羊おじさん倶楽部 2019/07/24 22:01

中古で買ってきた暴力映画を紹介させてください

シナリオ書いてる人はCi-enで好きな映画紹介していいって

聞いたので以下略。

近所のTSUTAYAが潰れるってんで中古作品放出セールやってて色々買ってきましたので紹介します

著者がにわかなので有名作品ばかり並びます。ご容赦

各画像、引用紹介文はリンク先Amazon.co.jpからの引用です。

アウトレイジ / アウトレイジ ビヨンド

関東一円を取り仕切る巨大暴力団組織・山王会組長の関内(北村総一朗)が若頭の加藤(三浦友和)に、直参である池元組の組長・池元(國村隼)のことで苦言を呈す。そして、加藤から直系ではない村瀬組を締め付けるよう命令された池元は、配下である大友組の組長・大友(ビートたけし)にその厄介な仕事を任せる。こうして、ヤクザ界の生き残りを賭けた壮絶な権力闘争が幕を開けた

言わずとしれた北野武の代表作です。ヤクザ映画って結構ありますがこれほどまでに小物で残酷でテンポがいいのはなかなかないです(たぶん)

北野武の映画はリズムとカメラの置き方がめっちゃくちゃいいんですよ。有名な話で、

「究極の映画とは、10枚の写真だけで構成される映画であり、回ってるフィルムをピタッと止めたときに、2時間の映画の中の何十万というコマの中の任意の1コマが美しいのが理想だと思う」

と、本人語ってるのですが、これってまんまエロゲのサンプルCGじゃないかと(個人の意見です)

どのシーン切り取っても画面がその映画を象徴する絵面で、無駄なシーンは台詞と展開ごときちんと削られている。このストイックさは他の映画にない独特の雰囲気の源になっていて非常に好みです

また、本人が芸人上がりのためか台詞の応酬のリズムが素晴らしい。ふざけて漫才してるのかってくらい面白いのに、言ってること怖いしやってることグロいしその後ろで椎名桔平と北野武ニコニコしてるしでめっちゃウケる。好き。銃声がゴツくて綺麗

キャラクターもいいんですよね。全員とにかく小物でひどい死に方をしてようやく釣り合いが取れる。しばらく歯医者が怖くなります。絶対これ笑わせに来てますよ。絶対に笑ってはいけないヤクザの抗争です。一番好きなのは指ラーメン


ノロイ

2004年4月、1人の怪奇実話作家が「呪い」をテーマにしたドキュメンタリーを完成させた直後、失踪した。『ノロイ』と題されたその作品は、あまりにも衝撃的な内容のために発売が見送られた・・・。そしてついに、この問題作をあなたは目撃する!

言わずとしれた白石晃士の代表作です。いわゆるドキュメンタリー風フィクションで、胡散臭さ満載のエスパー少女とか霊能力者とか出てきて「禍具魂(かぐたば)」の謎を解き明かす、というあらすじですが、これは構成がいい。

様々な要素(= イメージ)が伏線回収のように繋がっていく様子は下手な悪夢のようで、まだテレビで低クオリティな心霊番組が幅を利かせていた時代に育った世代には妙に突き刺さるものがあります。

とはいいつつ、要素間の合間は結構ご都合主義で辻褄合わせにちょっと無理してる感はあります。が、それを補って余りあるほど要素のセンスがいい。B級映画の一級品とでも呼びたい映画です

個人的にはエスパー少女が性癖に悪影響すぎる。最後の台詞もいい


輪廻

昭和45年、群馬のホテルで刃物による大量殺人事件が発生。動機は不明。犯人は謎の死を遂げた。 そして、現代。その惨劇の模様を克明に記録していた8ミリカメラが見つかる・・・。
そこに記録されていた驚愕の真実とは!? 衝撃のクライマックスがあなたを待っている!!!
『THE JUON 呪怨』で日本人監督として初めて全米興行No.1を達成した清水崇監督が“生まれ変わり"を題材に作り上げた新たな恐怖。出演は、主役の渚をテレビのイメージを一新させる優香が、謎に迫る女・弥生を女優としての成長著しい香里奈が、松村監督を日本映画界を代表する演技派、椎名桔平がそれぞれ演じている。

言ってもあまり知られてない清水崇の隠れた名作。呪怨もアイディアのバラエティが良くて確かな実力を感じましたが、作品全体の一貫性ならこちらのほうが綺麗にまとまってます。

場面の絵面が美しいんですね。THE JUON/呪怨も綺麗さだけで間をもたせてる感じがありましたが、こちらは廃ビルとか観光地の無人の民家列といった昭和日本の名残の美しさで魅せてきます。

怖さ? うん、えっと……

そういえばこの映画にも椎名桔平出てきますね。いい役です


アメリカン・ギャングスタ

ハーレムを仕切るギャングのボスに15年間仕えてきた運転手のフランクは、ボス亡き後、一匹狼として生きることを決意。ベトナム戦争の軍用機を利用して、東南アジアの良質な麻薬を直接生産者から仕入れ密輸し、安価で幅広く大衆に販売し始める。瞬く間に巨万の富を築き、マフィアからも一目置かれる麻薬王の座に上り詰める。派手な行動を慎むことで、その正体は長い間、誰にも気づかれる事はなかったが、ついに、疑惑の目を向ける刑事のリッチー・ロバーツが現れる。公然と横領や恐喝がなされる腐敗がはびこる警察内で、汚職に手を染めることを拒み続けた彼は、特別麻薬取締局に配属され麻薬ルートの解明とそれ以上の巨漢に立ち向かい、フランクを徐々に追い詰めていく・・・。

個人的に今まで見た中で一番好きな映画です。ようやくの麻薬! 麻薬映画ですよ!

それはさておき、デンゼル・ワシントン演じるフランクの演技が素晴らしい。麻薬を売るためにスマートなやり方を自分の足で開拓し、成功すれば田舎の家族を呼び寄せて豪邸に住まわせて綺麗な奥さんもらってと、ぱっと見はアメリカンドリームの体現者なんです。だけどその一方で確かに麻薬で死んでる人たちがいて、しかし黒人で地位も低かった彼には麻薬以外に成功する術はなかったのではないかという気もしてやりきれなさが滲みます

で、そのライバル位置に来るラッセル・クロウが全然役者として負けていない。周りと不協和起こしつつも正義のために自分の身を削る刑事と、言葉で説明してしまえば臭すぎる役です。それなのにめちゃくちゃ泥臭くてカッコいい。強い台詞をしゃべるわけでもないのですが、表情や仕草一つ一つから執念が立ち上るんですよ。素晴らしい

またシナリオもラストまでスタイリッシュにまとまっていて、完成度が群を抜いてます。無駄なシーンがなくテンポが早くなると普通場面間のつながりが理解しにくくなるのですが、これは構成の工夫が細部まで行き渡ってて唐突感やご都合主義感がまったくない。正義とは何か。矜持とは何か。テーマが太く貫かれていて観たあとまでじわじわ染み込む作品です

いや、こういう脚本が書きたいんですよ。でも書けないんですよね。ホント最高


以上。

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