑顔のまま問いかける彼女。
言われて、私は考える。
何故、こんな事を言ったのだろう?
一日中ドタバタしていた彼女の行動に不安を
覚えた?
いや、それは今日に限った事じゃない。
それに心配はいつもしている。
でも今日の、この気持ちは何か違う気がする。
何だろう?漠然とした不安というか……。

「えっと、大丈夫?」

気が付くと、彼女が私の顔を心配そうに
覗き込んでいた。
つい、考え込んでしまっていたようだ。

(ああ、やっぱり可愛いなぁ)

心配そうな波流香ちゃんの顔を見つめ、
そんな感想を抱く。

「うん、ちょっと考え込んじゃった。
 とにかく、色々な事に気を付けてね?
 危ない場所に入っちゃダメだし、
 知らない人に付いて行っちゃダメだよ?」

自分で言っていて「私はお母さんか!?」と
思ってしまう。
鬱陶しいと思われてしまっただろうか?
でも、彼女は……。

「うん、気を付けるよ!!
 心配してくれて、ありがとうね!!」

いつも、そうやって笑顔を返してくれる。
そんな彼女が、本当に大好きだ。

「じゃ、行ってくるね」

そう言って笑顔で手を振る彼女に、
また不安な気持ちが込み上げてくる。
どこか遠くへ行ってしまって、もう二度と
会えないような……。

「あ、待っ……」

私は思わず手を伸ばしたが、それに
気付かない波流香ちゃんは嬉しそうに
教室を出て行ってしまった。

残された私は再び考える。
この気持ちは、本当に何だろう?
胸が苦しいというか、嫌な気持ちが
込み上げてきて止まらないというか。

……予感?
そうだ。これは、悪い予感だ。

「コラッ、廊下を走るな!!また穂樽か!!」
「ひゃっ!!ごめんなさい~~!!」

遠くで波流香ちゃんがまた怒られている。
でも、そんないつもの事じゃなくて、
何かもっと悪い事が起きそうな、
そんな予感がするのだ。

今から追いかけて、彼女を引き止める?

「悪い予感がするから、今日は家で
 大人しくしていて」

そう伝えれば、不審に思いながらも
波流香ちゃんは従ってくれると思う。
だけど、絶対、変に思われる。
それに明日、この気持ちが治まっている
保証も無い。
今後、同じ気持ちになる度に引き止める
なんて出来ない。

そんな感じでウジウジと悩んでいたら、
いつの間にか教室には私一人だけ
取り残されていた。

(……帰ろう)

ゆっくりと深呼吸を数回繰り返して、
気持ちを落ち着かせ、帰り支度を
手早く済ませる。

ふと、隣の席が視界に入る。

「波流香ちゃん……大丈夫だよね?」

呟いてみるが、私の不安な気持ちは
消えそうになかった。


……何故だろう?
前回の内容を実践した結果、ハルをどうやって
描いていたかが分からなくなってしまいました。

「キャラクターの日常02」と並べて見ても、
完全に別人になってしまっています。
ちょっと3Dポーズ人形から見直す必要が
ありそうかも?

さて、この「キャラクターの日常」シリーズは、
ゲームが始まる直前の風景となっています。
つまり、今回の主観(コケシちゃん)が感じて
いる予感は、的中してしまう事となります。

それが杞憂で済むのか否かは、ゲームの
エンディング次第となります。

明日もまた、いつもの「日常」が続けられると
良いですね。
(心にも無い事を……)

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