五月雨時雨 2024/08/04 19:53

淫らな犬は特別な奉仕を為す術無く注ぎ込まれる

黒いラバーで作られた衣装に首から下を包囲された裸体は、どんなに力を込めても手足の自由を奪われた状態から抜け出せない。衣装の機構によって窮屈に折り畳まされた形を取らされた四肢は、幾ら頑張らせても不自然な体勢を保たせる圧迫を振り払えはしない。
そんないつも通りの状況を愉しみながら、青年はいつもとは大きく違う期待と興奮を際限無く湧き上がらせ続けている。衣装の肘と膝の部分にあてがわれた柔らかなクッションに体重を預け、犬の頭部を模した黒いラバー製のマスクに存在する穴から覗いている目を至福に潤ませマスクと一体化している輪状の金属を噛まされた閉じられない口から欲情に染まった吐息を唾液と共にだらしなく溢れさせ、衣装の股間部分に用意されている穴から外部へと引っ張り出された男根の硬度を一分一秒ごとに引き上げながら、青年は尻穴を貫く偽の男根と繋がった黒く細長い犬の尻尾飾りを戯れに揺らめかせて腸内に愉悦を送り込みつつ、自分に縛めを施した存在に対する恥を捨てたおねだりの意思を一生懸命に示している。
あまりにも惨めで本能剥き出しな要求の態度を向ける青年。そんな青年を作り出した一人の男は、無意識に急かす青年をわざと無視してもたらした拘束に緩みや不備が無いかを入念に確認すると、待ちきれずに腰を振っていた無様な犬に、これから始める特別な責めに関する説明を行った。

「それでは○○様、この部屋に入った時から見えていたあれが、○○様を閉じ込める予定の檻です。今回ご案内した常連の方向けの特別コースを希望されるなら、檻に入ってください。やっぱり怖い、いつも通りが良いのであれば、あちらのマットの方にご移動ください」

おおよそ人間に対して使う物ではない小さな檻が、本物の犬に対してあてがわれるような金属製の檻が、男の手と口で改めて示される。それと同時に、拘束を加えられ抗いを禁じられた肉体に甘い苦悶を注ぎ込まれたいという爛れた願いを叶える店の中で数えきれぬくらいに目にした薄桃色の柔らかなマットの存在が、男から示される。
しかし、青年の目はもうすでに自由など皆無に等しい自分から逃走の可能性を完全に削ぎ落とす檻しか見えてはいない。望めばすぐに外して貰える縛めではなく、慈悲を請えば即座に終了して貰える悦楽ではなく、一切の選択肢を取り上げられたまま鳴き喚いても許されること無く快楽に狂わされる淫蕩な地獄があの檻の先に待っている。その事実を淫欲に埋め尽くされた思考で幸福に噛み締めた青年は、店の人間である男の説明が終わった途端に伸ばせぬ手足を迷い無く檻の方に動かし、自らの肉体を方向転換も出来ず寝転がることも認めない程度の空間しか無い狭い檻の中へと、扉の側に丸出しの男根と尻穴の異物から垂れ下がった尾をみっともなく突き出す形で進んだ。
その予想通りの展開に思わず笑みを黒く歪ませながら、男は青年の希望に従って檻の扉を施錠していく。尻肉をどんなにぶつけてもビクともしない。そんな頑丈な鍵を有する檻の扉に鎖と南京錠を用いた駄目押しの鍵を上乗せした男は、鉄格子にの間から見える男根の体積をまた膨らませている青年に見せていた丁寧な従業員としての振る舞いを捨て去り、絶対の主の立場を取った加虐と言葉を逆らえぬ淫らな犬にぶつけ始めた。

「さてと、そんじゃお望み通り常連向け特別コースの始まりだ。最初に伝えた通り、お前は今夜一晩中この地下室でイき狂わされる。必死に叫んでも誰にも声が届かないここで、檻からもその拘束服からも逃げられない身体を俺に苛め抜かれるんだ。俺にいたぶられるのが癖になって週一間隔でこんな店に来ちまう悪い子にぴったりの仕打ちだろ? どうしようも無いくらいに淫乱で、ド変態な○○君?」
「あぁ、おぁぁ……っ!」

想定していなかった罵倒の刃に心を刻まれ、愉悦を抱かされながら。荒々しい口調で自分を蔑みつつ格子に突き入れた右手で限界まで滾った男根を無遠慮に握り、尻尾飾りがひょこひょこと間抜けに跳ねるくらいに腸壁を埋め尽くす偽の男根を締め付けていた尻穴を衣装の上から左の親指で捏ねるこれまで知らなかった男の本来の姿に全身をはしたなくときめかせながら。淫猥な青年は容赦の無い絶頂地獄を助けの来ない地下で一晩掛けて叩き込まれることになると自分に宣言した男の手指に男根と尻穴を自ら擦り付け、早く弄んでください、普段より激しく嬲ってくださいという思いを知らせていくのだった。

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