五月雨時雨 2024/05/15 21:19

おねだりを垂れ流しながら男は淫らな瓦解を披露する

地下室の床に置かれた小さな三脚の上に固定されているカメラが、捕らわれた男を絶えず撮影し続けている。
左右の二の腕を胴体に繋ぎ背中側で交差した状態を維持させた手首を腰へと結わえる縄を上半身に着せられ、足首と太ももを短く括り膝の上下を遊び無く結合する縄を下半身にもたらされ、手足の自由を大きく奪われた無様な裸体を背にした壁へと幾本もの黒革製のベルトを用いて縫い付けられた何処にも逃れられぬ男を、自身に接続されたコードからの電力を受けて駆動するカメラが映像へと収め続けている。
黒いギャグボールの穴から飲み込めなくされた唾液をだらしなく垂らしている口を、映されている。衣服を奪われさらけ出された乳首も、映されている。限界まで開いた形をベルトに強要された足の間で露出させられている男根も、何もかも全てがカメラによって記録されている。
だが、今の男は無慈悲な撮影が味わわせてくる屈辱はおろか恥辱すらも意識出来ない。本来ならば理性と矜持がこれ以上無く痛め付けられても不思議ではない辱めを加えられているはずだというのに、今の男はその辱めに思考を傾けることさえ叶わない。
縄を着せた自分を壁に縛り付けカメラを用意して去った残酷な存在が最後に付け足していった甘く苦しい地獄に掻き乱されている男はもう、その地獄に耐える余裕しか残されてはいないからだ。

「おっ、おぅ、へあぁ……! あぅえへ、あえはあぁ……っ!!」

ギャグボールに塞がれた口から誇りを捨てた哀願の声を零しつつ、男が自分しかいない地下室で虚しく助けを請う。自分にしか届かない声で救いをねだっても無駄でしかないと分かっていても、救いを欲さずにはいられない。そんな○問に嬲られながら、男は身動きを完全に封じられた裸体を間抜けに痙攣させつつ慈悲を希求する。
もちろん、男の悲痛な願いに応える者はいない。大粒の涙をとめどなく溢れさせている瞳でカメラを見つめながら叫んでも、男にもたらされる物は更なる地獄のみだ。
幾ら屈服色の声音で許しを求めても、勃起した男根の幹の部分を覆い隠すように巻き付けられた黒革製の淫具は振動をとめてくれない。なりふり構わずに泣きじゃくりながら拒絶を訴えても、尻穴へとねじ込まれ空気を送り込むことで腸内から抜け落ちないようにされたプラグは残酷な震えを終わらせてはくれない。
意に染まぬ興奮から離れることも、射精に至ることも認められない。延々と続く微弱な振動によって作られた生殺しの牢獄に囚われた男はもはや、体内に蓄積する一方の出口を取り上げられた快楽を紛らわせる身悶えさえも行えなくされている汗と縄に塗れた裸体を無様に跳ね回らせながら、自分をこの状況へと置き去りにした憎き男の思惑に沿った崩壊に導かれるしか無いのだ。

「イあ、へへ……あえはぁっ! ひゃへー、ひはいぃ……! イひはいぃ……っ!!」

額の部分を壁へと押さえ付けるベルトの下で涙に濡れた目を見開き、更にその下にある口から欲望を剥き出しにした壊れかけのおねだりを唾液と共に垂れ流しながら、男は満足に振れない腰を狭い範囲で一生懸命に揺らめかせつつ自分が射精を渇望する淫欲に蝕まれ瓦解に向かう過程をカメラの前で披露させられていくのだった。

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