五月雨時雨 2024/09/15 21:15

男は先を見据えた態度を嘲られつつ異常な苦悶を与えられる

幾ら脱出を求めてもがこうとも、それは四肢に施された拘束が肌に食い込む痛みを引き寄せつつ無意味に体力を消耗するだけ。長い試行錯誤の果てにその事実を嫌でも思い知らされた男はこれ以上無い屈辱を絶えず味わわされながら、結果が伴わない努力の際に溢れ出た汗に濡れた裸体を大人しく落ち着かせていた。
視界を閉ざす黒革の目隠しの下で悔しげに眉根を寄せ、口を塞ぐギャグボールの穴から吐息と飲み込めない唾液をだらしなく零しながら、男は背にした鉄格子に両手首と足首を接続された裸体に失った体力の回復を促す休息を行わせていた。

「んうぅ……ふ、むぶっ」

今のこの身体でどんなに手を尽くしても、状況は変えられない。口から垂れ落ち喉を伝う己の唾液の感触に不快感を募らせながら、男が冷静に分析を行う。
両手両足をすっぽりと包み指の使用を禁じる黒革製の拘束を嵌められ、それらの拘束を自力では外せないよう手首と足首に固定する黒革製のベルトを締められ、四本のベルトの金具と自身を入れた牢獄の鉄格子を後から付け足された短い鎖と南京錠で遊び無く結合された裸体を必死に頑張らせても、自分は牢獄のみならず四肢を×字に引き延ばしている拘束からも抜け出せない。自らを惨めな立場に追いやっている縛め達の情報を改めて把握しながら、この場での打破を諦めた男が逆転を信じて待ちの姿勢を取る。
一人きりの牢獄で長く放置されても、もう無駄な行動に至ったりはしない。自分を監禁した牢獄がある地下へと続く階段を下りる足音が聞こえても、ただ疲弊するだけの反抗を示しはしない。
それが最善だと考え、抗えぬ裸体を平静に保っている男。鉄格子越しに階段を下りきった存在が接近し愉悦を剥き出しにした笑いを喉奥から紡いできても、唸り一つ返さず無言を維持している男。
だが、そんな先を見据えた態度を選択する男を捕らえ間抜けな格好にさせた残酷な男は、何をされても為す術無く受け入れることしか出来ない状態となった滑稽な裸体を先程よりもかすかに音量を上げた笑いと共に嘲りつつ、気丈で聡明な男を悶絶へと導く為に用意した非道な責めを嬉々として、鉄格子で形作られた四角い枠の中で絵画のようにさらけ出されている尻穴にもたらし始めてしまった。

「むぐうぅ!? おっ、もごぉっ!?」

どんな痛みを注がれても、決して思い通りにはならない。いかなる苦痛を叩き込まれようとも、屈服には達しない。そう決意していた思考を全く想定していなかった尻穴への攻撃に突き崩された男が、困惑と驚愕に染まった悲鳴を上げる。
無論、その悲鳴を耳にしても悪趣味な男は責めを中断しない。注射器に似た形状を有する器具の細く丸みを帯びた先端を尻穴に潜り込ませた男は、心地良く無様な鳴き声と裸体の悶えを鉄格子を挟んで堪能しながら器具の底を押し、内部に注がれた液体を腸内へと勢いよく流し込んでいく。
その侵入を拒みたくても、手足を封じられた男は拒めない。尻穴に意識を集中させて液体の排出を試みても、器具に出口を阻まれている状況では恥を承知での間抜けな排出に辿り着くよりも先に液体を腸壁で吸収させられてしまう。
もはや、男に尻穴を蝕む液体の効果を躱す術は無い。あっという間に腸壁から取り込まれ一瞬でその効果を発揮し始めた液体状の薬品が作り出す地獄を遠ざける手段など存在しない。
さっきまでのように平静を維持することも不可能となる程の痒みを塗られた箇所に生成する。そんな残酷な薬品を尻穴にたっぷりと投与された哀れな男は、触れたくても触れられない腸壁を嬲り苛む気が狂うような痒さに狂わされることしか出来はしないのだ。

「むぎゅぅぅぅーっ!? ぼっ、もぁ! ごぶぉぉぉぉぉーっ!?」

生まれて初めて味わう尻穴の痒みという異常な感覚に、男が黒革の下で目を剥きつつ甲高く鳴き喚く。全ての薬品を吐き出し終えた器具を引き抜かれた尻穴を激しく開閉させ、拘束から逃れる為ではなく痒みを紛らわす為に裸体をめちゃくちゃによじらせ拘束と鉄格子に冷たい金属音を立てさせながら、男が人間とは思えない咆哮を地下に反響させる。
その目論見に沿った痴態を眺め表情を黒い笑みに染め上げながら、腸液と薬品で先端が汚れた器具を右手に持った非道な男は悶え苦しんでいる男に背を向けてほんの数分前に下りたばかりの階段へと足を運び、離れゆく自分に哀願を寄せる余裕も無くした男を助けの望めぬ地下牢獄へとまた、今度は痒みを与えた状態で置き去りにしていくのだった。

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