小説#19【第六章・カノンのすべて(1)】JKリフレ♪ハイスぺ高学歴女子のヒミ…
メイド服のカノンに癒された夜…
あの後、それはあっさりと終わった。
カノンが家に帰らなくてはいけない時間になり、
シャワーを浴びてお別れ。
「また…お会いできますよね」
そう言って彼女は帰って行った。
それからというもの、俺はカノンのことばかり考えるようになっていた。
彼女のことが頭から離れない。
彼女の声を思い出すだけで胸が高鳴る。
夜になると俺は彼女の姿を、声を思い返すようになっていた。
そしてその度に興奮してしまう。
「はぁ……」
俺は深いため息をつく。
最近ずっとこんな調子だ。
彼女のことが頭から離れない。
「また会いたいなぁ……」
ふとそんなことを呟いてしまう自分がいた。
俺って、こんなに単純だったのかな……と苦笑してしまう。
いや、違う。
きっと彼女が魅力的すぎるんだ。
こちらからのメッセージは既読がつかない。
カノンからの連絡は、また二十日ほど途絶えていた。
俺は不安な気持ちを募らせていた。
カノンの気持ちがわからない。
このまま離れていってしまうかもしれない。
そう思うと胸が締め付けられるようだった。
俺はまた、夕方の満員電車に乗っていた。
退屈な日常…でも以前とは違う。
何を見ても彼女の…カノンの面影が浮かんでしまう。
俺の中で、カノンがこんなにも大きくなってしまっていることに気づいて驚いた。
…いつも彼女のことばかり考えている。
これは……恋なのだろうか?
でも、この気持ちは恋と呼ぶには少し違う気がする。
どちらかと言えば愛情に近い気がする。
きっとそうだ。
俺は彼女に恋をしているのではない。
彼女を愛しているのだ。
そのことを自覚した瞬間、目の前が明るくなったように感じた。
「次で降りないとな……」
そんなことを考えつつ電車に揺られる時間にも慣れてきた頃だった。
携帯の通知。
絶対に見逃さないように、カノンからの連絡は、確認するまで通知のバイブレーションは止まらないように設定してあった。
カノンからのメッセージだ。
「お元気ですか」
「しばらく連絡できなくてごめんなさい」
俺はすぐに返信をする。
そして彼女からの返答がすぐに来る。
「今日はもう帰りですか?」
「時間あれば…今夜、お会いできませんか?」
そんなメッセージとともに送られてきたのは一枚の写真だった。
初めて出会った時と同じ制服姿の、カノンの自撮り写真。
これは、今撮影したものなのだろうか。
学校帰りの彼女の姿なのだろう。
恥ずかしがって、ポーズもぎこちない。
「貴方が良ければ…今夜、お伝えしたいことがあります」
カノンのメッセージはそれで途切れた。
「会いたいです」と返信して、俺は待ち合わせ場所に急いだ。
場所は…また、あのJKリフレ【ラブ・エステティック】だ。
何度も招待してもらっているけど…
今日は、きちんとお金を払いたい。
いつもカノンに甘えてばかりで、情けないと思っていたから。
俺は急いで駅を出て、カノンが待つ【ラブ・エステティック】に向かった。
相変わらずの人気店のようで、待合室は当日入店の客でいっぱい。
ビルの1フロア全てがこのお店なのだから驚く。
今夜も…彼女が予約してくれた、VIPルームに案内される。
感覚が狂ってしまうが、ここは相当の有力なお客しか入れない部屋だ。
俺にはとても縁のない場所だけど、彼女の予約で毎回、あまりにも自然に入室している自分に、いまさら驚く。
そんなことを考えているうちに、ノックの音がして扉が開いた。